[遙かなる全日本!]('14/10.4) 

 父ちゃんたちにとって全日本モトクロスは、
言ってみればゴルフのマスターズ(オーガスタ)のようなものだ。
(どこかで似たようなことを書いた気が・・)

 父ちゃんが初めて全日本に挑戦したのが1999年3月。(10)初めての全日本(99年)
当時の全日本の第1戦は、名阪スポーツランドだったんだ!
噂には聞いていた全日本だったが、
その難易度中部戦とは違うダイナミックなコース設定にうろたえ、
そんなところをアクセル開け開けですっ飛んでいくライダーたちにただただ驚いた。


結果は、もう覚えていない・・。
確か、第1コーナーを回って、2連に向かうところ(現在は、テーブルトップ)で、
ぶつけられて終わった気がする。
その後も何回か挑戦したが、単なる無謀な挑戦で終わっていた。

いよいよショウゴが全日本に挑戦するときには、すぐに予選くらいは通ると思っていた。
(なんてたって3歳からバイクに乗っているし・・)
しかし、全日本モトクロスは、そんなに甘いものではなかった!
その後、父ちゃん・ショウゴ・タカの三人衆は、ことごとく予選落ちを重ねていった。

当時は、「オリンピック家族」と呼ばれていた。
その答えは、「参加することに意義がある・・」(うまい!)
ホント、ナホがまだバイクに乗っている頃から「参加するだけ」の家族だった。
(それでも充分レースを楽しんでいたが・・)

全日本に挑戦するたびに対応策を考えて練習してきた。
しかし、そのたびに全日本は、違う顔を見せて父ちゃんたちをはねのけてきた。
全日本のコースには、至る所に“魔物”がすんでいるのだ。
時には、あまりの難易度に「アーメン!」と叫びたくなるくらいだぞ。

やっと、ショウゴが予選を通って、その上、決勝19位になったのが
2010年5月29・30日の全日本選手権第4戦(SUGO大会)だった。(158)祝:予選突破!('11/4)

ここまでが長かったな〜。
その後、固定ゼッケンを付けたショウゴは、その固定ゼッケンの重みに押しつぶされ(笑)
またまた低迷期が続き、心が折れてJNCCに逃げていった。
(その後、タカもショウゴに続いてJNCCに・・そうそう父ちゃんも・・・)

アイ シャル リターン!
「(必ずや私は戻って来るだろう / 私はここに戻って来る運命にある)」
ダグラス・マッカーサーが日本軍に追い詰められた揚句、
コレヒドール島からの脱出を余儀なくされたときに言った名言。

ショウゴは、そんな魔物と戦うために、ほぼ1年ぶりの
全日本-R7(名阪スポーツランド)に還ってきたのだった。
(父ちゃんは、魔物は苦手なので、お休み・・)

 '14全日本モトクロス選手権 第7戦近畿大会(mfjホームページより)               
全9戦で競われる今季の全日本モトクロス選手権。
約1ヵ月間のインターバルが 明け、シーズン終盤の初戦となる第7戦近畿大会が、奈良県の名阪スポーツランドで開催された。
サンド質の路面を特徴とするコースは、アップダウンのある丘 陵地にレイアウトされ、ハイスピードバトルが繰り広げられる設定。
昨年の全日本からは、一部区間のデザインが変更された。

天候は土日とも晴れ時々曇り。
とくに日曜日は日差しが強く、最高気温は28度まで上昇したが、風があったことから日陰にいると心地よい陽気だった。
名阪国 道のICから約10分と交通アクセスに優れることに加え、天候にも恵まれたことから、
今大会は2日間で7,200名のファンが観戦を楽しんだ。


 金曜日の夜、ショウゴと名阪スポーツランドに出発。(タカは、マレーシア)
しかし、肝心のショウゴは、二日前から急性胃腸炎になってしまい役立たず。
結局、父ちゃんがひとりで準備をして、
ひとりで運転して夜の11時ちょっと前に名阪に到着すれば、
父ちゃんたちのチーム(Team R&D)の「長野の怪人」ことキタバヤシくんが、
すでにテントを立てて、パドックを設営していた。(ありがと〜!)

ショウゴの調子も悪いので、この日はすぐにご就寝〜。
ショウゴがいつまでもゴソゴソしているので、なかなか寝付けなかったが、
やっと寝たと思ったら「じぃさん、車をトイレの近くに移動してくれないか?」とショウゴ。
「腹が痛くて、ピーピーだ、ここからではトイレまで持たん・・」

時計を見れば、夜中の2時。
その後も何回も車とトイレを行ったり来たりのショウゴ。
こっちもほとんど寝られないまま朝を迎えた。

今年は、450一本でいくので、今回の全日本もIBオープンクラスだけのエントリーだ。
タカもいないし、なんか寂しいな〜。
Team R&D のテントにも、怪人のCRF250RとショウゴのCRF450Rの2台だけ。
お天気は、晴れ!
ホント、気持ちの良い朝でした。

しかし、ショウゴは、「JNCCは晴れて欲しいんだけど、全日本は雨の方が良いのに〜
と青い顔で空を睨む・・。
(こんな考えなので、ことごとく反対になるのだ!)

受付・車検に行けば、いつものように大渋滞!
IBクラスの受付時間になっても、まだジュニアとレディースがたくさん残っている。
この辺は、もっと簡略化出来ないのか?全日本!

レバーを可倒式に変えただけで「改造有り!」なんておかしくないか?
速さに直結するエンジンやサスの改造なんて、車検では分からないし・・。
一時期は、トランスポンダー(自動計測器)があるのにも関わらず、
やたらとゼッケンについて厳しく見ていたし・・。
だいたい、IBオープンなんて250と450の混走なのだから、
速いヤツは、何に乗っても速いのだ!

どうも全日本は、敷居が高いんだな。
全日本選手権なのだから当たり前の話かもしれないが、
レベル的にもそれなりの子たちが集まっているし、
もっとライダーを信じて、もっと楽しく参加出来るようにして欲しいな。

なんとか受付だけして、車検は後回しでコースの下見に出かける。
今回のコースもそんなに大きくは変わっていない。
ただ、この名阪のコースは、山砂なので、ドンドン荒れていく。
この荒れに対応出来るかどうかが勝負の分かれ目だな。

下見が終わってトランスポンダー(自動計測器)をもらう。
「ショウゴ、今日の帰りにこれを返すのを忘れるなよ!」と言えば、
じぃさん、予選落ちをして、今日帰ることを前提として話しているだろ?」とショウゴが怒る。
「当たり前じゃないか、お前が胃腸炎になったときからすでに予選突破はあきらめているぞ!」
と子どものこととなるとすぐに「あきらめの早い男」に変身する父ちゃん。

本気で予選突破を考えているショウゴに
予選落ちしても良いように、ちゃんとKTM300を持ってきたんじゃないか、
日曜日は、イナベのコースで練習だぜ!
」と言えば、
あまりの隙のない計画にショウゴも納得。

ということで、土曜日のIBオープンが予選落ちだったら、
速攻で片付けをして、三重県のイナベに向かうことになった。
(奈良県から愛知県の帰り道にイナベスポーツランドがあるのだ)


Team R&D のパドック。嬉しそうに手を振るのが長野の怪人。
「掛川の種馬!」も昔はいたぞ。


1台だけだと寂しいので、ちゃっかりKTMも積んでしまったお茶目な父ちゃん。


車検でボロクソに言われた(ショウゴ談)’09CRF450R(笑)
よく頑張っているバイクです!

いよいよIBクラスの公式練習が始まる。
キレイに整備されているコースは、気持ちが良い!の一言。
ショウゴは、偶数ゼッケン(34番)なので、公式練習2組目だ。

公式練習は、土曜日の朝一に行われるので、
関係者以外は見たことがない人が多いと思うが、これがなかなか面白いんですよ!
是非、早起きしてIBクラスやIAクラスの公式練習を見てください。

公式練習の最初は、スタート練習だ。
これがまた、迫力があるんだな。
IBクラスだと二組に分かれてもそれぞれ40台近いバイクが一斉に走る。
それも全日本にエントリーするようなヤツらだから、アクセルの開け方もハンパない。
このスタート練習だけでも見る価値があると思うぞ。


(IB2組目のスタート練習。一番手前の黄色いヘルメットがショウゴ)

ショウゴは、450のパワーを活かして、アウトから出る作戦。
スタート練習もすべてアウトからだ。
その後、コースを走り出すが、前後の固定ゼッケン組と比べても遅れることがない。
こりゃ、スタートさえ出られればいけるかも?


(公式練習中に、サイドゼッケンがとれる。ボルトがバカになっているんです・・)

公式練習から帰ってきたショウゴに「大丈夫か?腹は痛くないか?」と聞けば、
「アドレナリンが出ているので、走っているときだけは痛くない!」そうだ。
IBオープンの予選は、午後3時過ぎなので
あまり寝ることが出来なかったショウゴと父ちゃんは、ゆっくり休むことにする。

ウトウトしていれば、あっという間にお昼だ。
ショウゴは、ここ二日間は、うどんしか食べていない。
父ちゃんは、焼き肉弁当だぞ!

準備をしていると久々に車椅子に乗っているヨッシーとご対面!
前よりも締まっていて元気そうだった。
(ガンバレ、ヨッシー!医療は、日々進歩しているからな!!)

そうこうしているうちにIBオープンの予選だ。
ショウゴが、450に乗ってコースに向かう。
予選は3組なので、予選通過は10位までだ。


(IBオープンクラス予選A組の走りを見るショウゴ。
やはり、10位前後を走っている子たちは速い!)

スターティングエリアで待っていると、ポイントを取っている順に呼ばれる。
その後は、ゼッケンの若い順だ。
ショウゴは、13番目に呼ばれて、一番アウトのスタート位置を選んだ。
スタート30秒前のボードがあげられる。(雄叫び声があちこちから聞こえる・・)
5秒前になるとエンジン音が高まる。
見ているこちらまで気分が高まる瞬間だ!
そして、スタート。


  (一番アウトを選択したショウゴ)     (スタートの反応は、まずまず)

まずまずのスタートを切ったショウゴが、第1コーナーに4・5番手で突っ込む。
いいスタートだ、いけるぞ!
その時、インから来たライダーと接触、フラフラしている間に数台に抜かれる。
第3コーナーを曲がって奥のコースに消える頃は8位。
その後、2台抜いて6位。
道路脇のでかいテーブルトップを飛び、最終コーナーを回れば8位。


                 (一時は6位に上がるも1周目は、8位!) 

前の7位は、ゼッケン13番。
この子に付いていければ、予選突破は間違いない!
2周目には、13番のすぐ後ろに張り付く。
がんばれ、ショウゴ!


     (3周目までは、なかなか良い走りだったショウゴ。その後、息切れに・・)

しかし、さすがは固定ゼッケンの13番。
その後、徐々に離れていき、それに伴いショウゴの順位も落ちていく。
3周目までは、10位くらいを走っていたが、その後みるみる遅れだし、
5周が終われば15位でフィニッシュ!

はぁはぁ・・言っているショウゴに近づき
「惜しかったな、途中まではいけると思ったぞ!」と言えば、
みんな、速いわ!途中からバイクが押さえられなくなっちゃって・・、
でも、みんなとバトルが出来て面白かった!
」と答える。

後で、タイムを見れば、ショウゴのベストタイムが1分54秒02。
予選突破をするためには、少なくとも1分51秒台を出さなければいけないので、
まぁ、順当な順位でしょうね。

「でもな・・じぃさん、今回は、回りのライダーがメチャ見えた。
インからでもアウトからでも接触しそうになったら、すぐに避けられたぞ!
「きっと、JNCCでいつも回りを見ながら走っているからだ!」と言うショウゴだが、
それって、回りを見すぎて遅くなっているパターンじゃない?

実際、父ちゃんだって、いつラップされてもいいように、いつも回りばっかり気にして走っているぞ。
言うなれば、前3に対して後ろが7だな。
(後ろに目が付いている!と恐れられている?父ちゃんだぞ。)

「それで、回りが見えて速く走れたの?」とショウゴに聞けば、
突っ込んでくるのが見えて上手く避けられたが、その隙に抜かれた・・」そうだ。(笑)
出来るだけ転倒を少なくするJNCCと「ぶつかってなんぼ?」のモトクロスでは、
やっぱり、両立は難しいか・・。
それでも、こんな調子でも楽しく走れて、怪我もせんかったから、まぁいいか・・。
(モトクロスでは、当たり負けしないテクニックが必要なんですよ!)

予選通過の子たちが忙しく明日の準備をしている間に
父ちゃんたちは、いつものように帰り支度を始めた。
そうそう、朝に言ったように
ショウゴ、トランスポンダーをちゃんと返してこいよ!」(笑)


PS1
アイ シャル リターン!
「(必ずや私は戻って来るだろう / 私はここに戻って来る運命にある)」

久々の全日本は、面白かったけど、やっぱり俺が還ってくるところではなかった!
と言うショウゴ。
これからは、JNCC1本で頑張るそうだ。
(中部戦ぐらいだったら出るかもしれないそうだが・・)

そんな中、バイク雑誌「ダートクール」の四コマ漫画でおなじみの「しまりん」が
この全日本を見て「やっぱり、俺が還ってくる場所は、ここだ!
とフェイスブックでつぶやいていたそうだ。

天竜川でよくバトルした「しまりん」は、父ちゃんよりも少し若いが、もういいオヤジ。
かっこいいぞ、しまりん!

PS2
もういい年のオヤジ(長野の怪人)もなかなか良い走りをしていた。
しかし、どうがんばったって予選を通過するのは難しいだろう・・。
父ちゃんは、早速JNCCの父ちゃんと同じクラス(FA)に誘っておいたぞ。
これからは、そこそこ走れる全国のオヤジたちをJNCCに誘って、
昔のようにまたバトルをしたいと密かに思っている父ちゃんだった。

PS3
日曜日のイナベスポーツランドは、
みんな全日本に出場したり、見に行ったりして閑散としていた。
ショウゴと二人でノンビリKTM300と戯(たわむ)れましたとさ。
めでたし・めでたし・・???