[フランケン?]('08/5)
みんなは、「眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)」という病気を聞いた事があるだろうか?
簡単に言うと瞼が段々と垂れ下がってくる病気だ。
それを補おうとして目を開けるために、知らず知らず眉まで上げていると、
肩こりや腰痛、不眠に体がだるい等といろいろな症状が出る。
たまたまテレビでこの病気の特集を見た父ちゃんは、「これ俺じゃん!」とおもわず叫んでしまったぞ。
そう言えばここ数年「いつも疲れた顔をしていますね〜」と言われたり、
「昔はもうちょっと目があがっていたのに」と母ちゃんに指摘されたりした。
「顔が死んでいますね!」と言われた事さえ・・(笑)
しかし、毎日の仕事も忙しかったし、日曜日は、平日以上に忙しい(もちろん、バイク!)父ちゃんにとっては、
いつも疲れていて当たり前だったので気にもしていなかった。
でも、テレビでやっている眼瞼下垂症は、まさに父ちゃん。
さっそく、市民病院に行けば「そうですね、やっぱり眼瞼下垂症です」と若いお姉ちゃん医者が答えてくれた。
このお姉ちゃん医者、年が若いだけではなく、格好も若い。
もう今時のギャルって雰囲気だ。化粧だってすごい。目の周りが真っ黒だ。
そのでかい真っ黒な目を近づけて、父ちゃんの目を覗き込む。
ピンセットで父ちゃんのヨレヨレの瞼を「どこまで伸びるのかしら?」って感じで摘んで眺めている。
こんなに化粧をした女の人の目を間近に見るのも初めてだった。
「よくこんなに目の近くまで黒く塗れるな」とか「すごいマスカラだな」とほとほと感心してしまったぞ。
感心ばかりしていたら一週間後に手術、「2時間ぐらいで終わるので日帰りで帰れますよ」という事だった。
「こんな“こなきじじぃ”みたいな目が直るんだったらいいじゃない!」と母ちゃんも進めてくれた。
「また昔の父ちゃんに戻れるかもしれないからがんばって!」と少し不安げな父ちゃんを励ましてくれる。
「やっぱり、母ちゃんは父ちゃんを愛しているんだな」
父ちゃんは、手術に立ち向かう覚悟が出来た。
この世の中で“一番怖いのが注射針!”の父ちゃんにとって、まず麻酔がダメだ。
「麻酔は、メンタマに打つのかしら?」と母ちゃん。
「きっと注射針が、目の中に入ってくるのが見えるよ」とナホ。
二人は嬉しそうに話しながら笑っている。
その光景を思い出すだけでオシッコをチビリそうになる父ちゃんだった。
そして、手術。やっぱり麻酔は痛かった。
ただし、メンタマに打つのではなく、瞼に横から打っていた。でもでもでもでも、やっぱり痛かった。
余分な瞼の皮を切り取った父ちゃんの目は、パッチリしていた。
しかし、瞼は腫れ、傷跡には、糸が縫われていた。
これではどう見てもフランケンシュタインだ。
家に帰れば案の定「気持ちわる〜い」だの「出たな、フランケン!」だと口々に言う。
上等だ、フランケンで大いに結構!
開き直った父ちゃんは恐ろしい。
「おれはフランケンだ〜〜〜、ウヒョヒョヒョヒョ〜〜〜〜」
そう言いながら母ちゃんやナホを縫い合わさった目で家中追いかけ回す。
「ギャ〜〜〜、おしっこが漏れる〜〜〜〜」母ちゃんとナホが逃げまどいながら叫ぶ。
その姿がますます父ちゃんを燃え上がらせる。
あちこちで隠れては、「ワッ!」と脅かすのが快感になってきた。
父ちゃん一家では、夜な夜な悲鳴と怒号と父ちゃんの笑い声が響いていたのだった。
どんな顔か一回見てみたいって?
おしっこチビっても知らないぞ。
PS
一週間後に抜糸した。
まだ瞼が腫れていたが、そこにはパッチリとしたかわいい目があった。
その目には見覚えがあった。「あ、これは小学生の頃の目だ!」
あの頃の父ちゃんはかわいかった。
しかし、目は昔に戻ったが、顔の皺やタルミはそのままだった。
その顔を見て母ちゃんは言った。
「まるで年老いたチャーミング王子ね」(シュレック2を見てね)
上等じゃないか!今日から年老いたチャーミング王子で行くぜ!!
そう言う父ちゃんに「その目で見つめないで!!!」と逃げていく母ちゃんであった。
こなきじじぃもイヤだが、チャーミングもイヤだそうな。トホホ・・
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