[憧れの北海道!その4]('12/4.21)
 

  I Have a Dream(私には、ゆめがある)で始まり、
「夢破れて山河あり!」(ホントは、国破れて 山河あり)になってしまった北海道旅行。
タカが持って来た「JINー仁」祭りもすべて見終わった。
しかし、車は進む。
今度は、ショウゴの運転の番だ。
あまりの暇にタカは、後ろの席で口を開けて寝ている。

車という狭い空間は、不思議なものだ。
そういえば、子どもたちが小さかった頃、仙台(全日本SUGO大会)からの帰り道に
家族5人で延々と7時間もしりとりをやっていたこともあった。

そんなことが出来たのも、いつも家族一緒にレースや練習に行っていたからだと思う。
狭い空間で肩寄せ合ってビデオを見たり、時には重なり合って寝ていたこともあった。
そんな環境が毎週末続くのだから、広い公園なんかに遊びに行っても、
ご飯を食べるときは、だだっ広い芝生広場に
いつしか家族で肩寄せ合ってひとかたまりになって食べていた。
ショウゴやタカが成人した今でも、レースや練習にも一緒に行ってくれるのは、
こんな生活だったからだと思う。(毎週末、キャンプみたいなもんだしな・・)
3月には、「ナホがもうすぐ高校三年生になって家族で遠出が出来なくなる(受験のため)」と、
家族で志摩スペイン村にいつもの車で車中泊をしながら行ってきたぞ。

父ちゃんは、思う。
「日常生活の距離感が、家族の絆の距離感になる。」
幸い父ちゃんの家は狭い一軒家で、寝るときは川の字になり、
子どもたちは宿題を食卓で行い、その隣で父ちゃんが口を開けながらテレビを見ていた。
(2年前についに母ちゃんに頼まれて、家を新築した。おかげでこの年になって33年ローンだ!)

*この家族で川の字になって寝るという日本の習慣が、今、欧米で見直されているようだ。
*ちなみにリビングで宿題をやっている子は、勉強が出来る!って調査もあるぞ。
 (分からなかった場合でもすぐに誰かに聞けたり、
   親も子どもの勉強する様子が見られることが良いようだ)

もともと農耕民族であり、単一民族の日本では、昔からこんな生活様式だったと思う。
自分の部屋なんてものはなく、家族がいつも同じ空間で生活していたんだと思う。
長屋みたいな家も多かったしな。

高度成長期以降、生活様式が欧米化し、
子どもを自立させるためには、「小さなうちから子ども部屋で寝かせた方が良い!」
なんていう間違った考えが浸透してしまった。
形だけ欧米の真似をしたってダメなんですよ。

欧米は、多民族国家なので、家族間でも会話や議論を大切にしている。
単一民族の日本のように「あうんの呼吸」とか「言わなくても分かる」なんて文化ではないのだ。
主張しなければ、議論しなければ、理解し合うことが出来ない社会なのだよ。
だから嫁さんにも毎日のように「アイ・ラブ・ユー」と旦那が言っているのだ。
これを毎日のように言わないことが離婚理由になることもあるそうだぞ。
お〜、恐ろしい〜〜。
日本で毎日のように嫁さんに「愛している!」なんて言っているヤツは、見たこともないし、
もし、いたとしたら相当に後ろめたいことをしているヤツだと思うぞ。

それだけ家族間で会話を大切にしている文化だからこそ、
小さな時から子ども部屋を与えても大丈夫なのだ。
日本のように親子の会話が少ない家庭で、子どもが部屋に閉じこもっていれば、
引きこもりたくなるのも当たり前の話しだ。
だって、自分の部屋に引きこもっていれば、自分のペースで生活できるし、
何より、親にだってあれこれ言われなくて良い。

ましてや、今の子ども部屋は、冷暖房完備で、テレビやインターネット、ゲームといった
一人でも楽しめるものもたくさんある。
これでは、子ども部屋ではなく「引きこもり養成部屋」だな。
引きこもりが社会現象になっているが、大きな理由のひとつが、
子ども部屋を初めとした形だけの欧米化にあると父ちゃんは、にらんでいる。
だから家族でモトクロスやっていれば、子どもが引きこもることは、まずないだろう・・。

話しがずれてしまった・・。
車は、まだ仙台あたりだ・・。
ショウゴが言う。
「俺、結婚したい子がいるんだ」

ショウゴには、中学二年生から付き合っている子がいる。
こんな背も人間もちっちゃなショウゴともう9年近くも付き合ってくれる子だから良い子なのは分かっている。

「でも、向こうの母さんが、家柄が違いすぎるって言っているらしいんだ」
うちには、こんな父ちゃんがいるから心配しているのか?
「向こうは母子家庭で、うちは園長先生だから釣り合わないって事らしい」

へ?
園長っていったって、やっていることは、用務員さんと同じだし、
何より、母ちゃんと結婚してから保育園に入ったから、
給料だって、保育士さんや調理員さんより低い。
だいたい、母ちゃんに豊橋港で拾われるまでは、父ちゃんは日雇いだった。
だから、母ちゃんの両親には、「とんでもないモノを拾ってきた」とビックリされ、
ついたあだ名が「豊橋港の捨て犬!」
ショウゴよ、「俺の父ちゃんは、豊橋港の捨て犬だぞ!」って言ってやれ。

と、ここまで言って気がついた。
そういえば、高校時代は、「あんなおバカな子と付き合ってはいけない!」と向こうの母さんに反対されていたな。
ひょっとしたら「家柄が違う」というより「ただ単に結婚に反対されているだけじゃないのか?」
付き合っている彼女は、高校の先生を目指して頑張っていているが、ショウゴはバイクに乗って遊んでいるだけ。
(モトクロスを知らない人から見れば、こんなモノだろう・・)
う〜ん、人間の器が違うぞ!と思ったが、黙って聞いていた。

ショウゴの名誉のために言っておくが(たいした名誉もない男だが・・)
父ちゃんは、ショウゴは頭が良いと思うぞ。
歴史のことはあんなによく知っているし、何より話もうまいぞ。(ゲームだって家族イチだ!)
親バカな意見だが、長男の生真面目さと優しさも持っている。

「勉強が出来るだけが頭の良さではない!」と社会を渡り歩いてきて、ホントに思う。
若い二人なので、焦って結婚する必要もないと思うが、
相手の母親に認めてもらうまでには、もっと人間も背も大きくならねばならないな。

*保育園でも保護者の方には
「子どものために親がバカになってあげなくて、誰がバカになってくれますか?
親バカ、大いに結構だと思います。でも、バカな親とは言われないようにね!」と言っている。
父ちゃんも気をつけなければ・・

車は、まだ福島あたりだ。
まだまだ、原発の放射能で非難している人も多く、風評被害で苦しんでいる人も多い。
豊かな田園風景の向こうには、多くの家族が住んでいて、それぞれの生活を営んでいるだろう。
これからの日本が、少しでも良い方向になるように願っているぞ。

久々に子どもたちとゆっくりと話すことが出来たし、母ちゃんとナホにも会いたくなってきた。
レースの結果を言えば、「こんなにお金と時間を掛けて何をしに行ってたのよ!」
と母ちゃんに怒られるだろうが、「人類愛ついて考えてきたのさ!」と返答しよう。
それだけの価値があった北海道へのなが〜い旅だったのだ。

追伸:やっぱり、母ちゃんにはこっぴどく怒られました・・。