ヒューズが切れてしまう 〜トラブルシューティング〜

 

オートバイの故障で、度々見舞われることがある電気系トラブルのうち「ヒューズが切れてしまう」ケースの故障診断方法を考えてみます。
かなり故障原因の追究には手間が掛かる場合が多く、また多くの外装部品の取り外しが必要になってきますのでじっくり腰を据えて対処をお願いいたします。


(1) ヒューズが切れる原因

ヒューズの役割は、電気回路のショートによりあらかじめ設定された電流値を超えた電流が流れた場合、自分自身が溶断することによって過電流が回路に流れ込むことを防ぎます。
いわば、我が身を犠牲にして回路を火災などから守っている訳です。
ヒューズが切れた場合、本当の原因を探し出して対処しないと同じことの繰り返しとなってしまいます。
故障の症状として「ヒューズ切れ」が発生しても、本当の故障は他の電気部品であることがほとんどなので、修理対応は「ヒューズが切れなければ良い」といった物ではないと考えていただきたいです。


●ヒューズ自体の不良
昔のバイクに多く使われていた、ガラス管ヒューズは特にその構造上振動などの原因によって自然に切れてしまうことが度々ありました。
現在では一体型の端子&ヒューズ部分を透明なプラスチックで成型されたタイプの物に変わってきてそのようなトラブルは少なくなってきています。
また、外観も最近は小型化された物が多くなって来ました。こちらのタイプはさらに振動などに対して強くなってきておりめったなことでは自然に切れることは少なくなって来ています。

●定格間違い
それぞれのヒューズには、あらかじめ決められた定格があります。この数値を超えた電流が流れると切れますが、ヒューズ交換の時に間に合わせなどで正規の定格と違う物を使ってしまった場合、ヒューズの定格の小さいものだと正しい負荷が加わった場合でも切れてしまうことがあります。
(緊急で間に合わせの定格外ヒューズを使用した場合、出来るだけ早く正規の定格の物に交換してください)
取り替えてみた時点で問題がなくても、また条件がそろえば走行中に故障が再発してしまうことも考えられますからオートバイの信頼性の点で問題があります。最悪、出先から帰ってこられないといったことにもつながります。
また、ヒューズが度々切れるからといって安易に大きな定格の物を使ったり、電線などで短絡することをするべきではありません。
この場合、ヒューズは切れなくなりますが他の電気部品に大きな負荷が加わって重大な故障につながってしてしまうケースが多いです。
まずは、ヒューズが入っていることと、定格が決まっていることの意味をよく考えるべきです。

電気アクセサリー製品の取り付けなどで電流負荷が大きくなってしまった場合、その経路に入っているヒューズの定格を増加分だけ大きくする対策はもちろん必要です。
が、そもそもバイク電装系自体の容量は限られていますからヒューズの定格を変えなければならないようなほど大きな電気的負荷を加えるのもどうかと思います。
(その場合、発電からバッテリー容量を含めた大幅な改造が必要であると思われます)



●●回路の不良により、過大電流が流れた
ヒューズ切れの場合、まず真っ先にこれを疑うべきであると思います。
まず、改造などで電気部品や取り付け・取り回しを変更した場合にはその部分が原因となっていることが多いです。(スイッチ・コネクター関連)
あと転倒や事故などで大きな衝撃が車体に加わった場合や、車体とハーネスの干渉している部分(フロント周りに多い)にも配線の被服が破れて
しまってのショートが発生します。
オートバイはその構造上、ハーネス部分と車体との干渉は避けられませんが取り回しを工夫して、出来るだけ配線に物理的な負担を掛けないように考慮しましょう。
改造などで配線の取り回しをやり直す場合は、ノーマル状態の取り回しを参考にするのが良いと思います。
 → 配線の取り回しはサービスマニュアルに記載されていますので確認をお願いいたします。

(2) 故障原因の追究方法

まず、外装部品を可能な限り取り外して各電装品(コネクターも含む)を触れるようにします。
ヘッドライトケースの中が配線ボックスを兼用しているネイキッドバイクなどは、この部分も分解しておきます。
配線図は是非とも用意しておきたいものです。サービスマニュアルもしくは取扱説明書に記載があります。

配線は系統ごとに色分けされていますが、配色はメーカーによって異なりますし汚れや褪色、配線改造などで違っている場合もよくありますからあくまで参考程度にするのが良いと思います。


ショート部分を探すのにはその系統に電流を流さなければなりません。
しかし、規定のヒューズをセットすると不具合が直らない限り切れ続けてしまいますからこの場合はテスターを使って導通チェックにて行うのが良いと思います。
テスターによっては、導通するとブザーで音が鳴るようになっているものがありますが、ショートのチェックにはこの機能が大いに役立ちます。
 → テスターで導通を調べる場合、テスターを破損しないように念のため車体からバッテリーを取り外しておくと良い


ない場合、12Vブザーまたは小型のホーン(クラクション)などを電流の向きに注意して、バッテリーから通電して行う方法も考えられます。
またブザーの代わりに小さい電球(インジケーターランプのガラクタ部品流用が良い)を接続して行っても良いですが、この場合ショートしている時間がごくわずかだと見逃してしまうことが多いです。
(特に、ハンドルを切った時にショートするケースなどの場合には、音が鳴る方法が有効です。)


故障診断の進め方は、回路の導通(ショート)を観察しながらその系統につながっている電気部品を一つずつ切り離していく方法を取ります。
大きな負荷(ヘッドライトなど)や点火装置はショートと紛らわしいので、あらかじめコネクターを取り外しておきましょう。

回路からの切り離しは、出来るだけバッテリーより遠い部品から行います。
ハンドルのスイッチ部分や、ホーンの回路、各種照明ランプ・インジケーターへのコネクター・・・という順番が良いです。
また、テールランプ部分はフェンダーなどと擦れあってのショート発生が振動の多い車種ではよく見られますから、そういう疑わしい部分を先にチェックするのも良いと思います。
また、ごくまれに電球内部やソケット部分など目視しにくい部分でのショート発生のケースもありますから注意が必要です。
コネクター部分などに錆が発生しているとそこからショートする場合もあります。

最終的には全ての電装部品を切り離してしまう位の心構えで取り掛かった方が、結果的に修理への近道となりますし、また完了してからの信頼性も向上します。
古いバイクの場合には現在は問題がなくても、将来的に絶縁不良または接触不良が発生しそうな所を発見したらこの際ですから接点のクリーニングなど対策をしておくと良いでしょう。
電装系の故障は、何の前兆もなくいきなり発生するケースが多いですので、完璧な対処は重要です。



ハンドル交換などでハーネスの取り回しが変更になり、その部分で物理的な干渉や突っ張りなどが発生している場合にはしっかり直しておきましょう。
また、良く見られる失敗改造例として接続部分の不良があります。
被服をむいてより合わせただけの接続はダメです。(このようなやり方を平気でする方は、バイクをいじってはいけません)
 → 意外と、撚り合わせのみの接続がされているバイクは多いです。一応ビニールテープは巻いてあったりしますのでご注意。
 → その様な措置を発見したら、まずビニールテープを剥がしてみての全数チェックをお勧めします。


配線は電気的にも機械的にも、接続部分はしっかり繋がっていなければなりません。
もちろんのことですが絶縁部分もある程度機械的な強度が必要です。ビニールテープを巻いただけでは将来的に必ずトラブルの原因となります。
市販の自動車用コネクター/端子キットを使用して、正しいカシメを行わないと「線を繋いだ」ことにはなりません。
半田付けで対処する場合、熱の加わった部分周辺はどうしても機械的に脆くなりますので、繋ぐ部分に加わる力の方向を充分に考えてから行いましょう。

ハーネス部が車体などと干渉する所には、スパイラルチューブやコルゲートチューブなどをケチらず使用して、万全の対策をしておきます。
先のことまで見越して、完璧な接続とハーネスの保護をするように心がけましょう。
 → この場合も、メーカー純正の配線処理方法がとても参考になります。メーカーはこの点も抜かりなく設計をしているようです。
 → コネクターの接続部で配線の数が多い場合には、キボシ端子ではなくバイク用のコネクター(市販の用品やガラクタ流用品など)を使うのがお勧めです。






 

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