[JNCC(SUGO)]('12/12.31)
 

 今日は、12月31日。あと8時間ほどで今年も終わります。
今年もいろいろとお世話になりました。
来年も父ちゃん一家は、あちこちのコースに出没する予定です。
ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いします。

 ということで、話は続きます。
イナベの雨三連発と美杉のなが〜い・なが〜いフープスですっかり心が折れた父ちゃんは、
来年は、モトクロスと共にJNCCも頑張ろうと心に誓った。

となれば、まずは情報収集だ。
なにせ父ちゃんがエンデューロ界でブイブイ言わせていた(と思い込んでいる)頃からは、
少なくとも20年近く経っている。

今のJNCCも盛り上がっているようだが、
当時のエンデューロ界も結構盛り上がっていて、
今はなき多治見の全日本コースに600台以上のバイクが集まったエンデューロだってあったのだ。
当時の父ちゃんは、KX80(改100)で出て、
200台近くの中、なんと2位をとって賞品に自転車を貰ったんだぞ。

その頃は、バブル真っ盛りからバブルの余韻が残っている時期だったので、
賞品も結構よくって、毎回良いものをゲットしていたんだな。

話を情報収集に戻そう。
さっそく、リョウスケ(今年JNCCに参戦して、この時点でCOMP:Aクラスポイントリーダー)
に残り2戦(SUGOや爺ヶ岳)の様子を聞いた。

リョウスケは、嬉しそうにSUGOのウッズの様子や
爺ヶ岳(じいがたけ)のガレ場を話してくれた。
爺ヶ岳は、ガレ場って言っても美杉の川底を走っているみたいですよ!
「それが終わると石や木の根っこが出ているところを走って、またガレ場」
「爺ヶ岳のレースが終わったらオイルもラジエター液も限界でやばかったですよ!」

ジジガタケ?ジジイの岳ってことか?
リョウスケの爺ヶ岳が「ジジガタケ」に聞こえる父ちゃん。
子どもたちには、尊敬の念を込めて「じぃさま」と呼ばれている父ちゃんだ。
上等じゃないか、ジジガタケが俺を呼んでるぜ!

とても楽しそうに話すリョウスケの様子を見てタカが言った。
楽しそうに聞こえるけど、オレはそんなところは走りたくないな、
リョウスケくんは、本当のエンデューロライダーになったんだな〜

ショウゴは、頷きながらすっかりリョウスケの話に魅了されて、
JNCCのウェブエントリーの方法を聞いていた。
(インターネットでエントリー出来るなんてすごい!MFJも少しは考えて欲しいな)

リョウスケの話だけでは、今ひとつ分からないので、
現代エンデューロ事情をインターネットで検索。
(う〜ん、便利な世の中になったものだ)
すると出るわ、出るわ、いろいろな映像が!

でも、どう考えても昔のエンデューロとは違うぞ。
父ちゃんたちがやっていた頃は、サーキットエンデューロといって、
モトクロスコースがメインで、後は林道みたいなところを走った程度だった。
言うなれば、時間が長いモトクロス(耐久モトクロス)みたいなものだな。
だから、モトクロッサーで走るのが一番速かったのだ。

それがどうだ?
動画を見れば、急斜面を登っていたり、水がある川底を走っていたり、
ゴロゴロある岩場を走っていたり、これはトライアル?って感じも多い。

どうなってしまったのだ、エンデューロ界よ?
ゲロゲロ系が楽しい!」ってなんだ?
そもそもゲロゲロってなんだ?

どこに行くのだエンデューロよ?


父ちゃんとショウゴがエントリーした大会は、
2012年10月7日R6-ハイポイント菅生東北east 全国大会
とたいそうな名称が着いているが、
まぁ、今年は、様子見だし、初めてのJNCCは、よく知っているSUGOだしと、
気楽な気持ちでショウゴはCOMP:Aクラスに、父ちゃんはFUN:Aクラスにエントリーした。

エンデューロをやるヤツの気持ちが分からん!と言っていたタカも
前日の土曜日に全日本のモトクロスコースで練習が出来るとあってノコノコと着いてきた。
(二週間後には、SUGOで全日本モトクロスがある)

金曜日に仙台の週末の天気を調べれば「晴れ」。
土曜日に少し曇るようだが、雨が降っても小雨程度。
こりゃ、いいホコリ押さえだわい!

ショウゴのバイクは、中部選で使っている’10CRF250に
エンジンガードとハンドガードを付けただけのもの。
(サスは、急遽中村さんが、少しエンデューロ向きにセッティングしてくれたぞ、
ありがとう、中村さん!)
タイヤは、全日本近畿大会で一回使ったものを組む。

父ちゃんに至っては、タカが昔乗っていた’06CRF250そのまま。
タイヤだって中古の硬質用そのまま。
まぁ、雨じゃないし、FUNクラスだし、今回は、様子見だから・・。
とすっかりお気楽気分。

もし、不甲斐ない成績だったとしても、
タイヤも中古だし、バイクもボロボロだし、何せ様子見だから・・
というりっぱな言い訳も出来る。
年季が入ってくるとこんな保険もかけられるようになるのだよ。

そして、やってきました、R6-ハイポイント菅生東北east 全国大会。
土曜日の夜から降り出した雨は、一晩中やまず、
コースは、すっかりグチャグチャ・ネチャネチャ・ドロドロのイナベ状態。
天気予報の嘘つき!
父ちゃんのタイヤは、硬質用のそれも山五分目。
どうすんの?(まぁ、保険はあるが・・)

まずは、タカとパドックを見て回る。
(ショウゴは、コースの奥の方に一人で歩いて消えていった)
思ったよりも本格的なテントが並ぶし、お店も多い!
全日本モトクロスと比べるとまだまだチームの規模が小さい気はするが、
思っていたよりも本格的な感じだぞ。

AAクラスのパドックを見れば、カントク!こと鈴木健二さんやその門下生の渡辺学くん、
父ちゃんの元チームメイトの星野恭平くんにダートスポーツの矢野和都くん、
その他も顔を見たことがあるモトクロスライダーが結構いるぞ。

ここは、全日本モトクロス?って感じだが、バイクを見れば明らかに違う。
エンデューロ用のビックタンクや
バーエンドまでのハンドガード(モトクロスでは禁止)は、当たり前だが、
何より雑誌でしか見たことないような外国メーカーのバイクがあるわあるわ。

モトクロスならほとんどが日本の四大メーカーとほんの少しのKTM。
それがどうだ、やけに多いKTMやガスガスにフサベルにハスクバーナ・・。
トライアルマシンしか作ってないと思っていたベータやアプリリアのマシンもあるぞ。

タカも見たことのないバイクのオンパレードで喜んでいる。
「あれってなんてマシン?」と聞かれても答えられないバイクも多い。
昔のエンデューロ界は、日本車しかなかったぞ。
みんな、お金を掛けているんだな?
しかし、JNCCは、モトクロスで言えば、全日本選手権みたいなものだから当たり前か?

そして、不思議なことに全日本モトクロスでは、ほとんど見ることがない2サイクルも多いぞ!
どういう事だ?
やっぱり、エンデューロには、あの軽量感が良いのか?

純粋なレーサーだけではなく市販車も多いのがエンデューロの面白いところ。
でも、みんな結構いじってあるな。
AAクラスのモトクロス元ワークスレーサーから初心者までが一緒のレースに出るってのも
エンデューロの良いところだな。

何より驚いたことが前後新品のタイヤを履いているマシンが多いこと。
あまり速そうに見えないバイクでもリアだけは新品って感じだぞ。
父ちゃんの’06CRF250のように前後とも中古タイヤは、めずらしい。
ってハンドガードさえ付いていないモトクロッサーそのままってのも珍しい。

そうこうしているうちにブリーフィングが始まった。
コース説明では、コースレイアウトをした藤原さんが
いろいろな仕掛けもありますから一周目は気をつけてくださいね」と嬉しそうに言っている。
なんだ?仕掛けって?
「それとコースの一部がアスファルトの道路上を走ります、
この状態だと氷の上を走るくらい滑りますので気をつけてください」と説明している。

上等ではないか!
父ちゃんは、ショウゴやタカと違ってモトクロスだけできたのではない。
東京にいた頃は、青梅街道の青い稲妻!と恐れられ、
(この頃の愛車は、RG250E、アルミフレームの名車RG250ガンマの前モデル)
地元の三河湾スカイラインでは、銀色の疾風!
(GS650G:あのスズキのGSX1100S刀の起源で奇才ハンス・ムートのデザイン)
と呼ばれた父ちゃんだ。

当時は、バイクに乗るのが嬉しくて、雨でも雪でも峠を攻めていたぞ。

この頃は、バイクに乗る人も多くて、スーパークロスや鈴鹿8耐もテレビで放映していたし、
NHKの七時のニュースでは
神宮で行われたスーパークロスで若手のリック・ジョンソンが優勝しました!
なんてやっていたんだぞ。
ロードレーサーの平忠彦が資生堂の男性化粧品のCMやっていたんだぞ。
信じられます?

まだ結婚する前の母ちゃんと鈴鹿サーキットでデートして、
「あのニール・マッケンジーは、イギリスの選手なんだ!」と解説すれば、
「へ〜、演歌歌手の新沼謙治ってバイクにも乗るんだ!すご〜〜い!!」ってかわいく言っていたんですよ。
信じられます?

藤原さんの「アスファルト道路」という一言だけでもこんな事を思い出してしまう、
年季の入った父ちゃんだった。

午前中は、FUNクラスだ。
父ちゃんは、Aクラスなので一番先頭に並べる。
メンバーを見れば、父ちゃんと同じ年くらいか、もっと上の人もいる。
しかし、バイクは、手入れの行き届いた速そうなバイクが多いぞ。
(父ちゃんが欲しかったKTM150も何台かある)
もちろん、タイヤも新品だ。

このグジャグジャのコースをどうやって走ろうかと考えていると
一人のオヤジが近づいてきた。
「中島さん、ついに来ましたね、
私は、名阪の全日本でスタッフの一人として応援していたんですよ!」

お〜、あの2速全開で走り回っていた恥ずかしい姿を見られてしまったか。
「ありがとうございます、今日は、初めてなんで完走を目指しますよ」
とちょっと謙遜する父ちゃんだが、
内心は、モトクロスコースだけは、負けないぞ!と燃えている。

いよいよエンジンスタート。
でも、エンジンを掛けようと思っても掛からない。
まずい、まずいぞ〜〜〜。
見かねたショウゴがコースに入ってきてくれて助けてくれる。

なんとかエンジンを掛けて、スタートを待つ。
スタートはヘルメットスタート。
(チェンジをニュートラルに入れて、左手をヘルメットに付ける)
お〜懐かしい、スタートバーがなかった頃のモトクロスはいつもこれだった。

そして、スタート。
あっという間に出遅れる父ちゃん。
あれ、何でそんなに速いスタートが切れるの?

第1コーナーまではずいぶんと距離がある、
バリバリのモトクロスマシンは父ちゃんだけだ、絶対に追いつける!
と思うまもなく、みんなが綺麗に第1コーナーを回っていく。

全日本ならここから大坂に上がるのだが、FUNクラスは右に回って大坂の下りに出る。
よし、この登りでごぼう抜きだぜ!とアクセルを開けるが、バイクが全然前に進まない。
ヌチャヌチャ・ツルツルのコースにリヤタイヤが空転してグリップしない!
3速・4速と上げるがまだグリップしない。
みんながドンドン離れていく。
焦る父ちゃん。

5速に上げてエンストすれすれまでエンジン回転を落とすと何とか前に進み出した。
やっぱりタイヤは大切だ。(次は、もう少しまともなタイヤを付けよう!)
それでも現役国際B級の意地でズルズル滑る下りで追いつく。
せめてこのモトクロスコースだけは、何とか付いていくぞ!

モトクロスコースでは負けない!という初心をすっかり忘れ、
すでに「離されないこと!」が目標になる。
奥のヨーロピアンコーナーの手前からウッズセクションに入る。

ここからがまたまた滑る滑る。
でも、後ろの数台には追いつけたぞ。
木々の間を抜けると道路が見える。
ここが藤原さんが言っていた氷のように滑るところだな。
お〜、前の集団もめちゃくちゃスピード落として慎重に走ってるじゃん!

ここで、青梅街道の青い稲妻!と三河湾スカイラインの疾風のGS650Gの血が騒いだ!!
チャンス到来!!!
こういうところはビビるから滑るんですよ、
タイヤが滑る前にアクセル開けて先に滑らせちゃえば良いんですよ!
「やっほ〜〜〜!」とカウンターを切って突っ込む父ちゃん。

その瞬間、気づけばバイザーがねじ曲がって道路が目の前に横たわる。
へ、転んだの?
タイヤが滑る感触さえもなく転倒していた。
これが藤原さんが言っていたことか?

横たわるバイクを見れば、まだエンジンが掛かっている。
ラッキー!ってクラッチを握ろうとすれば、あれ?クラッチがない!
見れば根本から綺麗に折れてなくなっている。
こういう時のためにみんなバーエンドまでのハンドガードを付けているんだ!

キルスイッチでエンジンを止めて、バイクを起こそうとすれば、
すってんころりん!
父ちゃんが履いているのは、ブーツ底が平らなモトクロス用ブーツ。
やっぱりエンデューロには、ブロックが付いているタンク底が必要か!
その後も何回もすってんころりんして、何とかバイクを立てる。

チェンジをニュートラルに入れて、エンジンを掛ける。
お、掛かったぞ!
ここからが問題だ、クラッチがないので、いきなりローに入れるしかない。
エンストしないようにそのまま走り出すことが出来るのか?

ちょっとアクセルを開けながらチェンジを入れてみれば、すぐにエンスト。
そして、すってんころりん。

二速ならどうだ?と試してみれば、やっぱりエンスト。
またまた、すってんころりん。
え、もうリタイヤ?

しかし、ここで青い稲妻!銀色の疾風!の血が騒いだ。
父ちゃんは、“あきらめる”ってことを知らない男だ!
バイクを傾けてアクセルをふかしてチェンジをローに入れる。

バイクがくるくる回る。
そのままバイクに飛び乗る父ちゃん。
何とか土のところに出る事が出来たぞ。

エンストしないようにピットエリアに向かい、やっとのことでたどり着く。
どうした?じぃさん、もう帰ってこないかと思ったぞ!」とタカが駈け寄る。
「クラッチレバーが折れた、お前のバイクに付いている可倒式のレバーを貸してくれ!」
とパドックに走る父ちゃん。
タカのバイクからクラッチレバーをはずし、
父ちゃんの折れたクラッチを抜き取り、そこに可倒式のレバーを取り付ける。

暇なショウゴがちゃちゃを入れる。
「じぃさま、モトクロスコースだけは、もうちょっと速いと思っていたのに、
先頭集団からは、ドンドン離されていたぞ、もうモトクロスも止めれば?」
「うるさい、ショウゴ!よく考えれば、あのオヤジたちもみんな元IBだ、
そんなに簡単にはいかんのだ!」

醜い言い争いをしている父ちゃんチームの横では、
他のチームが「がんばれ!」とライダーを応援している。
(この一体感もエンデューロの良いところだな!)

スタートしてからいったい何分経ったのだろう?
コースの途中から帰ってきたので、まだ父ちゃんは一周も走っていないぞ。
ホントに完走出来るのか?
(後でラップ表を確認すれば、1周目が46分!)

よし、いくぜ!
とアクセル全開でコースに戻る。
でも、すべる、すべる。
モトクロスコースから奥のコースに行けば、なんてこったい!
あちこちで渋滞の嵐。

グチャグチャのコースでみんな右往左往。
これでレースが成立するの?と心配していれば、
スタッフが来て、コースをどんどんショートカットしていく。
レース中でもコースが変わっていくんだ!
(モトクロスでは絶対にないことだな・・)

ショートカットしたコースになだれ込むバイクの集団。
抜いたり抜かれたりを繰り返してあっという間に100分が過ぎてレース終了。
トップとの差は2ラップで何とか完走だけは出来ました。


そして、午後からは、いよいよメインイベントのCOMPクラス。
FUNクラスでは使わなかった“逆落とし”とか“スリバチ”なんて、
おどおどろしい名前が付いている難所があるそうだ。

初参加のショウゴは、きっとこの難所で泣くに違いない。
ついつい親心を出してしまった父ちゃんは、「ラインぐらいは教えられるかもしれない!」
と難所に向かって走る。

しかし、モトクロスコースならよく知っているが、その奥の山の中には入ったことがない。
あっという間に迷子になる父ちゃん。
ショウゴを助けるどころか、父ちゃんが遭難?
スタート時間が迫る中、一人山道を行ったり来たり。
ほとんど「ここはどこ?私は誰?」状態。

前方から4〜5人の集団が山道から帰ってきた。
スリバチってのは、どこにあるんでしょうか?
とほとんど半泣きで尋ねる父ちゃん。
「結局、スリバチと逆落としは、中止になったようですよ!」と教えてくれる。

その時、タカから電話が入る。
「じぃさん、今、Aクラスがスタートして、ショウゴがトップで大坂を登っていくぞ!」
お〜、父ちゃんが遭難しかかっている間にこんな事になっていようとは!

急いでコースと思われる場所に行く。
鈴木健二・渡辺学・矢野和都がすっ飛んでいく。
そのスピードは、ほとんどモトクロス?
これで3時間走りきるの?


その時、赤ゼッケンのAAライダーに混じりながら緑ゼッケンのCRFがやってきた。
ゼッケン234番、ショウゴだ!
まだ、1番だ、すごいぞショウゴ!!
すぐ後ろは、ゼッケン6番の得地さんだ。
がんばれ〜、ショウゴ〜。

二周目は、3位で父ちゃんの目の前を走っていく。
(後で聞いたらコースを間違えたらしい)
レース後の出走記録証明書(こんなものもくれるんだ、すごいな!)によると、
計測地点では、1周目から3周目までが2位で、4・5周目が3位だった。

3位のまま、45分近くが経過した。
ピットエリアにいるタカに「そろそろ給油じゃない?」と電話した。

実は、父ちゃんたちは、ノーマルタンクの’10CRF250Rが満タンでどのくらい走れるかも分からない。
シーズンオフにイナベのエンデューロに遊びで出ることはあるが、
ボロボロの’06や’07のCRFだし、
だいたいキャブレターとインジェクションでは、燃費が違うし、
そもそもモトクロスコースとエンデューロコースでは、アクセルの開け方も違う。
と結局、満タンでどのくらい走れるかさっぱり分からない。

ガス欠だけはさけたいので、早めの給油をするしかない。
スタートして55分で第1回目の給油だ。
(この給油の間に、ゼッケン111番の子に抜かれて4位)

山奥のコースを見ているのにも飽きてきた父ちゃんは、ピットに戻る。
すでに1時間半ぐらい経っている。
ショウゴの順位は、4位。
3位の111番は射程範囲だぞ。

この頃から給油に入るバイクが増える。
父ちゃんたちのようにポリタンクではなく、
クイックチャージャーで給油しているチームも結構多いぞ。
みんな本気じゃん!(昔は、こんなものなかったぞ!)

1時間40分くらい経ったので、ショウゴにピットインの合図を出す。
「まだいける!」と首を横に振るショウゴ。
あいつはアホか?一周が少なくとも10分くらいかかるから、
次でピットインしても1時間50分くらいか?」

次の周にやっとピットインする。
「じぃさま、残りは何分くらい?」とショウゴ。
「1時間ちょっとだと思う」と父ちゃん。
「それなら給油はこれを最後にする、
111番には、ミスさえしなければ一周につき30秒は詰められる、
給油さえしなければ、絶対に追いつける
「それは無理だぞ、トップが3時間でちょうどゴールするとは限らない、
場合によっては、3時間10分って事も考えられる」

すっかり勝負師になったショウゴは、
そんな父ちゃんの言葉も耳に入らないかのようにすっ飛んでいった。
(この給油で、111番には、離されてしまった)

ここで父ちゃんとタカの作戦会議だ。
「4位って事だけでも上出来だよな?」とタカ。
「俺もそう思う」と父ちゃん。

「無理してガス欠なんて事になったら最悪じゃん!」とタカ。
父ちゃんは、一呼吸して決心した。
どうせもう1回給油するなら2時間30分くらいでやろう!

この間にも、離された111番に毎週近づいていくショウゴ。
2時間20分を過ぎたので、次の周にピットインの合図を出す。
またまた首を横に振るショウゴ。
確かに111番は、目の前だ。
しかし、ガス欠になったらすべてがおしまいだぞ。

何とか最後(3回目)の給油に入ってきたのが2時間40分過ぎだった。
この給油で、また111番との差が広がってしまった。
でも、まだ20分近くあるはずだ。
場合によっては、30分くらいある可能性もある。

タカが叫ぶ、「ショウゴ、最後まであきらめるな!
ショウゴが、細い目をキラリとさせて頷く。
お〜、エンデューロにあんまり興味を示さなかったタカが燃えている。
ショウゴもまだあきらめてないぞ!
こりゃ、まだ勝負は分からん!!
「いけ〜、ショウゴ!」父ちゃんも思わず叫ぶ。

父ちゃんチームもひとつになってきたぞ。
良い感じだぞ!と感慨にふけっているとアナウンスが聞こえてきた。
「2時間45分を過ぎてトップがゴールすれば終了です。」

へ?
2時間45分??
そうこうするうちにトップの鈴木健二選手がゴール。
2時間49分だった。

3時間経ってからゴールだと思い込んでいた父ちゃんとタカは、ぽか〜んと口を開けてフリーズ。
ショウゴも「あれ、もう終わり?」って感じでゴール。
結局、3位の111番とは、33秒差の4位。
JNCCのルールも何にも分かっていない父ちゃん一家でした。

PS
今回は、難所がショートカットになったおかげで、
だいぶモトクロスライダーに有利になったと思う。
コースコンディションもFUNクラスよりずっと良かったし・・。
でも、三回も給油していたらダメだな〜。
みんなは、だいたい1回だしね。
次は、ショウゴのCRFをビックタンクにしよう!
父ちゃんももう少し良いタイヤを履こう!
(でも、保険だけは掛けておこう!)

ということで、いよいよジジガタケだ〜〜〜!