210:遙かなる爺ヶ岳3('14/6.13)    

 父ちゃんたちにとってJNCC爺ヶ岳ラウンドは、
言ってみればゴルフのマスターズ(オーガスタ)のようなものだ。

(ウィキペディアより)
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ(Augusta National Golf Club)は、
毎年4月上旬に開かれるマスターズ・トーナメントの開催コースとして名高い。
このコースは、とりわけグリーンの難度が高いことで有名で、
“オーガスタのグリーンには魔女が棲(す)む”とよく言われる。
11番ホールから13番ホールは「アーメン・コーナー」と呼ばれ
神に祈らなければ無事に通れないと言われるほど難しい。
1978年のマスターズでは中島常幸が13番ロングホールで13打
も叩いてしまったことで日本でも有名になった。

 初めて挑戦した2012年11月4日R7-AAGP 爺ヶ岳ラウンド。
噂には聞いていたが、その難易度モトクロスとはあまりにも違うコース設定にただただ驚いた。
結果は、ショウゴがCOMP-Aクラスで49台中の42位、父ちゃんがFUN-FAクラスで14台中の11位だった。
2013年6月9日のR4では、ショウゴが29位で父ちゃん10位。
2013年11月3日のR7では、35位と16位だった。

挑戦するたびに対応策を考えて練習してきた。
しかし、そのたびに爺ヶ岳は、違う顔を見せて父ちゃんたちをはねのけてきた。
爺ヶ岳のコースには、至る所に“魔物”がすんでいるのだ。
時には、あまりの難易度に「アーメン!」と叫びたくなるくらいだぞ。
ショウゴによると「渋滞が始まったロックンロールリバーの登りは、アーメン・コースだ!」そうだ。

アイ シャル リターン!
「(必ずや私は戻って来るだろう / 私はここに戻って来る運命にある)」
ダグラス・マッカーサーが日本軍に追い詰められた揚句、
コレヒドール島からの脱出を余儀なくされたときに言った名言。
父ちゃんたちもそんな魔物と戦うために、5月11日JNCC-R3(爺ヶ岳)に還ってきたのだった。

大会レポート/by ジャンキー稲垣(JNCC HPより)
 この数年、爺ヶ岳の人気が止んだことは無かったように思う。
常にエントリー開始からすぐに定員を超える、日本最大人気のクロスカントリーフィールドに成長した爺ヶ岳。
今回も585台のライダーを集めることになった。
 
 午前中のFUN GPは、FAがいつもの通り接戦。
田中弘行が、川原茂広らとのバトルを制して見事に優勝を遂げた。
年々このクラスの層は厚くなっており、今大会に至っては 19台が出走。
スプリントに近い感覚で戦える90分のレースの需要が上がっているということか。

 COMP GPは、相変わらずスタートに強い小林雅人がホールショット。
西森裕一もいい位置につけたが、後続から出た渡辺学、
鈴木健二がやはりオープニングラップか ら前に出る展開となる。
鈴木は体調が優れずなかなか渡辺とのリードを縮められない前半が続く。
3番手争いは、矢野和都と出口隼飛。

 中盤から鈴木の追い上げが激しく、渡辺と鈴木の差は一時期30秒付近まで縮まることに。
渡辺はこれを知ってかペースを上げ、ラスト1周時点では1分以上 のリードを築きあげていた。
ほぼ決まったかのように見えたトップ争いだが、
実はこのラスト1周の前に渡辺はマシンの異変に気付く。
ラスト1周は、慎重に走ったものの、もうあと20m登ればゲレンデを下ってゴールというところで、
エンジンが息絶えてし まうことに。
押してあげられるような状況ではないと判断、渡辺はこの20mをショートカットしてゴール。
渡辺はすぐにこのことを主催側に報告し、ペナル ティの要請をした。
主催はその場で30秒のペナルティと判断したものの、後日裁定が覆って1周減算との発表に。
渡辺はこれで4位に転落、鈴木が優勝、出口 が2位、矢野が3位という結果になった。

 AA2は、毎戦優勝ライダーが変わっているが、この爺ヶ岳でも新しく松尾英之が優勝を遂げた。
広島で優勝した小坂竜也も2位に入っており、30後半世代の活躍が続く。
3位は井上雄介、ブッダスタイルが頂点を極める日も遠くはないだろう。

 Aクラスは広島で初優勝した熊本悠太が2連勝。
五天翔も調子がよく、あわや初優勝かと思われたものの、パンクで後退。2位は、水上泰佑。

 次戦、鈴蘭ではなんとあの澤木千敏がAA2で参戦するとのこと。
マシンもSRF名倉氏の手によってチューニング済み、
ただでさえ混戦模様のAA2が荒れることは、間違いない。


アイ シャル リターン!
 爺ヶ岳に還ってきたお気楽三人衆。
しかし、父ちゃんは手負いの獅子。
4月30日のイナベエンデューロでの右足肉離れは、思ったよりもひどく
ゴールデンウィーク中は、家で安静にしているだけで終わってしまった。
(もちろん、平日の仕事は休みませんでしたよ)

二週間経ってもまともに歩けず、ひょこひょこと変な歩き方をしていたものだから
反対の左足や腰までも痛くなる。
これで爺ヶ岳に行けるか?と迷っていたが、すでにエントリーをしていたので、
ショウゴとタカにヒョコヒョコと付いてきてしまった。

そして、父ちゃんのすごいところは、
母ちゃんには「ショウゴとタカの応援に行くだけだから!」と言いつつも、
しっかりと自分のバイクや装備も積んでしまうところ。
早く直すのが先決だから、絶対にバイクに乗っちゃだめよ!」とくぎを刺される。

「乗らないならバイクなんか積む必要ないじゃん!」とショウゴやタカに言われるが、
あきらめることを知らない男”父ちゃんは、
「いや、せめて1周だけでも走りたい!」と無理矢理積んでしまったんだな。
(“諦めることを知らない男”じゃなく、“懲りることを知らない男”でしょ!by母ちゃん)

爺ヶ岳のパドックをひょこひょこ歩いていると「あれ、どうしたの?」と知り合いが声を掛けてくれる。
「いや〜、3位を走っていたんですがね〜、運がなかったんですよ〜!」
「今回は出ないの?」
「いやいや、あきらめることを知らない男ですから1周だけでも走ろうと思っているんですよ」
「まぁ、無理をしないようにね・・」
「ありがとうございます!」なんて会話を何回か繰り返していると
ムクムクとやる気が出てきてしまう父ちゃんだった。

といってもさすがの父ちゃんも準備をし始めると、不安がよぎる。
右足ふくらはぎも触らなければ痛くないのだが、変な力の入れ方をすると激痛が走る。
こんな状態で、ちゃんとブーツが履けるのか?

モトクロスパンツを履いてニーパッドを付ける。
恐る恐るブーツを履いてみる。
いつもならすぐに出来てしまうことに何倍も時間が掛かる。

ブーツのバックルをひとつひとつ丁寧に締める。
あれ?なんか良い感じだぞ!
ニーブレスとブーツが、良い具合にふくらはぎを保護してくれている。
歩いた感じでも明らかに歩きやすい。
これ、いけるんじゃね?

バイクに跨がって走行姿勢を取ってもふくらはぎは痛くない。
ただ、キックはとうてい出来そうもなかった。
右足を着いたり、キックすることは無理だが、走る分には、何とかなりそうだった。
いける、いけるぜ!
モトクロスの装具ってやっぱりスゴイ!
あらためてプロテクター類の必要性を感じた瞬間だった。

アイ シャル リターン!
あきらめることを知らない男が、爺ヶ岳に還ってきたぜ。
いざ、発進!

ショウゴが言う。
「歩くのでさえ、右足を外側に広げているのに、それでニーグリップが出来るの?
やめた方が良いぞ、母ちゃんに怒られるぞ!
タカが続ける。
「大丈夫だ、このじぃさんは、バイクに乗っているときは、いつもつま先を広げているから
ニーグリップなんかしたことないぞ!」

ショウゴやタカの言うことにも一理ある。
確かにつま先が外側に開いているとニーグリップが出来ない。
モトクロスの第一歩は、ニーグリップかくるぶしグリップだ。
とにかく、手の3倍の筋肉量がある足を使わなくては、バイクは操れない。
コーナーでは、外側の膝でバイクを押さえ込み、フープスでは、足で体を支える。
素人さんは、すぐに手や腕に頼ってしまうので、疲れやすいし、腕もあがってしまうんだな。

だから、初心者の人は、つま先をまっすぐにしたりするだけで乗り方が良い感じになることも多い。
つま先を意識的にちょっと内側にするだけでも、バイクが安定するんだな。
ショウゴやタカの心配も分かる気がするぞ。

でも、“あきらめることを知らない男”にとっては、そんなことは些細な問題だ!と一言、言っておこう。
母ちゃんだって、怖くないぞ!
手負いの父ちゃんをもう誰も止めることはできない!!

FUNクラスの集合時間が近づく。
ゆっくりとバイクに乗ってパドックを回ってみる。
そんなに右足に違和感はない。

集合場所で待っていると
まずは、FAクラスの1番から10番が呼ばれる。(父ちゃんは07番)
誰もいないゲレンデのスタート位置に向かうとメラメラと闘争心が燃えてくるのが分かる。
すでにアドレナリンが出っぱなしの父ちゃん。
すっかり、肉離れのことを忘れている。母ちゃんだって、怖くないぞ!

父ちゃんのスタート位置は、中央よりややイン側。
タカは、もっとイン側だ。
父ちゃんの右隣は034番さん、スタートを待っている間にすっかり話し込んでしまったぞ。
やっぱり、バイク好きは、いい人ばっかりだな!
父ちゃんとタカの間には、06フクモリさんと01鉄人ヤマモトさん。


(この瞬間がいいんだな〜!)

そして、スタート。
手負いの父ちゃんは、遅れてしまう。
ホールショットは、この頃いい気になっているタカ!


        (ホールショットは、タカ!そのまま第1コーナーを上手く曲がる。)

(リア加重でゲレンデを全開で登っていくタカ)


(スタートで出遅れた父ちゃんを待っていたものは、ホコリ!もう、何も見えません!!)

(そんな中でも、頑張る父ちゃん!)
痛めている右足のニーグリップが出来ないのは分かるが、どうして左足も開いているの?
不思議だ??

ほとんどベリで砂煙モウモウのゲレンデを登っていく。
まずは、1周するのが目的だし、焦らない・焦らない・・。
転倒だけを気をつけて走る。

第一関門は、ガレの登り。
すでに何台かの転倒者がいたが、上手く避けて登ることが出来た。
ウッズもそこそこ行けた。

ロックンロールリバーの下りは、簡単・簡単・・。
右に左にラインを変えながら何台か抜く。
いける?いけるよ!
右足も大丈夫。
この調子なら1周どころか、上位も夢じゃないぜ!
いい気になる父ちゃん。
アクセルも自ずと開け気味になる。

その時、フロントタイヤが石にヒットして右側に転倒。
足を出すことも出来ずに肩からゴロゴロ石に落ちていく。
イタタタタタ〜〜〜〜!
ゴロゴロ石の上で転ぶのってとっても痛い。(一度やってみてください・・)

あげくに右足が痛くてバイクが起こせない。
バイクと石との間に体を入れ込み、何とかバイクを立てる。
セルでシュルルルル〜。
エンジンが目覚める。(セルってありがたい!)
その後は、慎重に慎重に走る。
もう、転倒はしないぞ。1周目の順位は、19台中の15位。


       (今回のコースはこんなところ、ガレあり・・ウッズあり・・石ゴロゴロあり・・・)

2周目のガレの登り、エスケープに行くはずが、吸い寄せられるようにガレに向かう。
やっぱり、転倒者がたくさん。
その間を縫いながら上がっていく。
何回か止まりそうになりながらも登り切る。

そのまま、無難に走っていれば、4周目の順位は11位。
これ、いけるんじゃね?
足も大丈夫。
その時に、タカが抜いていく。
あれ、もうラップ?
そんなはずはないぞ、
いつもは、ひゃ〜ひゃ〜〜!言いながら嬉しそうに抜いていくタカが、やけに焦って走っている。
何かあったのか?

後でタカに聞けば、1周目に3番手だったタカは、2周目で2位に上がったところでパンク。
3周目をパンクのまま走って、4周目にタイヤ交換。
パドックまで戻ってショウゴとワチャワチャと予備のモトクロスタイヤ(19インチのホイール)に替えるが、
20分くらい掛かった気がする・・」とタカ。
実際のラップタイム表を見れば、5〜6分のロスだったようだが、
本人にしてみれば、そのくらいに感じたんだろうな・・。

その後、追い上げて7位でゴール。
前回の爺ヶ岳と一緒なのだから「こんなもんじゃない?」という父ちゃんとショウゴに
「パンクさえなければ絶対にいけた!」と言い張るタカ。
もっと素直に現実を受け止めなければダメだぞ!
(あんたもね!by母ちゃん)

    (中古のモトクロス用タイヤで頑張るタカ)
「ウッズでリアがすごく跳ね上げられた・・」と言っていたが、後で空気圧を測れば、1.2!
モトクロスよりあるじゃん!(笑)
急いでいたので、空気圧の調整も忘れてしまったんだな。

そんなタカのトラブルも知らない父ちゃんは、
手負いにも関わらず順調に走って、いよいよ調子に乗ってくる。
もう、ガレも失敗する気がしない。

そして、5周目。
ウリャリャリャラ〜〜〜!とガレに突っ込んでいけば、いきなり転倒。
右足に激痛が走る。
忘れていたけど、やっぱり右足はダメだった。

何とかバイクを起こすが、右足が着けないものだから、バイクがどうしても左に傾く。
そのまま、いくらアクセルを回してもバイクが自然と左に傾いて転倒。
何回やっても左側に転倒する。
ガレの途中で「ア〜メン!」と祈る父ちゃん。
こりゃ、初リタイヤか?

ここで意を決して初めてガレを逆走して下る。
下から、バイクが何台も上がってくる。
う〜ん、初めての経験!結構、怖いぞ!!

登りのラインを外して下っていけば、隣をそのラインで下っていくライダーがひとり。
アンビリーバボ〜!
案の定、下から登ってくるライダーと接触してふたりとも転倒。
すごいところだぜ、JNCC!

その後の周は、すべてガレをエスケープして淡々と走る。
7周目で12位だったが、ラスト1周でもう1台抜いて11位でゴール。
最初は、1周でも走れればいいや!と思っていたのだが、
完走もできて、11位なら上出来でしょう!
やっぱり“あきらめない男”“あきらめることを知らない男”という称号は、ダテじゃありませんね。

レース後の公式リザルトを見れば、FAクラス1位のタナカさんとタカのタイム差は、8分45秒ぐらい。
確かに、パンクさえなければ、パンクしたまま走った周とタイヤ交換のタイムロスを考えれば、
タカが言い張るように良いところにいけたかも?

でも、そんなことを言い出したら、父ちゃんだって足の怪我さえなければベスト3は確実だったはず?
(それは絶対にない!←関係者一同)
まぁ、タカもこの爺ヶ岳であのスーパーオヤジたちと勝負が出来るところまで来た!
と言うことですかね。


(困ったオヤジその1 と 困ったオヤジその2
スタート前には、腰が痛い!だの 肩が痛い!だのと言っているくせに
レースが始まればこの走り!
このアクセルの開け方は、とてもオヤジのものではありません・・。
「少しは、年を考えろ!」と言ってやってください(笑)

このオヤジたちに父ちゃんが勝つためには、
オヤジたちが年を取ってジィさんになるのを待つしかないのか?
「その頃には、父ちゃんはホントのヨボヨボ惚けジィよ!by母ちゃん)

 
年甲斐もなく張り切っている困ったオヤジたち(笑)
怪我さえなければ、父ちゃんもこの中に入れたはず?


何とか無事にレースを終えて、
パドックに帰って、ブーツを脱いで、ニーブレスを外せば、
また元通りのひょこひょこじぃさんに戻ってしまった。
よく見ると右足ふくらはぎの腫れも大きくなっている。

少し車の中で寝ているとショウゴが出かけていく。
今回も前回のように目標は完走!なのか?
タカもガソリンや簡単な工具を持ってピットエリアに向かう。
父ちゃんは、椅子を持ってヒョコヒョコとスタートが見える木陰に陣取る。

そして、スタート。
ここからでは、ショウゴがどの辺にいるかも分からない。
ホールショットは、イワキさんか?スゴイぞ!

ショウゴは?
見つけることが出来ない・・。
第1コーナーで2.3台が砂煙の中で転んでいる。
黄色いヘルメットが見える・・。
また、転倒?
砂煙のゲレンデをほとんどベリで登っていくのはショウゴか?

こりゃ、あかんわ。
自分のことは、“あきめない男”だが、息子のこととなると“すぐに諦める男”に変身する父ちゃん。
この爺ヶ岳のこの砂煙の中での追い上げは、一か八かの連続技。
トップ集団でガレやロックンロールリバーに行くのと、
すでに転倒者が続出する中での追い上げでは、雲泥の差。
経験豊かな父ちゃんは、砂煙の中で賢明にアクセルを開けて走っていくショウゴの後ろ姿を応援しつつも
「焦って怪我をしませんように・・」とすでに勝負を諦めている。


  (ホールショット男:イワキさん参上!)   (出遅れた05ショウゴは、この直後に転倒!)

悪魔が至る所に潜んでいるこの爺ヶ岳で、ほとんどベリからのスタートとなったショウゴ。
いったい何位で1周目を帰ってくるのか?
11分ほどでAAライダーが見えてきた。
1位は、マナブ選手だ。

その時、並み居るAAライダーに混じってグリーンゼッケンが帰ってきた。
タカが叫ぶ!「ゴテンくんだ!すげ〜、いけ〜!!
手を振り回すタカの前を頷きながら通過するゴテンくん。
ダントツ1位じゃん!

すでにAAクラスとAクラスが混在しながら走っている。
グリーンゼッケンを探す。1台.2台.3台・・。
ショウゴが来るのはもっともっと後の方だろう・・・。

とその時、赤いバイクに黄色のヘルメットが見えた。
タカが叫ぶ。「あれ、ショウゴじゃねぇ?
「人違いだろう、どう見ても10位以内だぞ!」と父ちゃん。

しかし、やっぱりショウゴだった。
それも順位は、Aクラス9位!
よくここまで挽回したものだ。父ちゃんは、これだけで満足だよ・・。
すっかり好好爺(こうこうじい)になる。

そして、2周目にトップで帰ってきたのは、なんとショウゴ!!!
アンビリーバボ〜〜〜。なんという事でしょう〜、ワッツ.マッジック?


(ついにゴテンクスに変身!トップを独走するゴテンくん)


(ショウゴもスーパーショウゴに変身?

大騒ぎする父ちゃんとタカの前をショウゴがトップで通過していく。
あまりの出来すぎな状態に
すっかり好好爺(こうこうじい)になった父ちゃんには、心配がよぎる。
「明らかにオーバーペースじゃねぇ?

しかし、その後もトップを維持するショウゴだが、5周目でついに転倒。
順位を落とすが、その後は踏ん張って5位でゴール。
「05番と書いてある内輪を振って応援してくれた人がいた。
嬉しかったから頑張った!」というショウゴ。
こんな“背もちっちゃいが人間もちっちゃい!”ショウゴを応援してくれるなんて、
なんてありがたい人だ!
後で聞けば、同じ市の人だった。
レースでは、いろいろな人たちとの出会いがあるから面白い!
旦那さんもFUNクラスに出ているようなので、これからも一緒に頑張りましょう!

やっとゴテンクスに変身したゴテンくんは、その後2回もパンクしてしまい撃沈。
残念、ゴテンクス!天に見放される・・。


(ケンジ監督も振られるガレ)

ゴール後のショウゴに聞けば、
「とにかく1〜2周は、みんなが通らないラインばっかり走っていて、気づいたらトップに立っていた」
「その後は、まるで夢のような時間だった
「5周目に転倒して、やっと夢から覚めた気がした・・」そうだ。

この爺ヶ岳でよくやったと思うが、せっかくトップに立てたのだから
夢のような時間だった・・」ではなく、
今日のオレは乗れている!いけるぜ!」って思えなければ、やっぱり勝てないよな〜(笑)

昨年の鈴蘭の時には、2時間トップを走り、「勝利者インタビューでなんて答えようかな〜」
と考えていたが、ラスト1時間で雨が降ってきて、撃沈!結局7位だった。
まだまだ、勝つために必要な何かが足りないんだな。


(Aクラスの表彰式:黄色いシャツの一番小さいのがショウゴ)


(ショウゴのラップ表:5周で夢が覚めました・・)

(タカのラップ表:2周で夢が覚めました・・)

(父ちゃんのラップ表:夢を見ることは出来ませんでした・・)

ショウゴのピットを片付けていると隣の人が「欲しかったね〜」と声を掛けてくれた。
確かにこの爺ヶ岳で過去最高位の5位なので上出来だよな。

ひょこひょことパドックを歩いていれば、
その足でよく完走できましたね!」と声か掛けてくれる。
朝心配してくれたホシノくんも「スゴイですね〜」と言ってくれる。
だんだんいい気なる父ちゃん。

そのうちには、会う人会う人に、
「オレは、“やるときにはやる男”ですから・・」
「“あきらめることを知らない男”ですから!」と言いふらす始末。

今回の爺ヶ岳は、このお調子者三人衆に、魔物ではなく、女神様が微笑んでくれたようだ。
タカは、パンクしたけど、順位的には妥当だし・・。

お気楽気分で家に帰れば、我が家の女神様(母ちゃん)が
「ショウちゃん、タカちゃん、がんばったね〜」とお出迎え。
「母ちゃん、オレも頑張ったぞ!この足で11位だぞ!」と言った瞬間に顔色が変わる。
山の天気は変わりやすい・・

「へ?父ちゃん走ったの?」
「いや、初めは、1周だけのつもりで・・・」
「応援だけって言ったよね!」
「乗ってみたら調子が良かったから・・」
母ちゃんの目が血走って赤く染まる・・。

どこからか声が聞こえる。
母ちゃん(オーム)の怒りは大地の怒り・・

(風の谷のナウシカより)
王蟲(オーム)の目は普段は澄んだ青色だが、怒りを感じるとルビーのように真っ赤に染まる。
「王蟲の怒りは大地の怒り」として恐れられている。

爺ヶ岳には、魔物だけではなくオームの神様も住んでいたのか?

どうせいい気になって「オレは、“あきらめことを知らない男”!」なんて
誰彼となく言いふらしていたんでしょう!

「そんなこと・・・」どんどん小さくなる父ちゃん。

怒りが収まらない母ちゃんはついに叫んだ。
あんたとは一緒の空気も吸いたくない、この部屋から出て行って!

父ちゃんと母ちゃんは一緒の部屋で寝ている。
トボトボと自分の布団を片付ける父ちゃん。


(父ちゃんの寝床、隣には居着いてしまったルナ)

(これが父ちゃんのお泊まりセット、これさえあればどこでも寝られますぜ!)


(大人しいときのオーム:腐海の森を守っているすごいヤツです、母ちゃんもすごい人です!)


(怒ったときのオーム:ホント怖いです・・)

どこからかまた声が聞こえる。
母ちゃん(オーム)の怒りは大地の怒り・・

こうして、寝室を追い出された父ちゃんは、この後ずっとリビングの板の間で寝ることになりましたとさ。
めでたし・めでたし・・・?????