積み木(2004/11) 

 2歳児さんも保育園に慣れてくると自分の好きな場所で好きな遊びをみつけ、楽しむ姿が見られるようになります。

平行遊びが主流の2歳児とはいえ、
園での生活のひとつひとつに、もれなく友だちの存在があります。

そして、それこそが園生活の良さなのだと思います。


ある時、たっくんが畳コーナーに座って積み木を積んでいました。

コツコツと真剣に自分の顔の高さぐらいまで積むと、積み木はほんの少しユラユラしています。

すると、違う遊びをしていたしょうくんが、
それに気づいて目を輝かせて近づいてきました。

案の定、たっくんの目の前で、しょうくんは積み木の一番上をチョンッ。

たっくんの積んだ積み木は、見事なほどにガラガラと音を立ててくずれおちました。


「あーあ!」その瞬間のしょうくんの顔!せっかくうまく積んだのに、という顔でしたが、それだけじゃないものを感じさせました。

声のトーンからは、“こわれちゃっていや”と、
“こわれちゃっておもしろーい”という2つの思いが混ざって聞こえました。


つくる楽しさとこわす楽しさ。

この相対する思いのぶつかり合いは、トラブルになりがちですが、どちらにも真の楽しさがあることも事実です。


しばらくすると、たっくくんは再びつみきを積み始めました。

そして、そうしながらもしょうくんの存在を気にしているのが分かりました。

しょうくんが来るのを待っているようにも見えました。

それに応えるように、しょうくんは近づいてきて、また、つみきのてっぺんをチョンッ。

同じようにつみきはくずれましたが、今度は2人で大笑い。

そのあと2人は、一緒に積み木を積み始めました。


積んではこわすことに夢中になっている2人は、積み木そのものの楽しさと同じくらい、

積み木を介して2人がかかわり合うことに喜びを感じているように思えました。

遊びのイメージは、一人ひとり違います。

家庭では、(兄弟でいれば別ですが) 一人で遊んだり、

大人と遊ぶ時は、自分の思いが主役としてすすんでいくのでイメージの違いからくるトラブルは見られないでしょう。


でも、園ではそうはいきません。

あちこちでトラブル続出、言葉の未熟な2歳児は、噛んだり引っ掻いたり、ものを投げたりという場面も多々あります。

でも、その中には大人相手では得られない楽しみや身に付かないものも多いのではないでしょうか。