子どもたちも段々と大きくなってきて生意気な口をきくようになった。
  
  つい最近まで一緒に寝ていて「父ちゃんの耳がないと眠れない〜」と言っていたショウゴが今では、高校3年生だ。
  
  ショウゴが6年生までは、一家五人でお風呂にも入っていた。
  
  もちろん、小さな風呂だったので一緒にお湯につかれるのは、3人までだ。
  
  そこに母ちゃんが無理矢理入ろうとするとお湯がすごい勢いで流れ出す。
  
  「これが母ちゃんの体積だ!」と子どもたちに教えてやると「ホ〜〜〜〜」と感心したものだ。
  
  次男のタカだって、この前まで寝る時には、指を吸いながら父ちゃんの肘の皮をつねって寝ていたのだ。
  
  そんな子どもたちが、生意気な口をきくようになり「父ちゃん・父ちゃん!」と呼んでいたのが、いつしか「アキ・アキ!」と呼ぶようになっていた。
  
  父ちゃんの名前は、“アキヒロ”なので、オジーが、父ちゃんのことを「や〜、アキ〜や〜」と呼んでいたり、
  
  大ババが「アキがまた金をせびりに来た」と言ってるのを聞いて、それを真似るようになって“父ちゃん→アキ”になってしまった。
  
  まぁ、父ちゃんだって自分の親のことを“オジー”とか“ツネちゃん”とか好き勝手に呼んでいるのでどんな呼ばれ方でも気にしない。
  
  もともとたいした親ではないので、これからも家族みんなで楽しく過ごせるだけで幸せな父ちゃんだったのだ。
  
  
