二一会 海外視察報告書

日 程:平成25年4月1日(月)〜5日(金)
目 的:タイにおける日本企業の現状と将来の展望についての調査
訪問先:タイ(チェンマイ・バンコク)
@Grandiflora (有)浅井大桂園
AELECTRO-CERAMICS(THAILAND)CO.,LTD
 日本カーバイド工業株式会社
BFETL(Fjikura Electoronics[Thailand]Ltd.)
 株式会社フジクラ
CJETROバンコク事務所
DJICA タイ事務所

<視察内容>

T.チェンマイ
@Grandiflora (有)浅井大桂園(テパウォン農園 担当 浅井様)
   (平成25年4月2日)


・胡蝶蘭の苗を育て出荷している
・日本向け40%、タイ国内40%、その他南アフリカ周辺の島等
・正規雇用16名 12,00015,000バーツ(月給)
 パート 95名 300バーツ(日給、最低賃金)
・インラック首相の政策により、最低賃金が300バーツに上がった。2年前と比べて100%上昇
・ランの生産は台湾が世界一で、60%〜70%のシェアを占める
・日本向けには九州の農家に出荷。ハウスで花を咲かせ出荷となる

A
ELECTRO-CERAMICS(THAILAND)CO.,LTD. 日本カーバイド工業株式会社
 (担当 青山様)(平成25年4月3日)


・ランパーン県北部工業団地内に位置する。日本企業は35〜36社。
 (フジクラ、ムラタ、HOYA他)

・元はバンコク周辺に周辺にあったが、BOI(タイ投資委員会)承認で法人税が8年
 間無料になるため、工場を設置。本社は富山県魚津市に所在。
・電力は全て火力で、天然ガスをミャンマーからパイプラインで引く。石炭火力も使用。
・電子部品、化成品、マーキング、電子事業部(セラミック)を展開。
・1989年より製造開始、面積282ha(約80万坪)
・仏教徒が90%以上で日本人と考え方が近く、親日的で安全性・人間性が非常に良い。
・男女平等で12時間2直交代。女性の方が良く働く。視力が良くて、手先が器用。
 日本人9名 月給132名 日給692名 男性311名 女性522名
・国の医療保険がないため、福利厚生として看護婦が常駐。
 医療補助(本人5,000バーツ、家族2,200バーツ)

B
FETL(Fjikura Electoronics[Thailand]Ltd.)社 株式会社フジクラ
  (担当 西野様 田中様)
 (平成25年4月3日)


・同じくランパーン県北部工業団地内に位置する。主に電線、ケーブル。光ファイバー、
 電子、電 装を製造。HDD62%、FPC16%、MBSW21%。
・日本人18名 タイ人マネージャー30名。
・ここでも最低賃金、男女雇用については前社と同様の意見。最低賃金は過去、
 
2段階によって上昇した。
2007年 バンコク 191バーツ ランプーン 149バーツ
2010年 バンコク 300バーツ ランプーン 236バーツ
2013年 バンコク 300バーツ ランプーン 300バーツ

・企業側は最低賃金の上昇により、コストが上がって悲鳴を上げている。
 ローカルはつぶれていく 状況にある。

・タイも過渡期で、環境に良いもの・高品質のものを生産する方向に
 政府が方向転換している。
 低賃金での人材確保はミャンマーやラオス等に流れていくことが予想される。

U.バンコク

C
JETROバンコク事務所 (担当 井内様)(平成25年4月4日)

・アセアン経済概況、タイの一般情報・経済・政治状況、タイ洪水の被害・対応、
 タイへの投資状況・環境、アセアン経済共同体についての説明を伺う。

・成長著しい東アジアにおいて、日本の地理的優位性を生かし、特に中国、インド、
 アセアン諸国等の成長を取り込むことが重要である。
・積極的な海外展開が必要(輸出、現地法人設立、FTAの活用など)

D
JICA タイ事務所  (担当 米田様 木下様 飯島様)(平成25年4月4日)

・バンコクでのODA主要プロジェクトについて説明をうける。
JICAは、途上国の開発援助のため、3つの手法[技術協力、有償資金協力(円借款)、
 無償資金協力)を使って、効果的・効率的な支援を実施している。
    スワンナプーム空港、ドンムアン空港、上水道整備、
    キングモンクット工科大学カラバン校、マヒドン大学保険開発研究所、
    バンコク地下鉄・都市鉄道、チャオプラヤ川の橋梁群(ODA関連の橋梁が14橋)

<総括>

タイでの失業率は、わずか0.4%で景気が大変良く、益々経済成長が見込まれ、すでに途上国ではないという現状を見た。さらにインフラ整備が進み、外資優遇対策や通称対策に非常に力を入れている上、日本大使館、日本人商工会議所、ジェトロ等のサポート体制が充実しており、日本企業の進出がこれからも期待される。但し、最低賃金の引き上げにより、今までの低いコストでの生産が維持できるかどうかがこれからの問題点である。女性の活躍には目を見張るものがあった。子育ては、裕福な人は看護婦やプロを雇い、一般人は親や兄弟が面倒を見て、保育園は非常に少ない。近所のおばさんに預ける人もあり、社会全体で子育てを見守り、男女平等の態勢が出来ていると感じた。