[中部最終戦だ〜!]('09/11,4)
 

 10月18日、ついに今年の中部選手権も最終戦(第11戦:オフロードランド美杉)になってしまった。
昨年は、怪我でまともに走れなかったので、今年こそは!と頑張った(つもり・・)。
でも、現実は厳しくて、元々苦手だったジャンプは、ジャンプ恐怖症(ほとんどトラウマか?)となり、
なまった体は、戻るどころか母ちゃんのようにブヨブヨになり(でも母ちゃんの体はプヨプヨしていて触ると気持ちいい・・)
加速度的に遅くなる自分にびっくりするばかりだった。

レース前日の練習では、NBクラスに追いかけられまくるという悲惨な状態にも関わらず、
美杉三兄弟を前にして「俺ってまだまだ速くなれる気がするんだ!」と言ってしまい、「ホ〜〜〜〜〜!」とびっくりされる始末。
でも、練習していると「まだ上手くなれる!」って錯覚に陥ってしまうのも父ちゃんの凄いところだな。

美杉のコースは、山砂を全面的に入れ直した上に、明け方に雨が降って超ベストコンディション!
「こうなりゃ、やるしかないっしょ!」と気合い十分の父ちゃんとショウゴ、
そして、何故か「お〜、ついに俺は帰ってきだぞ〜!」とハイテンションのタカがいた。

タカは、今年IBに昇格したのにも関わらず、母ちゃんの“バイク禁止令”のおかげででIB初レースだ。
ちょうど金曜日に定期試験が終わるということだったので
「タカも試験が終わった後くらいは、のんびりさせてやろうよ」という父ちゃんの提案を母ちゃんが受け入れてくれてノコノコと着いてきたのだ。

タカ、ブレーキはどこか覚えてるか?」と聞くと「俺を誰だと思っている、昨日の練習で完全に戻ったぜ!」と自信満々のタカ。
お〜、イメージトレーニングのしすぎで現実と夢との区別がまだ付いていない。可哀想なタカ・・。
この性格は、いったい誰に似たんだ??
あんたに決まってんでしょ〜〜ってんでしょ〜〜ってんでしょ〜〜!!!!
と美杉の山々にこだまする母ちゃんの声が聞こえる?気がする・・・・。
いかんいかん、仕事のしすぎで幻聴が聞こえる・・。

そんなタカに父ちゃんとショウゴが言う。
「もう、お前のことは、みんな覚えてないだろうな〜」「あんた誰?」って言われるぞ。
「そんなはずはない、みんなも温かく迎えてくれるはずだ!」と言い張るタカ。しかし、その目は泳いでいた・・。哀れなタカ・・

パドックを見渡せば、最終戦にも関わらず、駐車場に停まっている車がやけに少ない。
やはり、トヨタショックと言われた不況の波は、この中部地方には大きかった。
受付をしてみれば、IBクラスで10台、NBクラスでさえ何とか予選がある程度のようだ。

でも、コースコンディションは最高!父ちゃん一家として初めてIBクラスに3台が揃ったということもあり、朝からハイテンション一家であった。
といっても、父ちゃんは、IB2クラスだけのエントリー(だって疲れるんだもん)
タカもIBオープンだけのエントリー(初レースなので20分走れるかどうかも分からないから)なので、今回は3台同じクラスで走ることはないのだ。

受付でライセンスを出すとそれを見た美杉次男が「ライセンス番号が04番台で始まるのは初めて見ましたよ、僕でも05番台ですよ!
実際にレースに出ている人でこの番号の人は、全国でもそうはいないんじゃないですか?」と驚いている。
そう言えば48歳の父ちゃんが、25,6年前にとったライセンス番号は、「041004」、
美杉次男とだって一緒にレースで走っていたこともあるはずだぞ。でも、美杉次男は、大昔に引退しているが・・。

コースの下見をしていると知り合いのオヤジから「あれ、タカ君は、もうレース止めたと思っとったで!」と声を掛けられ落ち込むタカ。
「覚えていてくれただけでも良いじゃん!」と慰めるショウゴ。
「こいつ、もうクラッチがどこにあるかも忘れてますよ!」と父ちゃんが追い打ちを掛ける。

ブリーフィング(ライダースミーティング)で、「AZhouseさんよりホールショット賞が出ます!」と説明があれば、「うぉ〜!」という歓声が上がる。
今回、IBオープンに450でエントリーしているショウゴの細い眼も光ったぞ。
父ちゃんも第1コーナーまでなら勝つ可能性があるかも?と燃えてきた。
その横で何故か小さくガッツボーズをとるタカ。どういう性格をしているんだ?

まずは、練習走行。
いよいよタカのIBデビューだ。中部の野獣どもの中にいるとなんて貧弱なわが息子達。
しかし、ショウゴは、第1コーナーを見つめて何やらニタニタしているし、タカもやけにニコニコしている。
「タカ、お前の練習走行の目標は、完走することだぞ、みんなのペースに無理してついて行くなよ」と言えば、
「リョウスケくんやアグリくん、ロウタくんと一緒に走れるんだ〜〜」と喜んでいる。

この辺はやっぱり次男だな、自分のおかれている状況が理解できていない。
お前の回りは、固定ゼッケン組と全日本予選突破組ばかりだぞ。
残りの二人のオヤジ(といっても父ちゃんより10歳以上若いので若年寄か?)も時にショウゴを追い回すほどの実力者だ。

そんな状況でも「ホールショット賞、狙っちゃおうかな〜」とニヤけているタカに、すでに第1コーナーをトップで回るイメージをしているショウゴ。
父ちゃんも負けてはおられん!第1コーナーまでで全精力を使い果たす覚悟だぞ。
父ちゃん一家は、すっかり戦闘モードだ!!!もう誰も止めることは出来ないぞ〜〜〜〜〜!

そんな“夢見る夢子ちゃん”状態の父ちゃん一家に近づく黒い影が・・
見れば赤黒く日焼けした美杉次男だった。なんか会うたびに赤黒くなってるぞ!
自分の店の日焼けマシンで毎晩寝ているのか?

そんな赤黒い顔で「ついにIBクラスに3台集まりましたね〜」とニヤニヤしながら言っている。
「今年は、初めてだが来年からは毎戦こうですよ」と答えれば
え〜、父ちゃん来年も走るんですか?これが見納めだと思って目に焼き付けておこうと思ったのに〜」と言い放つ。
こいつ、脳みそまで日焼けしてんのか?と思いつつ練習走行。

まずは、ロウタがウィリーしながら第1コーナーに向かう。(ロウタも直前の全日本で両クラス予選突破していた)
その後をタイチが追う。(後半メキメキと実力を発揮しだしたタイチは、全日本最終戦ではついに9位に入ったぞ)
ショウゴが、しゃにむにその後を追う。もう、全開じゃん!大丈夫か?
案の定、父ちゃんとタカは、仲良くビリをランデブ〜走行だ。
練習走行が終われば「力が入りすぎて腕がガチガチだ〜」と言うタカ。タカよ、それが現実というものだよ。

IB2のレース。
イン側グリッドにスタート位置を決める父ちゃんとショウゴ。(タカは、IBオープンのみ)
土ならいざ知らず、このコンクリートスタートでは、ショウゴに負ける気がしない。

そしてスタート。
やっぱりショウゴより前に出られたぞ。でも、みんなの方が遙かに良いスタートだった。
第1コーナーが近づいていた。
全日本ばりの凄い勢いでみんなが突っ込んでいく。(マジでホールショット賞、狙ってんじゃん!)
たまらず父ちゃんがブレーキ。その横をこれまた凄い勢いでショウゴが抜いていく。
ロウタとリョウスケが頭ひとつ出た!と思った瞬間、リョウスケのリヤが流れてスリップダウン。
コーナー出口でくるくる回っているリョウスケをみんなは上手く避けていく。さよなら〜、リョウスケ〜〜〜
ホールショット賞は、ロウタか!

くるくる回っているリョウスケを横目に第2コーナーにウリャリャリャリャ〜〜〜!突っ込む父ちゃん。
でも、あっという間にベリ。(注:リョウスケを除く)
前2台の若年寄コンビに付いていこうとワイドオープン。
2周目くらいまでは何とか付いていけたが、少しずつ離れていく。

そうこうしているうちにリズムセクションのジャンプに引っかかりコースアウト。
このミスを取り戻そうと益々アクセルを開ければ、次のコーナーをオーバーランしそうになりラインを外してしまった。
ウリャリャリャリャ〜〜〜!と無理矢理曲がり、アクセル全開でストレートに向かえば目の前に大きな石がゴロリ
あれ?こんな所に石なんかあったっけ???

アクセル全開の父ちゃんにはもう避ける術がなかった。
前輪にヒットしたと思った瞬間、バイクが45°くらいに傾いて真っ直ぐ進んでいる。
うぉ〜〜〜、ストレートでババ・スクラブじゃん!

ジャンプで片手も離せない父ちゃんは、もちろんパニックだ。
そして、2年前に鎖骨を折った左肩から地面に叩きつけられた。
「折れた!」って思うほど痛かったぞ。
でも、山砂を入れておいてくれたおかげで、骨折だけは免れた。美杉三兄弟のオヤジ、ありがとう!!!

肩を押さえてコース脇にうずくまっているとすぐにオフィシャルが来てくれた。
どうします、リタイヤしますか?
うん」、と力なく頷く父ちゃん。
こうして、父ちゃんの’09年最終戦は終わった・・・。あ〜なんか悲しい・・・・。
ショウゴは、あのメンツの中をよく頑張って5位だった。

午後には、IBオープン。
そこにはやっと自分の立場がうすうす分かってきたタカとみょうに浮かれたショウゴがいた。
アウト側にスタート位置をとったショウゴの両隣は、リョウスケとロウタ。
「すげ!450じゃん!!」「本気でホールショット賞、狙ってんじゃん!」と冷やかされているにも関わらず
「スタートだけは負けん!」と生真面目に答えるショウゴ。(こいつ、社会に出てから苦労するな〜)

タカに「このレースの目標は完走することだぞ、間違っても転倒して怪我するなよ!」と言えば「うん」と素直に頷く。
こいつ緊張している?
こんな能天気な次男でさえも、やはりこのメンバーでのIB初レースは緊張するんだ!

そして、スタート。
ショウゴは、なかなか良いスタートを切ったが、相手が悪い。
450パワーを出す前に両脇にラインをふさがれた。
しかし、頑張って第1コーナーを3位で通過だぞ!
ホールショットは、またロウタだ!

タカを見れば、一人遅れて付いていく。
その後ろ姿に「タカ〜〜!転倒だけはするなよ〜〜〜」と叫ぶ父ちゃん。
もし、お前が怪我でもしようものなら母ちゃんにどれほど罵詈雑言を浴びせられて罵倒されることか!
お〜考えただけで身震いがする〜〜〜〜〜
「タカ〜、安全運転だぞ〜〜〜〜!」

そんな父ちゃんの心配をよそにタカが、若年寄の一角を抜こうとしている。
バカ、無理をするな!お前の今日の目標は、完走することだぞ!安全運転だぞ〜〜!!
そんな父ちゃんの心配をよそにインからアウトからとコースを変えて抜きにかかるタカ。

突然「もし、タカが怪我したら承知しないわよ〜〜しないわよ〜〜しないわよ〜〜!!!!
と美杉の山々にこだまする母ちゃんの声が聞こえる?気がする・・・・。
おもわず頭を抱える父ちゃん。

ますます調子に乗って攻めまくるタカ。
じぃさまが仏壇を拝むように手を合わせる父ちゃん。
承知しないわよ〜〜しないわよ〜〜しないわよ〜〜!!!!」とこだまする母ちゃんの幻聴。

そんな時、タカがついに若年寄を抜いた。
若年寄を従えてストレートに戻ってくるタカ。
タカ、いけ〜〜〜〜!
さっきまで拝んでいた手が不思議とグルグル回っていた。
母ちゃんなんか怖くないぞ〜〜〜〜。
いけ〜〜、タカ〜〜〜〜!
こうなったら、もう一人の若年寄も抜いてやれ〜〜〜〜!

しかし、先ほどの勢いはどこへ行ったのか?あきらかにタカのペースが落ちている。
これでは、せっかく抜いた若年寄にも追いつかれるぞ!
でも、よく見ればその若年寄もヘロヘロだ。
やはりいくら父ちゃんより11歳若いと言ってもIB20分間のレースを2ヒートは大変なんだ!
来年度は、IBオープンだけのエントリーにして、ヘロヘロになっている若年寄達を抜こうか?とせこいことを考える父ちゃん。

そんなヘロヘロ軍団をトップのリョウスケがラップしていく。
ショウゴは、あきらかにショウゴより速いアグリくんと5位争いをずっとしている。
インを抑えるショウゴ。何度か抜きにかかるアグリくん。
ショウゴ〜〜、タカ〜〜〜頑張れ〜〜〜!
もう母ちゃんの幻聴も聞こえないぞ〜!俺は母ちゃんに勝ったぞ〜〜〜!!!

そして、ゴール。
ショウゴは、最後までアグリくんを抑えて5位だった。
タカは、ヘロヘロのパ〜になりながらも若年寄を抑えて9位でゴールだった。

フラフラとゴールするタカに「よう頑張ったな!」と言えば
20分がこんなに長いとは思わなかった、もう永遠に続くかと思った!」とハァハァしながら答える。
それを聞いていた大地くんが笑顔で近づいてきて「オレもIB初レースはそうだったよ」とタカをねぎらってくれる。

この大地くん、NB時代からのタカのライバルだ(といってもNBの頃はタカの方が速かった)が
タカより遙かに速くなってしまったNA後半にラムソンジャンプで吹っ飛んで怪我をしてしまい、
IBクラスは途中からのエントリーになっていた。

二人で笑いながら話している姿を見るとタカやショウゴも学校以外でもこんなに良いライバルや友だちが出来て幸せだな〜って思ったぞ。
今年もいろいろなことがあった中部戦だが、最後まで気持ちよく走れたのが何よりの成果だな。
みんな、ありがと〜〜〜

わいわいと今日のレースをふり返りながら帰っているとタカが急に「あ、オレ、宿題するの忘れていた!」と叫ぶ。
「なんちゅう、バカタレだ!」と父ちゃんも叫ぶ。
ショウゴは山を見ながら歌っている。
急に「承知しないわよ〜〜しないわよ〜〜しないわよ〜〜!!!!」と母ちゃんの声がこだまする。
おもわず「母ちゃん、ごめんなさい!」と叫んでしまう父ちゃんだったのだ。

こうして、今年の中部戦が幕を閉じたのだった。
さぁ、来週はいよいよ全日本最終戦(SUGO)だ!がんばるぞ〜〜〜〜〜!

PS

父ちゃんが心配したとおり、先日あった模試が散々だったタカ。
いいかタカ、「母ちゃんの怒りは大地の怒り」だぞ!
父ちゃんは、母ちゃんの怒りの矛先が、いつ父ちゃんに飛び火するのかと心底心配してんだ。
タカ頼んだぞ。
怒られるのは、お前だけにしてくれな!