[持ちつ持たれつ・・]('07/8)

この頃の親は、自己主張ばかりが激しく、「持ちつ持たれつの精神がない!」といった批判を聞きます。
でも、本当にそうでしょうか?
確かに、一面では当たっている気がします。
しかし、目の前にいる多くの保護者の方は、「持ちつ持たれつ」の精神も持っていると感じています。
出し方を知らないとか、出す機会がないとか、出すべき時を迷っているとかもあるのでは?

確かに「持ちつ持たれつ」という精神は大切です。
ただ、一方で、この「持ちつ持たれつ」は、生涯という長いスパンで考えてあげることも必要だと思います。
子育てで振り回されている今は、社会や周りの人に「持たれつ」で助けて貰っているが、
子育てが一段落したら今度は自分が「持ちつ」の番になって
困っている人や助けを必要としている人を支えてあげる。
一人の人間をそんな長いスパンで見てあげられる社会ってステキですよね。
そして、子育てを通して人間的にも成長できるような回りの関わりも必要だと思います。

恵泉女学園の大日向雅美先生の講演を聴いたことがあります。
その中で「自分は子育て中の時、何でも自分でやろうとして行き詰まってしまい、
結局周りの人に助けてもらった。
すまなそうにしている私に『あなたには今助けが必要なの、そういう時は遠慮なく助けて貰いなさい、
そして、自分に余裕が出来たら今度はあなたが困っている人を助ければいいのよ』
と言われたことが忘れられない」というようなお話しをしていました。
大日向先生のご活躍は、「子育て広場、あい・ぽーと」を始めみなさんのご存じの通りです。

私の好きな昔話に「三年寝たろう」があります。
昔話って子育ての本質を突いているものがたくさんありますよね。
みなさんご存じの「三年寝太郎」もそのひとつだと思います。
普段は、役立たずで寝てばかりの「三年寝太郎」ですが
いざ村の危機が迫るとすくっと起きあがり村を助けるというお話しです。
とかく子どもの欠点ばかりが目につく親に対して「もっと長い目で子育てしようよ」
「どんな子にも良いところはあるよ」というメッセージがこのお話しに隠されていると思います。
そして、子どもの成長だけではなく、親の成長も長い目で見てあげられる社会になって欲しいな〜。

また、子育てに置いて保育園が「持たれつ」の部分を持ちすぎてしまうと、
親が子どもと向き合う機会を奪っているのではないか?という意見もあります。
(以前、よく幼稚園の園長先生に指摘されました)

一人一人違う環境にいる親に対して、どこまでの援助が必要か?
どうしたら、一人前の親として、人間として成長してもらえるか?
子どものためには、あえて厳しいことを言わなければならない時もあると思います。
親の気持ち、子どもの気持ち、そして保育士の思い。
保育園としてどういう対応が今求められているのか?
一人一人の親に真剣に向き合いながら答えを探していきたいと思います。