ベルガモン遺跡

 トロイ遺跡から少し南に下ると、エーゲ海が見えるようになる。エーゲ海に沿って200kmほど行き、少し入ったところにベルガマの町がある。
 そこに、アスクレピオンという病院の遺跡と、小高い丘の上にアクロポリスがある。

アスクレピオン
 アスクレピオンは、紀元前4世紀から紀元後4世紀まで使われていた昔の大規模な病院だった。病院に続く通りの両側には店があり、道路の中央には水が流れていた。
 昔の水道管が、今もそのまま残っている。(左)
 蛇は再生のシンボル。
 「ある女性が、毒を盛られた飲み物を飲むところだった。そこへ2匹の蛇が来て毒を消し、その人を救った。これが器で、2匹の蛇が…」
 そのようなことを、彼は話してくれたのだが、細かいことは覚えていない。
 アスクレピオンの入り口から、北回廊、オデオンを望む

 病院にはいるとき、回復の見込みのない重病人は門前払いだったとか。
 精神的な病の人を直すところで、見た夢を医者に告げて治療をしたりしたとか。

聖なる泉 この左手後方には、暗示の間があった。
 北回廊 左側の写真では、壁が二重になっているのが分かる。温度や湿度を安定させるための工夫のようだ。
 病人には、音楽が癒しになるということで、立派な劇場がある。
 このトンネルも治療に使われた。トンネルの両隅には水が流れていて、その音で癒し効果をねらっていたとか。
 また、トンネルの上には明かり取りのような窓があり、そこから下を歩く病人に「あなたはもう治りますよ〜」などと暗示をかけていたのだとか。
 そして、トンネルの先が休憩室で、ここでは麻薬なども使って病人を休ませていたとか。そのために、死者が出ることもあったが、遺体は分からぬように葬り去られたとか。

 浴場があり、図書館もあり、劇場もあり、そしてこのような治療施設まである。治る見込みのある人が、じっくり治療できる、そんな贅沢な病院だったようだ。
 次に目指すのは、聖なる道を引き返すときに、目の前にそびえる丘の上にあるアクロポリスだ。


アクロポリス
 バスで丘の上まで上る。麓の村は、かつてキリシャ正教徒が住んでいて、民族の入れ替えが行われたところだとか。絵になる風景だったが、写真は撮れなかった。

 バスを降りると目の前に石垣が見える。あの向こうに何があるのだろうか。
 右上はアテナ神殿跡と図書館の跡 広々としたところに、柱の一部が残っている。アレキサンドリア図書館と対抗するほどの蔵書を誇っていたとか。エジプトがパピルスを輸出しなくなると、羊の皮を使ってペルガモントという羊皮紙を作り出した。

 左は貯水穴 サイホンの原理を利用して、ここまで水があげられた。中央の黒っぽいものは、水位の基準に使われたものだそうだ。
 町を見下ろす。
 アスクレピオンからこちらはよくわかった。こちらからもアスクレピオンが見えるはずと、目をこらすがなかなか見つけられない。
 「ほら、あそこに糸杉がある。そこですよ」といわれてやっと見つける。
 「考古学者によって、一部が復元されました。」
 トラヤヌス神殿やアッタロス1世、エメネウス2世などの宮殿があったという。こんな高いところに、こんな大きなものをよくぞ造った。

 この宮殿の基礎は、いくつもアーチを組み合わせて造られていた。縦方向に造られたアーチを、アーチの回廊から見ることができる。
 添乗員さんが見せてくれたガイドブックに載っていたトゲトゲの草。確かに、さわるととげが刺さりそう。
 図書館の西側には、斜面を利用してできた大きな劇場がある。景観を損なわないように、舞台は使うときに組み立てるのだそうだ。

 図書館跡の隅に砦のようなところがあった。そこから劇場や宮殿などが見渡せた。

 ゼウスの大祭壇の跡 19世紀にドイツの発掘隊によって発掘され、今はベルリンに大祭壇などが展示されている。