反省の旅仙台(1)(2004/10) 

 愛知県に住む父ちゃんにとってSUGOはあまりにも遠い。

どうして中部の全日本がないのだ。おかげで全日本はいつもぶっつけ本番が多い。

少しでも事前に練習が出来ればといつも考えている父ちゃんであった。
5月の最後の金曜日の夜、父ちゃんは土砂降りの中、SUGOを目指して東名を走っていた。

次の日が、長女(ナホ)の運動会にもかかわらずにだ。

どうして運動会がこんな5月の最終土曜日にあるのかも理解出来ないが、

何故か我が市は、この時期に行う小学校が多い。

5月の運動会も理解出来ないと思うが、子どもの運動会にも出ず、

遙か彼方のSUGOまで練習に行ってしまう父ちゃんも理解出来ないだろう。

しかもこの日は、季節はずれの台風が近づいていて関東から東北地方に上陸するかもしれないと言われていた日だ。

だから父ちゃんは、台風と共にSUGOを目指していたのだった。

昼休みにSUGOに電話を掛ければ、「今は雨が止んでいますが午前中は土砂降りでしたよ、明日は走れるかどうか補償出来ま
せん」と言われる始末。

しかし、父ちゃんは焦っていた。

前回の後楽園でのあまりに不甲斐ない走りが我慢出来なかった。

タイムだって、クラスの中でほとんどビリに近かった。

次回のSUGO(全日本)には、もうちょっと何とかしたかったのだ。
父ちゃんは、ナホに聞いた。「運動会行かなくて良いか?」「やだ、父ちゃんに見て欲しい」

かあちゃんにも恐る恐る聞いた。「6月6日のSUGO(全日本)の前に行ける日は、明日しかない、行かしてくれ」

「何考えてんの、このボケチンでバカチンのフニャチンの役立たずが!」という答えが返ってくると思ったが

「良いよ、行ってきなさいよ、ナホには私が説得しておくから」との答えだった。

どうしたんだ、かあちゃん!いつものかあちゃんではないぞ、その顔はまるでマザーテレサのようだった。

長男に聞けば「がんばってきなよ」とこれまた意外な答え。

しかし、なんか変だぞ。あまりにも家族が優しすぎる。

あきれられることはあってもけっして尊敬なんてされない父ちゃんに対する態度ではない。

まるで余命幾ばくもない末期ガン患者を見るような目だぞ。

みんなそんな哀れみを持った目で見ないでくれ!かあちゃん、いつものように父ちゃんをののしってくれ!!

さては、父ちゃんのロウソクがそろそろ燃え尽きる頃だと思っているな。

確かにロウソクは、燃え尽きる前に炎が大きくなる。そして、ふっと消えるのだ。

しかし、みんな勘違いしているぞ。

父ちゃんの炎は、「もう一花咲かせるぞ」という前向きな炎なのだよ、ハッハッハ・・・・・。