[憧れの北海道!その1]('11/11.12)
 

人種差別撤退運動をしていたマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの演説の一節に有名な言葉がある。
I Have a Dream(私には、ゆめがある)

名阪ですっかり落ち込んでしまった父ちゃん一家だったが、実は夢の続きがあったのだった!
そうなのだ、今年はついに憧れの北海道大会にエントリーしていたのだった。
当たり前だがこの愛知県から北海道は遠い。
我が家をいつ出れば土曜日の朝までにコースに着くのかさえも分からない。
フェリーにだって乗らなければならない。
北海道に渡ってからだって旭川市近くの「わっさむサーキット」まではずいぶんとある。

いつまでも憧れだけの北海道大会だったが、
今年はついにタカが免許を取ったので運転者が三人(父ちゃん・ショウゴ・タカ)になった。
だから、父ちゃんは、お盆も保育園で働くからと、母ちゃんや先生たちをなだめ、
この時のために夏期休暇を前借りしていたのだ。
(保育園は、幼稚園と違って年末年始と日曜日以外の休みはない!)

そこまでして全日本の北海道大会にエントリーしたかったのには、訳がある。
昨年、北海道大会に出た中部の子たちから「北海道は、めちゃエントリーが少ないですよ!
行けば絶対、予選通過ですよ!」という魅惑的な話を聞いていたのだ。
そういえば、北海道の予選が二組しかないことは知っていた。
ただ、フルグリットの二組(60台)か、ギリギリの二組(31台)かでは、天国と地獄ほどの違いがある。
いったい、IBクラスのエントリー数は何台なんだ?北海道!
父ちゃんの予想では、多くても40〜44台くらいか?
そうなれば予選は1クラス20〜22台。
15位までが予選通過だから、落ちるのはせいぜい5〜7台!う〜んトレビアン!

I Have a Dream(私には、ゆめがある)

この経験だけは豊富な父ちゃんが全精力をスタートに使って、そこそこ頑張って走っていれば、
いきり立っている若い衆たちが、黙っていても4〜5台は転ぶはずだから、べりの方を走っていても予選突破じゃん!!
あのスタートがいつもべりのタカだって、これなら大丈夫だろう。
これはひょっとして、親子三人予選通過か?
そうなればひょっとしてひょっとしてバイク雑誌で紹介されるかも??
その上、ひょっとしてひょっとしてひょっとしたらテレビにも出られるかも???
う〜ん、ますます「夢見る夢子ちゃん」状態になるトンチンカン親子。

I Have a Dream(私には、ゆめがある)

しかし、心配事がひとつ。
北海道のコースってどんなコースなの?
中部のヤツらに聞いてもらちがあかず、悶々としていると
タカがyoutube にヘルメットカメラの映像が載っていることを見つける。
お〜、すごい時代になったものだ。
行ってもないコースの映像が家にいながら見られるなんて!
でも、結局その映像を見たってコースの感じはよく分からなかったのだが・・。
(凝視しすぎて気持ち悪くなっただけだし・・)

そして、木曜日の午後に北海道に向かって出発。
まずは、東名高速をタカが運転。静岡で父ちゃんに交代だ。
ここでタカが叫ぶ。
よ〜し、今回は(JINー仁)祭りだ〜〜!
タカは、テレビドラマの(JINー仁)の第1期11話分のDVDを用意していた。
でかしたぞタカ!
ショウゴのバカたれは、自分専用のPSPをひとりでピコピコやっているだけだぞ。

そういえば、タカは、小さな時からレースであちこちに行くときに
いつもいろんなものを用意していた。
タカバッグと呼ばれる鞄には、小さな時には、おもちゃがいっぱい詰まっていたし、
中学生頃からは、ドラゴンボール全巻だったりスラムダンク全巻等の漫画がいっぱい入っていた。
それを移動中の車の中やコースで読むのがタカスタイルだった。
そして、ついついショウゴや父ちゃんも一緒になって読んでしまうんだな。

と言うわけで、これで今回の長〜い旅は、(JINー仁)をひたすら見ていくことになった。
しかし、この(JINー仁)、なんと原作はあの「村上もとか」!
知っている人もいると思うが、数少ないモトクロス漫画の「風を抜け!」を描いた人だ。
毎年のようにスーパークロスを日本でやっていて、
アメリカンも大挙してやってきて、テレビ放映もやっていて、
ロードの8耐も盛り上がっていて、町中もバイクであふれかえっていて、
バイク好きにとっては、夢のような時代だった頃の漫画だ。

もちろん父ちゃんも読んではいたのだが、すでにしっかりとした大人?だったので、
単なるモトクロス漫画として読んでいた。
しかし、元ヤマハワークスで全日本チャンピョン、
そして今エンデューロで活躍している小池田くんのような当時のモトクロス少年たちにとっては、
バイブルのようなモトクロス漫画だったのだ。
ダートスポーツでも一時期付録で付けていたので、読んだ人もいるかもしれないな。
とにかく、ホント久々に「村上もとか」という名前に出会い、
その原作のドラマにすっかり一家ではまって楽しんでいたのだった。

さっきまで、ひとりでピコピコとPSPをやっていたショウゴも
いつの間にか一緒に見だし「この緒方洪庵は、武士の息子だったんだけど、
体が弱くて医者を目指したんだ」などとうんちくをたれ始める。
ショウゴは、歴史ゲームが好きでやたらと歴史に詳しい。
レースであちこちに転戦に行く途中のお城やレース場近くの遺跡についても解説してくれる。
テレビを家族で見ているときも歴史物が始まるとすぐに解説が始まる。
それが結構、的を射ていて面白いんだな。

そういえば、父ちゃん一家のテレビの味方は騒がしいぞ。
子どもたちが小さいときから、ひとつの番組を見ながら「あ〜だ、こ〜だ」とみんなで意見を言い合って見ていた。
食事中には、テレビを消して家族で会話するように!」とか子育て本には書いてあるのだが、
テレビっ子の父ちゃんと母ちゃんは、家族みんなでテレビを見ることが大好きで、
共働きの父ちゃん一家にとっては、夕食時こそが家族で一番まったりとテレビが見られる貴重な時間だ。
そして、それぞれがテレビを見ながら様々な感想なり意見を言い合うのが父ちゃん一家のスタイルなのだ。

タカアンドトシの「お試しかっ!(かえれまテン)」では、みんなで順位を当て合い、
なぜその順位になるのか理由を語り合う。
「一分間のイイ話」では、なぜ「深イイ」なのか、なぜ「う〜ん」なのかをそれぞれが自己主張する。
ホント、騒がしく長〜い夕食が毎晩のように繰り広げられる。
家族で「正義について語り合う」なんて家は少ないだろうが、
父ちゃん一家では、テレビを題材にして正義についても語り合ってしまうんだな。

マイケル・サンデル教授が「ハーバード白熱教室」で正義について語っている。
「君は、電車の運転手だ、ブレーキがきかなくなっている、そして、線路は二手に分かれている、
しかし、その先には、右方向には5人の人が、左方向には、ひとりの人が作業をしている、
君は、どちらにハンドルを切るべきだと思うか?

このマイケル・サンデル教授の問いかけに家族でワイワイと意見を出し合う。
しかし、ここでタカが根本的な問題点を問いかける。
「この問題は、前提からして間違っている、そもそも電車にはハンドルがない!
運転手は、ブレーキを掛けることしかできない、
電車の行方を変えるためには、作業員がポイントを切り替えるしかない!
納得する一同。

だから父ちゃんは思う。「子育てには、正解はない!
それぞれの家庭には、それぞれの環境があるのだから、それぞれの子育ての仕方があると思う。
育児本とかに惑わされずに、それぞれの考えで、
自分の家庭にあった子育てのやり方を見つけていって欲しいな〜。

ということで、すっかり話がそれてしまったのだが、
まだまだ先は長いというのに、(JINー仁)を見ながら盛り上がってしまう父ちゃん一家だったのだ。
「ショウゴよ、お前のうんちくは、確かに面白いが次の運転はお前だぞ、休んでいなくていいのか?」

こうして、まだまだ「憧れの北海道!」は続くのだった。