[いなべエンデューロ大会]('13/6.18)
 

 保育園では、父ちゃんは飼育係。
毎朝、モルモットや羊のムフランの世話をしている。

JNCC(広島)でまたまた撃沈してしまった父ちゃんは、ムフランに問い掛けた。
「こりゃ何とかせんとまずいんでないかい?」
「メェ~」と応えるムフラン。
「どんなに頑張っても半クラが出来るのが40分ぐらいなんだ」
「メェ~」
「なんかリクルスっていう半クラを自動でやってくれるスグレモノがあるそうな」
「メェ~,メェ~」
「そうか、お前も買った方がいいと思うか?」
「メェ~,メェ~,メェ~」
分かった、もう何も言うな!お前の気持ちは良く分かったぞ!」と頭を撫ぜてやる父ちゃん。
ムフランの隣にいるモルモットのモルちゃんも「クィ、クィ!」と賛成している。

と言うことで急遽、誰にも相談もせずに(ムフランとモルちゃんには相談したが、、、)
リクルスを注文してしまった父ちゃん。
幸い、KTM用の在庫もあるという事ですぐに配送出来るようだった。
お~神様や仏様も父ちゃんを応援してくれているんだな。


(父ちゃんの話し相手のムフランとモルちゃん)

そして、数日後。
おもちゃを買ってもらった子どものように目をキラキラさせてリクルスの箱を持つ父ちゃんがいた。
あまりに目をキラキラさせているものだから不審に思ったタカが覗き込む。
「あ~リクルス!このじぃさん、リクルス買ったぞ!」

腰を痛めた時の父ちゃんさえ無視していた母ちゃんがすぐに反応する。
なにそれ、いくらなの?
「自動クラッチってやつで確か10万以上はするはずだぞ!」とタカ。
「え~10万!!」母ちゃんの声が2オクターブ上がる。

「凄いじぃさんだな、KTMに85万、リクルスに10万以上、
52才にもなってバイクに100万近くもかけるなんてたいしたものだ」とショウゴがやけに冷静に解説する。
まさか、俺が毎月渡しているバイク費用で買ったわけではないだろうな・・・

年を取ると耳が遠くなる。
というより、自分の都合の悪いことは聞こえなくなる。
え~、子どものお金をあてにするようになったらおしまいよ~~~
どこかで聞いたような声がするが、聞こえない聞こえない・・。
自分の都合の悪いことは忘れられる!という特技も父ちゃんにはあるのだ。

JNCC第3戦(鈴蘭高原)の一週間前にイナベでエンデューロの大会があった。
鈴蘭の一週間前ということもあり、父ちゃんはあまり乗り気ではなかったが、
今回はエンデューロクロスもあるので、ショウゴはやる気満々だ。

そこで、父ちゃんも「リクルス!ってものを試してみるか!」と急遽エントリー。
一度だけモトクロスコースで乗った感じは悪くなかったぞ。
でも、本当に速く走ろうとすれば今までのようにクラッチを使わなくてはダメだけどね。
それでもクラッチ操作に疲れた時には強い味方になってくれそうだぜ。

今回もタカは、またまたボランティアかなんかで出られないということで、
父ちゃんは、一人で3時間も走るハメに・・。
そういえば、3時間を一人で走るなんて20年ぶり?
まぁ、リクルスに慣れるためにはいい機会だろう。
まずは、完走が目的だな。

午前中は、エンデューロクロスと1時間エンデューロ。
ここ(エンデューロクロス)でショウゴが燃えた。
2ヒートともぶっちぎりで優勝!
参加台数こそ少ないけれど結構みんな上手かったぞ。


(こんなに楽しそうにバイクに乗るショウゴを見るのは、久しぶりだったな)

いよいよ午後は、メインの3時間エンデューロ。
今回は、モトクロスのシーズン中ということやJNCC一週間前ということもあり、
バリバリのモトクロスライダーやJNCCライダーの参戦も少ない。
でも、元IAライダーでJNCCでも活躍しているカワセさんがいる。
このイナベのエンデューロ大会でショウゴはカワセさんに勝ったことがない。
う~ん、これは強敵だぞ!

いよいよスタート。
ここはJNCCとは違いクラッチスタート。
(チェンジを入れてクラッチを握ったままのスタートだから、リクルスが入っていても関係ないです)

社長のフラッグの合図で一斉にスタート。
いけ~,KTM!
なかなかいいスタートが切れたぞ。
5,6台が横一列で第1コーナーに突っ込む。

ハイテンションの父ちゃんはギリギリまでブレーキを遅らす。
お~,みんなが後に行く!
こんな感じは、モトクロスでは味わえないぞ!!

益々、ハイテンションになる父ちゃん。
その時、すごい勢いでインをついて来るバイクが1台。
危ないじゃないか!
父ちゃんのハイテンションを冷ますバイクの正体はショウゴだった。
このバカが、エンデューロクロスに勝ったものだから調子に乗っているな。

親の勤めとして、エンデューロの厳しさを教えてやろう!と思うまもなく、父ちゃんを置いてけぼりにするショウゴ。
フープスを抜けてコースの奥に向かう。この時点で1台に抜かれて3位。
今回のエンデューロで一番の難所の登りが現れた。

いつもならいろんなラインで登れるが、丸太を一本埋め込んで、難易度が上がっている。
3時間もあるのだから今日は慎重にも慎重に走ろうと心に決めていた。
目標は、完走だし・・。

1位のショウゴが、まずトライ。
丸太でリヤタイヤが跳ね上げられるが、そのまま登り切る。
2番手のライダーが続くが、転倒。
一番良いラインが塞がれてしまったぞ!

行くべきか、待つべきか?悩む父ちゃん。
その隙をついてカワセさんがインから入ってきて難しいラインで登り切ってしまう。
うまい!

これ以上坂の下で待っていては、次から次へとライダーが来てしまう。
いつ行くの?今でしょ!とまたまた神の声がする。
よし、行くぞ!とカワセさんの後に続くが、あえなく転倒。
エンジンも止まってしまう。

本来、リクルスを付ければ転倒してもエンジンは止まらない。
しかし、父ちゃんのリクルスは、まだセッティングが上手くできてなく、
アイドリングを下げなくてはならなかった。
おかげで結構簡単にエンジンが止まるんだな。
でも、このKTMはセルが付いているから大丈夫!
2速に入ったまま、クラッチも握らずにセルを回せば「ボボボボボ・・」とエンジンが掛かる。

お~、何てラクチン!
そのままクラッチも握らずに坂を登っていく。
途中、リヤが木の根っこに引っかかるもアクセルを開け続ける。
「ガガガ・・」とクラッチからイヤな音。
気にせずに押せば、何とかクリアー。

こりゃ、いけるわい!
これなら一か八かのセクションだって挑戦出来るぞ。
他にも難しい所があるが、リクルスとセルのおかげで気が大きくなる。
1周目の転倒で順位はずいぶんと落ちてしまったが、
渋滞が始まった2周目もみんなが行かない登りの難しいラインに果敢にトライ!
そして、転倒。

エンジンが止まっても平気平気。
2速のままクラッチも握らずにセルで「ボボボボボ・・」
もう、クラッチなんか握らない。
アクセル開けて斜面を登る。
木の根っこにリヤタイヤが引っかかり「ガガガ・・」とまたまたクラッチから変な音。

気にしない気にしない。
リクルスってこんなもんでしょ?
3周目も渋滞しているからみんなが行かない難しいラインに挑戦挑戦。
転倒してセルで「ボボボボボ・・」、クラッチが「ガガガ・・」。
気にしない気にしない!

毎周転倒しているものだから、いくらリカバリーがいつもより早くても順位は上がらない。
リクルスとセルの魔術で忘れていたが、やっぱり転倒すると疲れる!
まだ、レースが始まって1時間も経っていないのにヘトヘトになっている父ちゃん。
もうクラッチも握れないぞ。

でも、大丈夫。
だってリクルスがあるんだもん!
もう、クラッチがあることさえ忘れてレースを続ける。

そして、またまた例の登りの難所。
渋滞もだいぶ緩和してきたので、登りやすいラインでトライ!
しかし、疲れでバイクを押さえきれずに転倒。

そこで、セルでシュルルル・・、あれ?シュルルル・・あれ?あれ??
セルがクランクを回していない!
まぁ、キックがあるから!とキックペダルをキックすればエンジンが「ボボボボボ・・」
2サイクルはいいねぇ~、とクラッチも握らずに進もうとすれば「ガガガガガガガ・・」とまたまたイヤな音。
どう考えてもおかしいぞ?

ここでやっとクラッチを使うことを思い出す。
クラッチを使えば、変な音も少ない。
残りの1時間半は、いつものようにクラッチ使って、キックペダルでエンジンを掛けましたよ。
疲れたけど、何とか完走出来ました。
結果は、6位。
あれだけ転倒しての6位ですから上出来ですよ。

優勝は、ショウゴ。
2位にカワセさん。
今日のショウゴは、ノっていたな。
エンデューロクロスだって、この3時間エンデューロだって、とっても楽しそうにバイクに乗っていたぞ。
80に乗っている頃は、レース中でも歌を歌いながらバイクに乗っていたショウゴ。
そんな当時を思い出させてくるようなレースだったな。

父ちゃんは、その昔エンデューロでブイブイ言わせていた(と思い込んでいる)はずなのに、
まだまだエンデューロの楽しさが思い出せない。
なんか、羨ましかったぞ。


(1位のショウゴと6位の父ちゃん)

PS
鈴蘭の一週間前にセルとリクルスを壊してしまった父ちゃん。
このレースの帰りにKTM東海にバイクを持って行き、直してもらいました。
おかげで鈴蘭に間に合いました。ありがとう!

さぁ、待っていろよ鈴蘭!
セルとリクルスを手に入れた父ちゃんが今度こそ恐ろしいことを起こすぞ!
わっはっは~~~~。