乳児、延長、預かり保育

みなさんは、乳児保育や延長保育、一時預かり保育などをどうお考えになっていますか。

(本来、乳児というと0歳児のようですが、ここでは3歳未満児という意味です)

僕は、KISなどでも言っているように、「保育にかける児童」をただ怪我をせずに 預かるのが保育園ではないと思っています。

むしろ、子どもたちの育ちを考える上で必要な場所と考えています。

自分の子どもを3人、4ヶ月から保育園に入れましたが、嫁さんがたとえ専業主婦であっても 子育てが好きでたまらないと言っても、

同じ事をしたいと思っています。 (ただ、子育てが大好きなお母さんには、午前中だけというような 時間の設定が出来ると良いとは思います。)

乳幼児期に限らず、親の愛情は最も大切なものです。

しかし、それと同じくらい、ある一定の時間、 親御さんから離れお友達と一緒の時間を過ごすというのも大切なことだと思います。

(先にも言った通り、その子にあわせての時間設定があった方がいいと思いますが)

年齢に限らず子どもは、親といるときに育つ部分と、離れてはじめて育つ部分がある と思うのです。

家での姿と園での姿の違いによくびっくりする親御さんがいますが、 これは子どもが内外を使い分けているのではなく、

子どもの持ついろいろな面が、 その環境に応じて育っていくからだと思うのです。

保育者の中にも、乳児保育は子どもがかわいそうだとお考えの人も多くいます。

僕は、何園かの乳児さんのお部屋を見せてもらって(みんな私立なのですが)

こんなに赤ちゃんでもちゃんと友達と関わって遊んでいる (もちろんそこには保母さんが介在していますが)

やはり家での母親と子どもだけの関係では育たないものがあるように思うのです。

乳児さんのビデオを撮るとついつい長くなってしまいます。

親御さんにもっとこの様子を見てほしいからです。

当園は、7:00〜7:00まで延長保育をしています。

もちろん朝7時から夜の7時までいる子はいませんが。 朝の早い子は、お迎えも早かったり、その逆だったりします。

延長保育も子どもがかわいそうだと思っている方も多いと思います。

子どもは保育園生活を経験した方がいいと思っている僕ですが、 毎日の長時間保育には出来るならならない方がいいと思っています。

親御さんのお仕事の都合がつけば、一分でも早くお迎えに来てほしいと思っています。

(実際、仕事が終われば飛んでくる、そんな親御さんが多いです)

しかし、現実の問題として、毎日の仕事が大変で7時ちかくまでいる子は何人かいます。

ですから延長保育は、普段の保育とは違い、出来る限り家庭的な雰囲気で子どもたちに 負担にならないように、

寂しくならないように、楽しんで過ごせるように努力をすべきです。

当園ですと、最高12人までの子を二人の先生で見るという体制です。 (普段は7,8人に二人)

ベストではないにしろ、出来る限りのことはする、 そのような姿勢が大切だと考えています。 (これは、通園バスにも言えると思います)

それでは、一時預かり保育はどうでしょうか。 実は、一時預かり保育には反対なのです。

(本当は、反対と言うより、うちの園でやることではないと感じています)

これも何園か見せてもらって思ったことなのですが、保母さんも子どもと どう関わって良いのか分からないようでした。

怪我さえしなければいいという本当に子守のような状態でした。

保母との信頼関係なんて芽生える時間はありませんから仕方ありません。

何回か一時預かりを利用するくらいなら、 むしろ保育園に入れた方がいいと思うからです。

その方が保母さんもちゃんと責任を持って子どもたちと関われると思うからです。

とにかく、今のような一時保育は保母にとっても子どもにとっても 中途半端な感じがします。

(もとろん、その必要性は十分理解できますが)

僕は、今、真剣に日曜日も園をやるべきではないかと考えています。

うどん屋のあきちゃんは、日曜日にうどんを食べに行くと、嬉しそうにカウンターの 奥から出てきてくれます。

園の休みの日には一日中カウンターの奥で テレビを見て過ごしています。

お母さんも忙しくてなかなかかまってあげられないと心配していました。

お店の前は、すぐ大通りなので外にも出してあげられないそうです。

ゆりちゃんとなみちゃんのお母さんは、パチンコが大好きです。お父さんはいません。

日曜日には、朝から晩まで二人を連れてパチンコ屋にいます。

姉のゆりちゃんは、パチンコ屋の前の道で車にひかれて大腿骨を骨折しました。

妹のなみちゃんは、横の空き地で遊んでいるうちに、何かの機械で指を挟んで、 人差し指の第一関節からとれてしまいました。

それでも、お母さんはまだ二人を連れてパチンコを続けています。

宗教の集会にまで連れ回されている子、家では、ラーメンとお菓子しか 食べさせてもらっていない子。

この子たちのためには日曜日も園をやった方が絶対いいのではないか考えています。

でも、補助金の問題とか先生のやりくりを考えると踏み切れません。

仕事が休みでも園に子どもを預ける親、テニスに行ってお迎えが遅れる親、 買い物に行きたくて預けていく親。

このような親御さんを保母さんたちは嫌います。

やはり、子どもが一番に、子育てを最も大切なこととして考えてほしいからです。

でも、僕は思うのです。

たとえラケットや買い物袋を下げてお迎えに来ても、たとえ映画に行っていても、 保母さんはにこやかに対応すべきだと。

親御さんの中には、「この子がいるために自分のやりたいことが出来ない、 自分の時間がとれない」と考えている人が増えています。

生活にゆとりがなくなってストレスがたまる人もいます。 そして幼児虐待のような問題もますます増えるでしょう。


このような親御さんに、「子育ては楽しいですよ、子どもをもっと見てあげてね」と 言葉でいうだけでは問題は解決しないと思います。

悲しいことですが、そういう時代になってしまったのではないかと思っています。

このような親御さんに僕は言いたいのです。

「どうぞ、園に子どもを預けて好きなことをしてください。 園にいる間は、お子さんを一生懸命に見ます。

でも、用事が済んで、子どもをお迎えに来たときは、 にっこり笑って抱きしめてあげてください。

自分が好きなことが出来た分、子どもをかわいがってあげてください」と。

このようなことは、親にとって都合にの良い園になるということではないと思うのです。

園の教育方針や子どもとの関わり方など今まで以上、積極的に訴えていくつもりです。

信頼関係というのは、お互いが自分の責任を全うし、尊重しあってこそ生まれるものです。

「園として子どもや親御さんによいことは出来る限りします、 ですから親御さんも子育てを楽しんでください、

お子さんをかわいがってください」

長々と書きましたが、このようなことを事務所で得意げに話していたら

美奈子先生(嫁さんです、11年前に豊橋港で牛や馬のように働いていた 僕を拾ってくれた奇特な方です)が、

「中島先生、そんなことをまさかインタ−ネットで 言ってないでしょうね」と言いました。

「いっとるよ、表裏がないのが俺の良いところだ」と僕は胸を張りました。

「お母さんにもいろいろいるように園にもいろいろあるのよ、 絶対に子どもを預けたくないような園もね」とくぎをさされました。