ハードウエアの基礎知識

同朋学園本部事務局経理課 河邊 憲二

1998.8.26 スクールネット研究会8月合宿研修

 OSのインストール時や機能の拡張時に必要になりそうなハードウェアについて簡単にまとめます。詳しくは、パソコン組立の解説書などを参照してください。Super ASCIIの用語解説を元にしています。

1.マザーボード メインボードともいい、パソコンの中心部となるCPUをはじめ各種半導体部品とコネクタなどから構成されている基板で、すべての周辺機器は何らかのコネクタでこのマザーボードに接続されている。マザーボードのサイズにはIBM PC/XTで採用されたベビーATサイズと呼ばれるものと、IBM PC/ATで採用されたフルサイズとがある。前者は幅22cm,奥行き30.5cmで、後者は幅30.5cm,奥行き35cmぐらい。最近は、小型化が進みサイズやネジ穴の位置などいろいろなものが出回っている。Intel社の提唱するATX仕様が最近の主流になっている。

BIOS(Basic Input Output System) PCに接続されているディスクやキーボード、グラフィックスなどのデバイスをコントロールするプログラム群のこと。OSやアプリケーションに対して、比較的容易にハードウェアをアクセスするためのプログラムインターフェイスを提供する。このほかにブート時にデバイスを初期化したり各種設定を行なうプログラム(BIOSセットアップ)もBIOSと呼ぶことが多い。通常BIOSはマザーボードや拡張カード上のROMに書き込まれている。マザーボード上にあるBIOSはシステムBIOS、また拡張カード上のBIOSは拡張BIOSと呼ばれる(このほかシステムBIOSとは別にマザーボード上にはキーボードコントローラに内蔵されているキーボードBIOSというものもある)。現在、PC互換機のBIOSは、American Megatrends, Inc.(AMI)やAward Software,Phoenix Technologies, Ltd.といったいくつかの互換BIOSメーカーが開発し、マザーボードメーカーなどに供給していることが多い。大手PCメーカでは独自にBIOSを開発しているところもある。

 

2.チップセットとCPUソケット

 PC互換機のマザーボードに必要な機能を数個のLSIにまとめたものをチップセットと呼ぶ。Intel社のチップセットかその互換チップセットがほとんどである。また、CPUはPentium75MHzから200MHz, MMX Pentium166MHzから233MHz, AMD-K6, Cyrix-6x86などは基板上のSocket7と呼ばれるソケットに装着するが、PentiumUやCeleronなどはSocket7からSlot1に変更になった。また、古いPentium機にはSocket5が採用されていた。

430TX PCIset Intel社が1997年2月に開発したPentiumプロセッサ用PCIチップセットで、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)、SDRAM(Synchronous Dynamic RAM)、USB(Universal Serial Bus)などの特徴がある。

430MX Intel社が開発したノート向けのPentiumプロセッサ用PCIチップセット。

440FX Intel社が開発したPentiumPro対応のPCIチップセット。EDO DRAM(Extended Data Out Dynamic Random Access Memory)、USBなどに対応。

440LX AGPset Intel社が1997年8月に開発したPentiumUプロセッサ用PCIチップセットで、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)、UltraDMA(Direct Memory Access)の他、新たにAGP(Accelerated Graphics Port)が採用されている。

440BX AGPset Intel社が1998年4月に発表したPentiumUプロセッサ用PCIチップセットで、100MHzシステムバス、100MHzSDRAMサポート、最大搭載可能メモリ1Gbytes、PCIバススロット最大5スロット、AGP、ACPIなどが特徴。

 

3.ハードディスクインターフェイス

 ハードディスクインターフェイスは、大別するとIDEかSCSIのいずれかである。ただし様々な拡張がなされ、それぞれいろいろなタイプが存在する。

IDE(Integrated Drive Electronics) BIOSで直接コントロールできるという特徴を持ち、SCSIドライブのように特別なソフトウェアドライバの必要がない。

Enhanced IDE Western Digitalが提唱したIDEの拡張案で、データ転送速度の向上や接続デバイス数の増加、CD-ROMドライブやテープドライブなどハードディスク以外のデバイスのサポートなどを目指したもの。

ATA(AT Attachment) ANSIで規格化が進んでいるIDEの正式な規格のこと。

ATAPI (ATA Packet Interface) IDEコントローラにCD-ROMなどのハードディスク以外のデバイスを接続するために考案されたパケットインターフェイス。

Ultra ATA IDEの拡張仕様のひとつ。

SCSI(Small Computer System Interface) Shugart社が開発したSASI(Shugart Associates System Interface)を元に、さらに汎用性を高めたシステムインターフェイス。ANSIで標準化が行なわれた。このANSIでの最初の標準規格をSCSI-1と呼ぶことが多い(規格そのものは「SCSI」であり数字はつかない)。その後、互換性の強化、性能の向上など多くの改良が施され、SCSI-2が規格化された。現在はSCSI-3の標準化作業が行なわれている。

Ultra SCSI SCSI-3規格のひとつ。

Ultra Wide SCSI Ultra SCSIを50ピンから68ピンのインターフェイスにして、バス幅を16bitから32bitへ拡大したもの。40MB/秒を実現する。

 

4.拡張スロット関係

 拡張スロットにはグラフィックカードやサウンドカード、ビデオキャプチャカード、SCSIカード、モデムカード、LANカードなどパソコンの機能拡張をするためのカードを差す。バス規格には大きく分けてISAとPCIがある。拡張カードの機能を使うためには、使用するOSに対応したドライバソフトとIRQ, DMA, I/Oポートなどが競合しないような設定が必要である。

ISA(Industry Standard Architecture) IBM PC/ATの拡張バスであるATバスをIEEEが標準規格化したバス仕様。

EISA(Extended ISA) 16bitバスのISAに対し、EISAではアドレス/データバスともに32bit幅に拡張された。バスクロックは8.33MHzでISAと同じだが、データバス幅が広がりデータ転送速度は向上している。

PCI(Peripheral Component Interconnect) Intelを中心としたPCI SIG(PCI Special Interest Group)により策定されているバスアーキテクチャ。PCIでは32bit CPUに合わせてアドレス/データともに32bit幅のバスになっている。

Plug and Play ユーザーのマニュアル設定を必要とせずに、拡張カードなどのシステムへの追加を可能にするためのデバイスインターフェイス規格。省略して「PnP」と呼ばれることもある。PnP規格はIntelとMicrosoftによって作成された。PnPではシステムと拡張カードが情報をやり取りすることで、IRQやI/Oアドレス、DMAチャネルなどのシステムリソース値を他の拡張カードのそれと衝突しないように自動的に設定できるようになる。OSがPnPに対応していない場合、システムリソースは手動で設定する必要がある。また、マザーボードによっては、BIOSでPnPを無効にできるものもある。

IRQ(Interrupt ReQuest) 割り込み要求のこと。デバイスがCPUに対してイベントの発生を知らせてその処理を要求するのに使われる。PC互換機ではIRQは0〜15の16種類が用意されている。ただし、拡張カードで利用できるのはIRQ0,1,8,13以外。さらに過去のソフトウェアとの互換性を保つために、残るいくつかのIRQも用途が決まっている(またIRQ2とIRQ9はまったく同じIRQなので、どちらかだけを利用できる)。

DMAチャネル(Direct Memory Access Channel) デバイスがDMA転送をマザーボード上のDMAコントローラに要求する際に使用するチャネル。ISAシステムでは8bit単位のDMA転送にチャネル0〜3が、また16bit単位の場合はチャネル5〜7が利用される。

I/Oポート(Input/Output Port) CPUとデバイスの間でデータをやり取りしたり、デバイスのステータスをCPUが読み取るためのポート。PC互換機ではメモリ空間とは別にI/O空間が設けられており、ここに各種のI/Oポートが割り当てられる。CPUはI/O空間に対してアドレスを指定することで目的のI/Oポートにアクセスする。このため各デバイスのI/Oポートは別々のアドレスに割り当てる必要がある。

 

5.メモリ

 RAMを基板に取り付けたもの。これにはSIMM(Single Inline Memory Module)とDIMM(Dual Inline Memory Module)とがある。前者は32bit、後者は64bit単位でデータのやり取りをする。また、RAMの種類によりいろいろなタイプがある。

SDRAM(Synchronous DRAM) 従来のDRAMと比べて内部は基本的に同じだが、外部バスインターフェイスが一定周期のクロック信号に同期して動作するように改良されたDRAM。

EDO DRAM(Extended Data Out Dynamic Random Access Memory) データを出力するタイミングを改良することで、読み出し時の連続転送速度を向上させたDRAM。

Parity データの誤りを検出する技法の1つ。このパリティビットチェックの有無により、パリティ有りタイプとパリティ無しタイプのメモリに分けられる。

ECCメモリ(Error Check and Correct memory) 単なるメモリエラーの検出だけでなく、エラーが発生した部位を特定し、これを正しい値に訂正することが可能なメモリのこと。

 

6.マウス

 マウスはPS/2マウス、シリアルマウス、バスマウスに大別される。

PS/2マウス(PS/2 mouse) PS/2で採用されたマウスインターフェイス。キーボードコントローラによって制御されているので、PS/2マウス用のインターフェイスを備えたマザーボードでなければ利用できない。Microsoft Mouseなどシリアル/PS/2の2つのインターフェイスに対応したマウスもある。

シリアルマウス(serial mouse) シリアルポートに接続するマウス。一般にシリアルポートを2つ持つPCでは、バスマウス(PS/2以外のバスマウス)よりもシリアルマウスのほうがよく利用される。シリアルタイプのマウスはシリアルポートさえあれば接続できるので、余分なインターフェイスカードを必要としないという長所がある

バスマウス(bus mouse) 拡張スロットにマウスインターフェイスカードをさし、これに接続するタイプのマウス。この方式の短所は専用の拡張カードを追加する必要があるため、拡張スロット1つとIRQ1つがマウスのために消費されてしまうことである。

 

 

メルコベアキットMVK-BA5-Gの仕様

マザーボード Baby-ATサイズMMV-BA5-G EIDE マルチI/O セカンドキャッシュ512KB
チップセット VIA社製APOLLO VPX-A(430TX相当品) Socket7
CPUクロック倍率×1.5から×5 バスクロック50/55/60/66/75MHz
BIOS  Award Software社製
グラフィック メルコ社WGP-DX1相当品 Trio64V2/DX(S3社86C775) VRAM 1MB
メモリ SIMMまたはDIMM対応
USBコネクタ付属
3モードFDD、コネクタ、スピーカ、250W電源等配線済みミニタワーケース
IDEケーブル、マニュアル、ドライバディスク付属
拡張スロット ISA×3, PCI×3, ISA/PCI共通×1




K.KAWABE <kawabe@doho.ac.jp>
Created: Aug.25,1998, Updated: Aug.26,1998