新車争奪杯王者決定戦(2004/12)
先日届いたピカピカのCRF。その前でたたずむ親子が一組。
そして、ついに「どちらがピカピカのCRFに乗るか!」で雌雄を決する日が来たのだ。
ショウゴ(長男)もいよいよこの父ちゃんを打ち負かす決意をしたようだ。
しかし、父ちゃんだってだてにもうすぐ44歳になるのではない。
黙って負けるわけにはいかないのだよ。
父ちゃんには狙いがあった。
下手にショウゴが乗り慣れている85で勝負するより、まだ慣れていないCRFに乗せて勝負する方が得策と考えたのだ。
それも父ちゃんが1年間乗ってボロボロになったCRF。
しっかりサイレンサーも94dbに変えてパワーも落としてあるぞ。
94dbの‘04CRFは、はっきりいってそう好きではない。
98dbに比べれば、なんかモサーとしてメリハリもなく動きものろい。
言わば3人も子どもを産んだあげくに太ってきた女って感じか?
父ちゃんは、すぐに“おばさん2号”と命名したのだ。(1号は誰だとは聞かないでくれ!)
それに比べて父ちゃんのピカピカCRFは、98dbのフルパワー、元気が良いピチピチギャルだ!(死語か?)
こちらは“ワカパイ号(井上和香)”と名付けたぞ。ちなみに94dbの時は“釈パイ号(釈由美子)”に変身だ。
ワカパイ号は、エンジンを切った状態で押してみるとその軽さに驚く。
素直に動くその車体は、すぐにブツブツと文句を言い、なかなか動かないボロボロとは違うのだ。
やっぱり若いもんは良いの〜。
しかし、ショウゴもバカではない。「父ちゃん、オレも新車が良い!」とぬかしゃやがる。
「何を言っているのだショウゴ、80からいきなり250のフルパワーに乗るより適度にパワーダウンした方が乗りやすいぞ、
怪我しちゃ損だからな!」と父ちゃんは、子ども思いのオヤジのふりをした。
もしもの事を考えて、ボロボロCRFのフロントとサイドのナンバープレートは、ピカピカCRFのもと変えておいた。
これだけでもずいぶんと印象が違うぞ。
40過ぎていても綺麗な服着て化粧もすればそれなりには見えるものなのだよ。
それと「もしか?」のためにもうひとつ保険を掛けておいたのだ。
さぁ舞台はそろった。場所は、オフロードランド美杉。
ショウゴは、河原でちょっと乗っただけの2回目。
可哀想なのでハンドルだけは少し手前に引いてポジションを合わせてやった。
そして「いきなり勝負して転んでもつまらないから」と少し慣れる時間を取ることにした。
やっぱり父ちゃんも人の親なのだ。
2,3周走ってきたショウゴは言った。「父ちゃんこれ乗りやすいよ」
「そうだ、そうだ、お前には“おばさん2号”が合っているのだよ。」父ちゃんは心の中でつぶやいた。
また2,3周して帰ってきたショウゴは言った。「父ちゃん、おれフープスの初めの3個いっぺんに飛べたよ!」
「そう・・・」父ちゃんは力なく答えた。
実は、父ちゃんは、よほど調子が良くないと飛べない。
またまた帰ってきたショウゴは「父ちゃん、オレ奥の登りの2連飛べたよ!」
「そう・・・」父ちゃんはまたまた力なく答えた。
実は、父ちゃんはまだ飛べていない。
「父ちゃん、オレ奥の2連飛んだ後に岡野くんみたいにすぐにインを回れたよ」
そんなことは父ちゃんには死んでも出来ない!
「これはまずい、まずいぞ〜!!」と父ちゃんは、意地でプープスを3個飛び、死ぬ気で2連も飛んだ。
(もちろん、その後はアウトを回った)
「どうだ、ショウゴ父ちゃんだって飛べるぞ、ワッハッハー」
「父ちゃん、なんか顔ひきつっていたぞ」ショウゴは怪訝そうに答えた。
「お前の遅いところを教えてやるから先に行け」と後について走れば、すでについて行くのが精一杯の状態。
低速コーナーこそまだ遅いが他はあきらかにオレより速い。
「いかん、いかんぞー!」“ワカパイ号”のピンチだー。
空を見上げれば「プ・ロ・ミ・ス!」という例のCMがこだまする。
そういえば、毎日が綱渡りの父ちゃんなので、そのうちお世話になるかもしれない。
そんな父ちゃんが空を見上げて物思いにふけっている時にショウゴに近づく陰ひとつ。
美杉次男(管理人)だ。
この後からショウゴの態度が変わった。
「父ちゃん先、行けよ」と先に行かしては「ハハ〜ン」とか言ってひとりで納得している。
そのあげくに「父ちゃんの後に付いていると危ない、キャメルだってよくあんなに遅くて飛べるな、
オレはぶつかりそうになったぞ」と言う始末。
「いったい何を美杉次男に言われたんだ」と問えば「君はもう父ちゃんより速いよ!」と言われたとか。
美杉次男め、よけいなことを言いやがって、さては美杉長男と三男がアメリカに遊びに行っているのに
自分だけおいていかれてやけになったな。
ショウゴのヤツ、しっかり自信を持ってしまったではないか。
サーカスの熊だって小さい時から調教師にやっつけられていると
成長した後でも調教師には力で勝てないと思い込み、逆らわないのだ。
ショウゴもサーカスの熊と一緒だったのに・・。
ここで「よし、勝負だ!」とかっこよく言えればいいのだが、もう負けるのは目に見えている。
父ちゃんは潔くピカピカの“ワカパイ号”を渡した。
「優しく乗ってやってくれよ。こいつはまだウブなんだ。」
ショウゴは、嬉々とコースにすっ飛んでいった。
そして、3周ぐらい走ったところで帰ってきて言った。「オレやっぱり前の方がいい」
父ちゃんは心の中で叫んだ「そうだろ、そうだろ、やっぱりお前には“おばさん2号”の方が合っているのだよ!」
そして、冷静に「そうか、それじゃしょうがないな」と答えた。
こうして「新車争奪杯中島家王者決定戦」というせこい戦いは終わったのだった。
あ〜保険を掛けておいて良かった!
実は、“おばさん2号”は、ソフトサスが組んであってショウゴの体重には合っていたんだ。
新車の“ワカパイ号”はノーマルのガチガチのまま。
父ちゃんにだって堅いのだからショウゴなら尚更だ。
ワッハッハー、ショウゴよ、まだまだ甘いのん!!!
ワカパイ号は、誰にも渡さん!