* 平成16年12月のお稽古  12月19日 今年最後の月釜も静かに終わりました。まるで1年経つのが嘘のようで す。お点前は長板諸飾りで、まだこの点前をやってなかった人にみっち り稽古を付けました。お二人それで続けて点前をやってもらって休憩で、 外に出て猫を抱いていたら、和尚さんと何人かが本堂に歩いて来られま した。皆、礼服を着て法事が済んだところということでした。一服召し 上がって下さいと声を掛けました。猫の愛想も手伝って、方丈へ来て下 さいました。何やら茶道の話しをしてたそうな、落ち着いていいですね と。この日用意した饅頭は練り切りの"椿"が10個にぎゅうひの"柚子"、 それにおまけでくれた田舎饅頭2個。後は干菓子を幾つか。和尚さん入 れて6名のお客様です。菓子は当然、客優先。正客に座られたお嬢さん は裏千家で習われているそうな。お茶、ご自分で取りに出てもらいまし た。お道具のことも少し話しました。風炉先屏風を作った方のこと、軸 は"志気和平"、徳林寺の土で焼いた菓子鉢のことなど。抹茶はこちらの お茶屋さんが挽いたもので初昔。全部、手近で間に合う。坊主も居るし ネと笑ったのでした。それで一席終わり皆さんお帰りになりました。そ の後、最後の点前で松風堂さんがちゃっちゃっと濃茶の準備を。お茶銘 は"千寿"、何と茶入の小壷の茶を全部入れて5人分。大服でそれはそれ はおいしゅう御座いました。飲んだ後の茶碗の中の緑色のきれいだった こと。新茶は艶もあるようです。拝見で茶杓の銘は即興で"無事"。ここ にあるので箱書き道具なんかは一つもないんです。そんなことは関係な いんです。貴方も楽しみのお茶をやってみませんか。12/20 毎月一度行く小生の先生宅での稽古、今年の納めでした。名古屋から北 の空を見ると、今夜にも雪が降ってきそうな。案の定、昨日霜が降りた と稽古に来ているご婦人が話してました。新しい年を何か一つ新しいも のと思い、炉の柄杓を持参しました。なじませないけないということで 早速卸して使いました。いい柄杓というのはずっしり重みがありますね。 家元での稽古の時、2月で柄杓の重かったことを思い出します。先生に ついて爾来、四捨五入したら利休さん並みになってしまいました。それ でも尚、まだまだ未熟なところがあり、稽古に行く度に発見することが あります。茶道とはそうしたもの、長い月日をかけて習い自ら育てて行 くもの。表千家の習いというのは、何年か習ってそれで由というもので は決してない。古格を先ず守ること、奇のてらったことを慎むこと。で しゃばらず、控え目に振舞う。思うに茶道と一口に言っても、また登る 道は幾つあろうと頂は一つと言ってもだいぶ違う気がする。食べ物で言 うならばハンバーガと懐石は違う、腹を満たす目的は同じかも知れない が。同様にお茶で人をもてなすのが茶道なんだけど。テレビでいろいろ な流派の紹介がされる。インターネットでよそ様の様子が見れる。歩き 方さえも違う。百円ショップで道具を見立てる。流派を作っている輩も いる。一昔前ならよその流派や社中がどんなことをやっているのか、ま るで分らないのが当たり前だった。今の世の中は騒々しくなったもので す。来春、表千家もホームページを開く。その言葉に"インターネットの 世界とは申せ、心しずかに茶の湯の空気にふれていただければ幸いです"。 よい子の茶道は静かにこれからも続けて行きます。12/28 * 平成16年11月のお稽古  11月28日 特別大公開。何とか手に入れた水晶、宗旦丸卓に飾ってみたところです。 掛け軸は"明珠在掌"で、めいしゅたなごころにありと読みます。水晶は まさに明珠であり、さんざん走り回った挙句が、数年前ふと立ち寄った 店に結局探していたものがあったという。お店を出て歩いている時にそ のことに気づき、独り笑ってしまったのです。"明珠在掌"とはそういう ことだったのか。十年以上前に郷里の住職に、初めて書いて頂いた字な んです。まるで孫悟空とお釈迦様の掌の話みたい。それで和蝋燭の炎の ゆらぎに水晶はきらきらと反射したのか。光背のような光がパーっと出 たのか。結論から言うと出なかった。でも場を浄化するという水晶の存 在感はありました。そして時折りほんの少しキラっとなるのが見えまし た。よかったですよー、表千家らしい控えめな様で。これでこの一年の 穢れを落とし、また新たな歳を迎えることができるというものです。さ て明日は東へ向いて朝早くでます。できれば金森氏の鎌倉での個展に朝 一で立ち寄りたいと思っています http://www.加満久良.com。ここまで 11/29。 30日の晩です、早起きして行ってきました。素晴らしい作品 でした。伊賀の他に瀬戸黒の茶碗も展示してました。スエードのような 肌をしていて、こんなのは見たことない。作品を見れば見る程、えらい 人と知り合ったものだと思います。駆け足で鎌倉の通りを行ったのです が、一軒だけ足を留めました。石のお店があったのです。去年ぐらいに できたとか。水晶ありましたよ。針状タイプので、大きさも姿も値段も 手頃なのが一つ。どうです、どなたか買われて同じく盆石代わりにして は。11/30 12月も半ばになるというのに、暑いぐらいのお天気です。どうなって いるのでしょう。いつもの魚屋に土曜日行ったのですが、昼ですごくた くさん魚ありました。いつものお兄さんが言うには、天気がいいと入荷 も多いとか。いつもならこの時期は、品数は少なくなるらしいです。こ んなまま50年ぐらい経ったら、四季もなくなり年中夏ということにな るのでないか。ちょっぴりそんなことを思っていました。この日は意外 なところでお米を買ったのです。少し前にも同じところで買ったのです が、もちもちっとしておいしいのです。その米というのは、道楽で無農 薬で作っているとのこと。作った本人がそう話してくれました。本職は 違うんですがね。それから農協のお店にも寄って、野菜類を買いました。 街場のスーパーで買う半値です。素性がはっきりしているし、安心です。 豆腐も210円のがあるんですが、それは豆腐の味がするんです。お米 は玄米のがレジの前に8種類ぐらい置いてあります。1キロ430円か ら570円ぐらい。精米すると目方が減る訳で、お米というのは結構す るもんだなと改めて思いました。これから較べれば先ほどの米はかなり 安いことになる。正月3日に、ちょっとした膳を毎年出しているのです が、今度はこの米のご飯も出そうか。そう思ったら骨董市が吹き上げで やっている。行ってみよと日曜に出掛けました。特に何も買わなかった のですが、煙草盆の塗りが分りました。同じ塗りのお膳だと見ていたら、 隣の紳士が店の人に紫檀かと思ったと話していました。シタン塗りと書 いてありました。骨董市の会場、着物を召した方がちらほら、男子も二 人見かけました。お茶の人ではなさそう。どちらさんだったのでしょう か。12/13 * 平成16年10月のお稽古  10月31日 先日の月釜、秋のいい一日になりました。でも欠席の方が多く少数精鋭 となりました。何と茶壷まで登場したのです。松風堂さんがお店の茶壷 を持参されて床飾りにしたのです。紐を被せてある場合は拝見の所望は しないこと。でも覆いも全部外して茶壷の中まで見せてくれました。よ く見ると漆で継いであるのです。箱の中にあってばらばらになっていた らしく、それを古今稀な技術でもって復元してある訳です。本能寺の変 で焼け出された有名な茶入みたい。さてそれでお点前はというと、こな いだ犬山で求めた杓建てでの長板諸飾りです。ここ徳林寺では初めての 道具立てです。飾り火箸は松風堂さんで先週買いました。桐の実の頭が 付いています。お寺の北の森の方に確か桐の木がありました。ちょうど 今頃、桐に実が付いているとのこと。杓建の箱に書いてある字は "唐物 写銅地杓建" でないかということになりました。写のとこの字が多分難 しい字を使っているのでないか。いい形をしているんです。耳が付いて いる珍しい姿でもあります。今度の月釜、その日は秋祭りでもあるんで すが、同じ道具でやりますのでお楽しみに。もう一つ建水がありました。 瀬戸大橋を渡ったところの町に途中下車して、車窓から気になっていた 骨董屋で求めた新古品。而妙斎好み筋入り芳光作、重みがあります。諸 飾りにはもってこいですね。いろんな所で入手した道具がこうして一つ のまとまりになり、活かす場面が出てくる。さらに考えていること。秋 祭り最後の手燭の点前、これに水晶の原石を盆石として置きたい。和蝋 燭の揺れる炎と水晶でどんな世界になるのか。これで一年の穢れを落と せればと思います。11/1 水晶を探しています。夕刻の中でやる手燭の点前で飾るためのものです。 盆石の代わりです。茶道具のパンフレットを見るとつるつるっとした丸 みを帯びた石が毎度出てます。7万円ぐらい。こんなもんにそんな銭と てもや出せん。誰か買う人がいるのかしゃん。ありますよ、こんな石な ら、岐阜の谷汲へ入った辺りから菊花石を扱っている小さな店が幾つか あります。谷汲の参道にも何軒かあります。昔からあって、いろんな石 を置いてあるんです。菊石というのが丸っこい形で、どの店にもたくさ ん置いてあります。さあー菊花石と同じものなんでしょうか。ともかく ただの盆石として床の間に飾るなら、これでいいと思います。適当な台 も付いてますし。そんなに高いもんじゃないです。あっ、でも買うつも りなかったので、値段よく見てなかった。小生のイメージしているので は水晶でないといけない。石には気の力が宿るとその筋の人は申します。 この石は人にパワーを与えているので、だんだんと色がくすんで来てい ますなんて言います。パワーストーンと言って、トルマリン鉱石とか一 度は聞いたことがあると思います。んー、どうなんですかねー。気があ るとは思えないですが。僕が欲しいのは光です。仏さんから出るたくさ んの光、そういうので茶席を包み込みたいんです。とっても分りやすく 言えばディスコのミラーボール。和蝋燭の光が水晶の多くの結晶に反射 して、小さな光が一杯拡散して部屋全体がユラギの中にあるような。宇 宙はもともと全っく無の世界ではなくて、ユラギが存在していたらしい です。人は確定された世界に居るのでなく、不確定なユラギの中に居る。 数寄の心に通ずると思えませんか?。11/11 会社から帰って箸を削っていました。今度の秋まつりで出す善哉の黒文 字の片割れです。この時期、なぜかお茶の世界では善哉を茶菓子で出す ことがあるのです。その時添える箸は黒文字一本と杉の箸一本で対にす るらしいです。ちょうど竹の箸でよさそうなのが一杯あったので、塩梅 よく削って長さや太さを揃えました。黒文字よく見るとスパスパっと何 回かで削ってます。よく切れる大き目の刃物でスパーと切っているんで しょうね、なかなかこうは行かないものです。話し変わって昨日のこと。 いつもの魚屋で牡蠣フライも買って帰りました。家では母がレンコンを 擦ったのを種にしてフライを揚げていました。その姿たるやまるで牡蠣 フライ。食べて見ると黙っていたらレンコンか牡蠣フライか分らないと いう。その後で本物の牡蠣フライを食べたんですが、レンコンでできた 方がらしかった。テレビの料理番組でお坊さんが精進料理で、このレン コンのフライを入れた椀物を作っているのを見てました。つい最近のこ とです。お寺で膳を今度出すことがあれば、やってみよ。まるで精進ぽ くない。一つぐらいインパクトのある料理も口に入れたい。これはちょ うどいいです。もう一つの話。時折り小生の会に来て下さっている陶芸 家の方の個展です。金森伸郎さんという主に伊賀を焼いている作家です。 それはすごい作品です。鎌倉の陶器処、加満久良という店で11月26 日から12月1日まで、10時から午後6時。http://www.加満久良.com/ に案内が出てます。明日からですね。鎌倉、だいぶ前に行ったなー。お 寺めぐりしてたら、訳が分らずハイキングコースに紛れ込み、鎌倉を一 周したことがあったけ。11/25 * 平成16年9月のお稽古  9月26日 本日の月釜、徳林寺茶道指南の本領を発揮したようなことになりました。 いつものように1時前にお寺に行き、お茶の準備をし始めました。それ から間なしに参拝姿の一行がやってきて、お参りさせて欲しい、それに 御朱印をお願いしたいとのこと。タクシー2台でやってきたのです。こ んなこと初めてです。和尚さんを呼びに行って、何か納経帖に書きます が、少々時間がかかりますと言われる。それでとりあえず干菓子を出し ておきました。それからちょうど薬缶の湯も沸いたので、お抹茶も出す ことにしました。和尚さんは四国遍路の納経よろしく毛筆で書いていま した。ちょうど参拝に来られた方、皆が一服し終わった頃、納経帖もで きました。聞くと新聞にここら辺りのお寺20ヶ所が出ていて、半分回 って来たと言われる。そうですか、それはご苦労様。タクシーが本堂を 去るのを見送ったのでした。お抹茶ぐらい出すのはお安いもの。縁あれ ばまた来られて一服して行って下さい。実は昨日は自分がお寺でお抹茶 をよばれていました。大徳寺の瑞峯院の座忘庵にて。20数名で伺った のですが、手馴れたもので修行僧の方々がちゃちゃちゃっとお菓子を運 び、お抹茶も持って来られる。流石だーと思った次第です。話、戻して 月釜はお約束通り長板の一つ飾りにしました。この飾り付け、なかなか 雰囲気よろしく、小生好きなお点前です。松風堂さん、茶入れ持参でし っかり濃茶を練って下さいました。自分とこで挽いた抹茶ですから、こ れ以上間違いないものはないでしょう。5時に後片付けを終わえ、昨年 夏にガラスの茶碗の件で出会った陶芸家の個展に、3名いそいそ出掛け て行きました。明けて月曜日、僕も行ったのですが、それは見事な伊賀、 志野の花入れがありました。9/27 先週の土曜のこと、母が整体に連れて行って欲しいという。数週間前に、 短歌の会で長い間正座していて膝を悪くした。そんなことで毎日の通勤 している道に車を走らせました。本当、不思議な整体です。痛くも痒く もない、ほぼ治ってしまいました。それならせっかくだから、いつもの 魚屋でも行くかと会社近くまで行きました。すると開いているのを見た ことがない丈山文庫らしき場所に車が1台。ここは石川丈山の生誕地で、 ここだけこんもりした森になっているのです。中に入って行くと大きな 門が開いていました。それはそれは風流な所でした。管主の年配の方が、 ちょうどお一人に説明を始めたところだったようで、加えてもらいまし た。ちょっとびっくりするような掛け軸が飾ってありました。茶室もあ り、いつでも抹茶を出せるよう茶碗など用意されていました。前の庭は 京都から灯籠や苔など持ってきたという。まさに京都の風情そのもので した。ししおどしが時折りカッコーンとなり、庭に下りてどこにあるの か探しました。傍らに僧都と札がありました。そうずとは何?。ししお どしのことを添水、そうずとも言う。丈山一流の洒落で、字を変えてい るらしいのです。丈山の書が至る所にあるのですが、よくその字を見る と縦の棒が上に出ていないとか。文庫を出たのが5時前、すぐ近くの丈 山苑にも寄ってみました。この時期、夜8時ぐらいまで開けているとの こと。300円でもったいないぐらいの主菓子が出てお抹茶を頂きまし た。そして特別公開の嘯月楼にもよじ登り、丸窓から月を愛でたのでし た。10/7 台風ですっかり名前が出てしまった新居浜。今日の台風も四国を通過し たが何とか無事だったようだ。16日から18日のお祭りの間、奇跡的 にお天気だった。本当、台風に雨の間の束の間の日和だった。土日月と 四国へ行く道中から、たっぷり堪能させてもらいました。大津で途中下 車して三井寺や門跡寺院を見て、大阪では大阪城の大きさに圧倒されて。 夜10時50分にフェリーに乗り込み四国へ。八十八箇所の子安さんに 参り親戚の家に。ここらも川のようになっていたとか。山が近いのであ る量以上の雨が降ると、そのまま滝のように流れてくるのだとか。新居 浜に行く国道は土砂崩れの影響で大渋滞。海岸沿いの道に回って、新居 浜に行きました。...と、ここまで書いて疲れが出てしばらくほかっ ていました。フェリーではやはり寝れんなー。睡眠薬を素直に飲んでく ーっと寝ないかん。それに祭り見物は結構体力がいります。加えてお墓 参りもすべて歩きですからね。田舎なもんで地下鉄がある訳で無し、バ スがすぐ来る訳でなし。こんな土地に何であんなパワーのある祭りがあ るんだろう。もう子供のうちからあの太鼓のリズムを叩き込まれる。大 人になったら何になる?の問いに、太鼓台の指揮者になりたい。本当そ うなんです。新居浜人間は祭りが終わったらすぐに、来年の祭りを指折 り数えるという。太鼓台は金銀の刺繍で覆われているんです。その下で 200人からのかき夫がかつぐんです。そしてその太鼓台がぶつかりあ って、直径30センチぐらいの棒が折れるんです。勿論怪我人も出てし まいます。冷静になって考えると、まるで馬鹿。本当馬鹿なんです。僕 もやっぱり馬鹿ですが。10/26 * 平成16年8月のお稽古  8月29日 パソコンのすぐ側に今、着物を架けています。先日の月釜で着ようと出 していた絽の紋付です。持ってくだけ持って行ったのですが、結局着ず 終いでした。その代わりお寺より西方30kmから来られた男性が、さ っと単に着替えてくれました。仕事で来れないと言っていたのに、何と か都合が付いたとか。いや都合を付けたんですね。風炉の丸灰を押さえ てもらって何とか格好がついた辺り、お一人女性が廊下に。はじめまし てー。白檀を入れようとしてたところだったので、どうぞ入れてみて下 さい。ついでに釜も乗せて下さい。こんなように、来られた方で準備し て行くんです。その方ちゃんと釜の正面に座り、環をひだりみぎと外し ました。その手つきを見て、貴方5年か10年やられてますねと思わず 口にしました。初めての方はお客様です。正客に座ってもらい、先ずは お薄にしました。道具は平水指を畳に置き付けにしました。次は濃茶点 前5人前、練り切りを縁高に入れて。別に3人前点ててもらい、ともか く茶室に居た皆に濃茶を召し上がってもらいました。そうそう、この日 の掛け軸は風の盆の踊り手の色紙、恒例となりました。花は長い杉板を 敷き母が時分のものを入れました。それからまたお薄に戻り、はじめて の方に今日はどちらからおいでになられましたか、尋ねてみました。東 方366kmからと判明。まあまあよくそんな遠くから。せっかくです、 お点前どうですかと勧めたら、久しぶりと言いながら慎重にやられてい ましたよ。とてもきれいなお点前でした。どこのどなたさんだったんで しょうねー。不時の客というんでしょうか。さーさーとりあえず一服召 し上がれということでしょう。掲示板に書き込みの方々も一服どうぞ。9/1 日曜日2時前にお寺へ母と行きました。久しぶりに草取りをするためで した。お茶の日以外はすっかりご無沙汰になっていました。小生は毎月 のお寺の寄り合いがこの日だったので行ったのですが、和尚さんはじめ 誰も来てませんでした?。徳林寺スケジュールでんな、こりゃ。まあ草 取りができた訳で、別にいいですがね。どうも夏場はあまりこまめに草 取りしない方がいいようです。雑草が日陰を作り、湿気も適度にキープ するからです。3時前ぐらい、雨がぽちぽち降ってきてしばらく雨宿り していたら上がったので、また畑に出ていました。それが4時ちょっと 回ったぐらいでしたか、すごい土砂降りの雨になって。雲行きがすごく 悪くて、向こうの方に真っ黒な雨雲が出てましたからね。雨宿りはこな いだテレビにも映っていた風の子幼稚園。畑のすぐ南手なんです。縁側 に座り滝のような雨を母と眺めていました。縁の下から蛙がぴょんぴょ ん出て来ました。すぐ目の前はみるみる内に水溜りになり、半分池のよ うになってきました。しばらくして木の下に隠れていた蛙がまた、ぴょ んぴょん。今年孵った若い蛙だね。お寺の蛙、普通はのそ!のそ!とし か歩かないんです。こう書いて行くと、すごい平和な感じ。こう見えて もいろいろ考えることはあるんですよ。ハーってな感じで。でもお茶に 来て下さる方も、皆それぞれいろいろあるんですよね。 "夫婦喧嘩さっ きまでしてても、笑顔でお迎えさあ一服どうぞ"。 こりゃ川柳か。でも 小生には喧嘩する相手がいなかったバイ、お粗末。9/7 貴方も"冬のソナタ"見ました?。母が見てたので、ちらちらっと小生も ほんの少し見ました。先週の土曜日、"冬のソナタ"グランドフィナーレ というのがNHKでやっていました。NHKホールにファンを一杯にし ての特別企画でした。韓国から"冬のソナタ"の監督や脚本家も呼ばれて、 かなり熱が入っていました。特にNHKの男性アナウンサーの力の入れ ようと来たら、まるで今初恋をしているかのような純粋さでした。印象 に残った場面を紹介するコーナーでは、ここ本当良かったですねーと心 底話していました。小生も昔、恋した映画が一つありました。中学生の 頃です。黒板を消すシーンがあって、学校で真似てそれをやって、同じ 映画を見た子に目配せしたりしてね。"冬のソナタ"でも同じようなこと で、塀を登ってみたり、雪だるまの椅子に座ってみたり。大人になって も人の心には、こんな純な心がちゃんと残っているんだ。そのことを知 っただけでも、何かとてもいいなーと思ったのでした。監督さんの言葉 もすごく良かった。"冬のソナタ"には善良な人が多く出てきます。世の 中、強い人達が有利です。そうじゃなくて善良な人でも報われる。また ドラマを通して優しさや美しさだって力になるんだ。このようなメッセ ージを込めたという話でした。かつての日本と韓国の暗い時代を、一本 のドラマが払拭してしまった。まさに優しさや美しさの力だと思います。 今、アメリカを中心とする世界は、武力で平和を獲得しようと躍起にな っている。このような時期アジアの一つ韓国から、武力の対極にある力 で平和へのアピールを行った。とても尊いことだと思います。9/13 会社から帰る時、8時頃でしたか、ずーっと北の方で雷の光が見えてい ました。それからだんだん近づいて来て、もうすぐ夜の12時になろう としてますが、まただんだん遠ざかって行くようです。畦道には彼岸花 が咲いて、部屋にはすすきと葛の花を花瓶に入れています。葛の花は藤 の花みたいに房になっています。紫色の可憐な花なんです。愛知用水の 脇で人知れず咲いていました。すすきは茶色ぽいのではなく、銀色の狐 の尻尾のようなの。それにもう一つ、すすきみたいなので母が何とかと 言っていたなー。日中まだ30度を越す日もあるようですが、でもでも もう秋ですよー。先週、小生の先生宅へ稽古に行ったら、竹台子の一つ 飾りでした。細水指を使った中置きの点前ですね。今度の月釜では長板 で中置きをやりますか。長板一つ飾りでは濃茶はやらないと、どこかに 書いてあったような。吉田生風庵の二分冊の本には、茶入れの袋の置く 位置が書いてあるし。まあそんなこと気にせずに、濃茶もやりましょう。 おいしいお抹茶はやはり濃茶にした方が味わい深いです。もう一つお話。 今年初の鱧、こないだ水曜日の魚の日に買ったのです。水槽に居た奴で 少々くたばり気味だったか。腹開きにしてもらって、全部椀物にしまし た。でも腹開きは失敗。背ヒレに骨があり、骨切りではそこは切れない んです。魚屋さん、骨も分けて入れてくれていたので、出汁に取ったの ですが、どうも出汁が濁ったような気がしました。ともかく、もっと活 きがよくないと鱧の本当の旨みは出ないようです。もう一度ぐらいチャ レンジしてみます。どなたか召し上がりたい人います?。何年か前、夏 の暑い日に鱧を食べる会をやったんです。その時はとてもおいしくでき たんですよ。9/23 * 平成16年7月のお稽古  7月25日 8月に入ってしまいましたねー。台風が変なところから四国に上陸して 土曜日から雲行きが怪しかったです。昨日は母の付き添いで病院に行き 結局一日中かかってしまいました。病院疲れで昨晩はぐっすり眠りまし た。今日は気分を変えて多度の方へ行ってみました。さる茶道のホーム ページに出ていた城塞の寺、行基寺です。名四を走り、桑名へ、そこか ら北上し多度を通り過ぎてしばらく。看板が出ていました。すぐに車1 台の山道を登って行きました。こんなところにお寺があるんかしゃんと 不安になりながら車を走らせました。地図で見ると幹線道路からすぐの ように見えましたが、くねくねとだいぶ行ったように感じました。立派 な石垣が見えてきて本当びっくりしました。だいぶ広い駐車場があって 車から出ると、そこらじゅうから蜩の声が聞こえてきました。声のする 方に寄って行ったら、そこに鳴いている主がいるではありませんか。デ ジカメで何枚か撮り、念のため1枚フラッシュをたいて撮りました。全 然逃げようとしません。お寺の山門の方へ回りました。お庭の拝観は今 日はやってなかったようです。でも十分景色は堪能しました。濃尾平野 が一望でき、名古屋駅のツインタワーも見えました。中の庭は本堂横を 上がった所からも見ることができました。それから恐る恐る山道を下っ て行き、次は多度大社へ。もともと蜩はここでいつも聞いていたのです。 神社の古木の上の方から時たま哀しげに鳴くのが聞こえたものです。そ れが今日は先ほどの行基寺同様、それはそれはたくさんの鳴き声が。蜩 は曇りがちの天気の方がいいのかもと、母と話していました。多度大社 にはお盆に備えて奉納した提灯がめせきに吊り下げられていました。多 度の山水のコーヒーを頂き、いつもの傘最中を買って帰ったのでした。8/1 残暑お見舞い申し上げます。立秋を過ぎたら暦の上ではもう秋。お盆を 過ぎたら海にはもう入っちゃいけない。海坊主が出てきて足を引っ張ら れる。そんなことを聞きながら皆、大きくなったものです。お盆休みは 水曜日から日曜日まで。今日、月曜と明日はお勤めで御座います。何と 今日は帰宅したのが10時過ぎ。インターネット回線の設定をやってい たのです。回線を二重化して冗長化する。さらに負荷分散までできると いう魔法のようなネットワーク装置を設置していたのです。おっと、残 暑見舞いからいきなり仕事の話になったぞ。この装置、数年前からある にはあったのですが500万円ぐらいしてました。それが昨年、100 万円程度の製品もでてきて。でも他に設定料なんかが別に100万円程 いるという。それで英文マニュアルを毎日のように家で読み、自力で設 定することにしたのです。でも、いつ設定をするかは大問題でして、五 月の連休であるとかお盆休みの直前であるとか。多くの利用者にできる だけ迷惑を懸けないようにするには、こうした日になってしまうのです。 結果8割方うまく行ったのですが、マーフィーの法則然りで、検証をし ていないヶ所は必ず問題を起こす。テストはだいぶやったのですが、実 際設置してみないとどういう動きをするか分らない部分があって、そこ の設定がうまくできませんでした。そんなことでこの休みは、その問題 の謎解きを自宅で取り組むことが課題となりました。え!、何でそんな に一生懸命やるかって。大きくは日本のネット技術のボトムアップに貢 献すること。小さくは獲らぬ狸の皮算用で一攫千金を狙う?。これで茶 室が建てられるかもよーん。8/9 やっと凌ぎ易くなりました。本当暑かったですねー。まあいろいろ言っ ても、お盆を過ぎると夏も終わりという感じです。休みの間は12日が 迎え火、15日が送り火でお寺でごそごそしてました。六角堂に墓石が 並んでいて、ここに皆お参りに来るのです。お堂の前にある蹲を掃除し て水を張り替えるのが、この時期の小生の仕事になっています。夕方6 時ぐらいですか、おてんとうさんが沈みかけたぐらいに、本堂前で四角 に井桁を組んだ木に火を付けるのです。そして銅鑼をガッシャン、鐘を チーンと鳴らしながら、大きな位牌と竹笹を持ってお堂に向かうのです。 送り火の日も同じようなことなんですが、檀家さんがこもを持ってきて 本堂前に掘った穴で燃やすのです。だいたいこの火の番も自分がやって います。さて、こもの中身は何なのか。見たことないんですが、お供え 物でしょうね。ナスやキュウリに竹串を刺して馬や牛に見立てたものと か。こもを持ってきた親子連れが、子供におじいちゃんにまた来年と言 いなさい。そうやってこもを火の中にくべていました。お堂に行ってお 経を読み戻ってきたところで、例年通り茶菓の接待、すいか割りに花火 です。いつの間にか子供ばかりが残り、夕闇の中ですいか割りをやって いました。花火は線香花火を小生もやりました。あの小さな火の玉がか すかに弾ける様を見るのは物哀しいものです。茶菓はただの冷たいお茶 と檀家さん寄進のお下がり、水羊羹を2つも頂いてしまいました。昨年 は広間で冷水点の抹茶も振舞ったのですが、今年はお天気が冷水という 感じではなかったです。また来年考えましょうか。でも来年はどうなっ ていることやら。8/17 いつの間にか月日は過ぎて行くものです。また風の盆の時期がやってき ました。そう言えばお寺に出入りしているカメラマンの男が古川の辺り に借家を借りたのだっけ。彼と一緒に行こうと、ちらっと思っていたの だが、最近会わなかったので忘れてしまっていた。しかし、あの踊りを 見せたらカメラ向けたくなるだろうなー。なんせ、数年前に祭りの前夜 祭に行ったところ、カメラマンだらけでどうにもこうにもならない。輪 踊りと言って町の人らが一緒に踊りましょうと言ってくれるのに、踊る どころじゃない。ひたすらカメラ、ビデオだ。止めて欲しいなー、せめ て浴衣でも着てフラッシュたかずに撮るとかしてもらいたい。自分なん かナップザックしょったまま、一緒に踊ったぞ。カメラで思い出を残す より自分の目と耳で、五感に焼き付けろ。しかし風の盆、これだけ人気 なのは、こういうのが好きな人が多いという訳で、そのことは捨てたも のではない。相聞歌とも言える男性の唄う声で、女性の踊る姿の美しい こと。斜めにかぶった傘の後ろから見えるうなじの色気のあること。今 時の女の子、女性は人前で平気で化粧をしたり物を食ったり、まるで女 性らしさのないのが闊歩する。でも本当は女性は女性らしく振舞いたい、 そう心の奥では思っているのでないですか。ちょっとした仕草が、とて も美しく見える。決して悪いことではないはずです。そこで茶道の出番 なんです。お茶の点前の一番の基本は歩くこと、座ること、お辞儀をす ることなんです。稽古を重ねるに従って、自然とこれらきれいになって 行くのです。何も風の盆にまで出掛けなくとも、一緒に稽古する女性が 美しい振る舞いを見せてくれるはずです。点前はその時々の心を映しま す。この時期なら往く夏を惜しみ、哀愁を帯びたしっとりしたお点前を してくれるに違い有りません。8/24 * 平成16年6月のお稽古 6月27日 まあおとついのお茶の日の蒸し暑かったこと、最高でしたね。たいがい 木立の間から風が通って来るものなのですが、この日に限ってはまるで 風なし。でも、だからと言ってお茶室に入ったら、団扇や扇子で暑い暑 いとやってはいけませんよー。修行です。座禅しながら団扇使ってもい いですなんてとこはないです。考えてみれば家事をしながら、扇風機に あたるなんてことはない訳でして、もしそうならひっくり返ってテレビ でも見ている状況ですかな。同門会の総会でも、舞台で一所懸命お点前 の稽古をやっているのに、方や客席では扇子をばたばたやっていている ご婦人が結構いるという。いかん暑さのせいでつい愚痴が出た。そんな ことより、実は先日はお菓子作りをやったんです。土曜日に母が白餡を 炊いて半分は求肥を混ぜて練り切りを作ったんです。これは丸めただけ で、稽古の時に皆にへらで形を作ってもらったらと思って。残る半分の 餡には求肥をほんの少し入れ粘りを少々出すようにしました。こちらは きんとんを作ってもらおうと。当日、丸めたのは熱で下の方が溶けてい ました。もっと水分を飛ばすなりしなければいけなかったようです。き んとんの方は、それがぞんざいうまく行ったのです。100円ショップ で見つけた4ミリぐらいの穴が一杯あいたトレイのようなもので、餡を 引き出しました。それを箸で寄せれば一丁上がりです。これが簡単なよ うでなかなかという。食紅で赤色を、抹茶をそのまま入れて緑を。作り たてのお菓子で一服頂いたのでした。6/29 頭がオーバーヒートしているのでボヤキ漫才風のそんなことあらへんや ろーで。江戸前の寿司って本当人肌なんやなー。銀座の超有名店の暖簾 分けの店、テレビではそれはそれは素晴らしいにぎりだった。こりゃ東 京出ることがあったら是がひでも食べないかんと思っていた。先日その 機会があった。その日も非常に暑くて、寿司を食いどころでもなかった のだが頑張って行きました。待ちに待ったにぎりは何じゃこれはー。ま るでぬくとい、ネタが茹で上がるぞ。それにしてもお粗末さん。昔から 名物にうまいもの無しとは言うが本当だね。通勤沿線のうまいラーメン 屋とら何件も回ってみた。宣伝だけは行き届いているのか、結構どこも 入っている。ラーメン・ランキング上位の店である。そんな、おいしい かなーと言うのが正直な感想。どのお店も二度と行くつもりはありませ ん。母も近くの鰻屋、これもテレビで紹介されたんですが、行ってみた ところ、なんちゃうまなかったと。一杯情報はあっても、あることにな らんなー。三里四方のものを食っておれば、人は健康に暮らせるという 諺か言い伝え。それでいんとちゃいますか。だいたいいつでもうまいも のを食わす、食べたいというのが間違っている。海が時化て漁に出られ なければアカシャは獲れんぞ。魚屋にその日上がらなければちらし寿司 はできん。その時は干物でも食っておればいいのだ。で、内の場合は干 し海老のちらしになります。これもまま行けます。しまいのぼやき。鱧 は遠州灘や三河でもようけ獲れるんです。それが京都に行きよるんです。 いつもの魚屋でこないだ鱧の湯引きしたの買いました。小生が骨切りす るのでその魚屋もやるようになりました。お値段は500円、椀物にし て頂いてしまいました。7/15 名古屋は金山のガラスのギャラリーへ行って、花入れを一つと思ったの ですが、お目当ての作家の新作が入ってませんでした。もう少し早くそ の作家さんのこと気がつけば、そのギャラリーで春頃、個展があったの に。とりあえず目に止まったガラスのお箸を求めてきました。このお店 ようけは置いてないんです。お箸もそれ一つだけ。さて明日はガラスで お遊びしましょうかねー。小生少し早めに行って、広間で冷たいお抹茶 を来られた人から振舞おうかと思っています。氷もこないだから冷蔵庫 で一杯作っています。どこかの名水とも思ったのですが、こう暑くては 出て行く馬力がなくて。それで水道水を沸騰させてカルキ臭さを飛ばし ました。もちろん明日の水はお寺の井戸水ですが。ところで今日は金山 から名鉄に乗って鳴海へ出ました。鳴海宿場祭りというのをやっていた のです。鳴海駅、川向こうの東西2kmぐらいの旧東海道が会場です。い ろいろ催しをやっていたのですが、先のお茶に関係する話を。昔からの 町なので茶舗に和菓子屋さんがそれぞれ三軒ぐらいありました。その和 菓子屋の一軒で冷たい抹茶300円の張り紙が。この日だけのイベント ですね。菓子は好きなのを選んで葛饅頭を。抹茶は常温の水だったなー、 ちょっとまったりという感じもしたし。でもよかったよ。後思い箇書き で。築450年の曹洞宗のお寺さん、開放していて座禅をどうぞという。 それは本格的な座禅堂がありました。茶室も3つあるげな。ステージに は中村区の虚無僧、ジョーク半分で尺八を吹く。鳴海の猩猩にも会えた、 ナマハゲみたいな奴です。一番はフラメンコの踊り。路上で頭から汗が 飛び散っていたのはすごかった。酒蔵も2軒あって、大吟醸一杯400 円。おおー頂きたかった。ふらふらになるとしんどいので、そのまま歩 いて家に向かったのでした。7/24 * 平成16年5月のお稽古 5月30日 掛け軸は母が韓国へ行った時に仏国寺で買った"青山無古今"、今の時期 にぴったし。菓子は名古屋は池下の老舗の"青梅"を主菓子に。干菓子は 四国西条は星加の丸柚べしと下呂禅昌寺の老杉(ろうさん)。花は初めて 来られた方と母が花畑にて採った菖蒲を一挿し、常滑の焼き物散歩道の 工房で買った細長の陶器へ。"青梅"は男性のお弟子さんがこの日、持参 した黄瀬戸?の深鉢に三つ盛り。抹茶はこれまた来られている男性のお 店の"後昔"、自分で挽かれた抹茶。点前は四方棚で初飾り、二飾り、三 飾り、そして最後に総飾りとしました。せっかくの菓子と茶、寺のお庫 裏さんにもと、津軽の七子塗りのお盆に三碗載せ、菓子二色をお寺の土 で焼いた皿に盛り持って行きました。すると畑で採れたエンドウ豆?を 餡にした蒸かし饅頭、できたてを頂きました。半分に切り、またこれに いて一服。もうほんの小振りにしたら、そのまま縁高に入れてもおかし くない、おいしかったです。そうそう最初の点前は、またまた謎の男の 挨拶から。井上八千代の舞がご挨拶に出てきたのには一同しーん。正客 には先ずは初めて来られた女性に座ってもらい。日頃の稽古にはないこ とで、さぞびっくりされたことかと。それから一番弟子のご婦人の友人 が来られて。体を悪くされていると聞いてました。かろうじて一服召し 上がられました。今度はきっと元気な姿でおいで下さい、心の中で念じ ました。終いにかかり釜の湯を空けに行く寸前、一服だけでもと仕事の 合間を縫って男子登場。"青梅"をその場にて一つ、残る一つお店での研 究にどうそと持って帰らせたのでした。5/31 夏のおもてなし、こんなのは如何。棹物を切り分けて出す菓子。小生の 月釜ではこれからの時期、一度は和三盆で作った餡を出しています。徳 島なんかの物産店があると出かけて行き、和三盆の砂糖そのものを買っ ておきます。一袋800円ぐらいだったか。これで小豆の漉し餡を炊く のです。できたのは冷蔵庫で冷やして、竹の輪切りにした中に入れてお きます。お客様に出す時にへらで掬い取って銘々皿に乗せるのです。こ れは結局、餡子だけなのですが和三盆の上品な甘さ故、何とも口当たり がよく爽やかなんです。今年はもう一工夫してみようか。お盆に椿皿を 三枚なり五枚なり重ね、その横にこの輪切りの竹を乗せて、茶席に入る。 お客様の前に出て、そこで切り分けてお出しするというのはいかが。懐 石の千鳥の杯ならぬ千鳥の菓子。お客様自ら椿皿を取って頂くのも面白 いかも。椿皿はこないだ骨董市で見たのが五枚で2千円でした。これな ら気軽に使えるというもの。小生、徳島で買ったのは根来塗りので一つ が5千円。椿皿なければ竹を切って皿にしてもよし。お道具もついでに 涼しげなのにしますか。昨年夏、初めてガラスの茶碗を買いました。飯 田尚央という硝子工芸家の作品で、一目ぼれしました。涼炉ならぬクリ スタルの花瓶に急須を乗せ、油滴の水指を昨年は合わせました。花は本 物の釣瓶に朝顔を入れました。今年はできれば花入れもガラスにしたい。 高橋誰それという作家の素敵なのが、一月前程あったのだけど。あーあ 買っておけばよかった。そうそう肝心の抹茶は、濃茶でも使える程いい お茶にしましょう。水は井戸水をできるだけ冷やし、甘味のあるおいし い抹茶を召し上がれ。6/7 * 平成16年4月のお稽古  4月25日 だんだん暖かくなってきたと思ったら、5月の連休に入ってしまいまし た。ほけーとしていたので、何のプランも考えてなくて。頼まれていた、 とあるお店のホームページのアップとノートパソコンの修理もやってし まったし。炉壇もできてしまったし、どうしますかねー。とりあえず今 日は、お寺の作業小屋の片付けをやりました。まるっと3時間かかって さっぱりしました。まあ他も手を付け出したら連休ぐらいでは足らない んです。何とかもうちょっと垢抜けさせたいとは思うのですが、広過ぎ て。お茶室も造ろうとちょっと真剣話しています。でも、どこに作れば いいんだー。松下幸之助氏が伊勢神宮に寄進した茶室の作業過程を記し た本があるんです。それを見ると、どんな所にでも深山幽谷の素晴らし い茶室棟ができる。できたその時から、もう昔からそこにあったかのよ うな風情を醸し出す。すごい技術です。いかん雲の上の人の話になって しまった。銭を稼ぐより遣うのが難しいという御仁と一緒にはいかない。 でも夢は持とうではないか。図面を描こう、八畳の広間と小間が欲しい。 玄関から寄り付き、茶室への動線も考えなければ。その前に炉縁を作ろ う。作りながら考えるとしよう、歩きながら考えるとしよう。せっかく の休みだ出掛けるとしよう。何故だか安土城が呼んでいる。今はどうな ったか見て来ることとしよう。5/1 連休だというのに、お寺でシャンテクティの裏辺りの片付けをやってい   ます。お寺三昧の連休になりそうです。ふと以前読んだ"茶禅閑話"とい   う本を改めて手に取りました。この本、表紙をめくったところに "歩歩   起清風" と墨書きされています。愛知専門尼僧堂の青山俊董尼という方 が書かれた本です。"歩歩起清風"のことが本の中に出ています。歩き方 にその人の全人格、全修行があらわれる。それまでどんな人生の生き様 をして来たかがあらわれる。歩歩清風起る。その人が歩いた後からすが すがしい風が起こるというのです。点前全体に言うならば、風のように お点前が流れて行き、散る桜が風にたなびくが如く余韻が残るというか。 よく禅でいうところの無ではなく、何かが生まれて来る気配すらするよ うな。俊董尼僧は表千家の方で畳半畳を三歩で歩く、点前は淡々と飾ら ず奢ることなくするのみの流儀。また小生も同じく。しかしそれは老年 になってからでいいでないですか。若い内から侘びだ禅だというのは似 合わない。歩歩起清風の如くが点前、そんな茶の湯を目指してもいいな と思ったのでした。 "花をのみ待らん人に山ざとの雪間の草の春を見せ ばや"。 利休が侘びの喩えに引いた和歌がふと頭をよぎりました。花な ら先咲きのを使う。椿は蕾を使う、通ずるところがあります。5/2 徳林寺・茶の湯クラブ、だんだん男子の会みたいになってきました。カ メラマンで陶芸にはまっている男も、やっぱり茶道も習ってみたいと話 ているし、茶室欲しいねと話している建築設計士もそうだ。何か大方そ れぞれのエキスパートが揃ってきたぞ、面白いね。本当は男連中もやれ る所さえあれば、お茶やってみたいんだ。お茶のいいところ、用は無く ても集まって清談できること。若い内なら用も無いのにつるんでたむろ したりもできるが、一歳拾ったらそういう訳にもいかない。そんなこと を話しながら、おまえもお茶やってみないかと誘ったりしているのです。 しかし、茶道は女性も居てこそバランスが取れるというもの。女性の美 しい点前に、男子のざくっとした点前。そういう訳でして、女性の方に もお越し下さいというご案内です。別に会員制でも何でもないので、い つ来て頂いても構わないのですが、よく分からなくて躊躇されている方 もいるかと思います。改めてこのクラブの紹介です。ともかく昼の1時 に集まり先ずは掃除から。花を取りに行き茶花を入れ、軸を掛け、炭を 熾し釜を懸ける。お寺さんにお客様があれば、和尚さん共に一服召し上 がって頂く。また初めての人がお見えになれば、その方もお客様として お迎えする。稽古即実践なのが、このクラブの茶の湯なのです。道具は 大したものはありません。書付のあるような物は皆無。お茶の面白さは 人が作るものであって道具は脇役なんです。多分、一般のお社中ではた いがい身内同士での稽古、飛んで大寄せの茶会となります。しかし、こ んなお茶もあるんです。少人数の茶会のつもりでおいで下さい。今度は 和菓子作りもやろうかなと。来山お待ちしています。5/9 名古屋市内のある和菓子屋さんの話です。パソコンなんかのめんどうを 見てあげているお家へ行くと、必ずすぐ近くにあるという和菓子屋さん の葛饅頭を出してくれるのです。だいたい葛系統の菓子が多かったです。 懐石料理屋さんにも出しているとかで、ちょっと違うなとは思っていた のです。それでこないだ、お店に行ってみました。すぐ近くだと言うの で車でそこら回ってみたけど無い。なんと狭い路地を入った所にお店は ありました。さあ饅頭の種類は五つぐらいだったでしょうか、練り物ら しき "青梅" を頂くことにしました。店主曰く、五分程お待ち願います か、ただ今作りますので。そして店の奥に入って餡生地を持ってきて作 っている様子が伝わってくる。こりゃたまげました。一時間程して、茶 の稽古で口に入れました。それが何とも柔らかくて赤ちゃんのほっぺの ようで、先生共々こんなの初めて食べたねと話していました。今度の月 釜では菓子は手作りしようと思っていたのですが、先ずはこの店の菓子 を召し上がってもらうことにしよう。買いに行きます、そんなに高くは ないんですよ。五分と言えば、注文してから包装するまで五分かかる饅 頭屋もあります。チェーン店ですがね。すぐに使うので包みは簡単でい いですと言っているのに、餡でも炊いているのかと思うぐらい時間がか かる。饅頭なんかの生ものはさっと扱うことが肝心です。茶の湯で使う 菓子は、気分よく求めてさっと扱う。さっと扱う稽古もしましょうかね ー。潔くね!。5/18 金曜は会社を休んで、同門会の総会に出ていました。実は講師の方の名 前を見て、思い出深いものがあり、是非と思ったのです。もう20年以 上経ちますか、当時まだお若かったのが、十徳を羽織られて貫禄さえ感 じられました。台飾りの講習の時には、2階から降りて1階のまん前に 座りました。目と鼻の先に座ってご指導されている訳で、気付かれたか どうか。大阪出張の折りホテルで連泊することになったのが、まるで寝 られず、次の日は妙顕寺の広間で一人寝ました。早朝お家元の門の前に 行くと、茶会の準備で道具を玄関の方々が運び出されていました。その 時、姿を見てお声を掛けました。仕事で大阪に来てますと言うと、また 悠な時に遊びにおいで下さいと言って下さいました。元は20数年前の 短期講習の時、その方と3年上の兄弟子の玄関の方にお世話になったの です。何で玄関に入られたのか等と聞いたりした覚えがあります。翌年、 講習を一緒に受けた盛岡の男の音頭で同窓会がありました。その時、妙 顕寺に夕方そのお二方が駆けつけて下さり、夕飯はどうするんだと。何 も決まっていませんと答えると、それじゃ行くぞとホテルのラウンジで 一杯飲むことになったのです。残念ながら兄弟子の方はもうこの世には おられません。そして昨日のこと。弟弟子の方が兄弟子のご子息を連れ ての講習。因縁の不思議さを感じますと最初に話しされていました。ご 子息は水屋の指導で後ろに下がっていましたが、ちらっと見えたお顔に 面影が見え、立派な青年になられていました。これでお家も安泰、歴史 を感じさせられました。5/22 * 平成16年3月のお稽古  3月28日 さあー、桜が咲いて来ましたよ。徳林寺恒例の花まつりです。これまで の最高にパワーアップした祭りになると思います。もう、甘茶を灌仏す るというだけでなく、世界平和を祈念するイベントの様相になってきま した。ともかくおいでて見て下さい。それはすごいことになっています。 しかしお茶席はいつもと変わらずに釜を懸けます。日本の茶道、特に表 千家まで目先を変えて茶会をやる訳には参りません。変わらないという こと、これも静かに平和を祈念する一つの形であります。でも、気持ち として今年からは、よりお茶席らしくして行きたい。ただの呈茶席でな く。かと行って一般的な大寄せの茶会みたいにするつもりもありません。 やはりお点前の間は、どなたさんにもちゃんと座っていて頂こうか。ど のようにやりますかね、また考えます。ところで茶会としては4日の一 日だけなんですが、3日の土曜日にも釜は懸けるつもりでいます。実は 完成した炉壇の燃焼実験をやるのです。灰を入れて五徳も敷いて炭を入 れ、釜の湯を沸かします。炉壇がどの程度熱を持つか。割れなど起こら ないかチェックするのです。これは茶道というよりエンジニア的なアプ ローチですね。だいぶ灰を入れないといけないみたいです。足らないか も知れません。どなたか余っているのがあれば、ブレンドしてしまいま すが。全く茶道をやる者というのは、態も無い物が欲しい訳でして、お かしな話です。そんなことで3日も、ご興味のある方はどうぞいらして 下さい。花まつりは4月1日から8日まで。明日、あさっては準備の追 い込みです。小生も会社を終えてから手伝いに行きます。それでは皆様 茶席でお会いしましょう。3/29 徳林寺 花祭り 4月1日〜8日 呈茶4日、一服300円 はぁー、疲れて少し寝ていました。昨日の内々の呈茶と4日の花まつり の茶会、終わりました。昨日の炉壇の燃焼実験、全然問題ありませんで した。デジカメでその様子を撮ってくれたのがちょうど今、上に載せて いる写真です。フラッシュをたいているので、炉壇仕上げの色が白っぽ く写っていますが、きれいな色合いですよ。外周りへの熱の伝わり方は、 側面の板を触ってもほとんど熱さは感じられませんでした。いろいろ声 を掛けたら15〜6人程、来られたでしょうか。床の間には軸はなしで 代わりに資料、道具を並べ、上塗りの土も出しました。実際、鏝を使っ て上塗り体験もしてもらいました。そんなことで、結構盛況でした。さ て本番の日曜は朝から雨。去年の朝からすごい人出だったのが嘘のよう、 まるで人がいない。今回、花まつりのキッズゲルニカの大きな絵も、水 彩のため閉じたままで残念でした。朝8時過ぎ、饅頭屋へ行く道中全然 車が走ってない。ここはいつも渋滞するのに珍しいと母と話していたの です。お饅頭、去年のことを想定して80個注文しました。茶席で半分 も捌けませんでした。全く、蓋を開けてみないと分からないのが、ここ 徳林寺のことでして、大変です。男子3名、女子4名でこれまでにない 人数で臨んだのですが、そういう時に限ってということで、欲してはい けませんね。茶席での目玉について。上塗りで使った土で焼いた陶器の 菓子鉢です。写真家で最近、陶芸にはまっている男が作ったものなんで す。饅頭を置いてみたらなかなかいいんです。よかったら使って下さい ということで頂いてしまいました。4/4 大きな平和の祈りを捧げた絵に囲まれた不思議な空間。子供達が描いた   ゲルニカに因んだ大きな絵が本堂脇に2枚と特設ステージのバックに掲   げられました。こないだの日曜は雨で閉じられたままでした。しかしお   釈迦様ご誕生の今日、8日はまさに晴天となりました。そんな中、3種   類の音色を聴くことになりました。外ではインドネシアのガムランが日   中ずっと、水琴窟の音色のように鳴っていました。たくさん金属製の器   や銅鑼のようなのを叩いていました。本堂裏に回ると今度は、琴碁書画   の中国や日本でも昔の文人達が愛したという琴(キン)を爪弾いてくれま   した。これは別れの曲で漢詩を吟じながら弾くのだと話してくれました。   その人たるやまさに仙人、目下文人修行中とのことで花鳥風月の墨絵も   壁に張っていました。小生の茶席では、いつも薄めの抹茶を飲まれて行   かれます。夜になり、昼間の人達も去りお寺に残った人で尺八を瞑想し   ながら聴きました。虚無僧が吹いていたという、まるで欲のない音色が   体に染みてきました。この人、この何年間かでぐっといい味を出すよう   になりました。頭はもうつるつるです。気が付いてみたら、いずれの演   奏でも聴いていたのは居合わせた人だけ、お金を取るわけでもなく。自   然体で淡々と演奏していただけでした。しかし心と体に余韻みたいなも   のが残っている。お茶の点前もかくありたい。そんなように思っている   のでした。4/8 ああー何か2日間ゆっくりしたという感じです。この土日すごくお天気 に恵まれて、先週の日曜の雨が恨めしい。昨日、月釜に来て下さってい る方の野点に行ってきました。お近くなんです。去年の秋にも伺って2 時間ぐらい居たっけ。今回も同じく長楽寺の竹藪に毛氈を引き、芝点て でやっていました。本当いい所なんです。紅葉の若葉の芽が時折さーっ と降って来る木陰で濃茶を頂きました。彼はお茶屋さんなので、自分で 挽いた抹茶なんです。お茶銘は聞きましたが、お詰めまで尋ねるのは野 暮というもので止めました。母はここは始めてで、そこら昔のままの木 々を散歩したり、またまた小一時間居ました。普通、野点の茶会なんて 言うのは、床机に腰掛けてお運びさんが持って来たお薄をずずっと飲ん だらおしまい。どこか居る場所なんてのはまるでない訳でして、ものの 5分で退散するのが常というものです。もうひとかた月釜に来られてい る男性も先に座っていました。いつの間にか裏方に回っていそいそやっ てましたよ。母と小生はご無礼して、徳林寺へ行き久しぶりに畑仕事を しました。ツルハシで土を起こし堆肥もがばっと入れてと。今日もお寺 へ行くと、これから散歩に出るんだと言う。北の谷筋向こうの山里を皆 で歩きました。こんな素敵な道があったとは。それは息を呑むような竹 林があったり。人里に出て来たところに炭焼き小屋があって、お爺さん が寄っていけという。竹炭を焼いて焚口に土を被せたとこだという。竹 は切って青竹のままを使うのだそうです。どこかで見たような、そう宮 崎アニメで見たようなお爺さんでした。4/11 * 平成16年2月のお稽古  2月29日 先日使ったお水について。表千家の同門という会誌の平成2年12月号 に泉神社湧水の記事があったの。前から見ていて、いつかお茶で使って みようと思っていたのです。ヤマトタケルノミコトが飲んで一命を取り 留めたという伝説が残る、伊吹山の湧き水なんです。関が原から浅井へ 向かい20分ぐらい、そして少し道を逸れた山あいにありました。行っ たのは28日金曜日、名古屋でも少し雪が舞っていました。関が原イン ターを降りて365号線を北上して行くと、それはもうきれいな雪景色 でして。ちょっぴり残念だったのは、神社手前の山を削って大きな道が できていたこと。石段を上って行くものだと思っていたのが、車で気付 いたらもうそこにビニール管があって、たくさん穴から水が出ていまし た。ペットボトル5本持って行きました。一本、蓋をしっかり閉めてな かったのか、車の中で大方こぼれていました。とほほ。汲んできたこの 水を最初に飲んだのは、茶席の人ではありませんでした。次の日、奈良 で炭焼きをやっていたという木工所の人を訪ねていました。去年の花ま つりで求め、使ってみたところなかなかよかったのです。山の話から湧 き水の話になり、それなら昨日汲んで来た水が車に積んであるのでどう ぞということになったのです。3月の会には、奈良の山奥から炭と水を 持って来てくれるかも知れません。3/2 小生がしっかり表千家の茶道を習ったのは、もうかれこれ20年以上も 前になる。ここ1年程、その当時の先生宅へ月に一度稽古に行っている のです。先生はそれなりに歳を召されたかなとは思うが、あまり変わっ てないようにも思う。変わったのはお点前です。小生は浦島太郎のよう に昔習った通りをずっとお寺でやってきました。その間にどうやら、点 前は少しずつ変わって来たようなのです。もう今更、直す訳にも参りま せん。薄茶の拝見を請う際、お茶器お茶杓の拝見をお願いしますと、昔 は習いました。今は御両器と略して言うようになっています。先生宅で 十年振りぐらいに拝見をして、お茶器お茶杓と言ったら御両器でいいで すと直されました。ハハ、昔はそう言っていたねって。濃茶を飲んだ後 女子は懐紙で口をぬぐう所作もあったのですが、これも今はやらないよ うで。お寺に来られた先生格のご婦人が言うには、いや昔からそんな所 作はないですよと言うし。もう一つ拝見の際、道具を主客が取りに立つ タイミング。亭主が建水を持って下がり、襖を開けて立ち上がると同時 に主客も立つ。そう習ったんですがねー。なかなか両者の呼吸といいま すか動作がぴったり合って、いいもんなんです。今は客の方は少し遅れ て立つようです。ここでは、これまで通りでやります。徳林寺流って言 うことですかな。女子の濃茶の懐紙で口元ぬぐうのは、その方がいいよ うな気がするのですが。3/11 何と有休取って炉壇作りやってました。土曜には底を塗って一応仕上げ として、月曜は側面と上の仕上げ前の下塗りをしました。見た目、これ で別に完成でもいいじゃんという状態です。キャンプ用のアルミ容器で 計っているのですが、土1に対し砂1.5それに微塵スサ半分強を仕上 前の配合にしました。炉壇、最後の塗りは慎重に息を殺して鏝を動かす そうです。分かります、平らに鏝あとを残さないように塗るのは難しい。 微塵スサはより細かくするため、掃除用の手袋はめて藁をもみ、さらに 篩いにかけます。すごく手間がかかるので、夜なべ仕事にと家に藁を持 って帰ってきました。砂も細かくきれいなのが必要です。日曜、犬山の 先生宅へ稽古に行った帰りに、犬山城下の木曽川河畔で取って来ればよ かった。長良川の鵜飼が見える川岸の砂でもいいな。今度の土曜、材料 が手に入れば仕上げにかかります。誰か見物がてら川砂を持って来てく れんかな。仕上げは角っこに吉野紙という薄い和紙を張って補強します。 この紙は東急ハンズで買いました。土はお寺東手の崖で採取した乳白色 のを7分、これまでの土を3分程度にしようかと。松の割木が燃えた時 の炎の色が理想だそうです。あまり黄色黄色してない方がいいように思 います。実は昨日、犬山へ行く前ある方のお供で名古屋でも屈指の茶家 に寄っていました。お家元三代の軸など掛かっているのをよそ目に、一 人釜を覗き込み炉の中を見ていました。お家元にも何回か行ったにも関 わらず見てない!。さて問題はこれからで、本当に炉を切ることができ るのでしょうか。3/22 炉壇、完成しました。朝からお寺に行き作業して、これでよしと時計を 見たら夜10時半でした。お弟子さんの一人が昼過ぎやってきて、缶コ ーヒーを差し入れしてくれました。せっかくだからと鏝を持って塗って もらいました。そろそろやってましたよ、きっと愛着が湧くぞー。仕上 げの土に入れる砂は、結局仕上げの土を篩いにかけた時に出た細かい砂 にしました。より細かい砂として川砂は採ってきたのですが、先にやっ たテストで砂の色が出てしまう。灰色っぽくなってしまったことに気付 いて、使いませんでした。さて、これからまだ炭を実際入れてのテスト をやらなければなりません。4月3日、土曜日に燃焼実験をやることに します。立礼卓のような風でやれればいいのですが、そこまで造作して いる時間はない。さあ、どうやりますかね。これから考えます。ともか く茶室に炉壇を持ち込んで、それで湯を沸かし、一服点てることにしま す。多分、小生一人でごそごそやっていると思います。ミニワークショ ップってな感じですか。ご興味のある方はどうぞ。参考にした資料や自 作した道具やらも広げるつもりです。まあ、こんなのは見る機会はない でしょう。お代はただでもいいのですが、なんなら賽銭を500円ぐら い奮発してやって下さい。何せ本やら道具を少々買っただけで、後はほ とんどお寺で間に合わせたので。この炉壇、表千家の作事方の森川氏の 炉壇の塗りなおし作業を参考に、できるだけ忠実に作業しました。一体、 氏の手になる炉壇は幾らするんでしょうね。さて3日は、徳林寺花まつ りの期間中でもあります。準備の様子からも、すでにすごいことになっ ています。毎年パワーアップしていくような。お茶会は今年は4日だけ にしました。よろしければ座禅もどうそ。会期中は朝9時と夕方5時半 にあります。30分ぐらいです。3日は特に花まつり茶席の案内として は、張り紙などしません。本堂上って右ずっと奥へ入って下さい。3/27 * 平成16年1月のお稽古  1月25日 1月の月釜でしたー。男性陣揃い踏みしました、加えてもう一方増えて。 日本的な仕事をされている方ばかりで、何かしら関係し合うところもあ って話が弾む弾む。なかなか宜しいです。夕方も5時も回って来たので 最後に釜の白湯を飲んでもらって、お名残惜しいですが今日はこの辺で お開きにしましょうと。さて何人か一緒にお山を下って行きましたので どこかにしけ込んだのかも知れません。奥様方、ちょっとの寄り道は許 してあげたってネ。今日のお点前はというと、宗旦好みの丸卓を出して の濃茶を初めに。小生が超久しぶりに濃茶点前をやりました。ここでの 濃茶は年に1、2回ですか、それも点前はお弟子さんにやってもらって のこと。そんなことで気付いたら、小生がここでお濃茶の点前を披露し たのは記憶にない。おおー、こんなにやっていなくてできるかや。しか しやらないことには、益々できんようになる。しかし案ずるが生むが易 し、体は覚えていました。茶入の胴拭き、男子だけの所作、くるくる回 しました。何となく、ここしばらく点前するのが恐いような感覚があり ました、でも少しこれで自信が回復したかも。濃茶は点前そのもののよ り、おいしいお茶を点てることが第一です。茶を練っている間にもふく よかな香りがしてくる。あまり丹念に練っていると湯が冷めてくる。ど うやら皆さんおいしく飲んで頂いたようでした。よかったです。1/25 春を呼ぶ褌男達、2月3日は国府宮の裸祭りでした。昼過ぎぐらいから 日が翳ってきて寒かったろうなー。でも裸祭りが終わると、何となく寒 も終わりという感じがします。去年、会社休んで見に行きました。裸の まま自分とこの部落からワッショイワッショイとやって来るという。そ の際、布を巻きつけた長い竹を皆で持って来る。遠いところだと20キ ロぐらいあったりする。男の祭りだ。茶道はだいたいにおいて軟弱な感 がしないでもないが、男が5人も6人も集まるとなかなか。揃って黒紋 付なんか着てたりしたら、ちょっと恐いような雰囲気になるかも。いや いやこちらも男の世界です。来年は茶の湯クラブの男氏で、徳林寺から 褌締めて国府宮へ行くか。女連中は車で付き添いだー、料理と酒持って。 まあ、これは話だけだけど。気持ちはこんなのもあっていいよね。つい でにもう一つのお話を。正月からこの時期、関が原で雪があるのを見計 らって出向いている。生まれが西国なので名古屋から西に見える山が恋 しい?、今尚人気のない場所で気持ちが引き締まる?。理由はよく分か らないのだけど。この地の山の頂きで陣中茶会というのは如何。笹尾山 には二度登ってみた。見晴らし良く、天下分け目の合戦の地を眼下にし ながらの一服は格別かと。その前に天目で茶を捧げるとしようではない か。この時には利休はもはや世にはいなかったか。2/3 裸祭りのことを書いていたら、難追切(なおいきれ)をお弟子さんの一人 からもらいました。朝から行って、神男が篭っている姿も見たと興奮気 味に話していました。それはご利益があるぞ。昨日、今日の晩と春一番 を予感させる強い風が吹いていました。ああ、もうそこまで春が来たね。 梅の花もちらほら咲き出した。お寺の辺り、オアシスの森には梅林があ るし、そこかしこに梅の木があるのです。その梅林を散歩して、お雛さ んのお茶に来るのを楽しみにしている方がいます。母の短歌の結社の先 生です。今度の月釜では、恒例となった男女の童の人形を出します。去 年も書いたのですが、それはそれは見事な陶器の人形なんです。年に一 度だけ床の間に鎮座するのです。でも、去年は他所に出張したんですよ。 元木のご主人も人形が好きで、一度見て頂こうと、十三夜の茶会に並べ てもらったのです。広間の茶席入る前、お茶碗の写真を置いてある所に ちょこんと童が居たの覚えている方、いらっしゃいませんか。あの時は さすがに茶碗の方が勝っていましたね。お寺のあの少し薄暗い床の方が、 童達はお気に入りのようです。皆さん本当、食い入るように見て行かれ ます。それを知ってか知らないでかうつむく恥じらう姿が、またいじら しい。今度は母の短歌を短冊にしての展観も併設します。短冊は母の四 国の友人に書いてもらうのです。お願いしました。それは達筆ですよー。 広間の方には墨と紙を用意しておきます。一首なり一句なりお好きなよ うに。2/15 * 平成16年1月3日、初釜 膝の痛みをこらえ、足を引きずりながら初釜なんとかやりました。1年 の計は元旦にありと言いますからね、けじめはちゃんと付けなければな りません。ちょうどお膳を運ぼうかという時に、ひょくっと先生こんに ちはと挨拶される方が。ああ、こんにちはとこちらも返したものの、こ の方、国へ帰ったんでなかったか?。そう半年前、お寺で送別会を開い て、小生も茶の道具をお土産に持たせたベトナムのお坊さんでした。今 ではベトナムの大学の先生です。現れ方があまりにも自然なので、しば らく見なかったなという感じしかしませんでした。本当、ちょうどよか ったです。お膳は十客用意しました。内7人が住職始めお寺にいる留学 生等で、お弟子さん3人にも座敷に座ってもらいました。塗り物は今回 は椀だけにして、瀬戸で求めた長皿にお節を盛り付けました。黒豆、膾、 牛蒡、椎茸だったですか。雑煮の餅は勿論、30日に搗いた切り餅です。 お椀はできれば懐石用の大ぶりなのを使いたいものです。黒豆は失敗し たかと思いきやを、復活させて味がより深くなった曰く付き。煮た椎茸 はたくさんあったので、盛り鉢にして持っていきました。これが日本の 本当のお正月なのよーん。皆さん、残さずきれいに召し上がってくれま した。ここで一旦休憩で、今度は薄茶をお弟子さんの点前で振る舞いま した。結び柳の謂れ、一陽来復の話を少ししてみました。元は中国での 友を送る際の風習とか、また返ってきてねという。茶道の縁も結び柳で ありたいもの。小生は皆さんのお越しを変わらずお待ちしています。1/4 さあ気を取り直して。整体の先生の言った通り、膝の痛みがだいぶ抜け て来ました。膝はちゃんと診てもらっておいた方がいいと口々に言われ、 土曜日に西洋医学の先生にも診てもらいました。膝を曲げたりして痛い 場所を確認する様などは一緒でした。結果、まあ日にち薬です。湿布薬 でも出しておきましょうか、それだけでした。ああ、安堵しました。一 時は入院、手術、後遺症など悪いことばかり考えて。いつもはポーカー フェースの小生なんですが、今回はだいぶ人間臭かったかも。ちょっと 良くなると現金なもので、今日は母と畑に出てツルハシを降って雑草を 取っていました。小さなショベルぐらいでは、根が深いので取れないの です。畑のすぐ近くに蝋梅の木が一本あるんです。ふと見たら黄色の花 がまさに満開でした。いい匂いですよー。蝋梅の茶会なんてのはいかが。 お香は焚かずに蝋梅の花の香りを楽しむというのは。年末年始のご婦人 方の労を労って小正月、殿方が女性陣をもてなす茶会というのは。そう なると一家、夫婦でお茶をやってなければできない。お社中だと男はま るでいないし。ハハ困ったものです。でもこの茶の湯クラブだったらで きるかも知れない。表千家の兄貴分のお茶屋さん、喩え30分でも茶道 を習ってみたい甘味処のお兄さん、昨年夏の終わりに出会った古伊賀を 焼く陶芸家、そして謎の男・鳴海のX氏。さて今月の月釜には揃います かな。おいおい何か女性陣の方が少ないぞな。男だけの会にするつもり は毛頭ないんです(笑い)。1/12