反省の旅仙台(2)(2004/10) 

 土砂降りの中、一晩中運転してSUGOに着いたのは、朝の6時だった。雨はすっかり止んでいた。

幸い台風は、太平上に進路を取って上陸することはなかったようだ。

ナホの運動会も何とか出来るということだった。力尽きた父ちゃんは、死んだように寝てしまった。


バイクのエンジン音で目が覚めれば、もう9時過ぎだった。急いでバイクを降ろして走る準備をした。

いつもは4台積んでいるのに今日は一台、やけにスムーズに事が進んでしまいあっという間に準備が出来てしまった。

いつもならタイヤの空地圧を計るだけでも8回もあるのにだ。

見ればすでに10台ほどが練習にきていた。雨が止んだと言ってもコースはグジャグジャ。

東北のライダーは根性があると感心したぞ。

IBが5台にレディースが3台、NBと65が1台だった。

全日本前だからIBが多いのは分かるが、レディースが3台というのもスゴイ。

そういえば、上位を走るレディースは、ヘタなIAより練習をしているって聞いたこともある。

女の子たちは、練習熱心なのだ。ホント見習いたいわ、と思って練習を始めたのだが、

こんなグジャグジャなコースを走ればすぐに疲れてしまう父ちゃんだったのだ。だから休んでばかりだった。

いつもだって休んでばかりなのだが、子どもたちの世話と4台のバイクの整備で結構忙しいのだ。

しかし、今日はヤケに時間がある。


一人でぽつんと座っているとろくな事はない。ついつい人生を考えてしまうぞ。

いつもは仕事に追われ、休日はバイクに追われている?父ちゃんは、自慢じゃないが真面目に人生について考えたことがない。

しかし、今日は有り余るほど時間があるではないか。

それなら練習すればいいのだが、すぐに疲れて帰ってきてしまう。そして、ついついいろいろなことを考えてしまう。

こんなに金や時間を掛けてバイクに乗っても全日本では毎回予選落ち、地方選でも良いとこ真ん中ぐらい、

もう子どものサポートに回った方が良いのではないか?いやいや、まだまだいけるはず。

そういや〜かあちゃん、一回で良いから家族で沖縄行きたいって言っていたな〜、

俺が来年バイクを買うのを我慢すれば行けるかな〜、

あ〜いかん、いかん、いつも前向きな人生を送ってる俺が何を考えているのだ!

と暇つぶしに本でも読もうかとカバンを探せば一枚の紙切れが・・。

そこにはナホの字で「とうちゃん練習がんばって!」と書いてあった。

その時やっと父ちゃんは我に返った。「あ〜オレはなんて事をしてしまったのだ!」

子どもの運動会にも出ず、こんな地の果て仙台で泥まみれになってボ〜っと空を眺めて人生を考えているなんて!

「オレはどうかしていた!!」と珍しく反省してしまった父ちゃんだったのだ。

しかし、やはり仙台は遠かった。

この“反省の旅仙台”も豊橋に着く頃にはすっかりいつもの父ちゃんに戻っていたのだった。