【恐ろしいことが起きる・・】

前回に書いたように、父ちゃんは昔、RMXでブイブイ言わしていた。

遊びで出た多度チャンピョンシップでモトクロッサーを相手に勝ちまくっていた。

父ちゃんはすっかり「その気」になっていた。

「こんなフニャフニャサスの重たいRMXで勝てるのだったら もし俺がモトクロッサーに乗ったらどんな恐ろしいことが起こるのであろう!」

考えただけで鳥肌が立ってきた。


父ちゃんのRMXは105kgもある。RM250は98kg。

パワーだって51馬力と54馬力。 サスなんて比べものにならないだろう。

そんな差があるのに勝ってしまう自分が怖い。 う〜ん、恐ろしいことが起きるぞ。

すっかりその気になった父ちゃんは1年落ちのKX125を買った。

(本当はRM250を買うはずだったのだが、良い物がなかった)


そして、MFJのNBクラスに衝撃のデビューを飾ったのだった。

結果はどうだったかって?

ひとつ答えておこう。

「恐ろしいことはひとつも起こらなかったのだ」

今、考えると当時の「モトクロスランド多度」は、今のコースより小さくて良く整備されていたので荒れてもなかった。

ジャンプも過激な2連などなく、テーブルトップが多く、

排気量やサスによる差が出ないようなコース作りだったのだ。

中低速がモリモリの父ちゃんのRMXは、3速でスタートしてそのまま全コースを3速で走れたのだった。

究極のオートマティックバイクって感じだった。

スタートで前にさえ出られれば10分間逃げ切れたのだった。、

と、今になって冷静に分析する父ちゃんであった。


その後、冷静に分析しながら父ちゃんは、またまた思った。

「きっと、125が俺にあっていないのだ、だってずっとRMX250だったのだから・・」

「俺が新車のRM250に乗ったら恐ろしいことが起きるぞ・・」

そして、ダブルエントリー(125と250)も、かっこいいではないかと新車の97年型のRM250を買った。

やはり、新車は良い!

ピカピカではないか、このピカピカを見ているだけで速くなれた気がした。

「これにさえ乗ればきっと、恐ろしいことが起きるぞ」

父ちゃんは確信した。

そして、NAからはダブルエントリーしたのだった。

そうだ、ひとつ言っておこう、

やはり、恐ろしいことは起きなかったのだ。