[全日本近畿大会]('12/12.8)
 

 寒風が吹きすさび、すっかりシーズンオフに入ったが、
ここでは、まだまだシーズン真っ盛りだぜ!
ということで、話は9月8・9日の全日本第7戦(名阪スポーツランド)だ。

父ちゃん一家は、お金の問題と保育園の行事、
そして何よりも弘楽園(広島)のラムソンジャンプが怖い!
という情けない理由で、全日本選手権には、マックスでも4戦しか出られない。

といことで、今シーズンも残りは、名阪とSUGOだけになってしまった。
もちろん、ショウゴもタカも予選突破は一回もない。(藤沢・SUGOとも予選落ち)
ショウゴは、心はすでにJNCC!なので出ただけ立派?という感じだが・・。

しかし、今回の名阪は、父ちゃんを始めとした一家全員が
なみなみならぬ闘志にみなぎっていた。
だって、全日本の中部大会がない父ちゃんたち(愛知県組)にとって、
この奈良の名阪スポーツランドこそが地元!みたいなものだからだ!!
これは、他の中部勢も同じ事。
だから、この大会に合わせてクソ暑い!お盆に2回も練習に行ったんだぞ。
そして、その度に中部勢にも何台も会った。
やっぱりみんなもこの大会に掛けているんだな!

普段は、中部選でしのぎを削っているが、小さな頃からのライバルであり友達だ。
だから全日本になると、遙か地の果てで会っても嬉しいんだな。
昨年の全日本北海道大会(身も心もお金もすり減らしてしまった旭川)で、
数ある中部勢の中で3台(父ちゃん・ショウゴ・タカ)だけ予選落ちして、
逃げるように帰ってきても、フェリーの中では、中部勢の成績が気になって仕方なかった。

全日本の日曜日が忙しくなりて〜!と毎回騒いでいても、
決勝に残った中部勢を声をからして応援してしまう。
(この頃は、IAクラスも中部勢が多いので盛り上がるのだ!
といっても小方君を始めとした他のライダーも応援するぜ!!)

話を名阪の練習に戻そう。
全日本を転戦している人は分かると思うが、はやり地元勢は速い!
IBクラスでも10位以内に絡んでくるような奴らは、どこのコースでも速いが、
その他の奴らは、明らかにホームコースの方が速い。
予選ラインを争っている子たちにとっては、このコースに慣れているかどうか
生死の分かれ目?なのだ。
ましてや、今年の全日本は、何故か名阪が1回しかない。
中部勢にとっては、死活問題なのだ。

だからクソ暑いお盆にフル装備で2回も走り込んでしまったのだ。
他の全日本コースなら練習に行けても一回が良いところ。
ぶっつけ本番の時も多いから、ショウゴやタカクラスのライダーが予選を通るためには、
良いスタートを切るしかない!

でも、そのスタートが大の苦手な二人
ショウゴも固定ゼッケンを取った年は、毎回そこそこのスターを決め、
5ヒート連続で予選突破をしたこともあったのに・・。
あれは、まぼろし〜〜〜〜〜〜〜〜〜?

本人も当時のことをすっかり思い出せなくて
「どうして、あの頃は、何にも考えずにスタートで出られたんだろう?」と不思議がる。
そのあげくに、「スタートがベリでも追い上げられるからエンデューロがいい!
と言い出す始末。
しかし、そんなショウゴもタイムを計ってやれば、
十分にポイントを取れそうな自分のタイムを見て驚く。

じぃさま、惚けてストップウォッチを早く押したんだろ?」と疑うショウゴ。
しかも、二秒落ちのタカのタイムでさえ予選突破をねらえるタイム。
父ちゃんだって、練習時の荒れたコースでさえ、道路前のどでかいテーブルトップ以外は、
すべての二連とステップアップジャンプが綺麗?に飛べる。
それどころか、フープスさえも2個2個と華麗?に飛んでいく。
いよいよCRF450との相性も爆発か?
ホントにこの名阪で恐ろしいことが起きるぜ!!!!!

期待が期待を生み、もう誰も止めることが出来ない父ちゃん一家。
そして、やってきました全日本第7戦近畿大会!
他のコースでは絶対不可能な金曜日の夜11時前に名阪スポーツランドに着くと、
コースに近いパドックもゲット!
いつもパドックの一番端の方にいるものだから、これだけでも気分はセミワークス?

土曜日は、朝からソワソワしてみんな早起き。
コースの下見をしているとジャンプやフープスばかりを見ている父ちゃんに対して、
ショウゴやタカは、コーナーのライン取りや3〜4個のコーナーのつなぎを考えて、
「これもいけそう、こっちはどう?」なんてやっている。
他のコースならジャンプやフープスの攻略法ばかりを考悩んでいるのだから、
やっぱり、この辺は、地元の強みだな。

こりゃ、ショウゴやタカも今シーズン初予選突破?
あわよくば、父ちゃんも?
どうしよう?バイク雑誌に取り上げられたら??
インタビューされたらどうやって答えようか???

夢見る夢子ちゃん状態の父ちゃんに対して、
二人の息子たちはやけに冷静。
まぁ、物心着いたこらからずっとレースをやっているのだから当たり前か。

しかし、ショウゴもここで予選突破して、
ましてやポイントをゲットすれば、きっとモトクロスに戻ってきてくれるだろう。

スタートだ、スタート12.3位で第1コーナーを回ることが出来れば、
今のショウゴのタイムなら8,9位はいけるはずだ。(予選通過は10位まで)
タカだって、10位くらいでスタートが切れればいけるぞ!
この父ちゃんだって、450のパワーが炸裂すれば、恐ろしいことが起きるぞ!

期待に胸が張り裂けそうな父ちゃん一家は、
うぃりゃりゃらりゃ〜〜〜〜〜〜!!と予選に挑む。
しかし、現実は甘くない。
(予選は3クラスでほぼフルグリッド)

二人ともIB2・IBオープンともスタートで出た!と思えば、
第1コーナーか第2コーナーでつぶされる、
または、普段通りのスタートだと20位前後で始まり、
ここから追い上げて12.3位でフィニッシュ!っていつもと同じでないかい?

残るは、父ちゃんのIBオープンのみ。
少なくとも450パワーでスタートは前に出られるはず。
後は冷静に4周走るだけじゃん!
だてにIBを14年もやっている訳じゃないぜ!
だてに51歳も年を取っている訳じゃないぜ!!

そして、スタート。(チェンジは2速)
スタートバーが落ちると同時にクラッチをつなぐ。
うぃりゃりゃらりゃ〜〜〜〜〜〜!とアクセル開ければ、
みんなより頭ひとつ出るはずが?出ない??

あっという間に下位の混戦に巻き込まれる父ちゃん。
450パワーをなめるなよ!とアクセルは全開!
下位グループで抜いたり抜かれたりを繰り返す。
でも、なんかエンジンの伸びがない?
リアタイヤがやけに空転する?

前を走るライダーしか目に入らなくて、気づけばラスト2周。
ここでやっと重大なことに気づく。
俺ってスタートしてから一回もチェンジしてないじゃん!
ってことは、コース全周どころか、スタートしてからずっと2速で走っている?
(450ってある意味すごい?)

チェンジを上げてみれば、お〜前に進む!
450の3速って素晴らしい!!
手こずっていた前の子もなんとか抜けたぞ。
と我に返ればラスト一周の標識。
そして、そのままゴール。

あ〜、まるで素人さんが初レースに出た時のよう・・。
何がIBを14年だ、だてに51歳も年を取っただけじゃないか!
我ながら情けない・・。

期待が大きかっただけに落胆も大きい。
すっかり、意気消沈した父ちゃんたちは、
明日の準備に忙しいパドックを逃げるように後にして、お風呂に向かう。

練習走行とたったの8周しか走っていなくても
(父ちゃんは、IBオープンのみだから4周!)
やっぱりお風呂は気持ちが良い!
この瞬間があるからバイクは止められんの〜!

三人で露天風呂に入って月を見ているとタカがつぶやく。
俺たちは、負け犬だ・・・
隣にいるショウゴも黙って頷く。
タカが続ける。
こんな負け犬には、晩ご飯だってコンビニ弁当がお似合いだ!

「なに言ってんだ、タイムは二人とも出ていたじゃないか、
後は、スタートと当たり負けさえしなけりゃ予選突破だぜ!」と父ちゃん。
それまで黙って聞いていたショウゴが
タイムなんていくら出てもダメだ、予選を通らなければ意味はないんだ・・
と吐き捨てる。

月を見ながら沈黙が続く。
体は、お風呂でとっても気持ちが良いのに、精神的に参っている二人。
父ちゃんが気勢を上げる。
よ〜し、今日は食べ放題だ!、こんな時こそ食べ放題だ、
食って食って食いまくって、明日はいつものように応援じゃ〜〜〜!


あきれたような顔の二人だが、さっきよりはどこか吹っ切れたようだぞ。
父ちゃんも今回は二人に期待した分、落胆は大きかった。
でも、やっぱり一番悔しいのは、本人たちだと思う。
だから、もうこれ以上の反省会は必要ないんだ。
これからもこの悔しさも含めてバイクとレースを楽しんで欲しいな〜。

レースをやっていると楽しいことや感動もたくさんある。
しかし、その何倍もの悔しさや情けなさ、後悔も経験する。
そして、そんな時の子どもたちの表情も様々だ。

保育園の子どもたちを見ているといろいろな子がいる。
負けた時には、悔し涙を流したり、ふて腐れたりと分かりやすい子がいる反面、
へらへら笑ったり、照れ隠しをしたりする子もいる。
どう表現して良いのか分からずに、一人になった時にこっそり泣く子もいる。

でも、どの子も悔しいのは一緒だ。
回りにいる大人は、ついつい目に見える態度だけで判断してしまうが、
子どもって意外と見た目と違うことがあるんですよ。
親って近くにいる分、見えないこともあるんですね。
(父ちゃんもそうでした・・)

そして、やってきました食べ放題。
さっきまでのローテンションはどこへやら、すっかりハイテンションな三人組。

「じぃさま、食い放題のルールは分かるか?
自分の食べられる分しか持ってきてはいけないんだぞ」とショウゴ。
「いつものように食べ切れんから手伝ってくれ!は、なしだぞ!!」とタカが念を押す。
「俺を誰だと思っている、ミスター食べ放題といわれた父ちゃんだ、
ダテに年を51歳も取っているわけではないぞ!
とさっきまでのことはすっかり忘れ去っている父ちゃん。

うぃりゃりゃらりゃ〜〜〜〜〜〜!と食べ物に真っ先に突入する父ちゃん。
アクセルは全開だぜ。
食って食って食いまくる父ちゃん。
やがて箸が止まり、皿の上には、まだ食べ物が一杯・・。

「誰か手伝ってくれ〜」と懇願するダテに51歳も年を取ってしまった父ちゃん。
「だから言ったじゃねえか!」といつものように子どもたちに叱られる。
あ〜気持ちが悪い、何故お金を払ってわざわざ気持ちが悪くなるのだ〜
とひとり悩む51歳。

食い過ぎてすっかり気分の悪くなった三人は、コンビニによってデザートを買う。
やっぱり、スイーツは別腹だぜ!」とまるで母ちゃんのように笑う三人組。
そして、いつものように日曜日は、みんなの応援に回って、
バイクの話で盛り上がりながら帰路についたのでした。
めでたしめでたし・・


PS

今回は、たまたまタイムだけは出たが、
考えてみれば、予選ラインくらいのタイムを出すIBの奴らはウジャウジャいる。
それもガチガチに当たり合いながらのたった4周の予選で出す。
ショウゴやタカレベルが多少速くなったところで
そう簡単に予選突破が出来ないことは、冷静に考えれば分かるのだ。

でも、やっぱり夢に向かって努力することは大切だと思う。
それが好きなバイクなら尚更だ。
これからもみんなで頑張ろうな!

「やっぱり俺はエンデューロだな!」←ショウゴ