保母さんって?

言うまででもなく、保母さん(保育士)はプロです。 プロの保育者です。

どんな職業もそうですが、やはりプロ、職人の技はすごいです。

アルバイトで昔、港で車を自動車船に積んでいましたが プロの人たちの技は確かにすごかったです。

とても一般の人たちがおいそれと真似の出来るものではありません。

しかし、悲しいかな、どんなプロでもピンからキリまでいます。

そこそこで満足するか、いつも前を向いて生きるのかでその人の人生も、 周りに与える影響も大きく変わります。

子育てってよく「やり甲斐のある大事業」というでしょ。

今年の父母の会総会で、子育ては究極のボランティアではないかという話をしました。

ひとりの思いやりのあるやさしい子が育てば、元気な前向きな子が育てば、

その子が一生にどれだけの人に接し、どれだけの元気や優しさを与えるか考えれば、

これほどすごいボランティアはないのではないかとその時に急に思い立ったのです。

朝に、「よー」と卒園児に挨拶いて貰えるだけで一日分の元気もでちゃうしと思ったわけです。

保母さんは、保育の職人です。

それも「子ども」という次世代を担う人間の成長に直接関わる職業です。

車やテレビならば、後で不良品が出たり調子が悪くなったら、 その部品を交換すれば直りますが、人間は違います。

その対応は間違いなく、その子の成長に影響します。 (塾で中学生を教えていたときに痛感しました)

これを言うとすぐに早期教育の必要性を説く人もいますが、 今の小学生や中学生が直面している問題は早期教育では解決しません。

先月の職員会議で僕は言いました。

子どもといるより、先生同士でおしゃべりしている方がいいと思うようになったら 保母さんを辞めてください。

自分が楽をしたいために、子どものあそびに「ワク」をはめるようになったら辞めてください。

子どもの目を見ずに、先生の要求ばかりを押しつけるようになったら辞めてください。

これは労務協定とか法律がどうのこうのという問題ではありません。

保母さんや学校の先生という職業がそういうものだからです。

僕も「げんきっ子ビデオ」を作るのが面倒だと考えたり、 アヒルのうんこを片づけたり亀の水を換えるのがイヤになったら辞めます。

やめて、モトクロス場の経営か酒屋の配達か、港で働くか塾をやります。

まだ保育園に勤めているのはビデオを作るときに、アヒルや亀の世話をしているときに、

それを見ている、遊んでいる子どもの楽しそうな顔が浮かぶからです。 この顔が浮かばなくなったら僕も辞めます。

保育園は子どものためにあります。その成長を願う親御さんのためにあります。

どこまで保母さんたちに伝わったのか分かりませんが、 この思いは保育園にいる限り変わらないと思います。

この後、園長先生が言いました。

「良い話だったけど、中島先生って保育園の味方かお母さんの味方か分からないときがあるね」

「子どもの味方です」

僕はかっこよく答えました。