小学校1年生になった隊長は、益々脂がのっていた。
この頃に各家庭にもやっとホッチキスというものが入ってきたのだ。
「ホッチキスです、マックスです」というテレビ宣伝は今でも覚えている。
それほど、このホッチキスとの出会いは衝撃的であった。
いったいどうなっているのだこの機械は?、こうなったら買うしかない!
ホッチキスなんてどういうものか分からないオバーを「この世には凄いモノがある、生きているうちに拝どけ」と説得して、さっそく買ってみた。
紙を数枚挟んで閉じてみた。
「カチッ」
おー、ちゃんと引っ付いている!なんて素晴らしいものなんだ!!いったいどうしてこんな魔法みたいな事が出来るんだ!!
隊長とオバーは手を取り合って喜び合った。
きっとこの上に見える銀色の針に何か秘密があるのだろう。
こうなったら実験するしかない!!!
オバーが部屋に帰り、周りに人がいないことを確認するとさっそく隊長は、ホッチキスに自分の親指を挟んで押してみた。
スコッ!意外と簡単に押せた。
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオー!!!!
凄い痛みが親指に走った。
見ればホッチキスの針が隊長の可愛い親指に根本まで刺さっているではないか!
痛みに耐えて何とか針を抜くと、親指の2個の穴からは血が吹き出ていた。
ペロペロとナメながらホッチキスの仕組みが何となく分かった気がした隊長だったのだ。
あ〜痛かった。
隊長は、またひとつ大人になった気がした。
しかし、今でもホッチキスを見るとなぜか血の味を思い出すんだよなぁ〜。