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おしべは2本の虫媒花 おしべの先端の葯が開くと受粉に必要な花粉が現れます。私たちが目にする花には普通多くのおしべが見 られます。多くのおしべがたくさんの花粉をつけ、受粉を成功させようとしているのです。それなのにオ オイヌノフグリには2本のおしべしかありません。聞くところによりますとこのおしべの数は植物進化か ら原始的な植物では多く、進化している植物では少なくなっているのだそうです。その点ではオオイヌノ フグリは進化の進んだ植物になります。2本のおしべで確実な受粉をしなければならないのです。オオイ ヌノフグリは花粉を虫(ハナアブ、ハナバチなど)が運ぶ虫媒花(ちゅうばいか)です。そこで蜜を求め てやって来たこれらの虫に確実に花粉を運ばせなければなりません。小さな花はとまった虫の重さで下を 向きます。虫は落とされまいとしておしべにしがみつくことになります。こうして花粉は虫の体につけら れます。虫さえとまってくれれば花粉の受け渡しは成功するのです。 虫が来ない時の奥の手 オオイヌノフグリは日が射していないと花が開きません。撮影の時、日が当たっているとあのきれいな青 色が出ません。でも曇っていると花は閉じています。そこで快晴の日ではなく雲の流れている日の一瞬の 雲間が撮影のチャンスとか。実は気温が15℃になってくると開花するのだそうです。この気温はハナバ チなどの活動温度と一致していて虫の活動しないときには花も開かないのです。しかし、花を開けば必ず 虫がやって来ると言うことでもありません。そんな時の奥の手をオオイヌノフグリは持っているのです。 それは花びらが散る時におしべが動いて花粉のついている葯がめしべの先端である柱頭にくっつくのです。 勿論、これは自家受粉であって虫が花粉を運ぶ他家受粉(違う花への受粉)ではないのですが、それがで きないときの最後の手段として準備されているのです。小さなオオイヌノフグリの隠された秘密だと思い ます。 |