[半クラ!]('10/1.9)
 

 ショウゴが、ついに車の免許を取った。(もちろんオートマ限定ではない)
今回は、その時の教習所での話しだ。

教習所から帰ってきたショウゴが聞いてきた。
「なぁ、じぃさま、教官が、クラッチを繋ぐ時には、一度踏み込んでから半クラにしろって怒るんだけど、何で、いきなり半クラにしちゃいけないの?
聞けば、ショウゴは、いつもチェンジをする時にクラッチをいきなり半クラの位置に持っていき、チェンジをしていたと言うことだった。
それを注意されたというわけだ。
「わざわざ、踏み込まなくたって半クラの位置ぐらいすぐ分かるのに?」と訝しがるショウゴ。

そりゃそうだよな〜、クラッチ付きの乗り物に初めて乗る一般の人と違って、
こいつらは、クラッチの構造なんか分からない頃から、半クラをバンバン使って、あんなピーキーな60に乗っていたもんな〜。
ショウゴだって、確か5,6才でkx60に乗っていたから、今までで何万回、いや何十万回と半クラを使ったか分からない。
半クラの位置なんか、エンジンのトルクの出方や振動ですぐに分かるだろう。

「まぁ、車の場合は、クラッチを切ってからの方が入れやすいし、繋がり方も分かりやすいんだ」と説明しておいたが、「ふ〜ん」と首をかしげていた。
と言ってもショウゴがクラッチ付きの車に乗る事なんてそうはないだろう。
父ちゃん家にある車だってすべてオートマだし、かろうじてジイちゃんの軽トラがマニュアル車だけだしな。
(そういえば、その昔、ホンダのワークスマシンにオートマモトクロッサーというのがあったぞ!)

無事に免許を取ったら取ったで今度は、事故が心配だ。
ショウゴは、高校時代の自転車通学で3回も車に轢かれたが、今度は加害者になる確率の方が大きい。
子どもはいつになっても心配なものなのだ。
そんな話をすると「あの時は、急に飛びだしてきた車の方が悪い、オレは、吹き飛びながらもちゃんと受け身を取って無傷だったんだ!」と胸を張る。
「お前は無傷でも自転車はフレームが曲がってしまい買い換えたんだ!バカタレ!」と怒れば
「車のじぃさんがアタフタして可哀想だったんで、警察を呼ばなかったんだ!」と反論する。

「お前が運転を始めたら、こんな間抜けな高校生ばかりではないから気をつけろよ」と言えば
「オレは大丈夫だ、いつも安全運転だから」と言う。
そう言えば、ショウゴの運転を見ていると確かにチョー安全運転なのだ。
父ちゃんが免許取った頃を思い出しても段違いに安全運転だ。さすがは神経質で根性なしの長男だぞ。
これなら自転車を引っかける可能性も少ないだろうな?
(よく考えてみれば、ショウゴは、レースでも安全運転だ!

そして、全日本。
SUGOに向かって車を走らせているとショウゴが「東名高速は、オレが運転するからじぃさまは、寝ていろ」と言う。
「バカ野郎!お前はライダーなんだから予選を通ることだけを考えていればいいんだ、早く寝ろ!」と格好良く答える父ちゃん。
「じぃさまだって一応ライダーだろ?」と言ってくれると思ったが、
「そうか、じゃ寝るわ、オレは予選を通らなければならないからな」と細い眼をキラリとさせてベットに潜り込んでいった。

父ちゃんも予選を走るライダーだと言うことをすっかり忘れているショウゴだが仕方がない。
本当は、ショウゴのことよりも自分の予選落ちの言い訳が無くなることの方が心配なのだ。
父ちゃんは、不甲斐ない走りしかできない時のために
「ずっと運転していたから寝不足で仕方なかったんだ」とか
「エンジンの調子が悪かったとか、タイヤが新品だったらスタートで出られたのに・・」といつもちゃんと言い訳を用意してからレースに臨む。
ショウゴに運転なんてしてもらったら父ちゃんの大切な言い訳がひとつ無くなってしまうではないか!

ショウゴよ、父ちゃんはお前が考えているよりずっとずっといろいろなことを考えている偉大なライダーなのだよ。

PS1
細い眼をキラリとさせたショウゴだったが、やっぱりこの時の全日本も予選落ちだった。

PS2
この前のレースでは、あまりに疲れていたからショウゴに30分だけ東名高速を運転してもらった。
しかし、寝るどころかショウゴの運転が気になって仕方がない。
ホント、自分が運転するより疲れてしまった父ちゃんだったのだ。