[祝:優勝!]('10/4.13)
三ヶ月ぶりの更新です。
毎年の事ながら、やっぱり年度末・年度初めは、死ぬほど忙しいです。
今年は、毎日がほとんど綱渡り状態。
そのあげくに保育協会会長をもう1期も(2年間)やるはめに!
すべてが衰えていく父ちゃん、こんな状態で来年は、大丈夫か?
ということで、話は、昨年まで戻ります。
’09シーズンも終わった11月。
父ちゃんとショウゴは、いなべカップデューロ第3戦(全4戦)に出た。
一昨年(’08)の第4戦(最終戦)に軽い気持ちで出たあげくにコテンパンにやっつけられたリベンジの気持ちもあった。
この時は、ショウゴもIB2年目を中部選手権ランキング4位で終わり(といっても全戦でポイントをセコセコと稼いだだけだが・・)
鎖骨骨折からの病み上がりとはいえ、その昔はこの中部地方のエンデューロ界でブイブイ言わせた(と本人は思い込んでいる)
父ちゃんとの組み合わせだった。
スピードならエンデューロライダーに負けるわけもなく、ショウゴの経験不足をこの経験だけは豊富な父ちゃんが補えば、
悪くても3位、順当なら優勝でしょう!とレース前から祝杯を挙げていたくらいだった。
そんな浮かれている親子を見て母ちゃんは言った。
「あんたらモトクロスで勝てないものだから、エンデューロに逃げてんじゃないの?」
下心を見透かされてドキッ!っとした父ちゃんだったが
「いやいや、ショウゴだってエンデューロに学ぶこともあるんですよ!シーズンオフだからこそ、いろいろなものに挑戦しないとね」
とオロオロしながら答えたのだった。
そして、’08年11月。
ウキウキしながらバイクを降ろす父ちゃんの目に飛び込んできたのは、IAライダーの谷くん(イナベの守護神)。
今日は、谷くんがマーシャルやるの?
その横には、IBライダーのダイキ(全日本の名阪では、予選を1位通過したこともある!)がいる。
あれ?
急いでエントリーリストを見れば、ゼッケン30番でエントリーしてんじゃん!それも三人で!!
3時間だから一人一時間ってこと?
もう一人の若者も顔に“速いぜ!”って書いてあるじゃん!
(注:父ちゃんくらいになると、顔を見ただけで速さが分かる!単にビビっていただけかもしれないが・・)
この状況をショウゴに説明すれば「3時間もあるから何が起こるか分からん!最低でも2位を狙うぜ!!」と意気込んでいる。
結局、この時は、意気込みだけで終わり、ショウゴは、奥のエンデューロコースで転倒を繰り返し、
父ちゃんに至っては、エンデューロコースでもモトクロスコースでも上位陣に着いていけず、6位という結果だった。
もちろん、優勝は、ゼッケン30番の谷くんチーム。父ちゃん達とは、5週も差があった。
その後はエンデューロライダーのチームがずらり。
意気消沈して帰る身の程知らずなトンチンカン親子。
「エンデューロライダーも速かったな」と言えば、
「いや、奥のエンデューロコースは、着いていくのが精一杯だったが、モトクロスコースは俺の方が速かった!」と答えるショウゴ。
「いくらモトクロスコースが速くても3時間をコンスタントに走れないと勝てないぞ、転倒しているようではダメだ!」
と冷静に分析する父ちゃん。
「来年ならダイキにも勝てる気がする、アイツそんなに練習してないし・・、もう一回出よう!」
ショウゴよ、そこまで言うなら来年こそリベンジだ!
ということで’09年11月がやってきた。
だから今回は気合いが違う。
中部戦のように土曜日の深夜には、コース入りして寝ながら朝を待つ。
6時に起きてパンをかじりながら二人でコースの下見までしてしまったぞ。
モトクロスコースの方は、いつも中部戦で走っているので荒れ方まで分かる。
問題は、奥のエンデューロコースだ。
やはり、去年とはコースが違っていて、アップダウン有り!ガレ場というよりは岩むき出しの区間有り!
木の根っこが入り組んでいるようなところ有り!
という感じで難しくなっている。
そんな難所をラインを探りながら何速でいけるか?と話し合いながら、ひとつひとつの攻略法を考えていった。
特にタイム差が出そうなのが、あの岩場だ。
岩がむき出しなのでとにかく滑る!こんなところで転倒でもしたら、痛いし、滑り落ちるし、とロクな事はない。
「慎重にクリアすべきだ」という父ちゃんに「下の岩をジャンプ台にして飛びだせば、真ん中まで行ける!」と主張するショウゴ。
確かにいけそうだが、着地点が滑りやすい岩場。
「9回上手くいっても1回でも転けたらタイムロスの方が大きいぞ、ましてや下が硬い岩なので、クラッチでも折れたら大変だ!」
この経験だけは豊富な父ちゃんの言うことを聞けい!
渋々と安全策を取ることになったショウゴが、何回も岩を上り下りして下見をしている。
こりゃ、全日本の時より真剣じゃん!
しばらくすると、他のライダー達も下見にやってきた。
エンデューロコースは、ラインどりで決まる!といっても過言ではない。
他のライダーに父ちゃんの秘密のラインを知られては!と急いで切り上げた。
帰りながら後ろをふり返るとあるライダーがコースの中の土手を見ている。
あれ、あんなとこ走るところじゃないのに?
受付を済ましてエントリー用紙を見れば、今年は、谷くんやダイキは出ていなかった。
(内心ほっとする父ちゃん、やはり出るのは最終戦か?)
それを聞いて悔しがるショウゴ。
こいつ、本気で谷くんやダイキに着いていこうと考えていたの?(ちょっと頭が悪いんとちゃう?)
そして、15分の練習走行が始まった。
まずは、父ちゃんが経験を生かして、コース攻略法を考える役目だ。
やはりあの岩場はヤバイ!
木の根っこが出ているところも実際に走ってみると思った以上にラインどりが難しかった。
何カ所かの注意点をショウゴに伝えて交代。
あっという間に練習走行が終わってしまった。
でも、しっかりとマークするライダーのチェックは出来たぞ!
(フープスでも何人かは良い走りをしていた!元IBクラスが何人かいたぞ)
「ショウゴ、練習走行は、どうだった?」と聞けば「土手の上からバイクが降ってきた!」と答える。
へ??
ショウゴが説明する。
どこかに土手に上るラインがある。ほんのちょっとのショートカットだけど、上手くいけば前のライダーを抜ける。
俺もそこで抜かれてしまった。
パドックに帰ってガソリンを補給。
気になっていたラジエター液を見れば、やはりだいぶ減っている。
そういえばワンシーズンを戦ったこの父ちゃん使用’07CRF、
このエンデューロのレースが終わってからオーバーホールしようと考えていたので、もうあちこちがボロボロ。
「15分でこの減り方では、30分も走ればオーバーヒートでエンジンが止まるだろう!」と冷静に判断する父ちゃん。
その横で「どうすんだよ!」とショウゴが本気で怒っている。
「背もちっちゃいが、人間もちっちゃいの〜!」と言えば、「レースに出るのに何で整備しないんだ!」と怒り狂う。
「そんな人任せなお前が情けないわい!」
レースが始まる前からヒートアップするトンチンカン親子。
この騒動を聞きつけて何人かのオヤジ達が寄ってきた。
「レース前からやたら燃え上がっている人がいると思えば、やっぱり中島さんじゃないですか?」
へ?
顔を見れば見覚えがある。
ハゲていたり、白髪頭になっていたり、腹が出ていたりしているが、
エンデューロでブイブイ言わせていた頃(と本人は思い込んでいる)に
一緒に走っていたオヤジたちだった。
(当時は、まだこんなにオヤジではなかったはずだが・・、と言っても、父ちゃんも今では立派な、しわくちゃオヤジだ!)
「久しぶりですね〜」といっきに同窓会が始まってしまったぞ。
「私なんかもう50才を超えちゃいましたよ」と言うオヤジがいたり
「もう髪の毛ありませんわ」と言うオヤジがいたりと一気に和気あいあいモードに・・。
「息子さん大きくなったな〜、あの頃はまだ三輪車に乗っていたのに〜」とハゲオヤジ。
「え〜大きくはなったんですが、ラジエター液が抜けるぐらいで怒ってんですよ、小さい男に成長しましたわ、ハッハッハ〜」
と答える父ちゃん。
「いいじゃないですか、現役IB同士の親子チームなんですから、このぐらいのハンデがあった方がいいですよ!」
と大昔のIBオヤジが言う。
お〜、モトクロス界では、キワモノ扱いの父ちゃんもエンデューロ界では、まだまだ認めてもらえている?
なんか気持ちが良いぞ!!!!!!!!!
すっかり気をよくした父ちゃんは、「大丈夫、ライダー交代ごとにラジエター液を補充すればいい!」
とショウゴの背中をポンと叩いてスタート位置に向かわせた。
ここのエンデューロは、モトクロスのような一列スタート。
ただし、スタートバーは使わないので、旗が振られる前に微妙にみんながジリジリと前に出て行く。
昨年は、この心理戦にショウゴが負けて、スタートで出遅れたあげくに隣と接触して転倒。
ベリからのスタートになってしまったというおまけ付きだった。
その上、コース幅が狭いエンデューロコースで無理な追い上げをして、転倒しまくったんだよな〜。
ホント小さな男だわい!
その経験を生かしてか?「今年は、不利な一番アウトからスタートする、6位以内で第一コーナーさえ回れれば、
狭いエンデューロコースに入る前に一番になれる!」とショウゴ。
「よし、行ってこい!」
さっきまでの醜い言い争いから立ち直り、すっかり前向き親子に変身だぞ。
そして、スタート!
確かにアウトは不利だったが、ゴチャゴチャした第1コーナーに巻き込まれずにショウゴは、3位で通過。
よし!
フープスで1台抜いて2位。
よし!
そのままモトクロスコース奥に消えていく。
しばらくすると坂を上ってくる4サイクルの音が聞こえる。
小さなテーブルトップを綺麗に飛んでくる赤いバイク。ショウゴだ!よし!
そのままトップでエンデューロコースに消えていく。
20分が経過した。
そろそろライダー交代だ。
手を振る父ちゃん。
父ちゃんの交代コールを無視するショウゴ。
「ラジエター液がもつのか?」と焦る父ちゃん。
30分手前でやっと交代。
「何やってんだ!初めに張り切りすぎると最後まで持たんぞ!」と言えば、
「2位との差を広げておかないとじぃさまで抜かれてしまうだろ!」とショウゴ。
確かに2位との差は、モトクロスコース半周ほどになっていた。
ラジエター液を入れてエンジンを掛ければ、「あれ、かからない?」
何回キックしてもダメだ。
「お前が早く交代しないからオーバーヒートしちゃったんだ!」
「じぃさまがちゃんと整備しないのがいけないんだ!」
またまた醜い言い争いを始めるトンチンカン親子。
2位がすぐそこまで近づいてきている。
ショウゴ、押せ、押し掛けだ。
ボ・ボ・ボボボボボ・・・
エンジンが掛かったぞ!
ヤッホッッッッッ!!!!
その後もこんな調子で、ショウゴが離して、父ちゃんで追いつかれるという展開だった。
ライダー交代でラジエター液とガソリンを入れている間にショウゴが言う。
「このままでは、2位との差が開かない、あの岩場を下の岩から飛ぶ!速いライダーはやっていた、おれも出来ると思う、
それと、土手に上るラインが分かったから、そこもやってみる!」
ショウゴの細い目が光る。
「よし、やってみろ!ただし、転倒だけはしないようにな。」
父ちゃんの濁った目も光り輝いたぞ。
「お宅の息子さんも速くなったな〜」とハゲオヤジ。
「いやいや、全日本に行けばべりの方ですよ、タイヤ交換だってまともに出来ないし・・」
そんな枯れかけたオヤジたちがよもやま話をする前をショウゴが駆け抜けていく。
その後ろを追うように白髪オヤジがどこかで拾ってきたようなバイクで駆け抜ける。
あげくにピット前の第1コーナーに「ヒャッッホ〜〜〜!」とウィリーしながら突っ込んでいく。
あ〜恥ずかしい〜〜〜〜〜。
いい歳したオヤジがハジケている。
ラスト1時間を切った。
ショウゴと交代の時間だ。
これで父ちゃんが20分走って、ラスト30分がショウゴだ。
最後の給油とラジエター液補充でライダー交代。
今回は、何とかエンジンも掛かったぞ。
ハゲおやじや白髪おやじ、デブおやじが応援してくれている。
「ウヒョヒョヒョッッッッ!」と雄叫びを上げながら第1コーナーにカウンターで飛び込む父ちゃん!
(ホントは、ウィリーする予定だったが、失敗してしまったぞ)
10分ほど走るとショウゴが手を振ってライダー交代の合図。
「あいつ、時間も分からないのか?」と無視して通り過ぎる。
次の周も手を振っている。
何か、あったのか?
しょうがないので予定外のピットイン。
「ショウゴどうした?」
「じぃさま、交代だ、さっきのピットインでガソリンとラジエター液を入れている間にトップに抜かれていた!
ひょっとしたら今、3位かもしれん!」
へ?動揺する父ちゃん。
「あと40分を俺が走る!」とショウゴ。
「オーバーヒートするぞ!」と父ちゃん。
「エンストさえしなければ、いけると思う!」
ショウゴの細い目がまたまた光った。
「よし、イチかバチかだ、ショウゴ行け!」
父ちゃんの濁った目も負けずにまたまた光ったぞ。
ラジエター液だけ補充してGO!
20分後、何とか、ショウゴの激走で1位に返り咲いた。
しかし、最後までショウゴの体力は持つのか?
ラジエター液は持つのか?
一人ピットエリアでソワソワする父ちゃん。
そして、そのままゴール。
2位との差は、半周もなかった。
ヘルメットを脱いだショウゴは汗まみれだった。
仮面ライダーのヘルメットをかぶり「ブイ、スリ〜」と三輪車に乗っていたショウゴが、大きくなったものだ。
遊びのつもりでエントリーしたエンデューロだったが、昔なじみのオヤジたちとの同窓会も出来たし、
背もちっちゃいが人間性もちっちゃなショウゴの成長も見られた。
そして、みんながレースを楽しんでいた。
バイクもいろいろ、出ている人間もいろいろ。
それぞれがそれぞれのやり方でレースを楽しんでいた。
中部戦や全日本で戦っていた父ちゃん一家にとっては、バイクの楽しみを再発見するレースになったのだった。
ps
谷くんやダイキたちは、父ちゃんが保育園の作品展のためにエントリーできない12月の最終戦に出てきて
ぶっちぎりで優勝していた。
次回は、受験が終わったタカも含めて三人でエントリーしたいな〜。
(遅いタカともっと遅いじぃさまと組んだらもう勝ち目はない!)←ショウゴ談
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