ポジション?

保育の掲示板で、4歳児の子が、以前仲良しだった子からいじめられて自信を無くし ているという相談がありました。

そんな中で考えたことです。

4歳児(年中さん)って、とっても元気がいいのですよね。

3歳児でお友達との関わりが出来るようになり、4歳児で花開くって感じです。 (乳児さんから、園にいると少し違うのですが・・)

この年中さん時代に思いっきり自己表現の楽しさを満喫してもらうと、 不思議と年長さんになると落ち着いてきます。

きっと、自分に自信が持てるようになるのですよね。

しかし、自己表現が爆発する年中さんは、 一番トラブルが多いときでもあります。

言ってみれば集団生活の良い面と悪い面がぶつかり合う時代です。

子ども自身もまだ、本能の赴くままに行動することも多いですし、 自分にも自信が持てていない時期です。

些細なことで傷ついたり、傷つけたりしながら成長していく時期でもあります。

ですから先生にとっては、大変で難しく、 そして、やりがいの感じるときはないでしょうか?

(もちろん、各学年の難しさ、やりがいはあります)

集団生活に慣れてくると、 クラスでの自分のポジション(立場)みたいなものも決まってきます。

遊びなどでみんなを引っ張っていく子、 みんなのやっていることをよく観察してから入っていく子、

まず、自己主張をする子、 自分は一歩下がってみんなをまとめるのが好きな子等々。

やることによっても違ってきますし、遊ぶメンバーによっても違ってきますが、

その子なりの気持ちのいいポジションというものが出来てきます。

ですから、私たち保育者は、 その子その子が友だちと関わっている姿を見て、

「本当に心から楽しんでいるか?自分を出せているか?」を (表面から見える姿だけでなく) 考えていかなければいけないことでもあります。

しかし、集団生活ですから、 いつも自分のベストのポジションにいられるわけでもなく、 時には追いやられてしまうこともあります。

足には絶対の自信を持っていた子が、 学年が上がるに従ってライバルが出現してくることもあります。

いつも自分が遊びを引っ張っていったのに、 自分よりおもしろいことを考える子が出てくることだってあります。

年少さんの時、お母さんに字を教えてもらって、そのときはヒーローだったのに、

年長さんになったら、字の存在自体を知らなかったような子が興味を持ち、 一気に追い抜かれてしまうこともあります。

そんなときには自信をなくしたり、 その自己表現をすることがイヤになったり、 友だちとの関わり方が違ってきてしまうことにもなります。

でも、これらのことは、生きていく上で いつかは経験しなくてはいけいない事です。

むしろ、この幼児期に経験した方が乗り越えやすいものです。

そんなポジションの変化に戸惑っている子には、 回りの暖かいまなざしが必要だと思います。

「かけっこがいつも一番じゃなくても良いんだよ、 走る事って気持ちいいもんね、

字が書けること自体よりもそれによって素敵な絵本が読めるようになったよね、

いつも遊びの中心にいる事が大切じゃなく、お友達と遊べることが楽しいよね」

自信をなくしている子を否定するのではなく、 もっと広い価値観、素敵な生き方があることを気づかせていきたいものです。

集団におけるポジションの変化は、誰しも経験することです。

でも、それを経験することによって、他人の立場に気づくことが出来ます。

主役だけが光り輝いているのではなく、 回りにいる脇役の大切さも分かってきます。

そして、人生においては主役、脇役なんてものも本当は存在せず、

気持ちよく生きていく自分、 そして回りの人も気持ちよくさせる大切さ、

そんな自分の存在自体が大切なことだと気づいてきます。

そのような、お手伝いが、私たち保育者に求められていると思います。