[中部選第2戦!]('13/6.15)
 

 JNCCの開幕戦を上々の成績でスタートしたショウゴと父ちゃん。
しかし、まだまだ問題は山積みだった。

ショウゴのスタートの悪さは、モトクロスでもイヤと言うほど証明されているが、
天使のような父ちゃんもKTMの“悪いとこ探し”に陥る始末。
こうなるとKTMの良いところも見えなくなってしまう。

みなさんは、下記のAくんとBくんをどんな子だと思いますか?

Aくん:頑固で 落ち着きがなく 優柔不断で 泣き虫なくせに 自己主張が強い。
Bくん:意志が強く 好奇心旺盛で 回りの人の意見をよく聞き 感受性が強くて 自立している。

Aくんを自分の子どもだと思った人もいるのでは?
実は、AくんとBくんは、同じ人物で、A先生とB先生の見方の違いだったんだな。

A先生が「頑固」だと思うところをB先生は「意志が強い」と感じる。
A先生が「落ち着きがない」と思うところをB先生は「好奇心旺盛だ」と感じる。
優柔不断」なのか「回りの人の意見をよく聞いている」のか
泣き虫」なのか「感受性が強い」のか
自己主張が強い」のか「自立している」のかは、単なる人の見方の違いなんですね。

アメリカのコーチは、「とにかく子どもの良いところを褒めて伸ばすが、
日本のコーチは、まず欠点や弱いところから直す指導をする!」ってずいぶん前から言われているが、
コーチだけではなく、子どもに一番近い親だって似たようなものだから、
これも国民性の違いからくることなのか?
だから日本の中学生は、OECDの中でもダントツに自己肯定感が低いのかな?

といって、この頃では褒める子育てが流行だが、やたらめったに褒めればいいってものでもない。
一番危ないのは、結果ばかりを褒めることだ。
結果ばかりを褒めていると子ども自身がどんなに努力をしていても
結果が付いてこないと意味がないと思い込んでしまう。
親も結果のみに振り回されてしまうんだな。

がんばれ!」って励ますことも必要だが、
実は、「頑張っているね!」と結果がどうであれ、その過程を認めてあげることの方が大切なんだな。

ということで、KTM200EXCを前に今一度、良いとこ探しをする父ちゃん。
そうだよな、お前の良いところはその軽さなんだよな。
4サイクルのようなトルクがない代わりに、気持ちよく回るエンジン。
コーナーの立ち上がりだって半クラを当ててやれば、4サイクルに負けない立ち上がりが出来るではないか!

とここで気がついた。
父ちゃんは、半クラが苦手だった!

忘れもしないモトクロスランド多度のエンデューロ。(もう10年ほど前のことだが・・)
まだショウゴがCR80に乗っている頃で、タカも80に乗り始めた頃だった。
父ちゃんは、CRF450Rでブイブイ言わせていた頃だな。(と本人は思い込んでいる)

遊び気分で三人で組んで出たのだが、
いつも450に乗っている父ちゃんにとってCR80のピーキーなエンジンとホイールベースの短さで
とても乗れるシロモノではなかった。
450ならば多度のような小さなコースだったら3速だけで走れてしまう。
ほとんどオートマに乗っているようだった。
(といっても速く走るためには、ちゃんとチェンジが必要だが・・、でも2速と3速だけね!)

そんな“楽”を覚えてしまった父ちゃんにとってCR80は厳しかったな~。
「どうしたらあんなに遅く走れるの?」とショウゴにバカにされ
「父ちゃん、クラッチを使わなきゃダメだよ」とタカにまで言われる始末。
この時こそ、親の威厳というものが吹っ飛んでいった瞬間だったな。
だからこそKTM150XCではなく、少しでもトルクがあるKTM200EXCを選んだんだ。

確かにモトクロスコースを走っているだけなら、父ちゃんのクラッチ操作でも結構気持ち良く走れる。
しかし、JNCCは、そんなに甘くはなかった!というよりモトクロスとは違う土俵で戦わなければならない。
クネクネしたコースにガレ場やウッズ。
それもモトクロスのように20分(IBの場合)ではない!
20分なら父ちゃんだって、元気よくクラッチを使いまくれる。
問題は、その後なんだな。
疲れて半クラが当てられなくなった2サイクルは怒った時の母ちゃんのようだな?
扱いづらいったらありゃしない!


あ~あ、KTM200EXCの軽さと始動性の良さ、そして450のパワーを持ったバイクってないですかね?
そうそうセルも欲しいなー。と無い物ねだりをする父ちゃん。

いけない、いけない。
KTMの良いとこ探しのはずが、憧れのバイクの話になってしまった。
KTM200EXC、良いバイクですよ。
2サイクルの割には低速もあるし、軽いし、セルだって付いてる。
でも、昔の女(CRF450)が忘れられない父ちゃん。

そう言えば昔からそうだった。
高校三年の時に初めて出来た彼女。
一緒に東京に出て行ったのにすぐにこっぴどくフラれてしまった。
俺の彼女は、バイクだぜ!」と強がっていたものの、
いつまでも気持ちの切り替えが出来ずにウジウジとしていた。
結局、ウジウジと連日の深夜までの仕事で体を壊してしまい、2年間で地元に帰って来たんだな。

仕事仲間のみんなに送別会を開いてもらって、
「こんな良い人たちと仕事ができていたのに!」と後悔ばかりが先に立った。
その送別会で後輩の女の子に「先輩のことが好きでしたけど、
先輩には忘れられない人がいるみたいで言い出せなかった!」って告白されたけど、
その子の気持ちも分かっていなかった。
過去にひきづられていると回りが見えないんですね、前に進めないですね。

地元に帰ってきて、いろいろあって流れ着いたのが豊橋港。
ここで荒くれオヤジたちと牛や馬のように働いていた頃に出会ったのが
高校の頃の同級生だった母ちゃん。
実は、高校の頃はお互いに違う子と付き合っていたものだから
顔こそ知ってはいたが話しをしたこともなかった。
ここでも「俺はバイクと結婚したんだ!」といきがっていたが、
若い女の子なんかと話す機会もなかったものだから母ちゃんが女神様に見えましたよ。

付き合って三ヶ月で結婚。
保育園の大切な跡取り娘だったものだから「豊橋港で大変なものを拾ってきてしまった」と言われ、
ついたあだ名が「豊橋港の捨て犬」。
三人の子どもにも恵まれ現在に至るのですから人生って分からないもんですよ。
だからこそ面白いんですね。

そう言えば、たった一人の女にふられてウジウジしていた父ちゃんに比べ
父ちゃん?何人目の男か分からないわよ!ハッハッハ~」と笑っている母ちゃんには勝てないな~。
やっぱり女の人は、強いですよ。

日々、KTM200EXCと仲良くなろうとがんばる父ちゃん。
モトクロスコースではだいぶ乗れてきたぞ。
で、やってきましたモトクロス中部選手権第二戦(美杉)。

事務所に行けば、美杉三兄弟がニコニコしながらいる。
壁には、全日本レディースチャンピョンのヨウコちゃんの大きなポスター。
ナホと一緒に走っていた小さなヨウコちゃんが今では全日本チャンピョン。
すごいぞ、ヨウコちゃん。
ナホは、とっくにバイクを止め、今では「この屁こきじじぃ!」と尻を蹴り上げる。

美杉の秘蔵っ子だったタカシも今年からスズキワークス。
すごいぞ、タカシ!
ショウゴと一緒に走っていた80時代からキレていたしな~。
ショウゴは、背もちっちゃいが人間もちっちゃいエンデューロライダー。
この差は何なんだ?

朝の練習走行が始まれば、久々に乗ったCRF450は、ただの重たい暴れ馬だった!
アクセルを開ければ、その加速に体がついて行かない、
コースが少しでも荒れているとスローダウン、長ーいフープスは、ただの地獄・・。
久々のモトクロッサーの250ccに乗るショウゴや練習不足のタカもみんなのスピードに付いていけていない。

こりゃ、大変なことになってしまったぞ!と今更気づく父ちゃん。
エントリーリストがさらに追い打ちをかける。
父ちゃんがでるIBオープンの参加台数は19台。
その上、美杉の奇跡!と言われている一年前のレースで勝った子たちもあまりいない。
若年寄たちも少なくなり、ほとんどバリバリの若い子たちばかりじゃん!
ショウゴだってこのメンバーなら十分ベテランじゃん!!
(IBだってもう7年目だしな~)

全日本の固定ゼッケン組が5人に元固定ゼッケン5番のリュウジや6番のヒサもいる。
(ヒサは、就職してから1年ぶりの復帰だぞ)
NAからの鳴り物入りで昇格してきたチョー速い子たちもいる。
張り出されているエントリーリストの前で口を開けて放心状態の父ちゃんの横には、
これまた「こりゃ、アカンわ!」とすでに悟りの境地のような顔をしたベテランの域に達したショウゴと
必死に勝てそうな子を探すタカがいた。

そして、IB2のレース。
IBオープンのみの父ちゃんは、のんびり見物。
といっても久々のモトクロスは、やっぱり気合が入る。
小さい頃から知っている子も多いこのIBクラスだが、全日本固定ゼッケンはダテではないし、
固定ゼッケン組以外でも顔つきもバイクも速そうだ。
う~ん、やはりモトクロスはいいぞ!

スタートのクジ引きをして、
すでに入っている子たちを見ながらスタート位置を考える。
スタートバーの後ろにバイクを押して入って行く。
土のスタートならリアタイヤのが通るところを踏み固め、
コンクリートなら少しでもグリップするようにホウキで綺麗に掃く。

5秒前のボードが出ればエンジン音が高まる。
ライダーの視線がスタートバーに集中する。
そして、一斉にスタート。
いつ見てもモトクロスのスタートはいいぞ!
第1コーナーをガチガチに当たり合いながらも綺麗にクリアーして行くライダーたち。
う~ん、上手い!

もし、まだモトクロスってものを見たことがない方がいましたら、
地方選手権でもいいので是非見てください。(地方選なら無料ですよ)

と久々のモトクロスのスタートに酔いしれていると、バイク集団の後ろの方に見慣れた2台のバイクが!
ショウゴとタカだ!!
ショウゴは、第2第3コーナーで上手く前に出て行ったが、タカは、なかなか前に出られない。

やはりゼッケン5番のタイチを始めとした全日本組が速い!
そこに元全日本固定ゼッケン組やルーキーが絡んでいく。
1周目は、ショウゴが13位くらいで、タカが15位くらいか?
毎周、順位を上げるショウゴに食らいついていくタカ。
タカも初めの10分くらいまでなら良い走りが出来るようになってきたぞ。
でも、10位くらいまで上がって来たところで疲れが出始めてスピードダウン。
ショウゴはエンデューロライダーらしくそこから粘って6位でチェッカー。
タカは、11位だった。

優勝はタイチ、2位がゼッケン18番のモリナガ、3位が復帰したヒサ。
久々のレースとこのメンバーならこんなもんでしょ!

といっても父ちゃんは、自分のことで頭がいっぱい。
子どもたちのことなんか眼中にありません。
この重たい暴れ馬のようなCRF450でどうレースをするんだ?

ということでIBオープン。
クジを引くために待っているとオヤジたちが声を掛けてくる。
あれ、エンデューロにいったんじゃないの?
そうそう、なんでエンデューロライダーがここにいるの?
ピンと張り詰めたモトクロスのスタートが父ちゃんがいるだけでお笑いモトクロスになってしまう。

450なんか持ち込んでパワーに任せてホールショットだけを狙ってんでしょ?
父ちゃんの心を見透かしたようなことをオヤジたちが言う。
「自慢のKTMは、どうしたの?」
「KTM200は、MFJの公認車両に入ってないんですよ」と父ちゃん。
「中島さんならもうどんなバイク乗っても誰も文句言いませんよ」
「もう、なに乗っても良いですよ!」
「そうだ、そうだ」と激しく同意するオヤジたち。

もう完全にお客さんになってしまっている父ちゃんは、複雑な心境でスタート位置に着く。
もちろん、スタートはイン側だ。
450のパワーに任せてホールショットをとってオヤジたちの鼻を明かせてやるぜ!
まだまだ現役ということを思い知らせてやるぜ!

そして、スタート。
スタートバーが降りた瞬間にクラッチをミート。
しかし、すでに出遅れる父ちゃん。
でも、ここからが450パワー。
スタートでかぶせられないために一番インを選んでいるんですよ。
ダテに経験を積んできたわけではないんですよ。
多少、出遅れても大丈夫、イケー450!

第1コーナーがすごい勢いで迫ってくる。
ブレーキをかけた途端にアウトから突っ込んでくるバイクの集団。
おー、俺のラインが潰されていく!
みんな、うめぇー。

そのまま第2コーナーを曲がればすでにベリ。
目の前にはタカ、ショウゴは?と探せば3位でキャメルジャンプに向かう姿が見える。
すごいぞ、どこまで持ちこたえられるか?

第3コーナーを曲がってテーブルトップを越えればキャメルジャンプ。
この35mはあろうかというジャンプを飛ぶヤツがいるんですから信じられません。
(クリアーならNAでも飛ぶヤツがいます)
父ちゃんも頑張って真ん中当たりまで飛びますが、
すでにトップグループがフープスに向かって行くのが見えます。

ここからは、一人旅です。
目の前にいたはずのタカでさえもう見えません。
あの美杉の奇跡から一年。
あれは夢か幻か?

ストレートのピットエリア前を走り抜けて行くのさえ恥かしい。
でも、すっかり元気がなくなっていく父ちゃんにオヤジたちが声援を送ってくれます。
こんなダントツベリのお笑いモトクロス野郎の父ちゃんにオヤジたちやスタッフまでがコースのあちこちで応援してくれます。
涙でコーナーが見えないぜ。
ますます遅くなる父ちゃん。

気づけばトップのタイチが後ろからすごい勢いで追いついて来ます。
あっという間に6位くらいまでにラップされる父ちゃん。
ショウゴが12位くらいでラップ、どこかで転んだな?
あげくにタカにさえラップされます。
「ヒュー!」と嬉しそうに抜いて行くタカの後姿を見るのは屈辱です

結局、ショウゴが8位でタカが11位、
得意のはずの美杉で転倒もしないのに9位の子までに2ラップされる始末。
今まで自分の人生さえ真面目に考えてこなかった父ちゃんですが、
こりゃ真剣に今後のモトクロス生活を考える必要があります。

どうする父ちゃん?
まぁ、しばらくは中部選にも全日本にもエントリー出来そうもないので、ゆっくり考えましょう(笑)