ガミガミオヤジ(2)(2004/4)  

 「(48)ガミガミオヤジ」を読んだ人からメールをもらった。
「自分でも悪いことだと思っているのだが、ついつい子どもにガミガミ言ってしまう。
また、それを要領よく捌く子どもが自分の子どもの頃に似ていて益々怒ってしまう。」というような内容だった。

今回は、保育園の園長らしく?真面目な子育て相談の話なのだ。

メールをくれた人のように自覚症状のある人は、まず大丈夫だと思う。
自分をちゃんと第三者的に見ていられるからだ。むしろ困るのは、自覚症状のないオヤジだ。
困ったことに、こういうオヤジの回りには、似たようなガミガミオヤジが集う。
“類は友を呼ぶ”ってヤツだ。
こういうオヤジは、似たもの同士しか付き合いがない場合も多いので、その狭い世界で益々助長してしまう。
しかし、子どもというものはスゴイもので、どんなに嫌々やらされていても練習すればするほど速くなる。
速くなるものだから、ガミガミオヤジは、「やっぱり自分の教育方針は正しかった!」と益々いい気になる。
こうやって、どんどん世間から離れていってしまう。
そして、普通の人が見たらビックリするようなオヤジたちの集団が出来てしまう。
でも、こんなオヤジたちは、モトクロス界全体から見れば少数だと思う。少数でなければならないのだ。
どんなスポーツ(スポーツ以外)にも必ずいる人種だが・・・。


こういうガミガミオヤジに育てられると子どもは、三つのパターンに育つ。
まず第一が、オヤジと同じようになると言うことだ。
ガミガミ言われて育った子どもは、やはり自分が親になったら子どもにガミガミ言う親になるというパターンだ。
虐待を受けた子どもが親になったら自分の子どもにも虐待をしてしまうというやつに似ている。
(いわゆる“虐待の親子連鎖”ってやつだ、必ずそうなるとは限らないが・・)

だから、ガミガミオヤジたちは、自分がジジイになったら、
今度はかわいい孫が自分の子どもによってガミガミ言われている姿を見ることになるのだ。


第二が、ガミガミ言われることによって、子ども自身が自分に自信を持てなくなってしまうパターンだ。
大好きな親にいつもガミガミ言われる気持ちを考えて欲しい。
自分をいつも否定されているように感じ、どんどん性格が内に内にと籠もってしまう。
こういう子は、ガミガミ騒ぐ親が悪いとは考えられない。ガミガミ言わせてしまう自分が悪い子だと考えてしまうのだ。
子どもってそういうものなのだ。虐待を受けている子どももほとんどが親をかばうのだ。(だからまた発見が遅れてしまう)
虐待をしている親が悪いのではなく、自分が悪いから叩かれるんだと思っている。
しかし、内に内に向かっていった気持ちがいつか爆発する時がある。
それが親に向かえば家庭内暴力になるし、自分に向かえば自殺や自傷行為になる。


第三が、あんな親には絶対なりたくないと親とは正反対の家庭を築こうとするパターンだ。
しかし、この場合は、余程子どもが賢いか、余程回りに良い大人がいる場合だが・・。

子育ての仕方は、それぞれの家庭の数だけあると思っている。
だから、一概にガミガミオヤジを責めることは出来ないと思っている。
一見ガミガミ言っているようでも、ちゃんとフォローしている親もいる。
その一方で、叱らなければならない時に、子どもをしっかり叱れない親も増えている。
このように育てられた子どもたちも問題も起こしている。(学級崩壊の原因のひとつにも言われている)
しかし、ガミガミオヤジには一言言わせてもらうぞ。
自分の気持ちを子どもにぶつけるだけではなく、たまには、子どもの気持ちも考えてやってくれよ。

子どもは、どんな形でも良いので親に認めてもらいたいのだから・・。
PS
そういえば、前回の「ガミガミオヤジ」でオヤジに怒鳴られて、
見えないコーナーでヘルメットの中で「バカヤロー、死ねクソオヤジ!」叫んでいた子どもが、
この頃は面と向かってオヤジに反抗するようになった。

父ちゃんたち穏健派?のオヤジたちは、「良い傾向だ、子どもも自分の気持ちを親にぶつけられるようになった」と喜んでいるのだ。
その子どもの態度に、時にキレたり戸惑っているガミガミオヤジだが、きっと子どもに教えられる日が来ると思う。
得てして大人は、子どもよりすべてが優れていると勘違いしてしまうものだが、実は子どもに教えられることがとても多いのだ。
“子どもを育てる”ということは、ヘタな修行をするよりも余程凄いことなのだ。
父ちゃんだって、こうやって家庭を持てたからこそ、やっと人間として生きていけるようになったと思う。

ありがとう、子どもたち、そして母ちゃん!
父ちゃんは、バイクで頑張るからな!!←そうじゃないでしょ!!!(母ちゃんの声)