●平成27年9月議会 振興環境委員会 質問●

平成27年 9月
Q1 <神戸委員>

 県営名古屋空港は、平成22年4月、当時、就航していた日本航空が経営破綻から全面撤去を表明し、旅客便の路線がなくなり、地元からは航空自衛隊小牧基地だけになってしまうのではないかとの懸念を抱き、大きな不安を抱えておりました。
 そうした中、FDA(フジドリームエアラインズ)は、さらなる飛躍を目指し、静岡空港から拠点を移し、日本航空の路線の一部を引き継ぐ形で、名古屋―福岡便の運航を始められ、路線がなくなってしまうという危機は脱し、空港周辺の地元の市町は大変安堵しました。
 FDAは就航後、順調に路線を拡大し、現在では全国9都市1日当たり20往復就航しており、多くの方に利用されていると伺っております。
 そこで、お伺いします。第1点目として、ここ最近、過去3年間の利用者数と搭乗率はどのように伸びてきているか、状況を伺います。

A1 <振興部航空対策課主幹>

 県営名古屋空港における過去3年間の搭乗率及び利用者数についてご質問をいただきました。過去3か年の利用状況でございますが、平成24年度におきましては、利用者数が49万6千人、搭乗率が65.8%、一昨年の平成25年度は利用者数が60万7千人で70.8%の搭乗率、また、昨年の平成26年度は、65万5千人で68.8%の搭乗率となってございます。なお、本年度は、4月から9月までの上半期の実績となりますが、利用者数は38万2千人で、搭乗率は64.6%という状況になっております。昨年の同時期を比べますと15%の増ということでございます。これは今年の3月から北九州に一日2便、出雲に一日1便新たに就航したことから増えたものと考えております。日本航空が運航していた頃は、ピーク時一日21便往復あり、便数につきましては、委員から先ほど質問がありましたとおり、現在20便ということで余り変りはありませんが、その当時から比べると機材も大きくなったことから、利用者数は飛躍的に伸びているという状況でございます。

Q2 <神戸委員>

 一方、FDAからは、最近のLCC台頭もあり、会社経営は大変厳しいと伺っております。若年層の方々、特に会社員や学生さんたちは、サービスよりもやはり価格の低さに魅力があり、個人的なことを言わせていただくと私の娘も福岡におりますが、LCCを使用する頻度が高いようです。
 せっかく地元の期待に応えて就航してくれたFDAが、この先経営難に陥り、万が一日本航空と同じような状況になったら、大変なことになってしまいます。
 そこで第2点目として伺います。FDAの最近の経営状況について、県はどのように把握されているのか。また、FDAに対し、何か支援を考えているのか、お伺いします。


A2 <振興部航空対策課主幹>

 まず、FDAの経営状況の把握について、お答えいさせていただきます。FDA自体は、平成20年に静岡市に本社を置く鈴与株式会社の100%子会社として設立され、新たに航空事業に参入した独立系の航空会社でございます。県営名古屋空港就航当時は、認知度、搭乗率が低迷しておりましたが、ここ数年は、認知度も上がったことから、一定の搭乗率を維持するようになってまいりました。経営状況については、毎年決算後、説明をいただいており、ここ数年は、航空機を新たに導入し、路線拡大を進めていることもあって、厳しい状況とお聞きしています。昨年度決算でも、燃油の高騰や運賃の価格競争も激しくなっていることから、約7億円の純損益を計上したと伺っております。次に、FDAに対する支援につきましては、静岡空港から名古屋空港に拠点を移していただいたことから、就航当時から着陸料を3分の1に減免するという措置を実施しております。また、ターミナルビルの事務室使用料につきましても、月平米あたり1,700円とする減免等の措置を取らさせていただいています。この制度は、昨年の9月議会において条例改正を行い、本年度から平成29年度までの3年間の減免措置を継続するとしたところです。こうした減免措置は、この4月に継続したところで、今すぐに改正をすることは考えておりませんが、FDAの経営状況や利用状況などの諸状況を見極めながら、総合的に検討し、時期を失することなく判断し、議会の皆様方にも相談をしてまいりたいと考えております。

Q3 <神戸委員>

 次に、FDAは今年の1月の夏ダイヤの路線発表の際、条件が整えば、中部国際航空から就航することを検討するとの発表をされましたが、地元では、これにより名古屋空港の路線が減少・縮小に向かうのではないかと懸念をしているところです。
 そこで第3点目としてお伺いします。県として、名古屋空港における今後の路線展開について、どのように考えられているのか、改めて伺います。

A3 <振興部航空対策課主幹>

 県営名古屋空港における路線展開の考え方について、お答えします。県営名古屋空港は、中部国際空港建設に伴い定期航空路線の中部国際空港へ一元化する一方で、空港の基地化や地域経済の疲弊等一元化によって、大きな影響を受けるとし、地元市町から国内線存続を含めた調整が本県に求められ、それを受け、名古屋空港新展開基本計画を策定し、コミューター航空やビジネス機等、我が国初の本格的な小型航空機の拠点となる都市型総合空港として開港したものでございます。この名古屋空港新展開基本計画の中で、中部国際空港セントレアは、この地域の国際・国内の拠点空港として大量のお客様、あるいは貨物を運ぶ空港として、そして、県営名古屋空港は、大型機では成り立たない、小型機でしか就航できない都市への就航を基本とし、コミューター機などの小型機の拠点として、それぞれが連携・補完する形で、役割を分担することとしたものです。二つの空港が、それぞれの機能を発揮し、今後多様化する航空ニーズに的確に対応し、この地域の航空サービスの厚みを増していくという考え方の元でスタートしております。そして現在の路線のような路線展開となっております。県営名古屋空港では、現在、MRJの開発、生産を契機として、航空機の生産・整備の拠点化を進めております。ターミナルビルには、三菱航空機の本社機能が移転し、ターミナルビル等も相当手狭になってきています。また、今後、MRJの量産が本格的に始まりますと、飛行場内で完成機が駐機することから、駐機スポットも不足してまいります。現在、新たに駐機場の整備を進めることとしておりますが、コミューター機のさらなる駐機場所の確保は非常に難しい状況にもなってございます。
 こうした県営名古屋空港の施設的な制約も今後生じてくることから、さらなる路線展開はなかなか難しい状況にあります。県といたしましては、県営名古屋空港と中部国際空港が連携・補完するという役割分担のもと、地域の航空サービスの厚みが増すよう、この2つの空港をバランスよく活用するとともに、FDAの収支改善に向け、現在就航されている路線の利用促進について、しっかりと取組んでまいりたいと考えております。

要望 <神戸委員>

 路線展開については、この地域の2つの空港のバランスを考えなければならないという県の立場は十分理解しますが、一方で地元の大きなニーズもあることをしっかりと受け止めていただきたいと思います。
 10月1日、ジャパン・インバウンド・ソリュ―ションズ代表取締役の中村好明氏の講演を聞きました。人口急減社会で地方が消滅していく中、日本で一番減少が少ないのは、この愛知県でありハートオブジャパンの政策にも評価をいただきました。人口急減には、観光立国で立ち向かえ!との内容で、これからのビジネスは観光に大いに力を入れていくこと、団体旅行から個人旅行への移行、プレミアムなJAPANを売り込めと言われました。
 国際拠点空港としての中部国際空港、それを連携・補完する県営名古屋空港というすみわけで、2つの空港がお互いに足を引っ張り合うのではなく、相乗効果で愛知県の観光を盛り上げていくことは不可能ではないと思います。
 利用者や地元のニーズにしっかりと耳を傾け、名古屋空港の利便性向上や利用促進にしっかりと取り組んでいただくことを強く要望して、質問を終わります。