[奇跡のレッスン]('16/8.10)
 

 みなさんは、「奇跡のレッスン:最強コーチが導く 飛躍の言葉」という番組を知っているだろうか?
http://www4.nhk.or.jp/wonderlesson/5/
世界トップクラスの指導者が日本の子どもたちに1週間の特別レッスンを行う「奇跡のレッスン」。
毎週土曜日、午後5時半からNHKBS1でやっている。
(現在は、オリンピック中なので次回は、8月27日)

今までもたまに見ていたのだが、今回の柔道編(7/9~7/23の3回)も良かったぞ。
(NHKのHPより)
今“世界最強”と言われるフランスのテディ・リネール選手を育てたのが、今回のコーチ、ブノワ・カンパルグさん(51)。
ブノワさんは、最新のスポーツ理論や心理学を駆使し、独自の育成法を編み出してきた。
そのポイントの一つが、「力を抜くこと」。
無駄な力みが抜けることで、集中力が高まるという。
そのために、日頃使わない筋肉を刺激したり、心拍トレーニングで意識して呼吸させたり…
(引用ここまで)

1週間の特別レッスン」と番組は謳っているが、今まで見てきたサッカーやテニスにしても
大体1日目は現在のやり方を見学。
そして、7日目には、試合だったりするので、本当にコーチをしているのは、たったの5日間。
その中で結果を残さなければならないので、いくら世界的なコーチと言ってもそのハードルは高いと思う。

しかし、今まで見た感じでは、バリバリに練習するのでもなく、気分転換したり、あえて休んだりしていることも多い。
初めて見る子どもたち、そしてそんなに馴染みがあるともいえないこの日本でも、
コーチたちは、しっかりと結果を残していく。
やっぱり、世界レベルのコーチってスゴい!と感じさせてくれる番組なのだ。

今回の柔道のコーチ、ブノワさんもそんな名コーチのひとり。
なんてったって、フランスナショナルチームのコーチだったこともあり、
今度のオリンピックの最有力金メダル候補でもあるテディ・リネール選手を育て上げた人。

見たこともない日本の子どもたちをどんなふうにコーチするのかと興味津々で見ていた。
ブノワさんが教えるのは、柔道が強い有名私立の子どもたちかと思っていれば、公立中学の子どもたち。
それも半分以上の子たちは、中学に入って初めて柔道を習うそうだ。
ブノワさん自身もこの年齢の子どもたちを教えるのは初めてと言うこと。

例のごとく、一日目はただただ部活の見学。
その練習風景は、よくあるようなコーチや監督が大きな声を出しての叱咤激励。
(叱咤の方が遙かに多いが・・)
名コーチブノワさんは、すぐに日本の子どもたちや教え方の素晴らしい点・問題点を的確に指摘。

素晴らしい点は、礼儀や基本的な動作がしっかり出来ている点。
股関節が柔らかいから日本の選手は、下に潜り込むのが上手いんだ!
と中学生の練習を見て、日本柔道も分析。

問題点は、何のための練習かが子どもたち自身に分かってないこともあり
(ただ、コーチや監督に言われてやっているだけ・・)
また、“型”にとらわれているために自分で考えることが少なく、独創性に欠ける点。

要するに日本の良さを残しつつ「型にはめる、怒鳴る」から「考えさせる、ほめる」に転換。
テニス編でもでもサッカー編でもそうであったが、とにかく名コーチは、子どもたちを飽きさせない。
次から次へと新しい練習メニュー(それも子どもたちに合った)を提示し、
子どもたちは、歓声を上げながら楽しんで練習をしていく。
練習と言うよりも遊びの一種ととらえた方が良いくらいに子どもたちの目は輝く。

結局、目の前にいる子どもたちを夢中にさせることが出来ない大人たちが、
怒鳴り・怒り・時には脅しながらスポーツをやらせているんだな。

そう言えば、このシリーズを見ていてもコーチが怒鳴ったり怒ったりした場面を一度も見たことがない。
子どもの人格を否定するような言葉を一度も聞いたことがない。

褒めて(それも的確に)認めて、子どもたち自身に考えさせ、理解させる。
子育てにも通じることを高いレベルでやっている印象だ。
その後もブノワさんは、呼吸の大切さや力を抜く大切さを教えるために子どもたちを水泳に連れ出したり、
(泳ぐ練習じゃないんだから・・と教えていたが、今まで泳げなかった子が泳げるようになってしまったり・・)
日頃使っていない筋肉を使う運動をしたりして、子どもたちの眠っている潜在能力を刺激する。

闘争心を呼び起こすためと称して、森に行き、自然の中でのサーキットトレーニングみたいなものもやっていた。
結構きついトレーニングなのだが、1回のつもりが、子どもたちから「もう一回!もう一回!!」と3回もやることに。
「やらされる練習」から「自分からやる」練習に変わっていく瞬間だった。

実は、子どもたちは無理矢理やらされても上手くなる。
それが結果に結びついてしまうと、コーチや監督も「自分のやり方が正しかった!と思い込む。
でも、実は、子どもたちが自分からやる気を出し始めたときには、やらされていた時の何倍もの成長がある。
これは、スポーツに限らず勉強でもそうだ。

そのコーチや監督は、それが見えないだけだ。
怒鳴り・脅かしながら、現在の結果のみを信じているだけだ。

父ちゃんは、保育園に入っても始めは給料が出なかったので、
7年ほど、昼間は保育園で働き、夜は、中学生の塾の講師をしていた。
(その当時の子たちが、今では親になっているぞ)

当時、その中学は、女子のバレーボールが強かった。
そこの監督(先生)は、厳しくて有名。
叩かれることは当たり前で、イスが飛んでくることさえあった。
でも、結果を残しているので、その先生を始め親たちもそのやり方が正しいと思っていた。

塾の生徒の中にも、何人ものバレー部の子たちがいた。
「お前ら、そんなに強いんだから推薦で高校にも行けるし、高校の部活も楽しみじゃない?」と聞いたことがあった。
でも、多くの子たちは「高校に行ったらバレーを止める」と答えた。
「どうして?」と聞くと「もう、こんな思いをしたくない・・」って言っていた。

その監督(先生)も一生懸命だったと思う。
でも、子どもたちの心が見えていなかったんだな。
結果のみを追い求めていった結果が、有望な子たちのピークを中学時代に持って行ってしまい、
その後のことまで考えることが出来なかったと思う。

こんなやり方は、「子どもたちのためと称した単なる自己満足」だ。

話が脱線してしまった・・。
与えられた時間が、たった一週間にも関わらず、
こんなことだからいつもの部活のように畳の上での練習が少ない。
日曜日の練習は、さぞや朝からガンガンに行くと思えば、昼食後には、お昼寝・・。
ブノワさん曰く
「ナショナルのコーチ時代も昼寝をさせていた。この方が、集中力が途切れなくて怪我も少ない!」そうだ。
(ただただ、長時間練習させて満足している日本のコーチや監督に聞かせてやりたいくらいだ)
毎日、教えているコーチだったら分かるが、ブノワさんに与えられているのは、一週間。
(実質5日間だけの中でもこの余裕。父ちゃんが言う「余裕っすよ!」とは次元が違うぞ)

練習内容もいつもは、技をかける側と掛けられる側で練習していることを、
同じようにやりながら「もし、油断があったら掛けられる方も技を掛けて良いよ!」
という一言で練習内容や密度が一変。
録画を消してしまったので、忘れて思い出せないことも多いが、
とにかく子どもたちにとって飽きなくて楽しい練習が多かった。

そして、迎えた一週間目。
私立の強豪中学との練習試合。
相手は、都大会でも上位を独占するような強豪校。
今まで、一度も勝ったことがない相手との試合でも、子どもたちは頑張った。
と言うだけではなく、実際に勝ってしまう子もいた。

たった、一週間でこの成果。
もし、ブノワさんが、一年間この中学で教えたらどんなスゴいことが起きるだろうか?
実際、この一月後に行われた都大会では、今までにないような成績を残してしまった。

ただ、この番組の趣旨とは違うが、父ちゃんが一番評価しているのは、日本のコーチたち。
テニスにしてもサッカーにしても柔道にしても、そこまで一生懸命に教えていたコーチたちがいた。
このコーチのレベルだって、他の日本のコーチのレベルよりもずっと上の方だと思う。
そこに突然、世界レベルのコーチが来て、たった一週間で考えられないような結果を出していく。
時には、今までやってきたやり方を否定するようなやり方で結果を出していく。

一番悔しいのは、今まで一生懸命にやってきたこの日本のコーチたちだと思う。
そして、よくこんなオファーを受けたと思う。
世界レバルト比べられたらどんなコーチだって自分の力のなさを突きつけられる。
言うなれば、父ちゃんが頑張っているところにリッキー・カーマイケルがやってくるようなものだ。

しかし、日本のコーチたちは、ちんけなプライドを捨てて
(日本には、ちんけなプライドを後生大事に持ち続ける大人が多いんだな)
子どもたちのために名コーチの良さを取り入れて自分への糧(かて)としている。

ダメな子どもはいない、ダメな指導者がいるだけだ!
「ビリギャル」で有名になった坪田先生が言っていた。

番組では、あまり出てこない日本のコーチたちの心情。
父ちゃんは、ひとり心の中で拍手をしているぞ!

そして、もうひとつ変わっていくもの。
それは、子どもたちの親なんだな。
我が子のことだけや成績ばかりに一喜一憂していた親たちが、もっと大切なことに気づかされていく。
子どもたちとちゃんと向き合っていく。
この番組のもうひとつのテーマがこの親子の関わり方だと感じている。

今やっているオリンピック。
選手たちは、人間離れしたような姿を見せてくれている。
彼らは、どんなコーチや先生と出会ってきたのだろうか?

柔道フランス代表ののテディ・リネール選手ももちろん出場する。
日本の応援もしたいが、リネール選手の活躍も期待したくなってしまった。
やっぱり、スポーツは国境を越えるね~!

(wikipediaより)
テディリネール(フランス語: Teddy Riner、1989年4月7日 - )は、フランスの男子柔道家。
2007年の世界選手権で史上最年少での世界王者となった。
2007年より世界選手権8大会連続優勝、100kg超級7連覇中(2015年8月現在)。
身長204cm、体重129kg。

次回(8月27日)は、

世界トップレベルの指導者が子どもたちに向き合う1週間の特別レッスン。
その核となる教えの言葉に、コーチングの極意を探る。
今回のテーマは「弱い心に打ち勝つ」。

アメリカの男子プロバスケットボールリーグ史上、最も低い身長でありながら、
14年間にわたって一線で活躍し続けた伝説的プレーヤー、マグジー・ ボーグスさん(50)。
都内下町の中学校で男子バスケ部に向き合った。
消極的なプレーが課題だったチームの中で、特に自信を失っているような選手がいた。
身長の低さや失敗の繰り返しで弱気になっていた彼に、マグジーは「自分もチームに必要な存在」と分からせていく。
その手法とは?

です。
今度は、どんなコーチングマジックを見せてくれるのかな?
楽しみ・楽しみ・・。