[祝:チャリティーモトクロス!]('11/5.8)
 

 '11年の4月24日、ヤマケンチャリティーモトクロスが天竜川で開催された。
(http://yaplog.jp/yamakengundan/image/398/596)
今回の東日本大震災を被災した人たちのために義援金を送ろう!という趣旨だ。
IAライダーも多数参加し、IAライダーによるチャリティーオークションもあるようだった。
ショウゴとタカは、IAライダーとの混走の「オープンプロクラス」に、
父ちゃんは、その下の「ナショナルAクラス」にエントリーした。

しかし、レース前日の土曜日は、大雨!
天竜川で練習している人は分かると思うが、ここのコースは、河川敷のわりに水はけが悪い。
冬なら一回雨が降れば一週間は走れない!なんてことがザラのコースだ。
天気予報では土曜夜半には、雨が上がり日曜日は晴れるようだが、父ちゃんたちの心は、雨雲よりもドンヨリしていた。

「絶対明日は、水の中を走るんだ!」「泥の中をIAに何周ラップされるんだ?」とレース前から嘆くあんぽんたん兄弟と
「ヤマケンに言ってエントリー止めようかな?」と画策する父ちゃん。
いくら草レースとはいえ、始まる前からすでに負けている父ちゃん一家であった。

そんなドンヨリ一家が、レースの朝にコースを見てびっくり!
確かにぬかるんでいるところはあるが、水没しているところもなく、「これならいけるぜ!」と俄然元気も出る。
スタッフが、余程しっかりとコース整備をしてくれたんだな!と感心する。

レースの方は、ヨウヘイやユウタ、トッチを初めとしたIAライダーの走りが素晴らしく、
我が愚息のあんぽんたん兄弟の走りも目に入らずに見とれてしまったぞ。
父ちゃんもそこそこ頑張ったが、年には勝てんわい!

4時頃から表彰式があり(といっても賞品は無し)、
その後にIAライダーによるチャリティーオークションが始まる予定だった。
しかし、その時にまたもや雨が降ってきた!
雨だけではなく、風も吹いてきたぞ。
急いでテントをたたんだり、帰り支度を始めるライダーたち。

まずい、まずいぞ〜!
オークションは、なんといっても参加者人数だ!
欲を言えば、ここに何人かのお金持ちがいれば尚更いい。
しかし、底冷えがする中、空を見上げて帰って行くライダーもいる。

表彰式には縁がない一家なので「募金だけして帰るか」とスタッフのテントに向かった。
すでに、ライダーたちが集まっていたが、やはり思ったより人が少ない。
まずい、まずいぞ〜〜〜!
せっかく、IAライダーがたくさん集まって「義援金を集めよう!」というのに、
集まったライダーや関係者を見れば、みんな貧乏神のように貧相なヤツばかり・・。
(モトクロスをやっているヤツで羽振りが良いやつなんてあんまりいないぞ!)
これではオークションが盛り上がらないぞ!と貧乏神とこなきじじぃをたしたような父ちゃんが叫ぶ。

案の定、ヤマケンが一生懸命に盛り上げるが、IAライダーのモトクロスウェア上下セット(中古)が4,000円!
元ワークスライダーのサイン入りジャージが最低価格の1,000円でも買い手がつかない。
ヤマケンのペイントされたメルメットがいくら中古とは言え2,000円!
ここは、がらくた市か?ノミの市か?
まずい、まずいぞ〜〜〜!IAライダーやスポンサーが供出してくれた賞品は、まだ山のようにある。
(ヤマケンの人柄で集めたモノか?)

「ショウゴ、お前は幾ら持っている?」と聞けば、
「バイト代が入ったばかりだから16,000円ある、オレは全財産を使い切るぞ!」と宣言する。
お〜、いつもは“背も小っちゃいが人間も小っちゃい”ショウゴが、今日は大きく見えるぞ。
「タカは?」と聞けば「オレは現金を持ち歩かない男だ!」と胸を張る。
ここにも貧乏神がおったか!次は、ヨウヘイの上下モトクロスウェア、それも新品!」とヤマケンが叫ぶ!
これは価値があるぞ〜〜〜。
全日本のトップライダーで、世界選手権にも挑戦していたヨウヘイの新品ウェアー。
部屋に飾っておくだけでも価値があるモノだ。
しかし!心配だ、心配だぞ〜〜〜!
インターネットオークションならいくらの値段がつくだろうか?
でも、ここにいるは、貧乏人ばかり・・。

ここでヨウヘイが動いた。
マイクを手に取ると「生意気に聞こえるかもしれませんが・・」とことわりを入れて語り始めた。
「新品なんで原価を割ったら、すみませんが他のオークションに持っていきます。
少しでも義援金を多く集めたいので、すみませんがご協力お願いします」
ヤマケンが続く・・「ヨウヘイ、このウェアの原価は幾らぐらい?」
ヨウヘイが答える。「う〜ん、幾らくらい?ウェアなんて買ったことがないので分かりません!」
ドッと笑いが起こる。
みんなも父ちゃんと同じ気持ちだったのだろう。
ヨウヘイが良いタイミングで勇気を出して語ってくれたぞ!

やっぱり、若い頃からスポンサーがついている男は言うことが違うわい!
父ちゃんもこんな事を一生に一回は言ってみたいぞ。

カリスマ兄ちゃんの陰に隠れていたヨウヘイだったが、
ジュニアの頃からその速さは、ユウくん共々、中部では有名だった。
その後は、すべてが順風蛮風ではなかったが、なんか立派になったな〜。

このヨウヘイの一言で場の空気が変わった。
ヤマケンが叫ぶ。「よし、最低価格2万からだ!!!!」
お〜!会場がざわめく。
貧乏神1号が「2万!」とすぐに声をあげた。
お〜!ざわめきがこだまする。

盛り上がってきたぞ〜〜〜。
これぞオークションって感じだ!
いけ、ショウゴよ!この空気にのれ!
ほれ、ショウゴよ、手をあげんか!
ショウゴがポツリとつぶやく。「オレ、1万6千円しか持っていない・・」
ここにも貧乏神がおったか〜〜〜!
「待っていろ、財布を車に取りに行ってくる!」ついに父ちゃんが動いた。

父ちゃんは、こう見えても立派な園長だ。
車に走っていき、はぁはぁと息を切らして財布を見れば「1万2千円しか入ってないじゃん!」
お〜、俺はショウゴよりも貧乏神&こなきじじぃだった!情けない!

そんな父ちゃんを取り残して、その後のオークションは盛り上がった。
ショウゴもマスダくんのモトクロスウェア上下セットとユウタのヘルメットをゲットしたぞ。
タカもナカヤマくんの中古ブーツ、テック10を父ちゃんから借金して手に入れた。
「死ぬまでにテック10が履けるとは思わなかった!」と一人感激に浸るタカ。

オークションらしく値段の掛け合いが続くとヤマケンが自虐ギャクを飛ばす。
「俺のヘルメットは、2,000円・・ドッと受けるヤマケン。
笑い声が天竜川にこだまする。

ここで盛り上がってきたオークションをますますヒートアップさせるAくんが出現した。
「このウェアは、3,000円からいきます!」とヤマケンが言えば、
まだ誰も手を上げていないのにすかさずAくんが「4,000円!」。
誰とも競合していなのに、ひとりで値をつり上げるAくん。
その後のオークションでも自分で言った値段を自分でつり上げるAくん。
面白い、面白すぎるぞ〜。
中部にもこんなに面白いやつがいたのか?
Aくん、君を“ひとりオークション男”と名付けよう。

雨こそ止んだが、冷たい風が吹きすさぶ中でも父ちゃんの心は温かくなっていた。
帰りの車の中では
「午後からはコースもベストコンディションになって楽しかったな!」とショウゴ。
テック10を大切に抱きしめながら頷くタカ。

今回は、被災した人たちを励まそうというチャリティーレースだったが、
すっかり父ちゃんたちが励まされてしまったぞ。
ありがとう、ヤマケン!そして、ありがとう、IAライダーや中部の人たち!!
貧乏神なんて思って悪かった、君たちは立派な人たちだ〜〜〜。
ただ、見た目がちょっと貧相なだけだぞ〜〜〜〜(笑)