☆平成12年度4月施行 新保育所保育指針を柱として            明 照 保 育 園
「人とのかかわりの育ち」をみつめて 〜同一体験(みんなとする楽しさ)の中で〜

 

6ヶ月未満児

6ヶ月〜1歳3ヶ月

1歳3ヶ月〜2歳未満児

2歳







○母体内から外界への環境の激変に適応し、全ての面で著しい発育・発達のみられる時期。その発達は、生得的なものもあるが、周りの環境、特に大人との温かく豊かな応答的刺激の中で順調に促進される。

      人見知りが激しくなる一方で、見慣れた人にはその身振りをまねて「ニギニギ」をしたり「はいはい」などをして積極的にかかわりを持とうとする。この気持ちを大切に受け入れる大人との関係の中で、喃語は変化に富み、ますます盛んになる。

      身近な大人との強い信頼関係に基づく情緒の安定を基盤にして、探索活動が活発になってくる。

      これまでに培われた安心できる関係を基盤として、目の前に開かれた未知の世界の探索行動に心をそそられ、身近な人やものに自発的に働きかけていく。(いたずら行動)

      簡単な大人の言うことがわかるようになったり、自分の思いを親しい大人に伝えたいという欲求がでてくる。

      保育者との豊かな交流は、友だちと一緒にいることへの喜びへとつながり、情緒の面でも子どもに対する愛情と大人に対する愛情とに違いがでてくる。

      生活に必要な行動が徐々にできるようになり、自分でやろうとするが、時には甘えたり、思い通りにいかないとかんしゃくを起こすなど感情が揺れ動く時期。しかしそれは自我の順調な育ちであると考えられる。

      日々の生活の中での喜びや感動や発見を、自分に共感してくれる保育者や友だちに一心に伝えようとし、一緒に体験したいと望むようになる。

      周りの人の行動を盛んに模倣する中で、物事の共通性や概念化、象徴機能が増し、保育者と一緒に簡単なごっこあそびを喜ぶ。



















      家庭との連携を特に密にし、ひとりひとりの快・不快のちがいを把握する。

      子どもに優しく語りかけをしたり、歌いかけたり、

泣き声や喃語に答えながら、保育者とのかかわりを楽しいものにする。

◎ 愛情豊かで適切な保育者とのかかわりが、子どもの人格形成の基盤となり、情緒や言葉の発達に大きく影響することを認識し、子どもの様々な欲求を適切に満たし、子どもとの信頼関係を十分に築くように配慮する。

      ひとりひとりの子どもの甘えなどの依存欲求を満たし、情緒の安定を図る。

      喃語や片言を優しく受けとめ、保育者のすることに興味を持ったり、模倣したりすることを楽しめるようにする。

      子どもの生活の安定を図りながら、自分でしようとする気持ちを尊重する。自分の気持ちをうまく言葉で表現できないことや、思い通りにいかないことで、時には大人が困るようなことをすることも、発育・発達の過程であると理解して対応する。

      子ども相互のけんかが多くなるが、不安感が強まらないように、保育者の優しい語りかけなどによりお互いの存在に気づくように配慮する。

      ひとりひとりの子どもの気持ちを理解し、受容することにより、子どもとの信頼関係を深め、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。

      子ども同士のかかわりから、けんかも多くなるので、保育者はお互いの気持ちを受容し、わかりやすく仲立ちをして、根気よく他の子どもとのかかわり方を知らせていく。

 

3歳児

4歳児

5・6歳児







      運動能力や生活的にかなりの程度自立できるようになるため、これまで何かにつけ保育者にたより、保育者との関係を中心に行動していたが、ひとりの独立した存在として行動しようとし、自我がよりはっきりとしてくる。

      他の子どもとの関係が、子どもの生活、特にあそびにとって重要なものとなってくる。この段階では、子ども自身は友だちと遊んだつもりになっていても、実際にはまだ平行あそびが多い。しかしこの時期に、仲間と一緒にいてその行動を観察し模倣することの喜びを十分に味わうことは、社会性の発達を促し、ひいてはより豊かな人間理解へとつながっていく大切な基礎固めとなる。

      自我がしっかりとうち立てられ、自分と他人の区別もはっきりしてくる。そして自分以外の人やものをじっくりと見るようになると、逆に見られる自分に気づき、自意識が芽生えてくる。従って、今までのように無邪気に振る舞うことができない場面も生じる。

      いろいろなことができるようになる反面、自分の思ったようにいかないのではないかと不安が生じたり、辛くなったりするなど、葛藤を体験する。このような心の動きを保育者が十分に察して、共感しあるときは励ますことによって、子どもは、保育者がしたような方法で、他人の心や立場を気遣う感受性を持つことができるようになる。こうして、他人にも目には見えない「心」があることを実感し、身近な人の心がわかるようになり、情緒は一段と豊かになる。

      仲間といることの喜びや楽しさがお互いに感じられるようになり、仲間とのつながりは強まるが、それだけに競争心も起き、けんかも多くなる。その一方、仲間のなかなら、不快なことに直面しても、少しずつ自分で自分の気持ちを抑えたり、我慢もできるようになってくる。

      日常生活での基本的な習慣はほとんど自立し、内面的にも一段と成長し、そばで見ていても危なげがなくなり、頼もしくさえ思われてくる。

      仲間の存在はより一層重要になり、同じひとつの目的に向かって数人がまとまって活動するようになり、お互いが自分のやらなければならないことや、きまりを守ることの必要性がわかってきて、初めて集団としての機能が発揮されるようになってくる。この中で言葉による伝達や対話の必要性が増す。これは自分の思いや考えをうまく表現し、他人の言うことを聞く力を身につける、生きた学習の場になる。また、自分と相手との欲求のぶつかり合いやけんかが起きても、今までのようにすぐに保育者に頼るのではなく、自分たちで解決しようとするようになってくる。お互いに相手を許したり認めたりする、社会生活に必要な基本的な能力を身につけるようになり、仲間の中のひとりとしての自覚や自信がもてるようになる。


















      心身共にめざましい発育・発達を示すときであり、それだけにていねいな対応が求められる。自我がはっきりしてくるものの、それをうまく表現や行動に表すことができないところもあり、ひとりひとりの発達に注目しながら、優しく受けとめる配慮を欠かしてはならない。

      友だちとの関係については、保育者や遊具そのものを仲立ちとしてより豊かな関係がもてるよう配慮する。

      友だちと一緒にいる楽しさや同じ気持ちでいる安心感を大切にする。

      初めて集団生活する子どもには、特に心身の疲労を緩和するように努め、個別に対応しながら、次第に集団生活に適応できるように、他の子どもとのふれ合いの機会を多くするなど配慮する。

      集団の活動に参加するときは、個々の子どもの様々な欲求を満たしながら、集団で活動することの楽しさを味わうことができるように配慮する。

      友だちとのけんかを経験しながら、次第に自分とは違う相手の気持ちを知ったり、相手の立場への理解がすすみ、時には自分の主張を抑制することによって、自分もみんなも楽しく遊べることに気づくようにする。その際、保育者の優しい眼差しが向けられるようにすることが大切である。

      周りの人々に対する親しみを深め、同じ体験をする中で、自分と同じ気持ちや自分と違う気持ちがあることを知り、同じである喜びと違うことを受けとめる視野の広さがもてるように配慮する。

      集団生活は、ひとりひとりが生かされ認められるよう、また、子どもが相互に必要な存在であることを実感できるようにすすめられることが必要である。