【年には勝てん?】

モトクロス界では41歳の父ちゃんは、はっきり言って年寄りだ。

しかし、上には上がいるもので三重には今年65歳の谷さんという現役モトクロスライダーがいる。

ゼッケン62番の時に出会い、今のゼッケンは65だ。(年と共にひとつずつ増えていく)

冬になると“赤いちゃんちゃんこ”のような赤いベストを着て80
ccで走っている。

しかし、その走りはアグレッシブだ。

ヘルメットを取らなければ誰も爺さんだとは思わない。

母ちゃんも初めて見たときは、「ヘルメットを脱いだらお爺さんだったのでビックリ!」って言っていた。

もちろん、長男のショウゴより速かった。

とうの昔に引退したIAの人が80の頃、お世話になったと言っていたのだからいつから走っているかも分からない。


うちのショウゴが谷さんを抜くことを目標としていた頃だ。(ゼッケン64の頃)

久々にモトクロスコースで谷さんに会えたものだからショウゴは嬉しくて一生懸命に谷さんを追いかけていた。

谷さんも嬉しそうに相手をしてくれていた。

父ちゃんが一人でいると谷さんが近づいて来て言った。

「あの子もよう速うなったな」父ちゃんも息子の成長を喜んだ。

「わしらは速さが変わらないから、よう分かるんよ」

そう言われて納得したが、「わしら」ってことは父ちゃんも入っているわけ?

父ちゃんは、回りを見たがやはり誰もいなかった。

「もう、谷さんったらお茶目なんだから、父ちゃんはまだまだ日々進化しているんですよ。」と父ちゃんは笑った。

しかし、ただ一つ不思議なことがあるんだ。

何故か、父ちゃんのタイムはNAの頃が一番良いのだ。

IBになり早3年、NAの頃には飛べなかったようなジャンプも飛べるようになった、

コーナーもスムーズに回れるようになった。

そして、バイクも進化した。

しかしだ、何故か各コースのタイムは伸びていないのだ。本当に不思議なこともあるもんだ。

きっと、各コースが難しくなっているのではないかと冷静に分析する父ちゃんだったのだ。