●産業労働委員会質疑●

平成17年6月28日

【神戸委員】

6月23日の新聞に、国土交通省中部運輸局が愛知万博開幕後の東海地方の観光動向、主として観光施設の利用状況を調査し、その調査結果が掲載されていた。この記事では、愛知県内の主要な観光施設は開幕以来前年に比べて増加しており、特に名古屋市内の施設は5月に入って約3割増、とりわけ徳川美術館は3倍、産業技術記念館は2.4倍、ノリタケの森も2割増と大幅に増えている。
 大幅に増えている理由として、それらの施設は知名度の高さだけでなく、名古屋駅からバスやタクシーで行きや易いこともあるが、万博に出かけて、なおかつ県内外の観光客の方々が万博と合わせて入場された結果ではないかと思う。宿泊施設について、名古屋市内は予約で満員の状態で、県全体でも万博入場者数に比例し、宿泊客は増加傾向にあると報道されている。
 県として愛知万博の開催による県内の観光施設への影響について調査を行っているかどうか、また、もし行っているならばその結果はどのようなものであったか教えてほしい。

【観光交流課長】

調査を行っている。5月9日付で県内の観光施設62施設と宿泊施設40施設に対して、4月中とゴールデンウィーク期間中の利用状況、万博終了の9月25日までの今後の見込みの3点に分けて調査した。そして、観光施設52施設、宿泊施設30施設の合計82施設、調査対象の8割から回答をもらった。
 その結果について、概算では、観光施設では4月及びゴールデンウィーク期間中とも増加が3割、減少が5割となっており、今後の見込みも増加が2割、減少が4割と見込んでいて、いずれも減少が多い結果となっている。
 宿泊施設については、4月の増加が8割、ゴールデンウィーク期間の増加が5割、そして今後の見込みの増加が8割、減少につきましては、4月、ゴールデンウィーク期間、今後の見込みとも1割前後となっている。

【神戸委員】

宿泊施設は増加している傾向が多いとのことなので結構なことであると思うが、観光施設は減少している施設が半数強あるとのことである。そこで伺いたいが、調査ではその理由とか原因も聞いているのかどうか。特に減少している観光施設からはどんな理由が挙げられているのか。

【観光交流課長】

アンケート内容で増加又は減少した理由については、調査項目としている。
減少している観光施設からの理由については、4月を例とすると万博人気の影響によるものが6割、セントレアの開港や名古屋港のイタリア村、名城博等の大規模観光商業施設やイベントの影響によるものが2割、その他昨年実施した企画がなくなった等の主に施設側の理由が2割となっている。

【神戸委員】

さまざまな理由を挙げられているようだが、やはり万博による影響が大きいと思う。
万博の開催により本県へ多くの人たちが訪れ、県全体としては経済的な効果も莫大なものになると思うが、一方減少している施設がある。県としてそのような施設に対して何か助言等の支援をしていることがあるのか。

【観光交流課長】

減少している施設については、民間施設が多く、直接指導や助言等は難しい点もあるが、このアンケートに協力していただいた各施設へは、利用者の増加した施設側の工夫等の取組の紹介、例えば独自の企画実施や様々な広報媒体の活用等の情報提供を行っており、また観光関係団体からの個別の相談にも応じながら、残り3か月万博開催との相乗効果を活用して観光施設の利用者が増加するよう協力していきたい。

【神戸委員】

本県の観光振興を図るため、愛知万博に来場した県外の観光客や外国人観光客に、万博終了後にもリピーターとなって、再度本県に来たいと思ってもらえるようにそれぞれの施設が努力していただきたいと思う。今後とも観光関係の施設や団体から相談があれば十分相談にのっていただき、愛知県が観光地として見直されるようにされたい。

【神戸委員】

県内の男性の育児休業取得状況はどうなっているか。
過去3年間の実績を教えてほしい。

【労働福祉課長】

育児休業する労働者については育児休業給付金が受給できるので、その実績で説明すると、雇用保険育児休業給付金受給者数は、平成14年度は全体が19,559人、うち男性は28人、平成15年度は21,097人、うち男性は45人、平成16年度が23,900人、うち男性は47人となっており、平成1516年度の男性の割合は0.2%とわずかな率となっている。

【神戸委員】

男性の育児休業の取得促進に向け、もっと積極的に啓発を行うべきだと考えるが、県はどのように考えているか。育児休業が無理なら、せめて3歳までの子どもを持つ父親が育児参加できるような方策を考える必要があると思うが、県はどのような取組を行っていくのか。

【労働福祉課長】

県は昨年度にあいち就業促進プランを策定したが、仕事と家庭の両立を女性だけの問題として捉えるのではなく、男性を含めた働き方全般の見直しが必要であるという認識である。こうした認識に立って、働く人の家庭的な責任に配慮した雇用環境づくりが必要だと考えている。また、現状は、小さい子どもを持つ30代男性に長時間労働者が多い。こういった実態から、長時間労働の是正のための啓発は、男性の働き方を変え、男性の育児・家事参加を進めていくために必要であると考えている。
 育児・介護休業法では、3歳未満の子を養育する労働者については、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、所定外労働をさせない制度などのいずれかを講ずることを事業主に義務づけている。こうした規定のある育児休業制度の整備及びその取得促進のため、従来、ファミリー・フレンドリー企業推進大会を開催し、企業認証・表彰を行い、周知・啓発を行っている。また、今年度は、この時期に県事務所等が労働組合基礎調査で県内全労働組合を回っている。この際に事業主をたずねて、直接育休制度の整備、取得促進について働きかけを行っていきたいと考えている。さらに、事務所等が行う労使個別指導や労働関係基本講座、各種セミナーなどいろいろな機会を捉えて、普及啓発を図っていきたいと考えている。

【神戸委員】

 ある程度法律もできてきて、事業主の方に呼びかけてきても、なかなか数字が上がっていかないというのは企業側にもっとそういう意識を持つように呼びかける必要があると思う。

 ぜひ、普及啓発を事業主にしっかりと行っていただきたい。