[泣いた夜?]('15/7.25)
 
 「なみあい2days]から帰ってきた夜。
「なみあい」のお山系も面白かったし、久々に三人で乗れて楽しかったしと話が弾んだ。
これで、昔のように母ちゃんとナホがいれば、言うことないな。
ナホが、高校生になるまでは、いつも練習だってレースだって、家族5人で行っていた。
楽しかったな〜。

でも、今でも1年に1回くらいは、家族全員でレースに行くことがある。
たいていは、土曜日に安曇野や高山に母ちゃんとナホを置いて、
日曜日のレース後に迎えに行くというパターンなので、
正確に言うと、行き帰りだけの家族5人なのだが・・。
でも、それだけでも、昔のように楽しいんだな。

だから、いつもレースの前になると、レース場近くの観光地の名前を挙げて、母ちゃんを誘う。
しかし、いつも、「猫や犬が可哀想だから二日間も家を空けられない!」と断られてしまう。
オレと犬・猫とどっちが大切なんだ?」と言えば、
これまたいつも「決まってんじゃない!犬や猫でしょ!!」と応えられる。

その上、タカは、これまたレースに出るどころか、練習さえも出来ない有様だし、
ナホも大学の寮に入ってしまったりと、今年は家族でレースに行くのは、もう無理かも・・。

話を戻そう・・。
久々に三人でバイクに乗れて父ちゃんはウキウキしながらタカに聞いた。
「タカ、来週はバイクに乗れるか?」
すぐさま、「無理!」という返事。
「再来週はどうだ?」と聞けば、「無理!
「それじゃ、7月18・19日のエンデューロクロススキルアップキャンプは、どうすんだ?」
と聞けば、「それも無理!」という返事。

業(ごう)を煮やした父ちゃんが「それじゃ、いつバイクに乗れるんだ!」と言えば
今のオレにとって、バイクの優先順位は、かなり低い!」とタカ。
「ガ〜〜〜ン!」

父ちゃんは、息子からこんな言葉を聞くとは考えたこともなかった。
ショウゴもタカも3歳からバイクに乗っていた。
いつもいつもみんなで楽しくバイクに乗ってきた。
楽しく乗ることばかりを優先したために、二人ともモノにはならなかったが、
一度もバイクがイヤ!なんて言わずにやってきた。

ショウゴは、レースで不甲斐ない成績しか残せないとイライラすることもあったが、
タカは、どんな成績であろうといつも軽口を叩き、バイクを楽しんでいた。
そんなタカが「バイクの優先順位は、かなり低い!」とは・・。
バイクよりも大切なモノはそうはないぞ・・。

これは、反抗期か?
24歳にもなって遅れてきた反抗期なのか?

動揺する父ちゃん。
その日は、一睡も出来なかった・・。
ちょっとだけ目をつむったらもう朝だった。
(そういうのを熟睡!って言うのよ!by母ちゃん)

気づけば、枕が涙で濡れていた・・。
(それは、ヨダレよ!いつも口を開けて寝てるでしょ!!by母ちゃん)

母ちゃん、信じられるか?あのタカが「もうバイクの優先順位がかなり低い!」って言うんだぞ。
前回の広島では、久々に乗ったのにも関わらずショウゴを追い回したタカ。
こんなに長い間バイクに乗っていても、タカが活躍したのを見たことがない・・。

1回だけ、65に乗っていたときに雨のイナベで2位になったことがあったが、
あれだって父ちゃんがタカのバイクを泥人形のようになりながら押し回ってつかみ取った2位だった。
タカは、ただバイクに乗ってアクセルを回していただけだった。

そんなタカが、やっとバイクの才能が開花仕始めたのに、なんてこったい!
鉄は熱いうちに打て!だぞ。
大学院なんて行ってる場合じゃないぞ!
父ちゃんは、空に向かって叫んだ。「母ちゃん、これでいいのか?
もちろん、母ちゃんには、面と向かって言えない・・。

母ちゃんの代わりに雲が応えてくれる。
人生は長いのよ、一時期、バイクに乗れなくたって、また乗るときがくるわ!
「それじゃ、遅いんだ、タカにとっては今が大切なんだ!」

雲が形を変えながら流れていく・・。
なに言ってんのよ、54歳にもなって恥ずかしげもなく“おれマックスっす!”なんて言いふらしてるくせに!
まだ、タカは、24歳よ!あと30年もあるじゃない!!

「タカは、凡人なんだ!オレのような超人とは違うんだ!!」
なにが超人よ!変人の間違いでしょ!!

雲と話していても負けてしまう・・。
これじゃ、本物の母ちゃんにかなうはずもない・・。

父ちゃんは、バイクような雲を見つけた。
大空にジャンプしているバイクだ!
しかし、段々と形を変えてしまい、尿瓶(しびん)のような形になってしまった・・。

父ちゃんは、雲を見ながら涙を流しましたとさ。
めでたし・めでたし?