’04中部第1戦(2004/4) 

 いよいよ’04のレースが始まった。中部選手権第一戦は、天竜川特設コースだ。
今年からIB125クラスになる父ちゃんは燃えていた。なんといっても台数が増える。これは嬉しい。
250クラスは、初めこそ15、6台だが中盤を過ぎれば7〜8台だ。
エントリー台数4台、出場3台なんて事もあった。(その時に父ちゃんは、2位だった!言い換えればベリ2!!)
その上、上位4・5台は、全日本でも予選を通るようなヤツらだ。(この頃の中部はレベルが上がってきた)
だから子どもたちは、全日本でも中部でもいつも下位争いをしている父ちゃんしか知らない。
IBクラスでは、遅くてロクでもない小汚い屁こきオヤジとしか思っていないかあちゃんや子どもたちに本当の実力を見せつける時が来たのだ。
しかし、レース進行表を見てビックリした。
そこには、NBやNAの予選と共にIB25クラスの予選があったのだ。
父ちゃんは、ついに“年で目にもきたか!”と思ったぞ。
エントリー表を見れば、そこには数え切れないくらいの名前があるではないか。
いったいどこからこんなに沢山のIBが這い出てきたのか?
春を待ち望んでいた虫と一緒に出てきてしまったのか?
数えてみたらなんと42台。
しかし、予選があるなんて全日本みたいで良いじゃないか!とすぐに気持ちを切り替えて予選に臨んだ。
クジを引けば相変わらずの後ろの方。でも、すぐに気持ちを切り替えてスタートだ。
30秒前のボードが出れば、気分はワクワク。
しかし、しかしだー、ここで父ちゃんはとんでもない事に気付いた。
もし、15位以内に入らなければ予選落ちではないか。たった3周走るだけで終わりではないか。
全日本のように4周走ることだけを目標にしているのとは違い、猛烈なプレッシャーが襲ってきてしまった。
ハンドルを持つ手が震えていた。自分でもビックリしたぞ。(父ちゃんもカワイイじゃないか!)
思い出してみれば中部戦での予選なんてホントに久しぶりだ。
自慢じゃないが、36歳でモトクロスに復帰してから中部では予選落ちした事がない。
ふと気付けばもう5秒前のボードが!
その時、スタートバーが動くのが見えた。あわててクラッチを繋いでスタートだ。
しかし、しかしだー、何故かバイクが前に進んでくれない。
見ればスタートバーにフロントタイヤが挟まっている。なんてこった!(こんな事は初めてだ!!)
急いでバイクを後ろに下げ遙か後ろからみんなを追いかけた。もう頭はパニックだ。
しかし、しかしだー、神様は父ちゃんを見捨ててなかった。
遅れて第1コーナーに行けばそこには、5、6台が重なり合って父ちゃんを持ってくれていた。
なんて良い子たちだ!!!
倒れているバイクの横をスルスルと抜けて第2コーナーに行けばそこでも2、3台が待ってくれている。
オー神様!父ちゃんは天を仰いだ。後は転ばないように走れば予選を通るだろう。
しかし、しかしだー、転倒していたヤツらが猛烈な勢いで抜いてきた。なんでもっとゆっくり寝ていられないのだー。
そんな事を考えている父ちゃんを、そいつらはガチガチと当てながら抜いていく。
ヨタヨタと走っていれば、また転倒しているヤツが何台もいる。
そうこうしているうちにまたまたガチガチと当てながら抜いていく。
みんなも慣れない予選でパニックになっているんだな。とてもIBクラスの走りとは思えなかったぞ。
もう、自分が何位かも分からない。さっき前を走っているヤツのサインボードに「15」と書いてあった気がする。
落胆する父ちゃんに、中村さん(プロジェクト・サイエンス社長)が寄ってきて「15位だと思うよ」と教えてくれた。
ドキドキしながら結果を持っているとやっぱり15位で予選通過だった。
ホッとして125クラスのレースに望めた。そこはいつものようなIBクラスのレースだった。
みんなもやっと人間に戻ったようだった。
10番くらいで第1コーナーに入った父ちゃんは、12位でゴールした。ホント、疲れた一日だった。
第2戦は、保育園の行事お休み。
第3戦の美杉は、21台中7位だった。きっと、これでIB125クラスの予選もないだろう。
ホッとする反面なんか一抹の寂しさも感じる父ちゃんだったのだ。