第3回研究発表会
平成22年2月20日
於:名古屋市教育館
名理会 会長 奥谷 和生先生 |
第3回名理会研究発表会は,名古屋市教育館で,午後1時30分より行われました。
名理会会長の奥谷和生先生(栄小)のあいさつでは,平成25年度の全国小学校理科教育研究会 愛知大会に向けての基本方針が示されました。さらに,「全国大会により,『先生が育つ』,『学校が変わる』,『理科が変わる』」との,お話をいただきました。
その後,「全国中学校理科研究大会 北海道大会報告」,「全国小学校理科研究大会 東京大会報告」,「理科教育学会東海大会報告」,「平成21年度教育派遣員の成果発表・講評」,「指導員講話」,「理論部パネルディスカッション」が行われました。
約130名の先生方の参加があり,盛況のうちに会を終えることができました。
第56回 全国中学校理科研究大会 北海道大会 平成21年8月5日〜8月7日
沢上中学校 河村誠一郎先生 |
大会主題「自然との共生をめざし,科学的素養を育む理科教育」
研究主題「学びの環流を通して科学的素養を育む理科学習」
私たち人間は自然界の一部であり,自然と共に生きていくことが常に求められている。自然とは私たちを取りまく全てであり,土壌・空気・水・生物といった一般的な自然だけではなく,私たちが創りだしてきた環境そのものをも含んでいる。私たちは自然にはたらきかけ,その自然から生きるためのものを得て生活しており,その意味で,私たちは「自然との共生」なしには生きていけない存在である。 「自然との共生」のためには,自然を理解し本質を見極めるための能カや正確な科学的知識に基づいた判断や自己決定を行う上で必要な能力,即ち「科学的素養」の習得が必要不可欠である。「科学的素養』を習得することにより.21世妃を生きる子どもたちが,国際化・情報化など科学技術の発展による社会の変化の中で,自然・人間・社会のあり方をグローパルな視野でとらえ,自ら考え判断し行動できるカ,即ち「生きるカ」を身に付け,知的好奇心を豊かにしていくことができる、 もとより理科教育は常に自然や他の学ぴ手,さらには,これまでの自己の学ぴとのかかわりの中で進められていくべきものである。自然の事物・現象との直接体験,人と人とのコミュニケーション活動等から,生徒の感性が磨かれる同時に驚き気付き,課題意識や新しい発想等が生まれる。加えて,自然を科学的にとらえることが,生徒にとっての新たな探究活動への原動力となる。このような活動を通して,目的意識をもって意欲的に学習活動に取り組む姿勢が育まれ,問いを探究し続けるカが育成されると考える。そして,自然への総合的な見方や考え方,科学的な思考カといった,人間と自然とのあるぺき姿を模索できる能カが高まっていくものと期待される。 生徒一人一人の豊かな「科学的素養」は,基礎・基本を大切にしながら,課題意識をもち,学ぶことの必然性を感じ,主体的に探究し続けるカを育てる理科教育を通して育まれるものである。その過程で,生徒は「自然との共生」という崇高な理念を理解するとともに,自らのものとして育んでいくことができる。21世紀の社会において高い理想をもって,主体的に活動していくことのできる生徒を育てることをめざし,本大会の大会主題・研究主題を設定した。 |
第57回 全国中学校理科教育研究会 京都大会
平成21年8月4日〜6日
全中理のホームページはここをクリック
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大高南小学校 安井辰夫先生 |
平針南小学校 中條多啓雄先生 |
第42回 全国小学校理科研究会 東京大会
平成21年10月29日〜30日
大会主題「知識基盤社会の時代を切り拓く人間を育てる理科教育」
研究主題
「自然から学び、科学的に考え、共に知を更新する理科学習
〜探究し、習得し、活用する子どもの育成〜」
第42回全国小学校理科研究大会 東京大会
中西 宏行 苗代小 |
筋道を立てて自分の考えを説明できる生徒が育つ理科学習 |
林 智之 星崎小 |
エネルギーを科学的な見方・考え方でとらえられる生徒の育成 −事象の特徴をとらえやすい教材・教具を用いて− |
藤巻 真人 野田小 |
科学的な見方や考え方が育つ理科学習 −情報交流を通して− |
吉田 太一 表山小 |
問題意識を高める理科学習 −単元終末部にチャレンジタイムを位置付けて− |
森 理一郎 大清水小 |
自分の成長への気付きを深める生活科学習 |
服部真由子 山吹小 |
気付きの質を高める生活科学習 |
千村 佳恵 矢田小 |
考える楽しさを味わう児童の育成 |
近藤 慎介 中小田井小 |
実感を伴った理解を得られる理科学習 |
安藤 史貴 御器所小 |
考えを広げ,深める理科学習 −カードを使った話し合い活動を通して− |
佐野 雄一 伊勝小 |
科学的な思考を基に活動する子どもの育成 |
柘植 浩之 桶狭間小 |
生命の連続性を実感できる理科学習 |
内堀奈津美 徳重小 |
生命のつながりを実感できる児童の育成 |
犬塚由美子 植田東小 |
既習の知識・技能を活用して,問題解決学習に取り組む子どもの育成 |
立松 玲 はとり中 |
実験結果を的確に把握できる生徒の育成 |
熊澤 快行 守山西中 |
授業で学んだ知識を体感させる理科学習 |
田辺 賢 千代田橋小 |
栽培意欲を育む理科学習 |
濱地 光大 港南中 |
実験・観察の視点を確かにする理科学習 |
鈴木 義明 当知中 |
自らの考えを表現できる理科学習 −目的意識をもてる観察・実験を通して− |
雨森 真司 上社中 |
「考える活動」を通した動物単元の理科学習 |
伊東章二先生 |
講評:名古屋市理科研究会委員長 伊東章二先生(名古屋市立南陽中学校)
本年度の実践は,子どもの思考を大切にしながら,子どもの考えを引き出し,伸ばすための教材・教具の開発や活用方法を工夫した実践が多く見られました。子どもの知的好奇心や探究心を刺激する観察・実験を通して,子どもは進んで事象に関わり,自らの考えを広げ・深めることができました。これは,単に観察・実験を楽しむ子どもの姿に満足するのではなく,科学的な見方・考え方などを養いながら問題解決能力を育むといった理科の学習の本質に追るものであると感じました。 また,「実杜会・実生活との関連を重視した活動」,「自然体験・科学的な体験を重視した活動」,「実験結果を分析し,解釈する活動」等,新しい指導要領を意識した実践も多く取り組まれました。特に生命の連続性を理解させる実践では,生き物とふれあう実体験により,生命の仕組みのすばらしさに気付かせ,実感をともなった理解ができる実践であると感じました。こうした指導者の熱意あふれる実践の積み重ねこそが,本当の理科好きの子どもを育てることに直結すると感じました。 今年度の理科の応募本数は,他教科に比べ,少ないものでした。今年も,初任者は,中学校の理科だけでも30人近くいるそうです。反対に,指導者の数はどうでしょう。現在は,指導者となる年齢層の教員が少なく,私の若いころのような指導を受けることが難しくなっているとも感じます。若い人は多いです。35歳から40歳前後は少ないです。このことをどう考えましょう。しかし,授業数と授業内容が増えるのだから,理科にはチャンスであることは確かです。今日お越しになっていらっしゃる方は,皆さん名古屋の理科を大切に考えている方ばかりで,理科の指導力を向上させたいという素直な気持ちをお持ちだと考えます。若い方は,指導力を向上させたいと,意志を表示し動いてほしいです。私も積極的に声をかけたり,お手伝いをしたりしていきたいと思います。 来年は,派遣員も,是非とも,数多出せるよう取り組んでいきましょう。 |
指導員 阿部克彦先生 |
授業は,授業者の準備で,授業が変わっていく。 子どもの興味・関心を高めるために,どのような教材・教具を準備し活用すると効果的か考えたい,また,観察・実験以外にもコミュニケーションを重要視し,児童・生徒同士が共に学ぶための工夫をしたい。 そのためにはこれまで以上に,児童・生徒の実態を見抜くことが大切である。また,プリントやワークシートの内容などが適切かどうか,全体・グループ・個をどの場面に組み込むと効果的かしっかり考えたい。 小学校においては,安全に観察・実験が行えるように,他教科免許の先生方とも積極的にかかわっていってほしい。 |
理論部の発表は,今年度,実践研究部とタイアップして行った,キーワードを基にした実践と分析結果の発表,それを基にして,平成25年度に予定されている,「全小理 愛知大会」に向けて,パネルディスカッションを行いました。
内容については,理論部のページをご覧ください。
<文責 林本 勝徳(名古屋市立藤森中学校)>