[ある日の児童クラブ]('07/8)

(保育関係者のメーリングリストより)

隊長です。
昨日は、午前中に中学生たちが来てくれて大騒ぎだったのですが、
実は、午後は児童クラブ(学童保育)でも大騒ぎ事件がありました。

いつもおとなしいKくんが、ちょっとしたことでキレまくって友だちと大げんか!
何人かの子どもたちが事務所に飛び込んできて
「kのやつ、ど怒れる!オレはなんにもしてないのに、急に蹴られた!」
「私も隣にいただけで殴られた!」と不満を口々に。
急いで児童クラブの部屋に行けば先生も困惑の表情で
「なんか3年になってからkくん、イライラしているんですよ」。

本園の児童クラブの多くは、卒園児です。
ですから子どもの成長過程も家庭の様子もよく分かっている子が多いのですが、
Kくんは、2年生の途中から転校してきたために入ってきた子。
始めは、おとなしくて目だだなかった子でしたが、
3年生になってから段々と荒れてきて、ついに爆発してしまいました。

「Kくんは、どこ?」という僕の問いかけと同時に
倉庫の中からドスン・バタンという激しい音が聞こえます。
覗いてみれば、Kくんが中で手当たり次第に蹴飛ばしたり投げつけたり。
「どうした?」と聞いても何にも答えません。
とりあえず押さえつけてみんながいない廊下に連れ出しました。

「誰かになんかされたの?」
「どうして友だちを叩いたの?」
「児童クラブがイヤなの?」
といろいろと聞いても一言もしゃべりません。
心配した先生が来て
「実は、今までも荒れている時にいろいろと聞いても一言もしゃべってくれなかったんです」と教えてくれました。

見れば廊下の端から児童クラブの子たちが何人も覗いています。
野次馬?たちを部屋に追い払っている間に今度は、ロッカーに潜り込んでいます。
一人でいる方が落ち着くかなと思い、暫くそのままにして事務所に帰っていたら
ドスン・バタンという音が廊下から聞こえます。
駆けつければトイレのスリッパを壁に投げつけています。
「スリッパにあたるな!」と叱りつけ、暴れるKくんを得意の寝技で押さえつければ、
またロッカーに逃げ込みます。
そして何を話しても返事もしません。

仕方ないので事務所で仕事をしていると、またまたドスン・バタン。
今度は、廊下に飾ってあるタコの置物(ペットボトル製)を投げています。
「タコにあたるな!!」と寝技でおとなしくさせ、離せばまたまたロッカーに。
そんなことを繰り返すこと1時間半。
やっと落ち着けば、今度はケロッとして部屋に帰り宿題を始めていました。

児童クラブの先生と相談して、一度ゆっくりお母さんと話し合うことになりました。
お母さんに今日の出来事を話すと「実は、私も貯め込んでしまい爆発しちゃうタイプでした、
やはり3年生になってから学校でも似たようなことがあった」ことも教えてくれました。
「二人とも思い込んで貯め込んでしまう性格なんです」と恐縮するお母さんでしたが、
お母さんが一人で抱え込む必要はないこと、性格を直すことを考えるより、
ストレスを上手く発散させる方法をkくんなりに身につけられるように援助すること、
児童クラブとして出来ることは何でもしますから
これからは、もっとKくんの学校や家・児童クラブでの様子を連絡し合い、
小さなサインを見逃さないようにしましょう!というような話し合いをしました。

実は、児童クラブではこういう子が増えているのも事実です。
現在、5年生のTくんが同じように暴れたのは4年生の時でした。
二人に共通しているのは、普段はおとなしいこと、
そして、いったんキレるとなかなか収まらないこと、
親もその辺を自覚していて、家庭でもいろいろと試みているが
家庭だけでは何ともならならなかったこと。
Tくんが暴れた時は、寝技の攻防を2時間繰り返しました(笑)。
そんなTくんも今は大分落ち着いてきて、キレることはなくなりました。
今では、お母さんとも笑い話で当時のことを話せますが、
その時は、お母さん自身大分追いつめられていたことも確かです。

児童クラブに限らず、入園してくる子の中にも
発達障害と診断を受ける子や親にとって育てにくい子、気になる子が増えています。
こういう子たちには、専門知識を持った(保育士を始め)人たちの早めの援助が欠かせません。
早ければ早いほど、子どもにとっても親にとっても苦しむ時期が少なくなります。
また、こんな子たちだけではなく、子育ては、やはり親だけで抱え込むものではありません。
その子のことを大切に思っているそれぞれの立場の人が、
それぞれの価値観で子育てに参加できるような社会が必要なのです。

PS
今日は、2回目の児童クラブの懇談会でした。
それぞれの親御さんと先生たちとの忌憚のない意見交換が行われました。
様々な環境で一生懸命に子育てする親御さんの姿が見えました。
現在まだ、先生と話し込んでいるお母さんもいますよ。

それでは。