[サギ?]('12/12.15)
 

 やってきました中部選第9戦(9/23:イナベ)。
この前日の土曜日(9/22)が秋分の日でお休みだったので、
中部選では珍しく土曜日から現地入りした父ちゃんたち。

やっぱりレース前日に練習が出来ると違うぞ!
ショウゴやタカも良い感じで乗っていたが、何より父ちゃんが違う!!
いつもは離されてしまうIBの後ろの方を走っている子たちにも付いていけるぞ。
二週間前の全日本(名阪スポーツランド)での恥ずかしい出来事
(チェンジも忘れて2速で走ってしまったこと)もすっかり忘れて絶好調!
う〜ん、ついに恐ろしいことがこのイナベで起きるな。

すっかり気分の良くなった三人組は、練習後にスーパー銭湯に寄る。
下駄箱に靴を入れて、チケット販売機まで行くと
黄色いジャンパーを着た「スタッフ」と書いてある青年が近づいてきた。
このカードを使えば、割引価格で入れますよ」とカードを渡してくれる。
「あ、ありがとうございます!」
急なことでビックリしたが、なんかイベントでもやっているのだろうか?

「得した気分だな?」とタカ。
「運があるぞ!」とショウゴ。
「明日のレースの前祝いだぜ!」とすっかりハイテンションな父ちゃん。
小さな露天風呂に三人でつかりながら
「やっぱり練習の後の風呂は最高だぜ!」と盛り上がる。

「今日の晩ご飯はどこで食べる?」と相談しながら下駄箱に行くと
さっきの青年が近づいてきて「無料なんでクジを引いていってください!」と笑顔で言う。
「やっぱり、この銭湯の何周年記念かなんかだったんだ!」
と嬉しそうにクジを引く三人組。

商品を見れば、1等が液晶テレビで、2等がサーバー、3等が旅行券とか書いてある。
引いたクジを開けようとすると
貸してください、開けますから」と青年が笑顔で三人分のクジを持って行く。
一瞬後ろを振り返ったと思ったら「いきますよ〜」と笑顔で1枚目のクジを開ける。
「あ、ハズレだ!」と落胆する三人組。
まだ2枚ありますからね〜」と笑顔で次のクジを開ける。
「また、ハズレだ!」
まぁ、タダのくじなんだからこんなもんだろう。
さぁ、最後の一枚ですよ!」とちょっともったいぶりながら最高の笑顔でクジを開く青年。
「2等だ!」
思わずタカが声を上げる。
「うぉ〜!」ショウゴと父ちゃんが雄叫びを上げる。
「こりゃ、ホントに明日のレースの前祝いだぜ!」

その時、遅れてきたババちゃん一家が入ってきた。
「俺たち2等が当たったんですよ」とタカ。
「すごいじゃん!」とババちゃん。

説明しますからこちらに来てください」と青年が声を掛ける。
2等のウォーターサーバーは、本来なら月1000円でレンタルしているものです。
と綺麗なパンフレットを開く。
「へ?パソコンのサーバーじゃないの?」とちょっと残念な父ちゃん。

本来なら月1000円でレンタルしているサーバーを永久にタダで使用出来ます」と青年。
「へ〜、それならいいじゃん!」とタカ。
その後、如何にこのウォーターサーバーが良いかの説明が延々と続く。

水にお金を出すヤツの気持ちが分からない父ちゃんは、ちょっと飽きてきた。
「じいさま、保育園に置けば先生たちも喜ぶんじゃないか?」とショウゴ。
「そうかな〜」と答えつつも「まぁタダなら良いか!」と納得する。

それでは、製品を送りますので、こちらの紙に住所と氏名、電話番号を書いてください
すべてを書き終わると青年が続ける。
ウォーターサーバーは無料でお使いいただけるのですが、
セットする水は買っていただきます


「何か話が違うぞ?」と少し訝しがる父ちゃん。
「まぁ、最初だけ買って、後はスーパーで安い水を買えばいいじゃん!」とタカが小声で言う。
容器は衛生上、一回使うと潰す機能も付いています」と青年。
(それじゃ、スーパーの水が使えないじゃん?)

ここまで聞いて、何か変だぞ?と気づく父ちゃん。
「タカ、ショウゴ、俺は、水はいらないから帰ろう」
「でも、レンタル代が掛からないだけでもいいんじゃない?」とタカ。
「保育園でみんなで使えばお得かも?」とショウゴ。

水は月に2セットを送らせていただきます、
1セットが1980円になります、水だけでも他のメーカーよりも安いですよ

と青年がこの世のものとは思えない笑顔でたたみ掛ける。

ということは、ウォーターサーバー代はタダでも、毎月、3960円を払い続けるって事?
父ちゃんは、黙ってショウゴとタカの背中をつついた。
ここにきてタカとショウゴもおかしいことに気づき、
「すみません、やっぱりいいです」と言った。
そうですか、大変お得はお話だと思うのですが・・」と青年はまだ続けようとするが、
「それじゃ、急いでいますので」と話を切って逃げてきた。

すぐ近くのファミレスでご飯を食べながら「あれは、サギだな!」と父ちゃん。
「サギって事はないだろう?」とタカとショウゴ。

父ちゃんが解説を始めた。
「あの青年は、俺たちがお風呂に入るところから目を付けていたんだ、
だから、割引カードなんかを貸してくれたんだ、
クジを引いた時に自分で開けさせてくれなかっただろ?
何で一瞬、後ろを向いたのかと思ったんだが、
今思えば、あの時にクジを差し替えて、一番最後のクジに2等の当たりクジを入れたんだ、
俺たちは、2枚続けてハズレたから、やっぱりこんなもんだな!と思った。
そこで、最後のクジで2等が当たる。
そりゃ〜テンション上がるぜ。
また、2等ってのが上手いところだな。

そのまま、すぐにあのウォーターサーバーが如何に良いものかっていう説明が始まり、
そこで、住所と氏名と電話番号をを書かせてしまう。
確信の毎月3960円の水代の話は、それからだ。
俺たちは、ここで思いとどまったが、
中には、サーバー代がタダなのでお得かも?って、
ずっと水代を3960円も払い続ける人も出るだろうな」

黙って聞いていたタカが言う。
「そういえば、ババさんたちは大丈夫だろうか?」
「今頃、ダイキたちも騙されてないかな?」とショウゴ。
「あそこは、大丈夫だろう、
ババちゃんは、騙されるかもしれないが、ダイキの母さんが付いているからな、
うちの母ちゃんと同じでしっかり者で気が強いと思うぞ」と父ちゃん。

明日のレースの前祝いどころか、危うく騙されかかった父ちゃん一家を笑うように
次の日のレースは、雨・雨・雨でした・・。

IB2のレースこそ、ショウゴもタカもそこそこ頑張ったが、
IBオープンでは、ショウゴは、転倒を繰り返してノーポイント、
父ちゃんは、重い450で頑張ったが2周で力尽きてリタイヤ、
タカに至っては、スタートで転んで終わり!って最悪の結果になってしまったのでした。
チャンチャン!


PS1

今回のことは、ショウゴやタカにとっても良い教訓になっただろう。
でも、あの青年は、いつまであんな事をやっていくつもりだろうか?
不況が続いている今は、確かに就職難だろう。
やっと就職して入ってみたらブラック企業!なんて話も聞く。
あの青年ばかりを責めることが出来ないかもしれないが、
若い時にどう働いたか?ということが、その後の人生に大きく影響するものだ。

その時は、良いかもしれないが、
仕事って、ただ単に働いてお金を稼ぐって事ではなく、立派な社会貢献なんだな。
どんな仕事でも社会と繋がっていて、それによって人の役に立つ事が出来る。
若い時に、恥ずかしくない働き方をしたヤツは、その後に伸びることが多いものだ。

反対に、若い時に楽を覚えてしまったヤツやズルをやったヤツは、
やっぱりその後の人生を見ると幸せな人生を送っていない。
若い時の働き方って、ホント大切なんですよ。
お金だけの問題ではないのだよ。


PS2

そう言えば、父ちゃんの友達に“みっちゃん”という勉強の出来るヤツがいた。
当時、高校三年生の父ちゃんたちが遊んでいると
みっちゃんが嬉しそうにやってきて「オレ、英語を始めるんだ」と言う。
すごいんだ、この教材をやると誰でも英語がしゃべれるようになって、
海外旅行にも連れて行ってもらえるんだぞ
」と自慢げだ。
「で、いくらだったの?その英語教材?」とみんな。
たったの50万円!
英語がしゃべれて、外国にも行けてこの値段だからすごいでしょ!


一瞬、静けさが走った。
みんなが顔を見合わせて「みっちゃん、それ騙されてない?」
みっちゃんは、何を馬鹿な事を言うのだと顔を赤くして説明する。

綺麗な大学生のお姉さんに喫茶店に呼び出されたこと、
いろいろな身の上話を聞かされたこと、
あなたは信用出来るから、この話をしたのよ!と言ってくれたこと、
すぐに契約しないと他の人がやってしまうこと、
そのためには、すぐに印鑑を持ってきて契約しなければいけないので、
親に黙って、印鑑を押してしまったこと・・。


聞けば聞くほど、怪しい話・・。
「みっちゃん、悪いことは言わん、すぐに解約しにいこう。
今ならまだ間に合うかもしれん・・」とみんな。
オレは、あのお姉さんと約束したんだ、
英語がしゃべれるようになったら一緒に外国に行ってくれるって!


嫌がるみっちゃんを引き連れて、解約しに行ったことを
今回のことで久々に思い出したぞ。

そんなみっちゃんは、新聞記者になった。
その後、結婚して子どもも生まれた。
この頃、さっぱり会わなくなってしまったが、元気でやっているだろうか?
また、綺麗なお姉さんに騙されていないだろうか?
とちょっと心配な父ちゃんであった。