サインで分かり合える日が・・・・(2004/4)
前回に続き、IAのオヤジの話なのだ。
「生き残るヤツ」の話しに続き、ついにそのオヤジが子どもに抜かれた日の話しになった。
現実問題として、その日が近い父ちゃんは、その話に興味がある反面、聞きたくない気持ちもあったのだった。
このオヤジも自分でバイクに乗っていて、子どもといつも練習していたそうだ。
そして、3連をなめている自分の遙か上空を80に乗る子どもに抜かれた時に悟ったそうだ。
「これからは、子どもたちのフォローに回ろう!」って。
「僕は、子どもに負けると悔しいんですよ、まだ速くなれると自分に言い聞かせてしまいますよ」と父ちゃんが答えれば、
「まだまだ、中島さんは青いわね」と笑われてしまった。
「子どもにサインボードを出すのも結構楽しんやで、中島さんも自分で乗っているからライダーの気持ちが分かるやろ、
子どもが今、何を求めているか目を見るだけで分かる時があるんよ、
そして、そのことをサインボードに書くと、コクンて頷くんや、気持ちがひとつになった瞬間やね、走るだけがレースやないんやで」
と悟りを開いた仏様のような表情で話すのだった。
その穏やかな表情を見ながらも父ちゃんは思った。
「でも、やっぱり子どもには負けたくない、その時が来るまでジタバタとのたうち回ろう!」
悟りを開くのは、それからでも良いではないかと考えている父ちゃんだったのだ。