[JNCC開幕!]('13/4.30)
 

 2013年のレース第一戦は、JNCCのプラザ坂下(サザンハリケーン大阪)だ。
本当は中部選第一戦(天竜川)があったのだが、
保育園のお遊戯会とバッティングしてしまいキャンセル。

しかし、このJNCCにエントリーするだけで一苦労。
大会ひと月ほど前の火曜日の夜8時からウェブエントリーが始まるというので、
ショウゴはiPad、父ちゃんは、パソコンでスタンバイ。
この頃のJNCCは人気があるので、早くエントリーしないと定員枠が埋まりますよ!
と聞いていたので8時と同時にクリック!
でも、回線が繋がらない、ページが更新されない。

焦る父ちゃん。
ショウゴは、何とか次のページに進んでいるようだ。
そうこうするうちにページさえも表示されないようになる。
アタフタしている父ちゃんを尻目に「バイクも遅いけどインターネットも遅いな~
と余裕綽々のショウゴ。
「チキショー、クリックしてもクリックしても反応がないんだ~」

ショウゴにどうやったら繋がったのか?と聞けば、「連打だ!」と応える。
俺は、ダテに毎晩ゲームをやっている訳ではない、連打のクリックで繋げてやったぜ!
と自慢げに言う。(ホンマかいな?)
「チキショー、俺はエントリーの段階で負けてしまうのか?」

昨年の不甲斐ない走りを挽回するつもりで買ったKTM。
もうバイクのせいにはしない、俺は言い訳をしない男だ!
と自分を追い詰めるように買ったKTM200EXC。
そんな父ちゃんの強い意思を打ち下すようなこの仕打ち。
恐ろしいことがおきるはずだった今年のJNCC!
すべてが水の泡か?

散々大騒ぎをした挙句、JNCCからサーバーがダウンしたので、後日もエントリー出来ることを知る。
その上、父ちゃんがエントリーするFun-Aクラスは、少数尊重クラスということで
定員になる迄、エントリーを受け付けてくれるそうだ。
あの大騒ぎは何だったの?

ということでやってきましたプラザ坂下。
今回もショウゴと二人旅だぞ。
子どもたちが小さい頃に一度、家族で来た気がするがコースさえもすっかり忘れている。
駐車場だってあちこちにあってどこに止めたらいいのかさえ分からない。
う~ん、まだまだ分からないだらけのJNCCだぞ。

ショウゴとスタート位置を探すがどこか分からない。
モトクロスコースを基盤に設定されているコースだが、あっちこっちに脇道を作っているから
どうなっているのかさっぱり分からない。

ホームページからダウンロードしたコース図を片手にさまよう二人。
ここでショウゴが重大なことに気づいた。
コーステープの色で進行方向が決まっているんだ!
確かに見渡してみると進行方向左側(クラッチ側)のテープがいつも青色だ。
そうか、そうだったのか!
やりおるわい、JNCC。
これで逆走する心配もなくなったぜ。

バイクも新しくなりすっかりハイテンションな父ちゃんと違い、ショウゴはやけにナーバスだ。
「このラインをいけば簡単だぜ!」と父ちゃんがせっかくアドバイスをしても
「そんなラインはみんなが通る、みんなと同じラインでは意味がない!」などと文句を言ってくる。
「リョウスケもここで勝ったから俺も勝たねばならない、
モトクロスライダーに有利なここで勝たなければならないんだ!」とひとりで気負っている。
(昨年はリョウスケがCOMP Aクラスに初参戦で優勝、総合でも6位という快挙を成し遂げた)

「バカかお前は?リョウスケは心が折れていたとはいえ、現役のIAライダーだ、
お前は、全日本の予選も通らないシガナイIB負け犬ライダーではないか!
まずは、3位くらいを目指そうぜ!
という父ちゃんのありがたいアドバイスに耳も傾けず、ひとりでイライラしているショウゴ。
背もちっちゃいが人間もちっちゃいぜ!

そうこうしていうちに父ちゃんのFunクラスの集合時間だ。
今回もAクラスのライダーたちは気合が入っている。
タイヤもみんな新品だし、コースによってバイクを変えてくるツワモノもいる。
後ろの黄色いゼッケンの子たちのバイクも速そうだぞ。

しかし!
父ちゃんだって、昨年までの父ちゃんとは違うニューKTM父ちゃんだぞ。
言い訳をすべて排除したニューKTM父ちゃんだ。
(保険のためにフロントタイヤだけは中古のままだが…)

父ちゃんは、言い訳をしない男だ!と自分を追い詰めての参戦だぞ。
ウェアーだって、全日本モトクロスの最終戦(SUGO)で安く買った型落ちの新品だ。
バイクだってピカピカ!
よく見るとトライアルコースの崖から滑り落ちたキズがあるが、
父ちゃんは、そんな細かなことは気にしない大きな男だ。

ショウゴのバイクだって、
表彰台に上がって車両保管されても恥ずかしくないようにと
タカがピカピカに磨き上げてくれたぞ。
(さすがはラスカルタカ!と言われてるだけのことはあるな、
でも、後にAクラスに車両保管なんてない事が判明するが…)
いつもショウゴのお古ばかりだったタカは、モノを大切にする。
特にバイクに関してはバイクもウェアーもヘルメットもプロテクターもすべてお古だった。
初めてタカ用に新品ウェアーを買ってやった時の笑顔は忘れられないぞ。
(タカは、歴代の使い古したウェアーを自分の部屋に大切に飾ってある)

泥だらけのブーツでも気にしないショウゴに比べて、いつも綺麗に洗うのがタカスタイル。
美杉のコースでも川でいろいろなものを洗っている。
まだ小さかった頃のタカが美杉の川底で洗っている後ろ姿はアライグマラスカルそのもの。
よって、付いたあだ名が「ラスカルタカ!」

そんなことを考えているうちに30秒前の看板をお姉ちゃんが上げる。
左手をヘルメットに当てての苦手なヘルメットスタート。
案の定、チェンジをいれる頃には、すでに出遅れ、
その挙句に焦ってアクセルをふかしすぎてリヤタイヤがスリップ。

今回は、コース長が短いからとA・Bクラス同時スタートなものだから、
後ろの黄色いゼッケンの子たちにさえ抜かれる始末。
(そのスタートを近くで見ていたショウゴは、恥ずかしくて他人のふりをしたそうだ)
そこから何台か抜き、やっと緑色ゼッケンのAクラスが見えてきたところで、
木が縦に何本も置いてあるいやらしいセクションに到達。
すでに黄色ゼッケンの子たちが何人もスタックしている。
その脇をヨタヨタと抜いていく父ちゃん。
その時、父ちゃんのジャージが黄色ゼッケンの子のハンドルに引っ掛かってしまった。

焦る父ちゃん。
バイクを前に進まそうとするがジャージが外れない。
そうしているうちに10台くらいの黄色ゼッケンに抜かれる。
やっと外れた時には、父ちゃんの頭のリミッターも外れてしまった!

今回のレースに掛ける思いは実はショウゴより大きかった。
何てたって久々の新品バイク(多少のキズはあるが…)
父ちゃんは、やる時にはやる男だ!
父ちゃんは、言い訳なんかしない男だ!
父ちゃんは、自分を追い詰めて結果を出す男だ!」と散々言いふらして来た。

そんな“男の中の男”の父ちゃんがこんなことで終わるわけにはいかない。
右に左にラインを変え、モトクロス以上にアグレッシブにコースを攻める父ちゃん。
一周目なので慎重に走っている黄色ゼッケンを右から左から抜いていく。
それも目の前のコーナーの次がどうなっているのかさえも分からない状態でだ。
おかげで池に落ちそうになるわ、崖から落ちそうななるわ、
もう少しで前転しそうになるわ、
と今考えてももう二度とあんなことは経験したくないようなことばかりだった。

無事に一周が出来たのが奇跡だった。
この時点でAクラス6位。
しかし、この一周目ですっかり力を出し尽くした父ちゃんは、すでにフラフラ。
モトクロスコースを基盤にしていてもそこはエンデューロ。
クネクネしたコースがこれでもか!と続き、
チェンジが2速では頭打ち、3速に上げればボーとエンジンが付いてこない。
何なんだよ、このKTMは!

疲れは人を変える!
いつもは温厚で人やモノのせいにしない天使のような父ちゃんが荒れる荒れる。
こうなるとKTM200EXCの悪いところばかりが気になってくる。

子育てでも一緒ですよ。
親って責任がある分、子どもの悪いところばかりが気になってしまい、
良いところが見えなくなってしまうんですね。
親は子どもに近い分、見えないことも多い!
親だからこそ子どもの“良いとこ探し”をしなければいけないんですよ~、
と普段は偉そうに保護者の人たちに語り掛けている父ちゃん。

そんな父ちゃんが我が子のように可愛いKTMの“悪いとこ探し”に落ち入っている。
子育ても追い詰められている時が危ないんだな。

みなさんは子どもたちがどんな時に幸せを感じていると思いますか?
どんな時に笑顔になると思いますか?
子どもたちが笑顔の時、それを見つめるあなたの顔はどんな顔ですか?

実は、子どもたちが笑っている時って、回りにいる親や家族も笑顔なんですね。
子どもは、自分の回りにいる親や家族が笑っているからこそ
幸せを感じて笑顔になるんですよ。

何でこんなにパワーがないんだよ!
もうチェンジするのも疲れたぜ!
他のバイクの方がコーナーの立ち上がりが速いじゃないか!

父ちゃんのレースは一周目で終わっていた。
後はひたすら他人のバイクがよく見えるばかり。
自分のバイクの悪口ばかり…。
全然レースを楽しめなかった父ちゃんは、5位でフィニッシュ。
(KTMは、こんな父ちゃんに乗ってもらってどんな気持ちだろう?)

優勝は、KX85に乗った人だそう。
父ちゃんのKTMよりもずっとパワーもない85ccで優勝!
父ちゃんは、自分を恥じましたよ。
KTMに「さっきはゴメン!」と謝りましたよ。

新車がきた時のいつまでも撫で回していた時の気持ちを忘れていましたよ。
子どもが生まれた時の気持ちを覚えていますか?
無事で生まれてくれたことだけでも喜んだでしょ?

ちょっと思い通りにならないとバイクのせいにして納得してしまったことを恥じましたよ。
思い通りにならないのが子どもです。
(思い通りにならないものがバイクです!)
子どもは、親の思うようには育たない、親がするように育つ!」って言うでしょ。
KTMは、父ちゃんがやるように動いていたんですよ。

子育てでも同じですよ。
子どもを一人の人間として見れる親は、ちゃんと子どもに謝れるんですよ。
親が聖人君氏である必要なんかありません。
むしろ立派すぎる親の子は、プレッシャーばかり感じて可哀想ですよ。
ダメ親で結構なんです、
でも言い過ぎたり間違った時には、ちゃんと謝れる親でいて欲しいと思います。

あとは、子どもにどれだけ「ありがとう!」が言えるかですね。
「ありがとう!は、子育ての魔法の言葉」と言われているくらいステキな言葉なんです。
これだけでも子どもって結構まっすぐに育つもんですよ。

父ちゃんは、KTMに謝り、ありがとう!と撫ぜてやった。
(これでKTMもまっすぐに走ってくれるだろう!)
昼食のパンを食べる暇もなく午後のCompクラスのピットがオープン。
今回は、全日本選手権モトクロスレディスクラスでも活躍している川村さん
(トライアル国際A級 ライセンス保持者)も出ている模様。

ショウゴは、昨年のSUGOで4位だったのでAクラスでは一列目のスタート位置をゲット。
こりゃ、モトクロス張りのスタートでホールショットを狙えるぜ!
そして、AAクラスがキックスタート。

Aクラスもエンジンをスタート。
するとスタート位置にあったテープが5mほど前に移動。
ゴーグルを掛けてないショウゴが、慌てている間にドンドン割り込まれて三列目になってしまった。
そんな三列目からモトクロス張りのスタートをきるもんだから前者のリヤタイヤに衝突。
真横を向いてあわや転倒。
近くで見ていた父ちゃんは、恥ずかしくて他人のふりをしましたよ。

グチャグチャにいるバイクの中をショウゴが進んで行く。
一周目がAクラスで33位、二週目で16位、三周目で9位、四周目で7位。

1時間40分で給油。
順位は4位くらいか?
そこからは川村さんとのバトルが始まった。
スピード自体は、ショウゴの方があるが、
きっとパドックからは見えない難所セクションが速いんだろう。

(イン側の川村さんを抜いて、ついに2位に!)

抜いたり抜かれたりを繰り返しながらレースは終盤に。
中盤で2分ほどあったトップの子との差も1分くらいに縮まってきたが、2位まで上がったところで時間切れ。
モトクロスライダーに有利なコースレイアウトだっただけにスタートでのミスが悔やまれる。

まぁ、2位でも上出来だ。
それにしても凄いのは川村さんだ。
並み居る男を毛散らかして、このコースで3位は立派だぞ。

(ゴールするショウゴと表彰式のショウゴ。川村さんの方が背が高いぞ!目指せ、小さな巨人!)

ゴールしてきたショウゴに駆け寄り「もう少し時間あればトップまで追いつけたな!」と言えば、
「追い抜く時に川村さん足を引いたかもしれんから謝ってくる」と言う。
川村さんは元気に歩いていた気がするが、それじゃ言って来い!と送り出す。

ショウゴによれば、レース終盤は川村さんを抜いては転倒して抜かされ、
またまた抜いては転倒して抜かされ!というのを繰り返していた時の出来事だったようだ。

表彰台の前で謝るショウゴに
川村さんは「へ、そんなことありましたっけ?全然気づきませんでしたよ」
と笑顔で答えていた。
その爽やかな笑顔にいっぺんにファンになってしまう父ちゃん。
次からはショウゴよりも川村さんを応援しよう!

JNCC三戦目で一番良い成績を残せた父ちゃんとショウゴ。
次回の広島(ビックディア広島)が楽しみだぜ!

モトクロスライダーにとって広島といえば、全日本モトクロスの会場でもあるグリーンパーク弘楽園。
ラムソンジャンプで有名なところです。
でも、JNCCの会場には、ラムソンジャンプがありません。
それが何より嬉しいというショウゴでした。

しかし、デンジャラスランド特設コースって書いてあったぞ?
デンジャラス!ってどんな恐ろしいところなんだ?
(本当は、テージャスランチだそうです、どういう意味?)