■ 抹茶と菓子 お抹茶について 和三盆 どこで買うか * お抹茶について ご当地名古屋で有名なのは、升半です。お詰めはしょうはく園、銘は初昔。これ は決まり文句のようにさえなっています。初昔は薄茶としては最高、濃茶としては 最低これからというものです。確かにおいしです。その下の極昔とか後昔は、稽古 ではよく使われますが、はっきり言って苦いです。いいお茶というのは、少し甘味 があるものです。これは濃茶にした時にはっきりその違いが現われます。しばらく 前から、デパ−トで池坊や小原流の花会で、会場を出たところで升半が、石臼をひ いて初昔を売っています。さすがその曳き立てはおいしいものです。しかし、なん せ高くなりました。抹茶は40グラム単位で売られますが、それで初昔は4千円で す。40グラムで大体薄茶40−50杯分ですから、下手すると一杯百円近くなる わけです。 抹茶の産地についても少し話しておきましょう。やはりなんだかんだ言ってもお 抹茶は宇治ですかね。ちゃんとした宇治じゃなきゃだめですよ。一口にうじ宇治だ といっても他の産地のをブレンドしたりしているという話もあります。学校時代に 岐阜の白川という所の出の男がいまして、彼いわく白川茶を宇治に出しているとの ことでした。まだ岐阜の白川なら宇治に気候的にもやや似ているからいいと言えば いいですが。白川の名誉のため、普通の白川茶しか飲んだことがありませんが、お いしいです、ハイ。ところで抹茶の国内NO.1の産地は、愛知県三河地方の西尾 です。なんと小生の勤め先はその隣の安城なのですが、会社のすぐ横にも茶園があ ります。いつも黒いシ−トをかぶせています。総じて三河地方というのは、山がな く平地でして、およそ宇治の地理とは程遠いものがあります。 お抹茶にする茶園というのは、朝霧がたつような場所がいいとされています。ま さに宇治はそのような所なわけです。ひるがえって西尾では、朝霧などは望むべく もなく、申し訳ないけど西尾の抹茶はあまりおいしくないです。どうもそれだけで なく三河地方は昔から水の便も悪く、なんか名古屋にくらべても水の味が今一つで それも原因しているのかも知れません。もう一箇所、静岡茶も有名な産地ですが、 静岡茶の場合、東名高速より山よりは朝霧がたつらしく、いいお茶ができるそうで す。そういえば三ヶ日インタ−とかいうと山ですよね。小生、まだあまりはっきり とこれが静岡のお抹茶だと飲んだことがないので、よく分かりません。多分おいし と思います。 最後にもっともひどいお抹茶について一言。プルトップ缶に入ったのはよろしく ないです。いかんですね−。なんだか鯖の缶詰めを開けるみたいです。それにこう いう手合いに限って、色が悪い。本当に緑色をしているのです。これは明らかに着 色したものです。匂いもおかしな匂いがするはずです。泡立ちも悪かったり、点て ても色がいやな緑色をしています。こんなのはやめましょうね−。ちゃんとお店で 抹茶をひいているところで買いましょう。お稽古に行っているだけだと、よく分か らないかも知れません。そんな方でもたまには自分でお茶やさんに行って、買って みましょう。旅行にいった時には、その土地のお茶があったりします。そういえば 高知を旅したおり、いい匂いに釣られてほうじ茶だったか買ったな−。うまいです よ。300円で袋一杯入っていました。 * 和三盆 和三盆は日本古来の砂糖です。干菓子の上等なのはこの和三盆でたいがい作られ ています。しかし、本物の和三盆を知っていただきたい。そこらで売られている和 三盆の干菓子は、固くてぽりぽりかむような感じです。本物は口の中で自然にとろ けるものなのです。和三盆の産地は、今では四国の香川から徳島ということになっ ています。徳島にいったら、ぜひ本物の和三盆を買って帰ってください。お干菓子 にしたものの他に、和三盆そのものの砂糖もあります。お値段の方は、お干菓子は 普通売られているものと変わりません。砂糖の方は350グラムいりの袋が7百円 ぐらいだっと思います。お砂糖はめりけん粉と上白砂糖の間ぐらいの触った感じで、 色は少しきな粉ぽっいですね。先ずなめてみれば分かります。上品な味です。 以前徳島のある田舎の喫茶店に入ったら、和三盆糖でつくったあんを出してくれ ました。なんともこのおいしかったこと。その後、母にこんなんだったと作っても らいました。こしあんにして、大垣ようかんの竹にいれ、少し冷やしておき、切っ てそのまま出しました。見事、同じあんができました。これが普通の白砂糖ではた だ甘くて食べられたものではありません。ほのかな香りの、上品な味です。なんか 学者先生の言うには砂糖としては同じ成分だから一緒だとか。この現代でも相当な 手間暇かかっています。そんなこという輩は、宇宙食でも食っていればいいのです。 それからつい最近のこと、デパ−トで四国の物産点があったので、出かけました。 ありましたよ−。1袋千円でした。こういうあんを食べたことありますかと、売り 子のおばさん達に話してみました。知らないというので、ぜひやって見て下さいと 逆に教えてあげました。物産点の売り子さんは直接、地元の人がやってきていまし た。なつかしいな−。宇和島のじゃこてんをつまんだり、六時屋のタルトを買った りと。ここで、タルトを知らない人にひとくさり。あんこをカステラで巻いた太さ 10センチぐらいの一応和菓子なのです。四国の瀬戸内沿いにかけてどこにもある 菓子です。元祖は六時屋で松山で、タルトのメ−カとしては小さいのですが、非常 に上品な味を出しています。これなら茶道の主菓子にしてもおかしくありません。 * どこで買うか 近隣で幾つかお店屋さんを当たってみましょう。その中で、これはと思う店があ ったら、末永くお付き合いするつもりで通いましょう。そうすれば、ひきたてのお 抹茶だよと出してくれるかも知れませんし、まんじゅうなら少々の注文にも応じて くれるようになるかもしれません。小生も何年かいろいろな店のを買ってみました。 升半は確かにいいけど、近くにありません。いつも車で通る道すがらの所に、小さ なお茶やさんがありました。そこを見つけてからずっと、このかた十年以上通って います。そしてその店の一番高いお抹茶を求めることにしています。宇治の茶園と 契約して、葉茶をもってきて、何日か分の抹茶をその店でひいています。お詰めは とくにないようで、強いて言えば、店の名前になるのでしょうか。値段は40グラ ム2千円です。升半の初昔の半分の値段ですが、升半よりもひょっとしておいしい かも。 ちょっと余談ですが。その店にいくのは、たいがい月末の日曜日の昼前。一応日 曜日は休みということになっているのですが、おじいさんが店の戸口を半分程あけ ているわけです。平日は若夫婦がやっているわけです。いつの頃からか、玄米茶こ れとか、八十八夜摘みの袋だとか笑いながら出してくれるのです。多分、最近のお 茶はあまりおいしくないですネと話したのがきっかけだったかも知れません。今は 化学肥料だからそのせいだろうネとおじいさんはその時いっていたような。もうか なりのお年です。いつもいく度にじいさん元気かなと思ったりするのです。そんな 訳で小生も、岐阜にいった帰りなんかに富有柿をもっていったり、田舎から送って きたタルトなんかをもっていくのです。そんな時はおばあさんも出てきて、まあま あいつもすいませんね−、てな具合になってしまった訳で。余談でした。アハハハ。 次はおまんじゅうです。先ず第一にまんじゅうやのチェ−ン店はいけません。洋 菓子も置いているような店も頂けません。名古屋にも有名なチェ−ン店があります。 店の名前は言わなくても、名古屋の人ならだれでも分かると思いますが。味の方は 決してそう悪くはないのですが、肝心なことをこの店を忘れている。まんじゅうは 生物だということです。なんせ頼んでからもらうまでえらく時間がかかる。すぐ使 うから簡単でいいですよといっても全くダメ。混んでいてもあわても騒ぎもしない。 まんじゅうといのは、パッパと包む。ネチネチとやられたんではたまらない。手垢 がつくというものです。どうもお使いものにするのに、買うような店なのでしょう ね。とてもや茶道では使えません。まんじゅうならなんでもいいというわけでない ということを先ず知って下さい。