コラム

・チューニングについて
楽器の選び方
オールド楽器について



・楽器の選び方



・オールド楽器について
楽器店のみならず、最近はネットオークションでもオールド(ヴィンテージ)ものをよく見かけるようになり
ました。個人間での売買も盛んになっているようです。 ただ新品の楽器と違い、購入に当たっては注意
が必要なのは言うまでもありません。 やはり試奏してから買うというのが基本だと思います。(楽器店の
場合は中古でもある程度の保証はしてくれると思いますが、オークションの場合はそのあたりのリスクを
考慮に入れなければならないでしょう。 但し、オークションでも試奏させてもらえる場合があるようですの
で、リスク&リターンで判断すればよいと思います。)
私自身、楽器店でオールド、ヴィンテージの中古品を試奏したことが何度もありますが、名器と呼ばれてい
る楽器で百万円以上もするようなものでも、なかにはキーがまともに動かないといった重症のものがあり
ました。私の場合は、前オーナーの使用感を払拭すると言う意味でも購入後、腕の良いリペアマンに依頼
してオーバーホールすることにしていますので、判断基準としてはあくまで修復後に完全な状態に持って
いける見込みがあるかどうかということになります。 ポイントとしては、
 @変色
   銀の楽器であれば磨きを入れると、母材の輝きを取り戻し、ピカピカになりますので全く気にする必要
   はないでしょう。
 A傷、へこみ
   スクラッチ(浅い引っかき傷)はほとんど磨きで取れますし、へこみもよっぽどひどくない限り修正可能で
   す。ただし大きな傷、へこみの場合はその他の部分へひずみの影響が出ている場合があるので注意
   が必要です。
 B腐食
   母材が銀の場合は深部まで腐食してしまうことはなく、表面の変色を磨いて取ればよいのですが、
   たとえば洋銀に銀メッキなどの場合にはメッキのピンホールや傷が原因で、内部が腐食している場合
   があります。そういった場合は母材を研磨し、再メッキが必要となりますので少々面倒です。 放ってお
   くとメッキがバラバラ剥れだすこともあります。但し、オリジナルの状態から変わってしまいますので悩ま
   しいところでしょう。
 Cメカニズムの不具合
   キーのガタは修正可能です。
   但し明らかに動きが悪いものは避けた方が無難です。 一時的には直っても使用しているうちに再発
   を繰り返すことが少なくありません。
 Dはんだ付け(ろう付け)
   はんだ付けは経年変化の大きい部分で、さすがに百年を経たような楽器では相当傷んでいる可能性
   があります。再度、付け直しということは可能ですが当然大きな熱履歴を与えることになるので母材の
   物性(硬度)が変わり、音色が変わってしまうことも考えられます。
以上のようなところに注意が必要と考えますが、大抵の場合、楽器を見れば前オーナーがどれだけの愛情
を持ってその楽器に接していたかが良くわかります。大切に扱われてきたものはやっぱりいい顔をしています。
何十年も前の楽器でも、きちんとオーバーホールすれば新品と見間違えるほどの状態になると言っても過言
ではありません。

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