死ぬってどんなこと?(2005/5) 

 まみちゃんは大のおばあちゃんっ子。

でも、まみちゃんが年長さんの時、おばあちゃんが亡くなってしまいました。

僕は、二日ぶりに登園してきたまみちゃんの様子が気にかかりお部屋に覗きに行ってみました。

友達と楽しそうに遊ぶまみちゃんを見つけてまずは一安心。

一人になったところでちょっと声を掛けてみました。


「まみちゃん、おばあちゃん死んじゃったんだってね?」「うん」。

まみちゃんの表情が少し曇りました。

「でも、おばちゃんは、大好きなまみちゃんをいつも見守っていてくれるよ」「うん」。
いつもの表情に戻ったまみちゃんは思いがけないことを言い出しました。
「私、お葬式の時にね、笑っちゃったの」「え?」
あまりにも予期せぬ言葉に言葉が詰まりました。
「お母さんがね、わんわんとね、泣いているのを見たら笑っちゃったの」
「きっと、お母さん、それだけ寂しくて悲しかったんだよ」。
何とか言葉を繋ぐ僕にまみちゃんが話してくれます。
「お母さん、いつもはね、怒るととっても怖いんだよ、

でもね、わんわんと赤ちゃんみたいに泣いていてね、何か面白かったの」
まみちゃんは、あまりにいつもと違うお母さんの態度に戸惑っているようでした。
話を少し変えてみました。
「まみちゃん、大好きな保育園のウサギが死んだ時どんな気持ちだった?」「悲しかったよ」。
「みんなでお墓作ってお参りしたよね」
「うん、その時なっちゃん泣いてたね、それ見たら私も涙出てきちゃった」。
まみちゃんにとっては初めての肉親の死。やっぱりウサギとは違います。

まだまみちゃんには理解できないこともあるようでした。
「おばあちゃんはね、お母さんにとってはお母さんなんだよ。まみちゃんも、もしお母さんが死んだら嫌でしょ?」「うん」。
「お母さんはね、それだけおばあちゃんが大好きだったんだよ」「うん」。
その後、火葬場に行ってお別れしたこと、高い煙突から天国に行った話などをしてくれました。

まだ、年長さんのまみちゃんには、“死”の意味自体が分からないこともあると思います。

でも、まみちゃんのことが大好きだったおばあちゃんは、最後に大切なことを伝えていったのではないでしょうか。

そのことは、まみちゃんの心の奥底にしまわれたのではないかと感じました。

やがて、いろいろな経験を通してまみちゃんの心も成長してくるでしょう。

そして、お母さんの本当の気持ちも理解する日が来ると思います。