[はるかなる爺ケ岳A]('13/12.29) 

父ちゃんが、一生懸命に保育園の運動会で頑張っている時、
タカは、ひとりで爺ガ岳のフリーライドに行ってしまった。

無事に運動会も終わり、片づけが済んでホッとしていると
タカから「今、フリーライドが終わったから、これから帰るわ」と連絡。
実際、タカが家に着いたのは、父ちゃんが口を開けてク〜ク〜と寝ていた夜中だったそうだ。

次の日は、「体育の日」で祝日。
ゆっくり寝ていようと思ったが、なぜか6時前には目が覚める。
どうも年をとると朝が早い。
寝ている母ちゃんを起こさないように静かに朝ご飯を食べてバイクの整備を始める。

一仕事して、猫と遊んでいると昼近くなってタカが起きてきた。
「タカ、フリーライドはどうだった?」
すげ〜楽しかったぞ、COMP-AやFUN-Aクラスの人もたくさん来ていて、
みんな速くてビックリした


ゼッケンを聞けば、上位陣が多く来ていたようだ。
タダでさえ速い人がこんな事前練習するなんてずるいぞ!

「オレは、二回も同じ崖から落ちてしまって、
2回とも赤ゼッケンの7番の人に助けてもらった」とタカ。
「それは、ベータに乗っている小林さんだな?
今度、会った時にもちゃんとお礼を言っておけよ」

「そういえば、CRF250Rに乗っている白ゼッケンのすごく速くて上手い人がいた。
まるでシーズンオフのIAがデカールを張る前のバイクで練習しているようだった」
へ?
また、新たなIAライダーがJNCCに参戦するのかな?

誰かがあれは岡田涼くんだ!って言っていたな、じぃさん、知っているか?
ん?岡田涼??どこかで聞いたことがある名前だぞ???
あれ?昔に一緒にIBで走ったことがある??
IBチャンピョンとってIAになったあの岡田涼くん?
確か、IAに上がってすぐ怪我して・・そのあとのことは分からん・・・。
もし、本物の岡田くんなら速いと思うぞ。

こうして、JNCC最終戦の爺ガ岳にエントリーした父ちゃんたち三人。
さっそく、天竜川のエンデューロコースに練習に行った。
ショウゴは、ビッグタンクが付いたオンボロ’10CRF250R、
タカは、ほとんどノーマルのままのこれまた年季が入った’10CRF250R、
父ちゃんは、自分でもどうしたいのかが分からなくなったスクーターもどきKTM200EXC。

このエンデューロコースは、河川敷にあるので、砂地だったり、石がゴロゴロしていたり、
ウッズもアリと言った、クネクネした細〜くて長〜いコースだ。
モトクロスライダーの父ちゃんやタカにとっては、ただただ辛い。
すっかりエンデューロライダーのショウゴだけは、楽しげに走っている。

その時、一台の白ゼッケンのCRFに気づく。
コースが長くて細いので、めったに会えないが、走っているエンジン音を聞いただけで
上手い!って感じるほどだった。
それも父ちゃんやタカが一周走るごとに休憩するのに1時間半以上は走っていた気がする。
「あれ、誰?」とショウゴに聞くが「分からん!」という返事。
「ただ、オレもとてもついていけんぐらい速い!」そうだ。
ひょっとして岡田くん?そういえば静岡の子だった気がする?
といっても岡田くんの顔も知らないので、謎のままだった・・。

そして、いよいよ爺ガ岳の日が来た!
なんと、今回は、久々に母ちゃんとナホも付いてきたぞ。
俄然やる気になる父ちゃん。
ショウゴとタカも内心嬉しそうだ・・。
これは良いところを見せつけないとな!


で、やってきました、爺ガ岳!

2013年11月3日第7戦-/AAGP爺ケ岳/信越国際大会/

エントリー数総数 646台・COMP 256台・FUN 349台・キッズ & トライ 41台
エントリー状況即時定員締切り実施!
大会会場長野県大町市平4819 爺ガ岳スキー場 特設会場・標高900?1200m
コース長COMP 7.5 km・FUN 6.5 km・キッズ & トライ 5.0 km
コースレイアウター星野正美
コース設営GAIAスタッフ
天候キッズ & トライ/ FUN?薄曇り・最高気温:15.0° COMP?晴・最高気温:17.0°
観客:今期最多、来期は更なる増員が期待!
Jバザー出店42ブース
コース実際難易度COMP 95%・FUN 85%
コース予想難易度COMP 95%・FUN 85%
大会後援大町市・GNCC
大会協力爺ケ岳SKI場・長野救命医療専門学校
メディア取材ダートスポーツ誌・GARRR・Yahoo 他


(ほぼベストコンディションの爺ガ岳、母ちゃんに良いところを見せられるか?)

お天気は、まずまず。
ほとんどベストコンディション!って感じだぞ。
まずは、コースの下見に向かう。

ひとつ気になっていたのは、フリーライドから帰ってきたタカが言った
「緑ゼッケンの人たちが、今日のガレクライムは、
台風の雨の影響で、砂が浮き出ていて、かってないほど難しい!
」という一言。

あれから二週間近く経っているので、状況も変わっていると思われるが、
急いで問題のガレクライムに向かう。
確かに、砂が浮き出ていて前回の時よりも柔らかい気がする。
でも、そんなに難しいとも思わなかった。
FUNクラスは、このガレクライムの途中からコースが変わるので、
ショウゴが、ひとりでガレクライムの頂点に向かって登っていく。


いよいよもう一つの難所のロックンロールリバーにやってきた。
いわゆる、川底の石ゴロゴロを下るようなところだな。
ここも前回より長くなっていた。
でも、転倒者がいてラインを塞がれても行けそうだぞ。
父ちゃんは、確実に自分が進化していると感じた。

ショウゴと合流したので聞くと
「COMPは、このロックンロールリバーを登って行って、まだ難しいところがある」とのこと。
う〜ん、この爺ガ岳は、どこまで難しくなるのだ。
(モトクロス出身のライダーにはきついコースだぞ)

ショウゴが糸魚川の表彰式インタビューで答えたように
こりゃ、本当に完走が目標となりそうだわい!

パンクが怖いが、今回は、三台とも思い切って空気圧を0.7にまで落とす。
ホントは、0.5位まで落とせれば、ガレクライムやロックンロールリバーも行きやすくなるかもしれないが、
うちは、うちのやり方で行くしかない。
といっても、あまり頭を使わないモトクロスライダーは、そんなことは気にしない、気にしない!(笑)

それに、もしショウゴが本気でAAクラスを目指すのなら、
今の環境やバイクで上がれないようでは、例えAAクラスに上がっても通用するとは思えない。
あのAAクラスでやっていきたいのなら、少しくらいは伸びしろを残しておかないとね。

まずは、午前のFUNクラス。
居並ぶオヤジたちに「今日は、次男が初めて参加するので揉んでやってください!」と言うと
若者は、COMPで頑張ってもらわにゃ〜」と笑って答えるが、目は笑っていないぞ。
タカよ、覚悟して胸を借りてこいよ!

タカを見れば、意外と落ち着いている。
まぁ、物心ついた頃からレースをやっているので当たり前か。
ショウゴと給油のタイミングをあれこれと話している。
(タカのCRFは、ノーマルタンクなので、100分は持たないのだ)

そして、FUNーAクラスのスタート。
少し出遅れる父ちゃん。
目の前にタカが見える。
何とか後ろに付いていこうとするが、第1コーナーのグチャグチャの中で離されてしまう。
やっぱり、モトクロスライダーは、こういうところは速い!
(そういえば、父ちゃんだってモトクロスライダーのはずだが?)

「FUNクラスのスタート」

(01の山本さんと02の川原さんがトップ争いをしている間に
アウトからスルスルと3番手に上がってきた033のタカ、その後ろの019が父ちゃん)

第2コーナーを回ってアクセル全開でゲレンデを登っていく。
気持ちいい〜!
第3コーナーに3位くらいで入っていくタカが見える。
父ちゃんは、6位くらいか?
問題の第4コーナー。
ここは、前回の時にトップで入っていっていきなり転倒したメチャ滑りやすいところ。
今回は、ワダチが出来ていて前回以上に難しくなっている。

タカが、慎重にインを走っていくのが見える。
早、勝負に出る父ちゃんがアウトからまくる。
しかし、アウト側はぬかるんでいてイン側以上に滑る滑る。
あっという間に2,3台に抜かれてしまう。
あちゃ〜!
何とかコーナーを立ち上がった頃には、タカの姿は見えなくなっていた。

そして、問題のガレクライムに向かう。
緑色のバイク(山本さんか?)と抜きつ抜かれつしながら登っていくタカの姿が見えた。
お〜、タカが頑張っている!
まだ、転倒者が少ないうちにこのガレクライムを抜けないと大変なことになる。
慎重に慎重に・・、でもビビって遅く入ってもダメだ。

中盤グループでガレクライムを登っていく父ちゃん。
こりあ、行けるぞ!と思った瞬間、斜め前を走っていたバイクが振られて父ちゃんのラインを塞ぐ。
慌ててブレーキをかける父ちゃん。
あっという間に失速して転倒。
やっちまった〜!

焦るな焦るな・・、あと少しで頂上だし、エンジンは掛かっているのだから押していこう。
アクセルを開けてバイクを押すが、リアタイヤは空転するばかり・・。
思ったよりも路面が柔らかく、少しも前に進まない。
後からスタートしてきた黄色のゼッケンに何台も抜かれる。
そうこうしているうちに、回りは転倒者だらけ。
必死に押して脱出したときには、すでに力尽きている父ちゃん。
(ホント、転倒すると疲れるんです!)

その後は、転倒もなく一周が終了。(母ちゃんが、応援してくれる姿が見える)
この時点で、21台中20位。ほとんどベリじゃん!(あ〜恥ずかしい!)
場内放送で順位を言っているのが聞こえる。
「1位川原、2位本原、3位中島!4位山本・・」
「お〜、タカが1周目を3番手で行ったか!それに比べてこの父ちゃんの情けなさ・・」
でも、まだ始まったばかりだ、これから挽回だぜ!

二周目のガレクライムに行けば、転倒者の嵐。
果敢に挑戦する父ちゃん。
やっぱり、転倒者に道を塞がれてまたまた転倒。
またまた、脱出に手間取る。


(これが問題のガレクライム、初めは毎周こんな感じでした)

その後は、転倒もなく三周目に。
ガレクライムに行けば、転倒者の数も少なくなっている。
記念受験ならぬ、記念ガレクライムの子たちがエスケープするようになったか?

よし、チャンス!と元気よく行けば、逆走してくる子とぶつかりそうになり転倒。
こんな事は、モトクロスでは絶対にないのだが、
エンデューロでは、坂が登り切れない子が下ってくることがある。
またまたまた、脱出に手間取る。

四周目のガレクライムでも入り口で逆走者と接触。
速度が乗らないまま登ってみるがやはり転倒。
またまたまたまた、リアタイヤが空転して脱出できない。
(いつの間にか、母ちゃんの姿もなくなっていた)

ガレクライムの転倒者が減ってきた5・6週目は、上手く行けたが、
今度は、リフト支柱の狭くなっているところの渋滞に巻き込まれて転倒。
あがけばあがくほど、うまくいかない。
渋滞の中でもがき苦しんでいる父ちゃんを「ひゃっほ〜!」と嬉しそうに抜いていく赤いバイク。
タカだ!
う〜ん、屈辱!!

結局、7周走って、転倒がなかったのは、最終ラップのみ。
転んだのも8回ぐらいなので、いつもよりずっと少ないが、何せリカバリーに時間が掛かりすぎた。
そして、21台中16位でゴール。
母ちゃんが「完走できただけでもいいじゃん!」と迎えてくれた。
(ナホは、ずっと車の中で寝ていたそうな・・)

転倒者さえいなければ、ガレクライムだって難しいとは思わなかったが、
タカ曰く
誰だってベストラインだったら登れる、転倒者の間をいかに上手くすり抜けられるかだ!
そうだ。

タカは、2周目のガレクライムでミスをして9位まで落ちたが、その後6位に挽回。
しかし、最後は疲れて7位でゴール。
「あ〜、楽しかった!」と言うタカに後悔ばかりが渦巻く父ちゃん。
こうして、父ちゃんの秘策第二弾が吹き飛びましたとさ・・。

「そういえば、一周目に山本さんと三回ぶつかったから謝ってくるわ」とタカ。
「三回も?」と聞けば、「そのうちの二回は俺が弾き飛ばされて、一回は両方がこけた!」とタカ。
そんなタカに山本さんが「元気の良い子がきた!と思ったら中島さんところの子かい!」と笑う。
なんちゅう、元気なオヤジだ!とあきれる父ちゃん。

初めてのJNCCを7位で終えたタカ。
この爺ガ岳でこのメンバーで7位なら上出来でしょう。


(レース後、タカのCRFのエキパイ、
エンデューロって、エンジンは大丈夫なんですが、車体関係はヤバイです!)


いよいよ、COMPクラスのスタートが近づく。
「ショウちゃん、がんばれ〜!」という母ちゃんにショウゴが頷きながら出て行く。
ショウゴのこの時点でのランキングは、7位だ。
でも、AAに昇格できなければ、ランキングなんてどうだって良いので、
目標は、本人が言うとおり“完走!”でしょう(笑)

今回のCOMPーAクラスには、いつもの強豪と共にモトクロスIAライダーのサエキくんやハヤシくんもいる。
あの岡田くんがどこまで走れるかも注目だぞ。

まずは、AAクラスのスタート。
元トライアル世界選手権ランカーで、
世界でもっともハードなダートバイクレースと言われているエルズベルグで5位!をとったこともある
田中太一選手がホールショット。すごいぞ!

そして、Aクラスのスタート。


     (少し出遅れる126番のショウゴ)   (突っ込みで抜いて第1コーナーを7,8位で曲がる)

その後、少しずつポジションアップしていき、ガレクライムでは2位に。
1位の選手を抜きに掛かったとき、1位の選手が振られて接触しそうになり失速。
FUNクラスのガレクライムを登りきったところで2番手ながらエスケープゾーンに逃げる。
ショウゴ曰く「スピードが落ちてしまったので、とてもその後のガレクライムが登れないと思った!」

レース後に「トップグループを走っているライダーで1周目からエスケープするヤツっていた?」と聞けば
誰もエスケープする人がいなかったので、一人で寂しく走っていた!」との答え。
それを聞いたタカに
「普通は、転倒者が少ない1周目に挑戦して、転倒者が多い2周目にエスケープするぞ!」
とバカにされる始末。
まぁ、目標が完走!だからしょうがないか!!

結局、1周目は一度も転倒しなくて、1台も抜かれなくても何故か12位!(笑)
しかし、集計地点で見ていた父ちゃんと母ちゃんは、
「お〜、ショウゴが12位で帰ってきた!」と大はしゃぎ。
だって、苦手な爺ガ岳ですから、目標は完走ですよ!(爆)


(ガレクライムでのたうち回るショウゴ。
「見ていた人が助けてくれた!」そうで、本当にありがとうございました!)


(ロックンロールリバーは、毎周こんな感じだったそうです)

その後は、予想通りに順調に順位を下げていって、35位でゴール。
期待されていた岡田くんも序盤の転倒でピットインを繰り返して39位。
やっぱり、爺ガ岳は難しいですね。

最終ランキングは、ひとつ落として8位に。
上位3台がAAクラスに昇格すると来年は、ゼッケン05番かな?

母ちゃんには、良いところが全然見せられなかったけれど、
みんなで来られて、怪我なく帰られるだけでも幸せですよ。

そうそう、今回も上手くいきませんでしたが、ちゃんと秘策第三弾!も用意してありますからね。
こう、ご期待!!