番組研究(NHKの幼児向け番組より)

「しぜんとあそぼ」(教育)

身近にいる自然の生き物の普段は見ることが出来ない様子が、臨場感あふれる 生々しい映像と音響で映し出されます。身の回りの自然が乏しくなり、自然に触 れる機会が少なくなった今、子どもたち自身の生活と自然との関係が希薄で、自 然の恐ろしさや恩恵を昔ほど感じなくなった今。そして安定した社会の中で命の 大切さやありがたみを感じることが少なくなった今。命のたくましさや残酷さ、 また誕生から成長、そして死に至る感動的な一生を映像を通して味わうことで、 子どもたちが生き物にに対し興味を持ち、親しみ、感動から得た知識を育んでい くことを願っています。それにより普段の生活で何気なく出会った生き物に対し ても、番組で得たイメージを重ね合わせ、生命あるものへの思いを膨らますこと でしょう。制作者側の思いや大変さも感じられ、保育者自身も楽しみにしている 番組です。季節的なことを考慮して、時期に合わせて継続番組の順序を変えて視 聴する必要がある場合もあります。

「つくってあそぼ」(教育)

日常的に見慣れている紙コップや紙皿をはじめ、使い捨てになってしまうよう な廃材や素材が、ワクワクさんの手によって楽しそうに姿を変えていく新鮮さや 、作ったものでゴロリと一緒にイメージを膨らませあって遊ぶおもしろさに「す ごーい!僕もやってみたい」といった魅力に引き込まれます。そして継続視聴を することで、友だちとの信頼関係が深まり、視聴の高まりから徐々に自分のイメ ージを表出し合い、友だちのイメージに気づき受け入れることで、友だちとの遊 びを発展させていくようになります。このような遊びへの意欲を大切にし、テレ ビの模倣から始まり、次第に自分たちで工夫しテレビを乗り越え、遊びづくりへ と発展する、造形的歓声が培われることを願います。

「こどもにんぎょう劇場」(教育)

叙情的な音響や背景の中、登場人物の心の揺れ動きが巧みに表現せれていて、 大人も子どももお話の感動に浸ることが出来ます。記憶再生型でなく、心の揺れ 動く場面展開を大切にしている制作者側の意図が感じられ、子どもにとってすで に知っているお話でも、新たな感動に包まれます。番組を視聴することでお話を 覚えるでなく、イメージを膨らませ、人の心に思いをよせることで、子どもたち の豊かな感性を掘り起こし、健やかな想像力が育まれることを願っています。

「お話でてこい」(ラジオ、第二)

映像化されていない「世界」を「音」を頼りにイメージとして自分の心の中に 描く、これはとても大切なことだと思います。ところが、今の子どもたちは、じ っと何かに集中して耳を傾け、イメージを膨らませる時間が非常に少なくなって います。
映像のない環境の中、人情味あふれる言葉や音響による刺激をたどることで、 テレビ視聴とは異なるイメージの膨らませ方が出来ます。自分の頭の中に絵や映 像を作り出すことで一人一人の想像力が、より個性的に育まれると思います。聴 取中、輪になって友だちや保育者の表情を見ながらお話に浸ることで親密感も増 してきます。

「いないいないばあ」(衛星第2)

0〜2歳向けの番組と言うことで、0,1歳児クラスで視聴しています。形や 色・音などを大切に取り上げ、低年齢の子が興味を持ち15分間じっくり見たり、 楽しむことが出来ます。言葉を少な目にしていろいろな擬音語を豊かに使ったり 、繰り返しの楽しさを引き出して、0〜2歳の年齢独自のイメージの膨らみやリ ズム感の形成を育むと思われます。保母やまわりの子と一緒に見て楽しむことで 、情緒の安定にも結びついています。

「おかあさんといっしょ」(総合)

家庭的な雰囲気の中で楽しむことが出来ます。いろいろなコーナーがあり、子 どもなりに興味のあるところとないところが見られます。コーナーごとに違う楽 しさもありますが、それによりイメージが次々と変わってしまい、膨らみきれな い一面もあります。25分と長く、興味がもてないコーナーなども出てきて、編集 などをして見る場合もあります。成長や個性をふまえ、コーナーごとの内容を保 育に取り入れ、感動の共有をはかっています。