[人生って?]('07/9)

19年2月11日中部戦第1戦(天竜川)。
NBのタカの姿はなかったが、そこには気合い入りまくりのIBに上がったショウゴ
ヨイヨイの父ちゃんの姿があった。


IBには、65,80,NBの時に一緒に戦ってきたリョウスケやマッチャン、タイシ、
アグリ、テッペイたちが待っている。
(こいつらは特別昇格をしてどんどん先に行ってしまったヤツらだ)

ユウタやタカシ・トシキに至っては、もうりっぱなIAだ。
そして、一緒に上がってきた天才ヨッシーを始め、イワチャーやロウタ、リュウゴ・リュウジ兄弟と
IBには、オールスターが揃っている。
その他に「いったい何年やっているの?」といった若年寄から
父ちゃんのような本当の年寄りまでとよりどりみどりだ。


役者は揃った。
このIBクラスの上は、IAしかない。
IAに上がるためには、全日本で6位以内か中部戦でシリーズチャンピョンになるしかない。
全日本でランキング6位以内を取るヤツなんてはっきり言ってそこいらのIAより速い。
今の中部戦でランキング1位になってIAに上がるヤツだってとてつもなく速い。

父ちゃんがIBになった頃の中部では、全日本の予選を一回も通ったことがないような子が
年間チャンピョンになってIAに上がったこともあったくらいだった。(もちろんIAでは通用しなかった)
しかし、ここ数年の中部は、固定ゼッケンを持っているヤツだって何人もいるくらいレベルが上がってきた。

だいたいIAになるヤツなんて歴代の天才少年と言われてきたヤツらだ。
65時代のユウタの走りは、今でも目に焼き付いているし、タカシだって美杉の秘蔵っ子だった。
トシキに至っては、見るたびに速くなるスーパーサイヤ人だった。
そんなとてつもないヤツら以外は、いつまで経ってもIBなのだ。

そんなクラスにショウゴは来てしまったのだ。
若年寄や年寄りだってバカには出来ない。
この中には、全日本の予選を何回も通っているヤツらもいる。


はっきり言って、一部の遅いヤツら(父ちゃんとそのライバル達)を除けばみ〜んな速いのだ。
ショウゴよ、それがIBクラスというものなのだよ。
素人さんの集まりのNBや層が薄いNAとはワケが違うのだ。


NBが予選があるのは当たり前としてもIBさえもシリーズ当初は予選があるのが今の中部なのだ。
去年の天竜川では、あの“長野の怪人”だって予選落ちをして
本当のIBになって出直してくる!」と涙ながらに決勝の前に帰ったくらいだ。
ちなみに長野の怪人は、それまではIBクラスの決勝でもそこそこを走っていた。

そして、父ちゃんも今年、中部では生まれて初めて予選落ち(IB2クラス)をしてしまった。
それまで36歳でNBに復活して以来、中部戦で予選落ちをしたことがないのが唯一の自慢だったのだ。
(全日本前の近畿戦の名阪では、いつも予選落ちだが・・)
もう何も自慢出来るものがないというのは寂しいものだ。


ついにIB2のレースが始まった。
もちろん予選落ちした父ちゃんは、ショウゴの応援だ。
土曜日の練習を見ている限りでは、悪くても10位くらいは走れると感じていた。

ショウゴ自身もそれなりの手応えがあったようだった。

そしてスタート。
直後に右のヤツにぶつけられ左によろけた所を今度は、左のヤツにぶつかりヨロヨロしているショウゴ。
あっという間に後ろの集団に飲み込まれて、17,8位で第1コーナーを曲がっていった。
ショウゴよ、これがIBクラスのスタートだ。
今までのように甘くはないぞ。

しかし、あいつならここから這い上がってくるはずだ。
全日本でダブルチャンピョンを狙っているヨッシーが一番なのは当たり前だが、
トップグループだってみんなお前の同級生たちだぞ。がんばれ、ショウゴ!

IBのレースは20分もある。はっきり言って長い!
ショウゴ、イケー!と手を振って応援するが、いっこうに上がってこない。
数台抜いては数台抜かれて、いつしか単独走行になってしまった。
そして、14位でチェッカーだ。

最後は力尽きて前のオヤジ達の集団にさえ離される始末だった。

パドックに戻ればショウゴは、すでにジャージを脱いでハアハア言いながら座っていた。
「オレの走りはどうだった?」その声は弱々しかった。
その目は、すっかり負け犬の目にもなっている。
「悪くはなかったが、前の集団には追いつけると思っていたぞ」そう言うと
「IBは思ったより速かった。オレは、0番台のゼッケンを付けているのが恥ずかしかった
と思わぬ事を言い出した。


どうやらショウゴにとっては、0番台のゼッケンは、速い証だと思っているようだった。
確かに、前年度のランキング上位者が上のクラスでルーキーゼッケンとして0番台を付ける。
しかし、同じ0番台でもショウゴは08番。
たいしたものではないと思うのだが、ショウゴにとっては、そのゼッケンの重みに耐えかねているようだった。

「前の集団がどんどん離れていって一人で走っているといろいろと考えちゃって
最後には、人生を考えちゃったんだ」と言って落ち込んでいた。


う〜ん、分かるぞ、その気持ち。
自慢じゃないが、父ちゃんは、IBのなが〜いレースをするたびに人生を考えちゃうぞ。
「オレってホントにIB走ってて良いの?
もう引退して草レースで素人さんをいじめていた方がお似合いか??」


ショウゴよ、レースは、人生を考えさせるのだ。そして、ひとりの人間として成長していくのだよ。
その最終形が父ちゃんなのだよ。

どうだ、少しは見直したか?