[ヤマケン運動会だ〜!]('09/8)
 

 結局、大騒ぎしたあげくにいつものように何の成果もなかった関東大会。
帰り支度も終わり、トボトボと歩くみすぼらしい親子に声を掛けるIAライダーが・・。

「あの〜〜〜、すみません〜〜〜〜」
振り向けば、この頃調子が上がってきた大ちゃんだった。
「今度の〜土曜日に〜草レースを〜やるんで〜〜〜、よかったら〜来て〜下さい〜〜〜」
大ちゃんはバリバリのIAライダーのくせにオーラがない。

「今度の土曜日?俺はダメだ、ちょうど父母の会総会だ」と答えるとしょんぼりする大ちゃん。
「ショウゴくんも〜ダ〜メ〜ですか〜〜?」
大ちゃんが捨てられた子犬のような目で訴える。
その目力に負けたのか?「俺は出たい!」とショウゴ。

と言うことで急遽土曜日(4/25)の草レースにショウゴが出ることになった。
場所は、掛川の杉山ゲレンデ。
うーん、聞いたこともないコースだぞ。

聞けばこの草レース、あの山本堅市くん(通称:ヤマケン)が主催するレースのようだ。
山本君は、中部戦にもたまに出ていたら昔から顔だけは知っている。
風貌は、ちょっとコワメの親分って感じだ。
でも何にも分からないショウゴにコースの行き方などその後、詳しく教えてくれたようだった。

しかし、金曜日は大雨。(ヤマケンの普段の行いが悪いせいか?)
その時「レースを日曜日に延期する」というヤマケンからの電話があった。
こうなれば父ちゃんも出られるじゃん!
土曜日の父母の会総会を、いつものように夫婦漫才で何とかこなし、日曜日の早朝に杉山ゲレンデへGo!

山道をグイグイと登っていくと突然景色が開け駐車場が見えた。
すでに3〜40台の車が止まっていた。
やけに黄色いマシンが多い。中部のスズキ系IAライダーも何人かいた。

そのIAライダー達を手足のように使うヤマケン。
受付やらコース整備やらをIAライダーたちが一生懸命にやっている。
これはヤマケンの人柄か?人望なのか?
それともヤマケンの夢にみんなが乗っているのか?
はたまたヤマケン宗教の出現か?

みんなで水抜きやコース整備をしてくれたおかげで、あれほどの雨が降ったにも関わらず思ったよりグチャグチャでもなく、
午後からはベストコンディション!って感じだった。

なにしろ初めてのコースなのでこのトンチンカン親子には、スタート位置さえ分からない有様。
ジャンプの形やコースの荒れ具合で走る方向は分かるのだが、スタート位置らしき所から考えるとどう考えても逆走??
分からないことだらけで受付に行けば、ヤマケンと大ちゃんが笑顔で迎えてくれた。

どんなクラスがあるかも分からないので「一応、二人ともIBです」と言えば「それじゃ、プロクラスで走って下さい」とさらりと言う。
「え、え?プロクラス??二人とも素人さんよりは速いって程度ですけど・・、特に私は見ての通りの年寄りで・・
「いや〜大丈夫ですよ、IAだって遊びで走りますし・・」
「え、え、IAと一緒に走るの?IAバリバリの大ちゃんやタカシもいるのに・・、
IAって人種は、いくら遊びのレースと言っても走り出せば野獣になってしまうからIAまで上り詰めた人種なのに・・」と落ち込むばかり。

「このビギナークラスってのではダメですか?」となおも粘る父ちゃん。
「こちらは、ライセンスを持っていない人のクラスなんで・・」と困る受付の人。
ここで「俺は、プロクラスで走る!」と身の程もわきまえないショウゴが宣言してしまったので、仕方なく父ちゃんもプロクラスにエントリー。

ホント、若いって事は、無知で無謀なものだ。
右も左も分からないコースで、10分程度練習走行して(それも初めはグチャグチャに近い路面)いきなりIAとレースだぜ。
もう、生きて帰れるかどうかも分からない・・。
しかし、いつの時代もこの若者の無知や無謀さが世の中変えていく時には必要なんだよな〜、明治維新だってそうだったし・・。
「よし、ショウゴよ、死んでこい!でも父ちゃんは安全運転でいくからな・・」

ここで初めてスタート直後は、コースの四分の一ほどを逆走することが分かった。
まだツルツルと滑るコースを歩いていけば、ジャンプもテーブルトップが多くて2連も二つ目が尖ってなく、そんなに危なくもない。
しかし、“危なくない”ということと“飛べる”ということは違う。
なんたって初めてだから、この助走距離でどのくらい距離が出るかさえも分からない。

そして、練習走行。
やっぱりコースを覚えるので精一杯で、2連どころかテーブルトップさえ飛べない有様。
あの受付の時にもっと粘ってせめてナショナルクラスにしてもらえれば良かった!と後悔しても後の祭り・・。

「お前はどうだった?」とショウゴに聞けば、「コース後半のステップアップの2連だけ飛べなかった」って返事。
え、ホント??ってことは、後のジャンプは全部飛べたって事?
絶対にビビって「やっぱりナショナルクラスにしよう!」って泣きついてくると思っていたのに。
お前も大きくなったな〜。

そして、ヒート1。
「クラッチスタートが良いですか、ヘルメットスタート?ブーツを履いてからスタートでも良いですよ〜」とヤマケンが茶目っ気たっぷりに言う。
IAやIBからも笑いがこぼれる。
全日本の野獣たちが雄叫びを上げているスタートも良いが、こんなのんびりまったりとしたスタートも良いものだ。
「キックスタートが良い!」って誰かが言ったら、その通りになってしまった。

でも、このキックスタート。実は、エンデューロでは、そこそこやるスタートなのだ。
父ちゃんもその昔、何回かやっている。
IAは、こんなスタートはやったことがないはずだからスタートだけでも勝っちゃおうかな〜と変な欲も出てきたぞ。

そしてスタート。ヤマケンが旗を振ったとたんにロケットスタートだ〜。
案の定、何台かのIAは、スタートで出遅れた。
一番は、それでもやっぱり大ちゃんだ。二番手にショウゴ!
スタートを頑張った父ちゃんだが、あっという間にみんなに抜かれていく。

コース幅も狭く、まだラインも限られているのでショウゴは、IAライダー達に突かれまくっている。
特に小さな時から一緒に走っていたタカシには、毎コーナーでヒャヒャー言われている。
ショウゴなりには頑張ったが、やはり最終的には、他のIBライダーにも抜かれてしまった。

午後からの第二ヒートは、路面状態も良く結構楽しめた。
ボランティアで旗振りをやってくれている人たちが、こんな老いぼれオヤジにも熱い応援をしてくれた。
ありがとう!

帰り支度をしていると「じゃんけん大会をやります!」というヤマケンの放送が聞こえた。
「一人二点ぐらいは商品がありますから是非来てくださ〜い!」と言っている。
見れば確かに商品の数が凄い!
ヤマケンがその人望からか、はたまた奪い取ってきたのか?スポンサーからの商品やIAライダーが使った品物がびっしり。

じゃんけん大会が始まれば、
キッズのガキ達がコジタクのサイン入りグローブやジャージを次々と持って行くものだから益々ヒートアップ。
何回やってもすぐ負ける父ちゃんにショウゴが一言。「ヤマケンのじゃんけんの出し方には法則がある!」
へ?何にも考えずに本能で戦っている父ちゃんには???
よく見れば法則らしきモノもあるが、法則と言うよりクセのようなものだ。
でも、勝つ確率は高くなって、ショウゴはその法則?でゴーグルをゲット。
父ちゃんも中山裕くんの上下のライディングウェアーをゲットしたぞ。

「次はアゴダシだ〜」と叫ぶヤマケン。
アゴダシ?何のこと??
キョトンとしている二人を尻目に「うぉ〜アゴダシだ〜〜〜!」と盛り上がるライダー達。

良く聞けば、トビウオ(アゴ)で作ったダシのようだった。
それも一箱ではなく、バラの小袋でばらまいている。
なんでこんなモノでそんなに盛り上がるの?やはりヤマケン宗教か?
ダシの小袋を手に「これで味噌汁を作ってもらおう」とニヤニヤしているライダーもいる。

そんなこんなで最後まで盛り上がったヤマケン運動会だった。
家に帰って中山君の上下のライディングウェアーをよく見れば、モトクロスパンツも膝の部分が破れ、ジャージも至る所が傷んでいた。
やはりIAライダーというものは凄い練習量だな〜と感心し、そんな一品一品をIAライダー達からかき集めてきたヤマケンの人柄にも感服した。

こんな草レースだが、開催するためには、ヤマケンを始め多くの人たちの汗が流されているだろう。
何より少しでもモトクロスを楽しんでもらおう!というヤマケン達の熱い気持ちが伝わってきたぞ。
みんな、ありがとう〜!

不況も重なって益々ジリ貧なモトクロス界。
でも、そんな中でもライダー達はいろいろと頑張っている。
この頃は修行僧のような風貌になってきた友也くんが選手会長をやっている選手会もサイン会やカレンダーを作って頑張っている。
(友也君、頑張れ!)
コースの下見の時に捨てレンズやゴミ拾いをしているIAライダーだっている。
レディースだっていろいろなことをしている。フリースタイルの連中だって、モトクロスを愛している。

モトクロスに関わっている一人一人が、自分の出来ることを真剣に考える時期に来ていると思う。
ライダー達も頑張っている。
さぁ、次は、MFJやレース関係者の番だぞ。

と言うことで次回は、モトクロスをもっとメジャーなスポーツにするための緊急提言だ〜〜〜!